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日本社会が変わる時、歴史的にいつも外からの力を必要とした

日本社会は歴史的に内から変わることができず、いつも外からの力を必要とした

今年2023年は、日本の芸能とされるジャニーズや宝塚などの、大きな組織がやっぱり外からの力がないと “変われない” ことが露呈してしまいましたが、これは今に始まったことではありません。

日本という国は有志以来、内側から変わることのできない社会であり、変革が訪れるのは常に外側からの力を必要とします。例えば、ジャニーズに関してはイギリスのBBCが世界的に取り上げたことで問題となり、日本という国の外からの力によって長年放置されていた問題が動き出しました。

日本の社会がリセットされる時

渡辺努さんの著書『世界インフレの謎』で、地震学者/経済学者の二刀流でもあるディディエ・ソネット教授が登場する部分があります。そこでディディエ・ソネット教授は、日本社会を次のようなビックピクチャーで捉えています、

日本は世界でも有数の地震大国で、過去に何度も大きな地震に見舞われ、そのたびに社会がリセットされてきた。

日本人はなぜ、わざわざ不安定な地盤を選んで国を作ったのか?という、素朴な疑問に対する回答です。「社会がリセットされる」とは、その社会を形作る様々な既得権益と、その社会の「当たり前」がいったんご破算になると言う意味です。

日本は「地震」と言う「外生的な力」により社会のリセットを定期的に行うことができ、それが社会を前に進める原動力となった、これがディディエ・ソネット教授の言いたかったことです。

これに対して、彼の母国であるフランスのように自然災害の少ない国は、外生的なリセットには頼れません。だから人為的な (内政的な) リセットの仕組みとして、革命 (フランス革命) のような大掛かりな社会的イベントが必要になると言うように彼の話が続きます。

養老孟司さんも「大震災は常に日本の転換点」だと指摘しています。

【大地震】養老さんから日本に住む全ての人へのメッセージ

日本の歴史を遡れば、この国は常に外政的な力が働かないと社会が変わらないことを説明しています。日本が長い鎖国政策を終え、近代化への道を歩み始めるきっかけとなったのも、1853年の黒船ペリー来航 (外側からの力) です。

1945年の第二次世界大戦の終戦後、日本は連合国(主にアメリカ)による占領もそうです。この期間に、日本の政治体制、経済、社会構造に多大な変化がもたらされました。

いつの時代も日本は内側から変わることができず、いつも外からの力、海外からの力が発生した時に変化し、巨大地震が起こった時に社会がリセットされるのです。

【関連記事】ディディエ・ソルネット教授、予測とその背景にある出来事・要因・変化

日本社会と大地の変動期は一致している

2024年8月8日、日向灘 (宮崎の東南東30km付近) で発生した震度6弱の地震を観測した翌日に出版された鎌田浩毅さんのPHPの新書『M(マグニチュード)9地震に備えよ  南海トラフ・九州・北海道』にも、日本の歴史を紐解くと、社会と大地の変動期は一致していると、以下のように述べている。

幕末の南海トラフ巨大地震である安政南海地震 (1854年) の後は、松下村塾で学んだ桂小五郎 (木戸孝允) と伊藤俊輔 (博文) が、また薩摩では西郷吉之助 (隆盛) や大久保一蔵 (利通) らが活躍し、明治維新を通じて近代日本を構築した。

さらに前回の昭和南海地震 (1946年) は太平洋戦争の直後だったが、松下幸之助、本田宗一郎、井深大といった若者たちが日本を技術貿易立国として「再生」させた。

おそらく次の南海トラフ巨大地震後の日本社会は一度「崩壊」せざるえないだろうが、若者が能力を備えていれば新しい発想で日本を「蘇生」することができる。

次に起こる日本社会のハードリセット

次に日本社会がハードリセットされるのは、巨大地震だと推測されます。地質学のサイクルでは、東日本大震災は1000年に1回、南海トラフ地震は100年に1回の時計で動いていると言われています。

南海トラフ巨大地震で日本はどうなるのか?

すると南海トラフ巨大地震の次の100年目が2030年〜2040年までであることが指摘されいます。厳密には2035+-5年以内に南海トラフ巨大地震が起こることが予想されていますが、カウントダウンに入っていると思います。

これは今世紀日本に生きる全ての人に起こりうるライフイベントだと捉えた方が良いと思います。

準備に投資するという考え方

予測よりも備えへの投資、準備への投資というアプローチ

私たちに今できることは「準備に投資する」ということです。このような予測を当てることは不可能ですが、地質学のサイクルからパターンを見つけ出すことはできます。提示されたタイムリミットに対して、私たちができるアプローチは、減災など準備に投資することです。

準備に投資するとはどういうことでしょうか?レバノン系アメリカ人の作家、思想家、リスク・不確実性の研究で知られるナシーム・ニコラス・タレブ氏が言うように、予測するよりも準備に投資した方がいいということです。

大きな変動を予測することが難しいということは、リスクを予測しようとするのではなく、リスクが生じることを想定してそれに合った準備をすることです。

大地震に対して準備できることは非常に限られていますが、減災という観点から取れる選択は数あると思います。