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ベア相場を攻略する投資スタイルについて

大きなベア相場で勝負する投資スタイルとは?

生きる伝説のトレーダー Mark Minervini (ミネルヴィニ) 氏は、2021年11月中旬ぐらいから現在 (2022年7月中旬) まで一貫して売りシグナルを継続しています。この2021年11月中旬という時期は、2020年コロナのパンデミックで始まった金融相場の天井を見事に表しており、ほぼこの数日を境に金融相場の終焉、ロシアのウクライナ侵略、金融引締め、金利上昇局面を迎えたことで株価はズルズルと下り境を転げ落ちています。

この間ほぼ全ての小型中型のハイパーグロース株 (IPOしたばかり、SPACなど) の株価は半分以下や 10/1 にまで売り叩かれており、長期投資だ!と意気込んでいた個人投資家のほぼ全ての人が含み損を抱えることになりました。

ベア相場の定義と期間

弱気相場、ベア相場の一つの指標として、「株価が平均して高値から20%以上下落したときが弱気相場である」という定義があります。

またベア相場の期間は、1947年4月〜2022年4月までの間に14回のベア相場があり、期間は1ヶ月〜1.7年に及ぶます。株価の下落深刻度は S&P 500 の51.9%の下落から20.6%の下落までであると、Bloomberg のデータに基づいて First Trust Advisors が分析しています。

ベア相場の平均的な長さは約9.5ヶ月で、平均して約3.5年の間隔で発生するというデータもあります。

ベア相場で利益を得るには?

株式市場が下落したとき、ショートポジション (売り) を取ることで利益を上げることができます。日本の証券会社では個別株を空売りすることはできないため、インバースETF (ベアETF) を購入することで株価の下落から利益を得ることができます。

Direxion のレバレッジド・アンド・インバースETF

以下は日本でトレードできる、Direxion のレバレッジド・アンド・インバースETFの種類です。どのようなセクターのベアETFが存在するのかを頭に入れておきましょう。

ベアマーケットラリーを理解する

まずベア相場において頭に入れておいて欲しいことですが、弱気相場だからと言って一直線に株価が下落することはありません。コロナショックやロシアのウクライナ侵攻など、大きな下げ要因では数日で大きく株価は下落しましたが、ベアマーケットでも下げたり上げたりしながら株価は徐々に落ちていくものです。

現に、2022年のベア相場では7月26日現在、ベア相場に置けるベアマーケットラリーが4回観測されています。つまり、ベア相場でも上手に相場を張ることで、上げ (買いで入る) 下げ (売りで入る) でパフォーマンスを上げることができるのです。

まずはベア相場だからと言って、もう終わりだと思うのではなく、どのようなタイミングで弱気のラリーが始まり、底入れするのか?反発するのか?を観察する必要があります。ベア相場のラリーに参加する場合は、マーク・ミネルヴィニ氏も言うように必ず逆指値 (ストップ) を設定するようにしましょう。

ベア相場のブルトラップに気をつけろ!

ベア相場にもこのようにベアマーケットラリーが存在しますが、多くの場合ブルトラップ (強気の罠) である可能性が高いため、ベア相場のラリー高値圏では気をつける必要があります。

ラリーに乗れていない多くの個人投資家は、数日間毎日上がる株価を見て FOMO (取り残されることへの恐れ) から飛び乗ってしまいます。しかしそこがベアマーケットラリーの天井で、次の日からまた反転してしまうこともあります。

ベアマーケットラリーでは何が起こっているか?というと、ある程度株価が落ちることで、そろそろ底かという値頃感から投資家の買いと、値幅がとれたショーターの利確で一旦ラリーを繰り広げます。

この過程でブル相場への回帰を信じる投資家の買いと、売りで入るショーターが焼かれ悲惨な結果につながります。ベア相場のラリーではブルトラップを常に疑うようにしましょう。

ベア相場で負けない条件

この難しい大きなベア相場のなかでも、一部の投資家はパフォーマンスをあげています。彼らには共通する投資で負けない条件があります。これが全てではありませんが、一時的なベア相場に出くわしたら確認したいポイントになります。

  • ・大きな相場観、アノマリーを参考にする
  • ・リスクを最小限に管理する
  • ・辛抱強くチャンスを待つ
  • ・グローバルマクロの観察
  • ・銘柄観察を欠かさない
  • ・噴き上がったら利確を!
  • ・VIX、Fear&Greed Index、Put Call Ratio などをチェック
  • ・繰り返し負けているポイントを改善する

上記の項目について、一つずつ詳しくみていきましょう。

大きな相場観、アノマリーを参考にトレードする

信頼できる著名な投資家の大きな相場観や、アノマリーという相場のマップを手に入れましょう。経験値の浅い投資家の場合、大きな相場観を描くことはまず無理でしょう。経験値の高い著名な投資家のコミュニティに参加するなど相場観を手に入れましょう。

その相場観が全てとは言いませんが、経験値の浅い自分が描く相場観よりは圧倒的に役に立つはずです。但し著名な投資家を間違えると痛い目にあいます。この著名な投資家の相場観は7割方当たっているな〜というような人を見つけましょう。

アノマリーに沿ってプレイしてみよう。アノマリーとは『ストック・トレーダーズ・アルマナック』に代表されるような、知っておくべきサイクル、トレンド、パターンを示しています。しかしアノマリー通りにならないことも多々ありますので、大きな相場観とアノマリー、グローバルマクロなどを掛け合わせた、超予想力を日々鍛える必要があります。

リスクを最小限に管理する

買い向かう時は必ず事前に損切りポイントを決めておく必要があります。例えば買値から-8%の位置に逆指値を設定するなど、買い向かったが、株価が思ったように上がらず下がってしまった場合でも最小限の損で済ますことができます。

断言しても差し支えないですが、利益を上げるトレーダーは、仕掛け前に必ずどこで撤退(=損切り)するかを決めています。決めてるだけでなく、その水準では必ず損切りを執行するし、その時どんな感情に置かれていてもそれが取るべき行動と認識しています。これがリスクを受容しているということです。 – @Raymond_Invest9

私も良くアップサイドしか考えずに SPAC 株を買い上がり、それが上手くいかず含み損を抱え、損切りするポイントも決めていないのでズルズルと含み損が増えてしまい気づけば半値になってしまう … という悲惨なことが何回かありました。これでは資金を失ってしまうだけです。

買い向かう時に損切りラインを事前に決めておけば、こんな悲惨なことになるのを避けることができます。投資において一番大事なことはいかにリスクを最小限に管理するか?にかかっています。

重要なのは失敗した際の損失リスク側に目を向けることであり、長期的に利益を上げている投資家やトレーダーの多くはそこを基準にとるべきポジションサイズや見切るポイントを見極めています。なぜなら、投資もトレードもオフェンスのゲームではなく、ディフェンスのゲームだからです。 – @Raymond_Invest9

「損切りは正義」それくらいの気概でいきましょう。

辛抱強くチャンスを待つ

ベア相場ではどれだけ待てるか?が、とても重要なスキルになります。多くの投資家はある程度株価が調整したら値頃感から出陣してしまいますが、そこから更に下げた場合は損切りラインを設けておかないと損益を抱えることになってしまいます。相場の底は誰も分かりませんが、VIX、Fear&Greed Index、Put Call Ratio などの恐怖指数や投資家の恐怖心理に目を向けることでヒントになるかもしれません。伝説の相場師 Jesse Livermore (ジェシー・リバモア) も、以下のような名言を残している。

考えをめぐらすことで金が儲かるわけではない。ひたすら待つことで金が手に入る。
– Jesse Livermore (ジェシー・リバモア)

多くの個人投資家は、株価が底打ちしないタイミングで資金を投入してしまい、相場の養分になってしまう。特にベアマーケットでは、辛抱強く待てる者だけが、相場のバウンスや反転に乗ることができるということを肝に銘じるべし。

値頃感で買う時は注意が必要

下げ相場で負けやす一例として良くあるのが、直感的な値頃感で買ってしまい、更に下げた時に負けが大きくなってしまうことがあります。私も良くあるのですが、直感的に値頃感で買うと、何となく購入したことにより損切りポイントを決めてなかったりします。

すると入った銘柄に対するリスク管理が緩み、気づいたらかなり含み損を抱えてしまった … なんてことがあります。直感的に値頃感で買うことは正しいときもありますが、リスク面も考慮した上で入るようにしましょう。

グローバルマクロの観察

グローバルマクロとは、国家経済、歴史、国際関係に関わる大規模な事象の解釈と予測に基づく投資戦略。CNBC、ブルームバーグ、ウォールストリートジャーナル、Twitter などで情報を拾い、日々の金利、政治、国際情勢などのトレンドを観察する。

バウンス時に入る有望なグロース銘柄を観察しておく

有望なグロース株を見つけておく。例えば、下げ相場でバウンスした時に資金の戻りが良い銘柄 (RBLX、DLO、DUOL など)、または下げ過ぎた銘柄 (AFRM、COIN、UPST など)。相場が一時的に底入れした場合であれば、これらの銘柄に資金を入れて一回転を取ることができる。

とにかく入った銘柄が噴き上がったら迷わず【利確】する

これまで long してる銘柄が噴き上がったら、まだ上がるぞ!と歓喜していましたが、その後に下げ局面を迎えるなどダウンサイドしていることが多くありました。結果論ですが、必ず long してる銘柄が噴き上がったら【利確】するクセをつけましょう。

(もちろん銘柄によっては、その後更に上がることもあるので難しいかもしれませんが、個人的なこれまでの結果論ですと利確しといた方が良かった … という肌感覚です。)

VIX、Fear&Greed Index、Put Call Ratio など恐怖指数に目をやる

Fear & Greed Index

2022年以降の大きな下げ相場では、5月12日に市場の恐怖状態を表す Fear & Greed Index が「6」を記録し、とりあえずの大底となりました。このような恐怖指数を参考にトレードすることもできます。

VIX (恐怖指数) のサイクルを見極める

Nautilus Research のツイートによると、

VIX (恐怖指数) のインプライド・ボリュームは、50日サイクルの順守を前提に、6/9 まで控えめに推移する可能性がある。

と示されています。

自分が繰り返し負けているポイントを改善する

私の場合、大きな相場観、アノマリーに先行して資金をベットし、予想通りにならずに株価が下落してしまったことで含み損を抱えるということをしょっちゅう繰り返しています。更に損切りラインも事前に決めていないので、また上がるだろう … とお祈りになってしまい更に含み損を大きくしてしまっています。

このように自分が毎回どう負けているのか?を知り、負けているポイントを改善していく必要があります。私の場合は、徹底的にリスク管理、事前の損切りラインを決めておくことで、次のチャンスに乗り出せるようになると思います。

ベアマーケットの終りとは?

最後にベアマーケットはいつ終わるのか?についてですが、それは「ベアマーケットはリセッションが始まると終了する」というのが一つの見立てのようです。

そこでベアマーケットが完全に終了する、ということではないようですが、ベアマーケットの転換点であることを読み取ることができると思います。

2022年のベア相場では、7月のFOMC通過、米国のGDP成長率が2期連続でマイナスとなったことで、テクニカル・リセッションを迎えました。投資家はこれを「Bad news is good news (悪いニュースは良いニュース)」と捉え、金利は下落しFEDが利下げに転じるのではないか?という思惑から株価は上昇に転じましたが、ブルトラップの可能性が高いでしょう。

まとめ

・とにかくチャンスを待て!!!チャンスが来るまで辛抱強く待てる者だけが大きな利益をあげられる
・含み益は幻に過ぎない、必ず利確を行う
・買うときはどこで損切りするかを必ず決めてから買う
・逆指値を必ず設定する
・大きなベア相場では、「長期投資」という言葉に騙されるな
・相場の観察を怠るな、必ずチャンスはある!

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