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投資家が知っておきたい相場のサイクルと規則性

長期投資家が知っておきたい相場の大きなサイクルについて

積立投資をしているインデックス投資家 (長期投資家)、個別株のトレードを行う個人投資家が知っておきたい相場の大きなサイクルについてご紹介します。

私は最初、インデックスの積立投資から投資を開始しました。今では個別株の投資を行っていますが、iDeCo、つみたてNISAも続けています。思い返すと積立投資を始める準備期間には、カン・チュンドさん、山崎元さん、水瀬ケンイチさんなどの著者やブログで必死に勉強したものです。

巷では、SNSのインフルエンサーやタレントなどが書いた FIRE (Financial Independence, Retire Early) 本や、お金の増やし方といった、どれも似たような本が沢山書店に並んでいますが、あまりお勧めできません。

インデックス投資、積立投資を真剣に勉強するのであれば、積立投資の先陣であるカン・チュンドさん、山崎元さん、水瀬ケンイチさんなどのクラシックな著書をお勧めします。以下に積立投資を勉強するバイブルとなるお勧めの書籍をご紹介します。

積立投資のバイブル本

【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術 – 山崎元、水瀬ケンイチ

お金は寝かせて増やしなさい – 水瀬ケンイチ

忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術 – カン・チュンド

少し古いですが、こちらも良書です。この頃とはかなり信託報酬 (俄然安くなった) など、世界経済の流れも変わってしまったので情報は古いかもしれませんが、積立投資の概念や考え方という視点では読んでおくべきだと思います。積立投資を勉強する場合は、1つの本だけではなく、いくつかの本を読むことをお勧めします。

株を売買して右肩上がりの時期に利益を出して行くのが重要

ここからは、上記のような積立投資の本では扱っていない個別株投資におけるアクティブな内容になりますが、長期投資を実行する上で知っておくと参考になりますのでお付き合い下さい。

Twitter 株クラにおける投資の兄貴的な存在、レイザーさんが以前こんな事をツイートしていました。

つまり、株を売買して右肩上がりの時期に利益を出して行くのが重要。「寝かして増やしなさい」とか、「ほったらかし」とか言う人の言葉を真に受けていると、長期下落トレンドで耐えられるのか?と思う。

このツイートを見た瞬間「ハッ」としたのですが、個別株のトレードも行う個人投資家、そして長期投資家も株式投資の本質として意識しておきたい言葉です。

これはどういう意味か?というと、直近ではコロナのパンデミックで始まった2020年の金融相場、そして2022年全ての巻き戻しとして始まった大きなベア相場を例にあげて見てみましょう。

2020年の金融相場で株価はV字回復

まず金融相場が始まるには、アメリカの中央銀行FRBが金融政策を量的緩和に踏み切らなければいけません。FRBが量的緩和するには経済が不況になり、リセッションが訪れることが条件になります。

正に2020年のコロナ・パンデミックで世界経済は一時停止を余儀なくされ、FRBはこれまでにない大規模な量的緩和を行いました。実はこの大規模な金融緩和が2022年以降のインフレの発端となります。

金融緩和を行うと金利は引き下げられ、株式にとっては良い環境になります。つまりこの時が「株式が右肩上がりの時期」となります。ですので個人投資家は、「株に行っていいんですね」と株式上昇に備えて出動して下さい。

この時にコロナショックで大暴落しているし、株買うなんて考えられない … 怖過ぎる … というように感じるのであれば勉強が足りません。FRBの金融政策、金利と株式の関係を学んで下さい。

2022年猛威を奮うインフレで株価は右肩下がり

2022年は大きなベア相場の幕開けで始まりました。その年の3月には、ロシアによるウクライナ侵攻で2020年のコロナショックで大やられした石油やコモディティの大相場となりました。

しかしロシアによるウクライナ侵攻は、欧米で猛威を奮うインフレに更なる油を注ぎました … FRBは2020年の量的緩和から一転して量的引締めに政策を転じました。政策金利をズンドコ引き上げられ、長期金利は数十年ぶり4.0%という高値をつけました。

FRBが金融引締めを行うということは、政策金利 (短期金利) は引き上げられ、金利は上昇します。金利が上昇するということは株式や債券にとってはネガティブなことで株価は右肩下がりになります。

このように個人投資家は、マーケットメイカーであるFRBの金融政策と株式と金利の関係を十分に理解して株式をトレードする必要があります。レイザーさんがツイートしていたように、「株を売買して右肩上がりの時期に利益を出して行くのが重要」というのは、そのような意味を示唆しています。

長期投資は山あり谷あり

株式投資は数々の名著や投資本で言われている通り、長期であれば株価は右肩上がりである事が語られています。例えばアメリカの代表的な株価指数 S&P 500 のチャートを長期で見てみても右肩上がりということが確認できます。

S&P 500 のチャートを長期で見れば右肩上がりですが、その過程において株価は様々な危機や試練を乗り越えてきているのです。上の画像はみなさんが「思い描く長期投資」のイメージと、「実際の長期投資」のイメージを表しています。

実際の長期投資では谷に突き落とされたり、ロープウェイで余裕で上昇したかと思えば、落とし穴に落ちたり、また這い上がったりと壮大なドラマを経て、ズンドコ株価は上下しながら上昇することを理解することができると思います。

株式相場のサイクル

株式相場には、主に4つの相場「金融相場」→「業績相場」→「逆金融相場→「逆業績相場」が存在します。今どの相場に位置しているのか?相場のサイクルはどこにいるのか?をきちんと把握しながら、投資戦略、ポジション、投資妙味のあるセクターを考察する必要があります。

・金融相場

景気悪化から金融緩和が実施されることで起きる緩和マネー主導の上昇相場。将来の企業業績の回復を見込んで、バリュエーション主導で株価が上昇する。ハイパーグロース株が買われる。直近では、2020年コロナを期に始まったFRBの量的緩和からの金融相場が記憶に新しい。

・業績相場

景気や企業業績の改善によるファンダメンタルズ主導の上昇相場。ファクターはバリューやサイズ(⼩型)、モメンタムなどが優位。コロナ禍でワクチンが完成し、いよいよ経済が再開される!と活気付いた2021年以降が該当する。

・逆⾦融相場

景気が過熱し、⾦融引締めにより緩和マネーが流出することで起きる下げ相場。将来の景気や企業業績の悪化を⾒込んで、バリュエーション主導で株価が下落。クオリティや低ボラティリティなどディフェンシブなファクターが優位となる。

・逆業績相場

景気や企業業績の悪化によるファンダメンタルズ主導の下げ相場。引き続きディフェンシブなファクターが優位。

相場のサイクルをきちんと理解するには、まずは自身で上記4つの相場を体験することが重要です。もちろん本で相場のサイクルについて学ぶことも大切ですが、それぞれの相場のサイクルを身を持って体感することで見えてくる景色が必ずあります。

金融相場ではハイパーグロース株はアウトパフォームしやすいですが、逆金融相場になる少し前くらいからハイパーグロースは売られ、最悪金融相場の天井から株価が半値以下になることはざらにあります。

私も金融相場から個別株のトレードを始めたので、大きな損失を出しましたが、その分大きな学びも得ました。投資初心者が相場のサイクルを学ぶには、まずはオークツリー・キャピタル率いるハワード・マークス氏の名著『市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学』を読むところから始めましょう。

S&P500の強気相場のロードマップ

Source: BofA Global Research, Bloomberg

更に興味深いのが、バンクオブアメリカの Global Research が示している S&P500 の1930年〜現在までを表した超長期のチャートです。このチャートは、強気市場と弱気市場、調整とプルバックなどを繰り返し長い時間をかけて株価は右肩上がりだということが分かります。

更にチャートの規則性を見ると、ブル相場である程度株価が上昇すると、今度はベア相場に入り、ベア相場のボックス圏を13年ぐらい経て→再び約14年以上のブル相場を迎えるというように、S&P500の強気相場のロードマップを見てみるとブル相場とベア相場が交互に繰り返していることが分かります。

バンク・オブ・アメリカの強気相場ロードマップによると、世俗的な強気相場とは、景気拡大や景気後退と同様に、周期的な強気相場と弱気相場の両方を含む、株式の複数のビジネスサイクルの上昇トレンドのことであるとされる。1980年〜2000年まで続いた株式市場を含め、強気相場は歴史的に20年以上続いている。

しかし、株式市場は次の上昇の前に冷静になる必要があるとバンク・オブ・アメリカは指摘し、2020年3月のコロナショックから伸びすぎた上昇を指摘しています。

リスクは2020年からのラリーのペースが速すぎることだ。現在のラリーに最も適合しているのは、2009年、1982年、1935年のラリーだ。これらの先行ラリーは、サマーラリーの季節性を脅かす2021年の調整リスクを示唆し、その後2021年から2022年、さらには2024年にかけて高値更新する。

とバンク・オブ・アメリカは述べている。

ベア相場とブル相場を交互に繰り返す

つまり先程見たチャートでは何となく株価は右肩上がりを続けていますが、このS&P500ロングスケールのチャートを見ると、大きなベア相場と大きなブル相場を経て、株価は右肩上がりを続けていることが理解できると思います。

つまり株価は常に右肩上がりを続けているのではなく、相場のサイクルごとに上下し、結果的に上昇していると言えます。厳密には、ブル相場で株価は調整し、再び強気のブル相場という成長サイクルを迎え、ある程度成長すると、またベア相場というボックス圏をレンジに上下するサイクルを迎えています。

株を売買して右肩上がりの時期に利益を出して行くのが重要

つまり、レイザー兄貴がツイートしていたように、この右肩上がり (ブル相場) の時期を意識して、如何に利益を出して行くかが非常に重要になります。特に個別株をアグレッシブルにトレードするのであれば、ブル相場の時期を早く感じ取り、ブル相場の押し目があれば前のめりに取っていくことが勝率を大きく分けることになります。

一方で、ベア相場でいくらアグレッシシブルに株をトレードしても、銘柄やマーケットタイミングを誤ると利益を出していくことはできません。ベア相場の初期では、株をショートすることでパフォーマンスを上げることもできるかもしれません。

積立投資、インデックス投資については、ベア相場で大きく下げたタイミングに、どかっとスポット投資してしまうのも一つの手です。ベア相場の大きな下落時は、積立投資のような指数を買うにはまたとない機会になるかもしれません。

長期投資家が、投資信託やETFを取り崩すタイミングとしては、ブル相場に合わせることが好ましいでしょう。ブル相場であれば、資産が目減りする心配をしないで済みます。

逆にベア相場の時期に投資信託やETFを取り崩すタイミングが重なってしまった場合は、この大きなベア相場が始まってどれくらいなのか?を確認し、どうしても資金が必要な場合は部分的に換金するようにしましょう。

初心者が陥りやすいミス

投資初心者が陥りやすいミスとしては、このS&P500のチャートが示すように、ベア相場で投資を開始してしまった場合、どこかで株価が調整や暴落してしまった時に怖くなって損切りしてしまうことです。

証券会社の口車に乗せられて2007年に退職金を一気に日経平均型の商品に投資した人、値が戻るまでの10年間耐えられたのだろうか?自分の頭で考えて時期も商品も分散投資しておけばと後悔したに違いない

レイザー兄貴も上記のツイートで指摘している通り、大きなベア相場はS&P500の長期チャートで見ると、およそ13年くらい続くことがデータで出ています。投資を開始したタイミングが大きなベア相場のサイクルだった場合は、粛々と次の強気相場 (ブル相場) に向けてボックス相場で力を蓄えていると捉え、ドルコスト平均法などで毎月決まった額の積立投資を続けましょう。

暴落は若い長期投資家にはチャンス

長期投資の基本は、自分が投資した資金を取り出すのは数十年先のことだと思いますので、大きく下げた時は逆にチャンスだと思い、あなたが iDeCo や NISA をやっている場合は、いつもより大きく買ってみたり、スポット購入するチャンスかもしれません。レイザー兄貴も指摘するように、大きく下がっている時はチャンスと捉えるべきです。

「長期積み立て投資」を否定する訳ではないよ。むしろ、それ、理想的だから!大きく下がっている時に指数連動型のETFを多く買うのは兼業さんにはすごくいいと思う。貴重な時間的リソースの節約になる。

ある程度の歳になったら守りのポートフォリオにリバランス

長期投資で注意が必要なのが、長期投資を実行しており、そろそろ老後を迎えようとする高齢者のケースです。株式相場は上記のS&P500チャートのように、ブルベア相場を繰り返しながら右肩上がりを続けていますが、必ず長期投資をしていればベア相場が訪れます。

例えば老後に株式を徐々に売って現金に取り崩して生活をしなければいけない場合、あなたが株式を取り崩すタイミングとベア相場が重なってしまった場合は、せっかくの積立投資が目減りしてしまうかもしれません。このようなケースを避けるためにも、ある程度の年齢を過ぎたらポートフォリオをリバランスを行い守りを固めるなど対応が必要になります。

相場の大きなサイクルを理解することで長期投資の解像度が上がる

巷では「ほったらかし投資」、「お金は寝かして育てましょう」などと言われていますが、株式市場には大きなサイクルがあることを理解しましょう。冒頭で取り上げたように、私自身もこれらの著書で大いに勉強させて頂きました。

日本の積立投資の世界では、許容範囲のリスクを取り、後は定期的な積立投資を実行し、普段の生活やプライベートを充実させましょう!というようなスタンスが多いですが、もう一歩踏み出してみると面白いかもしれません。

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