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【米国株】世界の量子コンピュータ企業に投資する

世界の量子コンピューター企業について

こちらのページでは、世界の量子コンピュータ企業についてご紹介します。2020年以降、コロナショックの大規模な量的緩和を背景としたSPACブームを皮切りに、量子コンピュータを開発するスタートアップ企業が次々にナスダックに上場しました。

その第一号となったのが、アメリカ合衆国メリーランド州カレッジパークを拠点とする IonQ (イオンQ) です。その後もフルスタックの量子コンピューティングの先駆者 Rigetti Computing (リゲッティ・コンピューティング) がSPAC合併により株式公開。

2022年には、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスの開発・提供におけるリーダーで的なカナダの企業 D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ) がSPACを通じて、商用量子コンピューターを一般市場に投入する計画を発表し上場を果たしました。

他にも量子領域で、セキュリティソフトウェアのスタートアップ Arqit Quantum (アーキット・クォンタム) やインドの Quantum Computing (クオンタム・コンピューティング) などの企業も上場しています。

こちらの記事では、株式投資が可能となった量子コンピューター企業について、世界で注目を集める量子コンピューター企業をご紹介します。

量子コンピュータとは?

量子コンピュータは、古典的なコンピュータでは現在解決不可能な複雑な問題を解決し、コンピューティングに革命を起こす可能性を秘めた最先端技術です。量子コンピュータは、量子力学の原理に基づいて動作します。量子力学は、物質とエネルギーの振る舞いを最小のスケールで記述する物理学の基礎理論です。

量子コンピュータと古典コンピュータの決定的な違いは、情報の保存と処理の方法にあります。一方、量子コンピュータは、量子ビットを使用します。量子ビットは、重ね合わせと呼ばれる量子力学の性質により、複数の状態を同時に表現することができます。

このように複数の状態を同時に表現できるため、量子コンピュータは古典コンピュータよりもはるかに高速に特定の計算を行うことができます。例えば、量子コンピュータは暗号、最適化、材料科学に関する問題を古典的なコンピュータよりも指数関数的に速く解くことができ、様々な分野でのブレークスルーにつながることが期待されています。

量子コンピュータの期待される実用性

・暗号、サイバーセキュリティ、金融セクター、物流、メタバース、AI (人工知能)

量子コンピュータは、どのような実用性があるのでしょうか?一般的には、量子コンピュータは、暗号とサイバーセキュリティ分野、金融セクター、物流、メタバース、AI (人工知能) などの分野で、複雑な最適化問題を速く解くことができる。例えば、スマートシティにおける交通の流れの最適化、配送の最適なルートの発見、金融市場における取引戦略の最適化などに役立てることができます。

・ヘルスケア、材料、気候・気象モデル

また、ヘルスケアなど新しい材料や分子をよりよく理解し設計できるようになります。これにより、より優れた特性を持つ新素材の開発や、病気の治療に効果的な薬剤の発見につながる可能性があります。更に、気候・気象モデルの精度と計算効率を大幅に向上させ、気候変動の影響をより深く理解し予測するのに役立つと考えられています。

・AI分野でブレイクスルーを起こすことが期待される

量子コンピュータはAIの分野にもブレイクスルーを起こすことが期待されており、機械学習アルゴリズムを加速させ、より強力なAIシステムを実現する可能性があります。深層ニューラルネットワークのトレーニングや、AI研究で発生する複雑な最適化問題の解決などの作業を高速化するために使用される可能性もあります。

このように量子コンピュータは、計算上の課題に対するさまざまなアプローチを可能にすると期待されてい分野です。いま世界各国では、既存のスーパーコンピュータを遥かに凌ぐとされる「量子コンピュータ」の大規模な開発プロジェクトが進み始めています。

ゼロからわかる量子コンピュータ

量子コンピュータについては、2022年に講談社現代新書から『ゼロからわかる量子コンピュータ』という本が出ていますので、まずはこちらを読んで頂くことをおすすめします。

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量子コンピュータ企業は大きく3つに分けられる

1. 量子コンピュータの大手企業

研究開発力のある老舗の大企業で、量子コンピュータ技術の構築と発展に注力しています。量子コンピュータのハードとソフトの両面に関わることができます。

例えば、IBM、Google、Microsoft などの大手企業です。これらの企業は、スケーラブルな量子コンピュータを構築し、クラウドプラットフォームを通じて量子コンピューティングサービスを提供することを目的としています。

2. ハードウェアに特化した量子コンピュータ企業

量子コンピュータのハードウェア部品の設計、開発、製造に特化した企業です。このカテゴリーには、超伝導量子ビット、トラップドイオン、トポロジカル量子ビットなど、さまざまな量子ビット技術に取り組んでいる新興企業や既存企業が含まれます。

ハードウェアに特化した企業の例としては、Rigetti Computing、IonQ、D-Wave Systems など、2020年以降に SPAC 上場した企業が多くを占めています。

3. ソフトフェアに特化した量子テクノロジー企業

量子コンピュータ用に設計されたソフトウェアツール、アルゴリズム、アプリケーションを開発する企業です。通常、自社でハードウェアを構築することはなく、他社が提供する量子コンピュータプラットフォーム上で動作するソフトウェアの最適化に取り組んでいます。

例えば、1QBit、Zapata Computing、QC Ware などがあります。これらの企業は、量子ソフトウェア開発キット(SDK)、プログラミング言語、最適化、機械学習、暗号化などの分野のアプリケーションに取り組んでいます。

※ この分類は、現在の量子コンピュータ企業の主な違いを表しています。しかし、これらのカテゴリーは重複する可能性があり、量子コンピューティングの複数の側面に関与している企業もあります。

量子コンピュータの大手企業

ピュアプレイの量子コンピュータ銘柄をご紹介する前に、量子コンピュータのトップ企業をご紹介します。まず量子コンピュータの巨人として以下の4社が君臨しています。

– Google Quantum AI (Google)
– IBM (アイビーエム)
– Microsoft (マイクロソフト)
– AWS Braket (Amazon)

他にも Alibaba Group、Baidu、Atos Quantum、Intel などの大手企業が量子コンピュータの分野に君臨しています。他にもハードウェアに特化した量子コンピュータの企業があります。

ハードウェアに特化した量子コンピュータ企業

今回こちらの記事でご紹介するピュアプレイの量子コンピュータ銘柄は、こちらのハードウェアに特化した量子コンピュータ企業となります。

– ColdQuanta
D-Wave Systems
IONQ
– PsiQuantum
– QuEra
Rigetti Computing
– Xanadu

ソフトフェアに特化した量子テクノロジー企業

ソフトウェアに特化した量子テクノロジー企業では、この記事でもご紹介する

Arqit Quantum

などがあります。このように量子コンピュータ企業には、「量子コンピュータの大手企業」、「ハードウェアに特化した量子コンピュータ企業」、「ソフトフェアに特化した量子テクノロジー企業」の大きく3つに分けることができます。

2023年現在、米国株に上場している量子コンピューター銘柄

2023年4月17日現在、米国株 (アメリカ株) で上場されているピュアプレイの量子コンピューター銘柄は、以下のようになっています。

(※ Arqit Quantum のみソフトフェアに特化した量子テクノロジー企業になります)

会社名 ティッカー 特徴
IonQ IONQ 量子コンピューティングのリーダー企業
Rigetti Computing RGTI フルスタックの量子コンピューティングの先駆者
D-Wave Systems QBTS 世界で唯一のアニーリング量子コンピューティング企業
Arqit Quantum ARQQ 量子暗号化サービスを衛星経由で提供する企業
Quantum Computing QUBT インドのフルスペクトル量子ソフトウェア/ハードウェアの企業

量子コンピューター企業に限ると、2021年以降に SPAC 上場した、IonQ (イオンQ)Rigetti Computing (リゲッティ・コンピューティング)D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ) の3社となっています。関連企業では、量子暗号サービスを手がける Arqit Quantum (アーキット・クォンタム) なども SPAC で上場しています。また、それ以前には2018年にインドの Quantum Computing Inc. (クオンタム・コンピューティングがナスダックにADRとして上場しています。

それでは早速、アメリカで上場しているピュアプレイの量子コンピューター企業、関連企業、未上場の量子コンピューター企業を見ていきましょう。

IonQ (イオンQ)

IonQ, Inc. メリーランド州カレッジパークに本社を置く、革新と展開の実績を持つ、量子コンピューティングのリーダー企業です。IonQ の次世代量子コンピュータは、世界で最も強力なトラップイオン量子コンピュータであり、IonQ は、スケールアップするための最善の道筋を定義しています。

IonQ は、汎用のトラップイオン量子コンピュータと、量子回路を生成、最適化、実行するためのソフトウェアを開発しています。IonQ のハードウェアは、モンローがメリーランド大学で開発した技術と、キムがデューク大学で開発した技術から、トラップド・イオン・アーキテクチャを採用しています。

IonQ は、その量子システムを、Amazon Braket、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud 上のクラウドや、直接のAPIアクセスを通じて利用できる唯一の企業です。IonQ は、25年にわたる先駆的な研究を基に、2015年に Christopher Monroe 氏と Jungsang Kim 氏によって設立されました。

日本の通信会社ソフトバンク・グループも、IonQ に投資しています。多くのSPAC企業同様、IonQ は現在ほとんど収益を上げておらず、利益がまだ出ていません。

量子の時代

世界で最も複雑な問題を解決するために、世界最高のコンピュータを構築し、ビジネス、社会、そして地球をより良い方向に変革することを目指しています。

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D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ)

D-Wave Systems

D-Wave は、量子コンピューティングシステム、ソフトウェア、サービスの開発・提供におけるリーダーであり、世界初の量子コンピュータの商用サプライヤーであり、アニーリング量子コンピュータとゲートモデル量子コンピュータの両方を開発している唯一の企業です。D-Wave の使命は、量子コンピュータのパワーをビジネスや社会に役立てることです。

そのために、物流、人工知能、材料科学、創薬、スケジューリング、サイバーセキュリティ、故障検出、財務モデリングなどの多様な問題に、実用的な量子アプリケーションで顧客価値を提供しています。D-Wave のシステムは、Forschungszentrum Jülich、NEC、Volkswagen、DENSO、Lockheed Martin、USC、Los Alamos National Laboratory など、世界で最も先進的な組織で使用されています。

D-Wave は、カナダのバンクーバー近郊に本社を置き、米国ではカリフォルニア州パロアルトに拠点を置いています。D-Wave は、PSPインベストメント、ゴールドマン・サックス、BDCキャピタル、日本電気株式会社、Aegis Group Partners、In-Q-Tel などの優良な投資家に支えられています。

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Rigetti Computing (リゲッティ・コンピューティング)

Rigetti Computing

Rigetti Computing は、フルスタックの量子コンピューティングの先駆者です。同社は2017年からクラウド上で量子コンピューターを運用しており、Rigetti Quantum Cloud Services プラットフォームを通じて、グローバルな企業、政府、研究機関の顧客にサービスを提供しています。

同社が独自に開発した量子クラシカルインフラは、パブリッククラウドやプライベートクラウドとの超低遅延な統合を実現し、高性能な実用的量子コンピューティングを実現します。Rigetti は、スケーラブルな量子コンピューティングシステムのために、業界初のマルチチップ量子プロセッサを開発しました。

同社は、業界で唯一の量子デバイス専用の統合製造施設であるFab-1で、チップの設計と製造を自社で行っています。リゲッティは、2013年に Chad Rigetti によって設立され、現在、米国、英国、カナダ、オーストラリアにオフィスを構え、130人以上の従業員を擁しています。

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Arqit Quantum (アーキット・クォンタム)

Arqit Quantum は、量子コンピューター企業とは異なりますが、量子暗号化サービスを衛星経由で提供し、高度なサイバー攻撃からネットワーク機器を保護する計画を打ち出しているイギリスに拠点を置くサイバーセキュリティ企業です。

同社は、IonQ、Rigetti などと同じく、2021年9月7日に Centricus Acquisition Corp を通して SPAC 上場しています。(ティッカーシンボルは ARQQ で取引されています) ピュアプレイの量子コンピューター銘柄ではありませんが、量子を利用したセキュリティー企業です。

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Quantum Computing Inc (クオンタム・コンピューティング)

量子コンピュータのトップ企業として知られるのがインドの、Quantum Computing Inc. (クオンタム・コンピューティング / NASDAQ:QUBT) です。同社は2018年9月にADRとしてナスダックに上場しています。QCI は、フルスペクトル量子ソフトウェアおよびハードウェアの企業であり、実世界のビジネスソリューションにおける量子コンピューティングの価値を加速させることを使命としています。

同社は最近、一連の量子フォトニックシステム(QPS)を開発した量子フォトニクスイノベーション企業である QPhoton を買収しました。QCI の主力製品であるすぐに使えるソフトウェア Qatalyst と QPhoton の QPS の組み合わせにより、QCI は、量子計算の専門家でなくてもどこでも実際の産業用途に使用できるフルスタックの量子ソリューションに広くアクセスでき、かつ安価に提供できる道を歩み始めています。

QCIの金融、コンピューティング、セキュリティ、数学、物理学の専門家チームは、最先端のスーパーコンピューティングから精密センサーや画像技術、国家を守るセキュリティまで、複雑な技術に関して1世紀以上にわたる経験を有しています。

<ここからは未上場の量子コンピュータ企業になります>

PsiQuantum (サイカンタム)

PsiQuantum は、シリコンフォトニクスと量子アーキテクチャの飛躍的な進歩により、世界で最も重要な課題を解決するために、世界初の商業的に有用な量子コンピュータの構築を目指しています。PsiQuantum 社は、誤り訂正に必要な規模を達成し、耐障害性のある汎用量子コンピュータを実現するには、シリコンフォトニクスが唯一の方法であると考えています。PsiQuantum は、気候変動、医療、金融、エネルギー、農業、交通、通信などの分野で、量子機能を提供するための独自の地位を確立しています。

トップの資金を得ている量子コンピューター企業

2021年7月時点で、PsiQuantum は7億2900万米ドルの資金を得て、世界の量子コンピューティング企業の中でトップの資金を得ている。

量子コンピュータは、いつ実現するのか?

PsiQuantum のCTOである Andrew Doherty (アンドリュー・ドハーティ) が、量子コンピュータの分野で何が起こっているのか、なぜそれがそれほどエキサイティングなのか、そして最大の課題は何かを説明します。

<PsiQuantum オフィシャルサイト>

Xanadu (ザナドゥ)

Xanadu はカナダのオンタリオ州トロントに拠点を置く、量子コンピューティングハードウェアおよびソフトウェア企業です。どこにいる人にも有用で利用可能な量子コンピューターを構築することを使命としています。2016年に設立された Xanadu は、世界をリードする量子ハードウェアおよびソフトウェア企業の一つとなっています。

同社は、クラウドでアクセス可能なフォトニック量子コンピュータを開発し¥、量子機械学習や量子フォトニックデバイスのシミュレーションのためのオープンソースソフトウェアを開発しています。また、量子コンピューティングとアプリケーション開発のためのオープンソースのソフトウェアライブラリである PennyLane (ペニーレイン) の開発を主導しています。

Xanadu のハードウェアは、プログラマブルな GBS(Gaussian Boson Sampling)デバイスの開発に注力しています。GBSは、従来単一光子を入力としていたボソンサンプリングを一般化したもので、光のスクイーズ状態を利用します。2020年、Xanadu はフォトニック技術を用いてフォールト・トレラントな量子コンピュータを構築するための青写真を発表しました。

PennyLane へようこそ

量子コンピュータの素晴らしい世界へようこそ。PennyLane は、量子コンピュータをプログラミングするためのオープンソース・ソフトウェアです。

<Xanadu オフィシャルサイト>

ColdQuanta (コールドクアンタ)

ColdQuanta (コールドクアンタ)

ColdQuanta (コールドクアンタ) は、コロラド州ボルダーに本社を置く、冷原子および超冷原子実験セットアップ用のコンポーネントレベルおよびシステムレベルの製品を幅広く提供する量子アトミック企業です。量子コンピューティング、センシング、ネットワーキングのためのコールドアトム量子技術におけるリーダーとして知られています。

基礎物理学から最先端の商用製品まで、ColdQuanta はデバイスとプラットフォームのエコシステムを通して「どこでも量子」を可能にします。2007年に設立された ColdQuanta は、数十年にわたる原子物理学の研究とJILAでの研究から発展し、コロラド大学とウィスコンシン大学から知的財産のライセンスを取得しています。

ColdQuanta のスケーラブルで汎用性の高い原子技術は、世界中の世界的な企業で使用されており、NASAが国際宇宙ステーションに配備しているのもこの技術です。ColdQuanta は、米国コロラド州ボルダーに本社を置き、イリノイ州シカゴ、ウィスコンシン州マディソン、および英国オックスフォードにオフィスを構えています。

<ColdQuanta オフィシャルサイト>

QuEra Computing (キュエラ・コンピューティング)

QuEra Computing は、ボストンの中心部、チャールズ川沿いに位置する中性原子ベースの量子コンピューティング企業です。世界的に著名な科学者である Mikhail Lukin、Vladan Vuletic、Markus Greiner がハーバード大学とMITで行った先駆的な研究に基づいて設立されました。QuEra のミッションは、最適化、シミュレーション、材料科学、製薬などの商業的応用において、有用だが古典的な難問に取り組むために、これまでで最もスケーラブルな量子コンピュータを構築することにあります。

そのために、世界トップクラスの科学者とエンジニアで構成されるチームを結成し、量子コンピュータの可能性を現実のものとすることを目指しています。QuEra の技術は、レーザーピンセットで真空中に保持され、~μKの温度にレーザー冷却された原子の大規模アレイの上に構築されています。これらの原子は、超高速、高忠実度ゲート、および数百万量子ビットへの明確なパスを備えたスケーラブル量子コンピューティングのメモリバンクとして機能します。

QuEra Computing Inc. は、このコールドアトム量子コンピューティングの手法を拡張するために設立されました。QuEra は、量子コンピューティングハードウェアを進化させ、大量の量子ビットと本質的に高い接続性を持つゲートへのアクセスを提供する予定です。中性原子とリュードベリ・ゲート技術による自然なスケーリングの利点が、業界をリードする性能を可能にします。

量子コンピューター企業に投資する

この記事の冒頭でも少し触れましたが、2022年3月現在、アメリカ株で投資できるピュアプレイの量子コンピューター企業は以下の2社です。

・量子コンピューティングのリーダー企業 IonQ (イオンQ)

・フルスタックの量子コンピューティングの先駆者 Rigetti Computing (リゲッティ・コンピューティング)

この2社は、日本の証券会社、楽天証券、SBI証券、マネックス証券などで購入することができます。2022年3月現在、FOMCや利上げを目前として、SPACや小型グロース株には厳しい局面にありますので、少し様子を見てから出動した方が安全でしょう。

・世界初の量子コンピュータの商用サプライヤー D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ)

そしてもう1社、ピュアプレイの量子コンピューター銘柄としては3番手となるカナダの D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ) が2022年8月上旬に SPAC 上場しました。

同社は、2022年2月に DPCM Capital, Inc. と最終的な合併契約を締結したことを発表しました。この取引完了後、D-Wave と DPCM キャピタルが新たに設立した親会社である D-Wave Quantum Inc. の株式は、”QBTS” というシンボルでニューヨーク証券取引所で取引が開始されています。

2022年、年初来の株価の推移

上記でご紹介しました、IONQ、RGTI、QBTS、ARQQ 4社の株価の推移です。2021年11月に株式市場は天井を迎え、インフレを抑制するために FRB が金融引締めを行い、2022年はアグレッシブルな利上げの年となりました。

SPAC上場した量子コンピュータ企業4社も金利の上昇に耐えられずに下落を続けています。4社とも上場後から-80%くらい下落しています。ピュアプレイの量子コンピュータ企業が2020年以降に上場してから相場を眺めていますが、まだ一度も量子コンピュータ企業の相場は起こっていません。次の新しい相場に期待したいと思います。

ChatGPT の登場で量子銘柄にも物色が入る

【AI 人工知能】米国株式に上場されている AI 関連銘柄

2022年12月1日にテスト版が公開された ChatGPT の登場で、その後に世界的な AI (人工知能) ブームが到来し、2023年1月下旬以降、FRB の利上げも最終局面に来たことを織り込んだ相場はナスダックを中心に急騰し、ChatGPT や AI に付随するニュースをアナウンスした BuzzFeed (バズフィード / BZFD)、ピュアプレイのAI銘柄 C3 AI (シースリー・エーアイ / AI)、Nvidia (エヌビディア / NVDA) などの株価が数日で株価2倍以上になるようなバウンスが発生しました。

ChatGPT の登場で量子コンピュータ銘柄にも物色が入る

画像は米国市場に上場している量子コンピュータ企業4銘柄の株価の推移です。2023年2月3日にAI関連株としての物色が量子コンピュータ銘柄に押し寄せました。

その後は更に AI 関連株にも物色の矛先が向かい、こちらの記事で紹介しています米国で上場している量子コンピュータ銘柄 IonQ (イオンQ / IONQ)、Rigetti Computing (リゲッティ・コンピューティング / RGTI)、D-Wave Systems (ディーウェーヴ・システムズ / QBTS)、Quantum Computing (クオンタム・コンピューティング / QUBT) 全てが買われました。このトレンドが今後も長期で続くか?は不明ですが、流れが変わったことは確かです。

その他量子コンピューター企業

その他、Intel の Quantum Computing、ColdQuanta、UST China、QuEra Computing、Silicon Quantum Computing などについても近々ご紹介します。

量子コンピュータのブレークスルーはいつ起こるのか?

量子コンピュータのブレークスルーを正確に予測することは困難であり、技術的進歩、投資、さまざまな研究課題の克服など、いくつかの要因に左右されます。しかし、いくつかのマイルストーンと発展が、重要なブレークスルーの発生時期をおおまかに推定するのに役立ちます。

そのようなマイルストーンの1つは、「量子至上主義」または「量子優位」の達成であり、量子コンピュータが、古典コンピュータが合理的な時間枠内で解くことが実質的に不可能な問題を解決することができます。2019年、Google は53量子ビットの Sycamore プロセッサで量子至上主義を達成したと主張し、古典的なスーパーコンピュータでは数千年かかるような計算を実証しました。しかし、この成果は、実用的な汎用量子コンピュータにはまだほど遠いものです。

今後10年間は、さまざまな問題を解決できるエラー訂正型、耐障害性の高い量子コンピュータの開発に取り組むことで、量子コンピュータは着実に進歩していくと予想される。この進歩は、量子ビット数、エラーレート、コヒーレンス時間の漸進的な進歩によってもたらされると思います。

しかし、現実の問題を解決できる実用的な汎用量子コンピュータの開発は、まだ数年、数十年先の話かもしれない。ハードウェアの進歩に加え、量子アルゴリズム、ソフトウェアツール、プログラミング言語の開発が必要であることを念頭に置いておく必要があります。

残念ながら、量子コンピュータのブレークスルーの時期を正確に特定することはできませんが、今後数年間は継続的に進展することが期待できます。実用的な汎用量子コンピュータの実現は、まだ10年以上先のことかもしれませんが、この分野の継続的な研究開発によって、その目標に近づいていると言えるでしょう。

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