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予測よりも備えへの投資、準備への投資というアプローチ

予測よりも備えへの投資というアプローチ

最近読んだモーガン・ハウセルの著書『Same as Ever』を読み、「予測よりも備えへの投資」という目から鱗の概念・アプローチを学びました。資産運用においては、よく「投資」や「予想」というワードに目が行きがちですが、モーガン・ハウセルのアプローチは、「予測するよりも準備に投資した方がいい」とうものです。

【選書】モーガン・ハウセルの新書『Same As Ever: A Guide To What Never Changes』

予測するよりも準備に投資した方がいい

モーガン・ハウセルの『Same as Ever』では、すべてのリスクに備えることは不可能であるという現実を受け入れ、予測ではなく備えの戦略を提案しています。彼は、地震のような予測不可能な自然災害に対する備えを例に挙げています。

地震は周期的に起こるものの、いつどこで発生するかは予測できません。しかし、地質学的なサイクルを理解し、減災への準備をすることは可能です。

同様に、チューリッヒ工科大学のディディエ・ソルネット教授も、ほとんどの危機や大災害は突然ではなく、長い準備過程を経て発生すると指摘しています。それは不安定化への成熟であり、分岐点であり、もっと単純に言えば転換点である。

人生とはリスクであり、リスクとは人生である

正しい指標と診断ポイントを見る用意のある人にとっては、こうした出来事は驚くべきことではない。しかし、目、耳、口をふさいだ有名な3匹の猿のように、気づかないことを選ぶなら、それはまさに驚きとなるだろう。

ハウセルは、潜在的なリスクに対して過剰な備えをすることが、特定の出来事を予測しようとするよりも有益であると主張しています。このアプローチは、不測の事態が発生した際の影響を軽減します。

彼のこの哲学は、ナシーム・タレブの「予測よりも備えへの投資」を勧めるアドバイスに裏付けられています。つまり、ハウセルとソルネット教授は、予測不可能な出来事に対して、観察と備えに重点を置くことの重要性を強調しています。

未来を予測することではなく、未来に備えること

未来学者エイミー・ウェブ氏も、モーガン・ハウセル氏と同じようなことを述べています。彼女は、未来を予測することではなく、未来に備え、情報に基づいた決断を下すことが重要だと説きます。

ウェブ氏は、意思決定を助けるために不確実性を減らすことに重点を置き、将来起こりうるシナリオに備えることだと強調する。ビギナーズラックな投資家やギャンブラーが陥りがちな例として、自分の予想に大きめの資産をかけてしまい、資産の大半を失ってしまう … というような人は少なからずいると思います。

未来が予想できないのであれば、一か八かに賭けるのではなく、未来に備えるという身の振り方を覚えた方が良いのかもしれません。

予測よりも備えへの投資を、自分に当てはめる

この「予測よりも備えへの投資」とういう概念、アプローチは様々な場面で活用することができます。

・金融投資
株式市場やその他の投資市場では、市場の動きを正確に予測することは非常に困難です。このアプローチでは、市場の予測に頼るのではなく、リスク管理や資産の分散、長期的な視点を持つことで、市場の不確実性に備えます。

・個人のキャリアとスキルアップ
職業の世界もまた、急速に変化しています。特定の職業や技能が将来も安定していると予測するのは難しいため、継続的な学習、スキルの多様化、キャリアの柔軟性を高めることで、未来の職業市場の変化に備えることができます。

・自然災害
自然災害やその他の緊急事態において、特定の災害の発生を予測することは難しいですが、適切な準備と計画をしておくことで、その影響を最小限に抑えることができます。

・健康管理
未来の健康問題を予測するのは難しいですが、定期的な健康診断、バランスの取れた食事、適度な運動などを通じて、健康問題のリスクを減らすことができます。

未来は予測不可能であり、特に経済や投資の分野では、この不確実性が顕著です。ウェブ氏とハウセル氏のアプローチは、未来に対する準備と、情報に基づいた賢明な決断を通じて、この不確実性を管理する方法を提案しています。