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個人投資家が確認しておきたい指数・指標について

相場を張っていて、「これは買いなのか?売りなのか?」と悩むことはありませんか?今回はそんな時に役に立つ、個人投資家が確認しておきたい指数指標についてご紹介します。

はじめに

相場を知る動作として、まずは基本的にマーケットがブルなのか?ベアなのか?を把握する必要があります。続いて、今相場は何合目なのか?どの位置にいるのか?を知ることが大切です。

このあたりの話は、オークツリー・キャピタルを率いるハワード・マークス氏の著書『市場サイクルを極める 勝率を高める王道の投資哲学』を参考にして下さい。この本を読みながら、実際に身銭を切って相場を張ることで次第にハワード・マークスの言っていることが分かってきます。大変示唆に富む内容です。

そして毎日確認する程重要なのが「長期金利」の観察になります。株価と市中金利はシーソーの関係にありますので、まずは金利を知ることが株式市場に成功する近道になります。金利についても、堀井正孝 (著) による、『改訂版 金利を見れば投資はうまくいく』という非常に良い本が出ていますので、必ず読んでおくようにしましょう。

そしていよいよ指数・指標の話になります。市場参加者の恐怖の度合い表した「VIX指数」や、投資家の「欲」と「恐怖」のボラティリティを見える化した「Fear and Greed」を参考にしながらトレードを行います。

他にも相場全体の方向性を掴む「プット・コール・レシオ (PCR)」、炭鉱のカナリアの言われる「ハイイールド債 (HYG)」のチャートを参考にする方法や、投資マネージャーが買いなのか売りなのか?のポジションから相場の方向性を掴む「NAAIM指数」、アノマリー的な「ムーンサイクル」など、個人投資家の役に立つ指数や指標がありますので、是非ご参考にして下さい。

マーケットのサイクルと相場を知る

長期投資家が知っておきたい相場のサイクルと規則性

まず相場を張るには基本の「基」として、今相場は「ブルマーケット」なのか?「ベアマーケット」なのか?を知る必要があります。

そして今相場が何合目なのか?「金融相場」なのか?「業績相場」なのか?「逆金融相場」なのか?「逆業績相場」なのか?相場の状況を知る必要があります。

例えば Covid-19 のパンデミックで始まった金融相場では、ナスダックは大きなブルマーケットとして伝説となりました。その金融相場の終焉、2021年11月以降から2022年にかけては、相場は大きく揺り戻しを始め大きなベアマーケットとして売られました。

10年債利回り (長期金利)

株価と市中金利はシーソーの関係、金利 7 : 業績 3割 と言われるぐらい「金利」は重要!

株価と市中金利はシーソーの関係にあります。金利が株式にとってどれくらい重要かと言うと、金利7割に対して業績は3割と言われています。それくらい金利が重要であるということです。

10年債利回りが上昇する局面では株が売られる恐れがあります。特に2、3日と連日続けて金利が上がる場面では「リスクオフ」、数日金利が下がるような場面では「リスクオン」になりやすいです。

10年物国債金利は、満期が10年の米国政府発行の国債に投資する際に受け取る利回りです。10年物国債利回りは、イールドカーブの長い方の端に含まれます。多くのアナリストは、市場や個々の証券を評価する際に、10年物利回りを「リスクフリー」レートとして使用します。

VIX指数

市場参加者の恐怖を測る、VIX指数

VIX指数は、シカゴ・ボード・オプション取引所 (CBOE) が算出している指数で、しばしば「恐怖指数」と呼ばれます。VIX指数はS&P500指数オプションのインプライド・ボラティリティ (将来の価格変動を期待値としてオプション価格に組み込んだもの) を基に算出され、市場参加者が将来の株価の変動に対してどれだけ不確定性を感じているかを示す指標となっています。

つまり、S&P500の恐怖指数と言われる VIX 指数。市場参加者 (投資家) の恐怖指数としても知られており、市場のセンチメント、恐怖の度合いを測る指標として知られています。

Cboe Volatility Index (VIX) は、S&P 500 (SPX) の短期的な価格変動の相対的な強さに対する市場の予測を表すリアルタイムの指数です。この指数は、SPX指数オプションの有効期限間近の価格から算出されるため、30日先のボラティリティを予測することができます。ボラティリティ、すなわち価格の変化の速さは、しばしば市場のセンチメント、特に市場参加者の恐怖の度合いを測る方法と見なされています。

VIX指数の値が高いときは、市場参加者が大きな価格変動を予想している、つまり市場の不安や恐怖が高まっていることを示しています。逆に、VIX指数の値が低いときは、市場のボラティリティが低く、市場参加者の間で比較的落ち着いている状況を示しています。

VIX指数は市場のセンチメントを評価するのに有用なツールですが、これ自体が投資の決定をするための唯一の指標ではありません。市場の動向を理解し、投資戦略を考える上で、他の多くの要素と一緒に使用することが重要です。

Fear and Greed (貪欲と恐怖)

Fear and Greed 指数は、市場参加者 (投資家) の「欲」と「恐怖」の度合いを確認することができる指標です。

「Fear and Greed Index」は CNNMoney によって作成された指標で、市場の感情状態を「恐怖」と「欲望」の二つの極端な感情に分けて測定します。この指数は0から100の範囲で表示され、100に近づくほど「欲望」が支配的で、0に近づくほど「恐怖」が支配的であることを示します。

Fear and Greed (欲と恐怖) は、株式市場の予測不可能性とボラティリティ、および効率的市場仮説と矛盾する非合理的な市場行動を引き起こす要因として理論化された2つの反対側の感情状態を指します。Fear and Greed は、ウォール街の古い格言に関連している。

金融市場は2つの強力な感情、すなわち欲と恐怖によって動かされている。

Fear and Greed は、ケインズが経済や市場に大きな影響を与えるものとして挙げたアニマルスピリッツの一つである。ウォーレン・バフェットは、このような一般的なムードに反して行動することに投資の法則を見出し、株式の売買のタイミングは、

他人が貪欲になっているときに恐れ、他人が恐れているときにだけ貪欲になれ

と助言しています。Fear and Greed 数値はCNNの「Fear & Greed Index」で確認することができます。

Fear and Greed はどのようにして算出されるのか?

「Fear and Greed Index」は、以下の7つの市場指標を使用して計算されます。

1.安全資産への需要(市場ボラティリティ)
2.株式市場の過熱度
3.安全資産のパフォーマンス
4.株式市場のブレッド(広がり)
5.株式市場のモメンタム
6.プットとコールオプションの比率
7.株式市場のジャンク・ボンド・デマンド

これらの指標は各々が市場の特定の側面を反映しており、それらを組み合わせることで、市場全体の感情状態を把握することができます。

プット・コール・レシオ (PCR)

プット・コール・レシオとは、投資家が市場全体のムードを計るために広く使われている指標です。

プット・コール・レシオ (Put/Call Ratio) は、プットオプションとコールオプションの取引ボリュームの比率を指します。これは、市場参加者(投資家)の期待や感情を理解するのに役立つ指標となります。

プットオプションは、ある特定の資産をあらかじめ決められた価格で売る権利を与えるオプションであり、コールオプションはその逆、つまりある特定の資産をあらかじめ決められた価格で買う権利を与えるオプションです。

プット・コール・レシオが高い (つまり、プットオプションのボリュームがコールオプションのボリュームよりも多い) とき、それは市場参加者が将来的な価格下落を予想していることを示すと一般的に解釈されます。一方、この比率が低いとき (つまり、コールオプションのボリュームがプットオプションのボリュームよりも多い) は、市場参加者が将来的な価格上昇を予想していることを示すと解釈されます。

「プット (プット・オプション)」は、あらかじめ決められた価格で資産を売却する権利のことです。「コール (コールオプション)」は、あらかじめ決められた価格で資産を購入する権利のことです。

端的に、プット・コールレシオが上昇したら、弱気の投資家が多いことを示しており相場の下落局面。逆にプット・コールレシオが下落したら、強気の投資家が多い相場の上昇局面と言われている。

トレーダーがコール (買い) よりもプット (売り) を多く買っている場合、それは投資家の弱気心理の上昇を示唆しています。トレーダーがプット (売り) よりコール (買い) を多く買っている場合、投資家の強気市場の到来を示唆しています。画像は S&P 500 のプット・コール・レシオを表しています。

2022年11月17日にはCBOEの株式プット/コール比が急騰し、1997年以来の高水準を記録した。

ハイイールド債 (HYG)

【HYG】株価の未来を占う「炭鉱のカナリア」ハイイールド債とは?

炭鉱のカナリア、ハイイールド債 (HYG)

炭鉱のカナリアとして知られるハイイールド債は、株価の未来を予想する指標としても知られています。「炭鉱のカナリア」とは、問題が起こりつつあることを早期に示す警告シグナルのメタファーです。

この表現は、かつて炭鉱労働者が地下で有毒ガスの存在を早期に検知するためにカナリアを使っていたことに由来します。カナリアは有毒ガスに非常に敏感で、鳥が死んでしまった場合、それが有毒ガスの存在を示す警告信号となりました。

ハイイールド債 (ジャンク債とも呼ばれる) は、そのリスク性から炭鉱のカナリアと比喩されることがあります。ハイイールド債は、信用評価が低い企業が発行する債券であり、そのリスク性を補償するために通常は高い利回りを提供します。

しかし、そのリスク性から、経済の状況が悪化したり、信用状況が緊張したりすると、ハイイールド債の価格は最初に下落しやすいです。したがって、ハイイールド債の動きは、市場全体のリスクセンチメントや経済状況の変化を早期に捉えるのに役立つことがあります。

ハイイールド債の価格が大きく下落したり、ハイイールド債の利回りが急速に上昇したりすると、これは市場のリスク許容度が低下している可能性を示す信号となり、株価もそれに続いて下落する可能性があるとされています。

NAAIM 指数

投資マネージャーの方向を知る、NAAIM指数

機関投資家が平均的に「買い (ロング)」なのか?「売り (ショート)」なのか?どちらに向いているかを確認することができます。NAAIM (National Association of Active Investment Managers) 指数は、アクティブな投資マネージャーたちの現在の市場エクスポージャー (市場への露出度合い) を測定します。この指数は毎週更新され、投資マネージャーがどれだけポートフォリオをロング (買い) にしているか、またはショート (売り) にしているかを示します。

NAAIM 指数は、本質的に予測的ではなく、株式市場が将来どうなるかを判断しようとする際には、ほとんど意味がないことを認識することが重要です。NAAIM 指数は0〜200までの範囲で表示されます。0は全体的にショート、100はネットロング (すなわち、ショートポジションとロングポジションがオフセットされている) を示し、200は全体的にロングであることを示します。

NAAIM 指数が高い場合、それは投資マネージャーたちが全体的に市場に対してポジティブな見方をしていることを示しています。一方、この指数が低い場合、それはマネージャーたちがネガティブな見方をしている、または市場に対するリスクを減らしていることを示しています。

ほとんどのアクティブ・マネージャーの主な目標は、株式市場のリスクとリターンの関係を管理し、市場がその時々に何を行っているかを把握することです。NAAIM 指数は、その名前が示すように、アクティブリスクマネージャーが過去2週間に顧客口座に対して行った実際の調整について洞察を提供します。

つまり、毎週水曜日に機関投資家の方々にエクスポージャーを調査して平均化した数値です。100%ロングとかの直近の動向を回答してもらってるので、機関投資家が平均的にどっちに向いてるかがわかります。

このように、投資マネージャーが強気であるか?弱気であるか?を確認することができます。2022年10月2日現在、NAAIM指数の過去10年チャートを見て見ると、2014年10月の「9.97」、2020年3月のコロナショック「10.65」の底付近に近づいていることが分かります。

SKEW 指数

SKEW指数とは、VIX指数と同様に金融市場における潜在的なリスクを示す指標です。

SKEW (スキュー) 指数は投資家のセンチメントとボラティリティの代理人として知られています。SKEW指数は、S&P 500のテールリスクを測定します。テールリスクとは、S&P 500または銘柄の価格が、正規分布曲線のテールエンド (最端) のいずれかに位置するような変化を指します。これらの価格変動は、通常、確率が低くなっています。

VIX と SKEW の主な違いは、VIX がアット・ザ・マネー (ATM) の権利行使価格のインプライド・ボラティリティに基づくのに対し、SKEW はアウト・オブ・ザ・マネー (OTM) の権利行使価格のインプライド・ボラティリティを考慮する点です。

SKEW の値は一般的に100〜150の範囲で、評価が高いほど、テールリスクおよびブラック・スワンの可能性が高いと認識されています。SKEW が100の場合、S&P 500のリターンの分布は正規分布であり、異常値が発生する確率は小さいと認識されています。

ブル・ベア・スプレッド

ブル/ベア・レシオとも呼ばれる、ブル・ベア・スプレッドは、金融データプロバイダーである Investors Intelligence 社が、市場の専門家から直接収集した情報をもとに毎週発表する市場センチメントの指標です。ブル・ベア・スプレッドは、コントラリアン (逆張り) 指標として見ることもでき、逆張りの投資家にも活用されています。

番外編

指標・指数以外にも、マーケットを占うとされる様々なものがあります。その中から一部をご紹介します。

ムーンサイクル (月の満ち欠け)

マーケットにおける月のサイクル (月の満ち欠け) とは、いくつかの研究で、満月や新月と株式市場のパフォーマンスとの間に関連性があることが知られています。一般に、新月の前後は株価が上昇し、満月の前後は値動きが鈍くなる傾向がある。また、大きな暴落は新月の3日前、旧暦の8月か9月(=9月か10月)に発生することが多いことも確認されている。

1950年以降の株式市場のデータから、株価が平均より高くなる「旧正月(グリーン)」と、一般に株価が低くなる「旧正月(レッド)」の時期を特定しました。緑色の時期は満月の3日後くらいから、赤色の時期は新月の3日後くらいから始まる。このグラフ(1950年~2009年)でわかるように、緑色の期間のアウトパフォームは大きい。

MOVE 指数

債券にもVIX指数と同じように、債券市場のボラティリティを測定する「MOVE指数 (Merrill Lynch Option Volatility Estimate)」と呼ばれる米国債の恐怖指数があります。このMOVE指数が上昇すると、債券のボラティリティは大きくなります。

投資家は往年にしてボラティリティの指標としてVIX指数に注目していますが、本当の恐怖の源は債券市場にあるという見方もあります。

VWO (新興国ETF)

新興国や中国経済を見る指標としの、新興国ETF VWO

新興国や中国経済を見る指標として、VWO ETF (Vanguard FTSE Emerging Markets ETF / バンガードFTSEエマージング・マーケットETF) の株価を見ているという人もいます。例えば中国経済が厳しい場合、VWO が上がってこないので、世界経済は停滞すると読む人もいます。

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