投資信託で中国、台湾への比率が高い新興国株式インデックスを持っていたのですが、10月の中国共産党大会の結果を見て、先見性のある投資家からするとかなり遅れてしまいましたが、このタイミングで売却することにしたました。というかすっかり新興国のインデックスを持っていたことを忘れていました …
中国、台湾の比率が大きい新興国株式インデックス
私が持っていた中国、台湾へのエクスポージャーが多い投資信託は以下でした。
・野村インデックスファンド・新興国株式(Funds-i 新興国株式)
・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
私が積立投資を開始した2016年頃は、まだ「先進国インデックス : 7割」、「新興国インデックス : 3割」というような割合で持つのが世界の成長率を受託できる、的な乗りで紹介されていたと思います。積立投資の本でも、攻めるのであれば新興国株式の割合を増やしましょう、的なアドバイスも載っていたと思いますが、今後は新興国でも国を選ばないといけませんね。
今回の共産党大会の結果を見て、中国、台湾からの投資資金の引上げは致し方ないかと思います。勘の良い方は、2021年に VWO を全部売却していたりと、2022年にロシアによるウクライナ侵略でも、中国はロシア側につくような言動からも落胆の声が聞こえました。
センセーショナルに報じられた習近平主席一強
習近平、権力強化のため忠実な指導部を発表
中国国家主席は権力拡大のため、共産党幹部からライバルを粛清コーネル大学の中国専門家プラサド氏は、「習近平は今後、強硬な外交政策で国内をまとめようとするため、暗黒の日々が続くだろう」とも述べている。https://t.co/wXsnFL4jhKより
— Podkayne Podkayne (@PPodkayne) October 23, 2022
SNSやニュースでもセンセーショナルに報じられた、李克強首相の早期退陣と、習近平主席の前任者がメインステージから見送られる「驚くべき」光景で幕を閉じ、習近平主席は権力への支配を強めました。
より一強支配となり、今回発表された新体制は、中国が政策決定において実利主義よりもイデオロギーをより重視することを示唆しており、経済よりも政治が重要視される内向きの姿勢になることを物語っています。
減速する中国のGDP
更に中国は何故か第三四半期のGDPを発表しておらず、多分数字が悪く、共産党大会中に泥を塗りたくない、公表できるような数字じゃないことから発表されないのかもしれません。中国を数字で読むのは非常に難しく、後日発表されたとしても、それが本当の数字かどうか?は誰にも分からないのです。
とにかく中国のGDP成長率は一時期の二桁成長から既に1桁成長に鈍化しており、今後も成長の減速が続くことが予想されます。(コロナ後は一時的な反動で、正しいGDPの数字であれば跳ねていますが、ゼロコロナを維持したことで再びGDPは垂れています。)
中国の株価指数は下振れへ
一体いつから米国株最強だと錯覚していた?
📈2003年起点
1🇮🇳インド
2🇺🇸NASDAQ100
3🇺🇸S&P500
4🇺🇸NYダウ
5🇯🇵日経平均
6🇨🇳上海総合
7🇭🇰香港ハンセン pic.twitter.com/U9YxJ2qhOg— ふみ (@fumicco) October 24, 2022
中国関連の株価指数「上海総合」、「香港ハンセン」は、世界的にも株価は下振れしています。ある意味今後安心して投資できるのは米国ということも言えるかと思います。中国の次に悪いのが日本の指数「日経平均」です。この2つの国で共通しているのが人口減少、少子高齢化です。今中国で何が起こっているかと?というと、強力な中央集権社会へと舵を切り、日本のような歪な人口動態を辿る社会に邁進しているということです。そんな国に長期投資できるのでしょうか?
中国の少子高齢化は日本より20年遅れているだけ。構図は同じ。 pic.twitter.com/XTzpDdUj66
— じっちゃま (@hirosetakao) October 24, 2022
著名な政治学者のイアン・ブレマー氏も今回の件について以下のようにツイートしています。
xi jinping is the world’s most powerful individual, by a long margin.
this is less than ideal.
— ian bremmer (@ianbremmer) October 22, 2022
習近平は世界で最も強力な個人であり、大きな差をつけています。これは理想的とは言えません。
党大会は中国の歴史的な節目
バリュー投資の鉄人小塚さんも言及されていますが、党大会は中国の歴史的な節目だと思います。中国は2020年頃より国内のハイテク企業にメスを入れ出しましたが、ここから更に強行な手段に出るかもしれません。台湾統一もテイルリスクとして数年以内に動き出すと思います。
何故こうも中国関連の事を昨日から言うかというと、党大会は中国の歴史的な節目だったと思っているんです。
恐らく今回は党内の反対派が一掃されたのだろう、胡錦濤を途中退席させたのは、その象徴だろうと ('ω')
— 小塚崇史@バリュー株投資 安全域を保つ (@keeping_safety) October 23, 2022
そうであれば、長期投資する意味がなくなってしまったということです。ロシアの衰退を見るに、中国も独裁色を強め同じような末路を歩み始めるのかもしれません … 今は、そして今後数年間は投資する価値が全くなくなってしまった、ということです。
しかし新興国が全部ダメという訳ではありません、ロシア、中国、インドなどには投資できないとしても … それ以外のメキシコ、ポーランド、アルゼンチンなどは今後アップサイドは大きいのではないかと研究しています。
新興国株に潜むリスク
2022年2月下旬、ロシアによるウクライナ侵略を受けて米国に上場しているロシア株の ADR (米国預託証券) やロシア通貨のルーブルは乱高下しました。米国に上場しているロシア株のADRが叩き売られてたり、一旦売りが一巡したことでスイング目的の買いが入ったりしましたが、その後ロシア株のADRは取引が停止され、今もロシア株のADRに投資していた人は、その銘柄の取引は停止されたままです。
私もロシアの Amazon とされるEC企業、OZON (オゾン) という銘柄をロングしていたのですが、取引きが停止されており今だに株は売買できない状態で、本当の意味で死金になっています。地政学的な問題が発生すると、このように取引が停止され、投資した資金は宙に浮いてしまい、売ることもできないというリスクがございます。
もし今後中国、台湾で有事が起きれば同じようなことになるリスクも考えられるということです。OZON は IPO 後に何回か入り、最終的に一回逃げたのですが、2月下旬以降のボラがある時期にスイング目的で週末に入ったところ、週明けには取引停止となってしまったので自業自得です。。。
中国経済についておすすめの2冊
直近の中国経済について知りたい、勉強したい場合は以下の2冊をおすすめします。
『中国減速の深層 「共同富裕」時代のリスクとチャンス』
『中国経済の謎―なぜバブルは弾けないのか?』
まとめ
党大会後の週明けは、みんな考えていることが同じだと思いますので売りで始まると思いますが、現段階ではこれ以上ネガティブ要素出尽くしで、多分バウンスするのではないか? (逃げ場) と思っていますが、今回は投資信託という性質上、このまま売却します。
インデックス投資に関しては、数年前までは「先進国株式インデックス」、「日本のインデックス (TOPIX)」、「新興国株式インデックス」を何対何の割合で持ちましょうなどと紹介されていました。
しかし昨今は、手数料の安い良い商品が出てきており、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」や「eMAXIS Slim 全世界株式」など、自身の投資セオリーに合った一つの商品を積み立てれば良いくらいシンプルになっていると思いますが、今回の中国の件で、積立投資も益々シンプルになっていくと思います。
ちなみに日本のインデックス投資家に人気の「eMAXIS Slim 全世界株式」の中国、台湾の割合は、「中国 = 3.3%」、「台湾 = 1.8%」で、先進国が88.9%、新興国が11.1%とのことでした。このくらいならスパイス程度の割合でしょうか?