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積立投資の大原則「複利の力、複利の効果」を学ぼう

積立投資の大原則「複利の力、複利の効果」を学ぼう

インデックス投資、積立投資、長期投資を行う人にとって「複利の力」を理解することは大切です。実際に iDeCo や NISA などで積立投資を何年か行い、時間の経過と共に資産が増えたという人であれば、その複利の力を実感できると思いますが、まだ投資を始めていない人にとっては、いきなり複利の力と言われても理解できないかもしれません。

複利の効果で資産を倍にした例

この記事を書いている私は、30歳くらいの時に iDeCo (個人型確定拠出年金) を始め、毎月個人事業主が積立できる Max の積立額68,000円を積み立ててきました。

未だに SBI 証券の古い方の iDeCo を使用しているのですが、資産推移を確認しますと2018年から開始し、現在2023年11月までに積み立てた金額 (拠出金) は「5,984,000円」、損益は「4,319,855円」、損益率「72.2%」で資産合計は「10,303,855円」となっており、約5年以上積立を行うことで iDeCo の資産が1,000万に到達しました。

・5年以上で積立てた金額 = 5,984,000円
・投資で得た含み益 = 4,319,855円
・合計 = 10,303,855円

勿論、今後相場が下がったり、暴落すれば1,000万を切ることはあると思いますし、iDeCo に関しては自分年金というように、原則として60歳を過ぎるまで資産を引き出すことはできません。

注目して頂きたいのは、ただ銀行に毎月6.8万を5年以上預金しても590万ぐらいにしかなりませんが、積立投資 (インデックス投資) を行うとプラス430万ぐらいが増えるという点です。

これが正に複利の力で、時間を味方につけて資産を増やす方法です。人によっては「投資なんか詐欺なんでしょ?そんなのにお金は預けられないよ」というような間違った理解をされている方もいるかもしれませんが、複利の力を正しく理解することで、資産を増やすことができるのです。

【関連記事】iDeCo 下げ相場、暴落時にスイッチングは必要なのか?

複利の概念

複利の概念は、上記のような金融だけではなく、健康、学習、スキルの向上などといった、人生の多くの側面に適用できる非常に強力な原理です。

例えば、睡眠不足の例を挙げると、1日6時間の睡眠が長期間続くと、その影響は単に翌日の疲れにとどまらず、寿命を短くするなどの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。

喫煙の健康について考えてみると、1本のタバコが体に悪い影響を与えることはないかもしれませんが、1日1本のタバコを30年間吸い続けると破滅的なことになります。

これは、小さな損失や欠点が時間とともに積み重なり、最終的には大きな影響を及ぼすことを意味します。

指数関数的な成長や複利の効果

このような指数関数的な成長や複利の効果を理解することは、健康管理、財務計画、個人的な目標の達成など、多くの面で重要です。しかし、これらの概念は直感的ではないため、しばしば意識的な学習と練習を必要とします。

複利の力を子供や他の人に説明する際には、視覚的で直感的な実験が有効です。モーガン・ハウセル氏が説明する、チェス盤と米粒を使った「ライスボードの実験」は、複利の概念を理解するのに役立ちます。

この実験では、チェス盤の最初のマスに米粒を1つ置き、次のマスには2倍の2つ、その次にはさらに2倍の4つというように、各マスで米粒の数を2倍にしていきます。チェス盤の64マスがすべて埋まる頃には、想像を絶する量の米粒が必要になります。

【選書】モーガン・ハウセルの新書『Same As Ever: A Guide To What Never Changes』

これは、初めは微々たる量であっても、何度も繰り返し2倍にすることで、最終的には直感を超えた大きな数値になることを示しています。

このような実験は、複利の効果がどれほど迅速に大きな結果を生むことができるかを視覚的に示し、特に子供たちにとって理解しやすい方法です。

複利の原理を理解することは、投資、健康、個人的な成長など、長期的な目標達成において非常に重要です。私たちはこれらの概念を頭で計算することはできないため、理解するためには他の方法やツールを使う必要があります。

指数関数的思考が直感的でないという事実は、私たちが日々の生活で直面する多くの状況に影響を与えます。健康、財務、教育などの分野で、小さな習慣や行動が時間とともにどのように積み重なるかを理解することは、私たちが直感的には把握しにくいです。

そのため、良い結果を生む行動(例:定期的な運動や投資)も、悪い結果を生む行動(例:喫煙や過剰な借金)も、その影響が徐々に現れるため、初期段階ではその重要性を見落としがちです。

私たちは、このような思考を意識的に習慣化し、実践することで、長期的な影響をより正確に評価し、より賢明な選択をすることができるようになります。

良いニュースはゆっくりと、悪いニュースはあっという間に起こる

更にモーガン・ハウセル氏は、良いニュースと悪いニュースのニュースフローにも触れています。

本当に正しいのは、良いニュースはゆっくりと起こり、悪いニュースはあっという間に起こるということだ。悪いニュースは、文字通り一晩で起こるようなものだ。何百万人もの人を殺し、経済を停止させるウイルスが、文字通り一晩で発生する。

9.11 のように、最初から最後まで、30分くらいで、すぐに起こる。良いニュースはたいていゆっくりと、時間をかけて複合的に起こる。

この洞察は目から鱗です。私たちが日々の生活の中で目にするニュースや情報が、しばしばネガティブな内容に偏りがちである一方で、ポジティブな変化は徐々に起こり、しばしば見過ごされがちであるという事実を浮き彫りにしています。

例えば株式市場もこのような視点で眺めてみると、また景色が変わるのかもしれません。2020年のパンデミックによる株式市場の暴落は、今振り返ればある意味あっという間であり、その後アメリカというイノベーションの国が見事にコロナワクチンを短い期間で創り出し、ゆっくりと日常生活が戻ってきたと思います。

このように「良いニュースはゆっくりと、悪いニュースはあっという間に起こる」というような視点で株式市場を捉えると、株式が暴落した時に、このこと思い出し、株式市場で起こり得るボラリティを理解して買い向かうのであれば、それはお宝ポジションになるかもしれません。

株式投資のボラリティ (価格の変動率) を理解しよう