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ハワード・マークス率いるオークツリーがお勧めする10冊

著名な投資家 Howard Marks (ハワード・マークス) 率いる Oaktree Capital (オークツリー・キャピタル) は何を読んでいるのか?2022年末のおすすめ本 (What’s Oaktree Reading? 2022 Year-End Book Recommendations) というインサイトでピップアップされた10冊をご紹介します。

10冊中、日本語に翻訳され出版されていますのは5冊しかなく、ハワード・マークス本人がピックした本は残念ながら未翻訳の本です。それでも非常に興味深いラインナップになっていますので、2022年末の読書選びに是非一読下さい。

『Mistakes Were Made (but Not by Me): Why We Justify Foolish Beliefs, Bad Decisions, and Hurtful Acts』Carol Tavris (著)、Elliot Aronson (著)』

ハワード・マークス本人がピックアップしたのが、2007に出版された『間違いだらけだった(でも、私じゃない)。なぜ私たちは愚かな信念、間違った決断、そして人を傷つける行為を正当化するのか?』という本で、残念ながら日本語に翻訳された本は出ていないようです。

社会心理学者のキャロル・タブリスとエリオット・アロンソンによるノンフィクションです。認知的不協和、確証バイアス、その他の認知的バイアスを扱い、これらの心理学理論を用いて、人を傷つける行為の加害者(および被害者)がいかに自分の行動を正当化し合理化するかを説明しています。また、人々のわずかな考え方の違いが極論を生む、行動と自己欺瞞のポジティブ・フィードバック・ループを解説しています。

<本の内容>

なぜ人は物事がうまくいかなくなると、責任を回避するのか?なぜ、公人は間違いを犯したときに、それを認めることができないのか。なぜ、誰が正しいかをめぐって延々と夫婦喧嘩が続くのか。なぜ私たちは他人の偽善には気づくが、自分の偽善には気づかないのだろう?

私たちは皆、嘘つきなのだろうか。それとも、私たちは自分が語る物語を本当に信じているのだろうか?有名な社会心理学者のキャロル・タブリスとエリオット・アロンソンは、脳が自己正当化のためにどのように配線されているかを説得力のある方法で調べています。

私たちは間違いを犯したとき、自己価値を損なう認知的不協和を静めなければなりません。そして、自分は賢く、道徳的で、正しいという信念を回復するために、責任を免除するフィクションを作り出します。本書は、長年の研究に裏打ちされ、生き生きとしたエネルギッシュな文章で、自己欺瞞について魅力的な説明を提供しています。

『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』クレイトン・M・クリステンセン (著)

チーフ・プロダクト・オフィサー兼クライアント・リレーションズ担当グローバル・ヘッドのニコール・エイドリアン氏が選んだのは、日本でも2012に翻訳されて出版された、クリステンセン教授がすべてのビジネスマンに贈る人生のジレンマを乗り越えるための1冊『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』です。

<内容>

本書は『イノベーションのジレンマ』をはじめ、多数の名著を著した技術経営の大家クレイトン・クリステンセンが、これまで自身が教えてきた経営戦略を人生訓に落としこんで語る1冊。2007年に心臓発作、そして2年後にガン(悪性腫瘍)、さらに2010年には脳卒中で倒れたクリステンセン教授。戦略論や経営学の分野では最高峰にある教授が、抗がん剤と戦って髪が抜け落ちた体に鞭打ち、最後の授業で何を伝えたかったのか。本書のもととなった「HOW WILL YOU MEASURE YOUR LIFE?」(HBSに掲載された論文)は、HBS史上最多のダウンロード数を獲得した。

『The Book of Form and Emptiness』Ruth Ozeki (著)

マネージング・ディレクター、ESG責任者のプリヤ・プラサド・ボウさんがピックアップした本が2021年に出版された『形と空っぽの本』という小説です。こちらも日本ではまだ翻訳されていません。

<内容>

13歳のベニー・オーは、最愛の音楽家の父の死から1年後、声が聞こえるようになる。スニーカー、壊れたクリスマスオーナメント、しおれたレタスなど。あるものは心地よく、優しいハミングやクーという鳴き声、またあるものは辛辣で、怒りや苦痛に満ちている。母親が物をため込むようになると、声はますます喧しくなる。

最初は無視しようとしたが、やがて声は彼を家の外、道、学校まで追いかけ、ついには大きな公立図書館の静けさに逃げ込むようになる。そこで彼は、図書館をパフォーマンススペースとして使っている、気取ったペットのフェレットを連れた魅惑的なストリートアーティストと恋に落ちる。ホームレスの哲学者に出会い、重要な問いを立て、大勢の中で自分自身の声を見つけるよう励まされる。そして、ベニーの人生を語り、本当に大切なものに耳を傾けることを教えてくれる、彼だけの「本」(しゃべるもの)に出会います。

この本は、忘れがたい登場人物と魅力的なストーリー、そしてジャズから気候変動、物質的な所有物への執着まで、あらゆるものへの生き生きとした関わりを融合している。これぞルース・オゼキの真骨頂、大胆かつ人道的で、胸が張り裂けるような作品です。

『Recessional: The Death of Free Speech and the Cost of a Free Lunch』David Mamet (著)

チーフ・エグゼクティブ・オフィサーのジェイ・ウィントロブさんが選んだのは、ニューヨークタイムズのベストセラーにもなった『回顧録:言論の自由の死とフリーランチの代償』です。

<内容>

「なだめるだけの野蛮は、ただ大きくなるだけだ。いったん屈服すれば、空気を求める火のようにエスカレートしていくに違いない。」『GLENGARRY』でピューリッツァー賞を受賞し、名作『THE VERDICT』『WAG THE DOG』を書いた GLEN ROSS は、門前の西ゴート族に警鐘を鳴らしている。

この『リセッション』では、西洋の存亡にかかわる脅威である「型にはまる」というウイルスを告発し、串刺しにし、あざ笑い、そして何よりも解剖しているのである。

歴史、聖書、文学を幅広く紹介する本書は、反抗に対する政治的・文化的態度が、過去一世代の間に米国でどのように変化したかを検証している。思想と表現の自由を絶叫することで、安全保障と成長の基盤である発明と民主主義が失われると、マメットは説明する。この作品は、自由な発想を持つ市民に対して、邪悪な笑いと切なさ、そして皮肉たっぷりに訴えかけています。

『How the World Really Works: The Science Behind How We Got Here and Where We’re Going』Vaclav Smil (著)

オークツリー取締役会社外取締役のスティーブン・ギルバートさんがチョイスしたのは、ビル・ゲイツも絶賛する2022年10月に発売され早くもニューヨークタイムズ・ベストセラーとなった『世界はどう動いているのか : 私たちはいかにしてここにたどり着き、どこへ行くのか-その背後にある科学』です。

<内容>

私たちはかつてないほど多くの情報を手にしているが、ほとんどの人は世の中が実際にどのように動いているのか知らない。本書は、私たちの生存と繁栄を支配する最も基本的な7つの現実を説明している。エネルギーや食糧生産、物質世界とそのグローバル化、リスク、環境とその未来に至るまで、「世界はどう動いているか」は、切望されていた現実の確認を提供する。なぜなら、問題に効果的に取り組む前に、事実を理解しなければならないからだ。

この野心的で示唆に富む本書では、例えば、グローバリゼーションは必然ではないこと、我々の社会は化石燃料への依存を着実に高め、その完全かつ迅速な撤廃はありえないことなどが明らかにされています。最新の科学を駆使し、ユヴァル・ノア・ハラリからノーム・チョムスキーまで、誤った情報の発信源に正面から取り組み、最終的にスミルは、現代における最も深い問いに答えている。

私の大好きな著者のもう一つの傑作である.人間の生活を形成する多くの基本的な力について、簡潔だが徹底した数値的思考を学びたいなら、この本を読めばよいのだ。これは力作である。 – ビル・ゲイツ

非常に有益で、多くの点で目を見張るものがある – HA-JOON CHANG (『資本主義について彼らがあなたに言わない23のこと』の著者)

もしあなたが未来に不安を感じ、それに対して十分な対策がとられていないことに腹を立てているのなら、ぜひこの本を読んでください – ポール・コリアー(『資本主義の未来』の著者)

『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』アダム・グラント (著)

ダイレクトレンディング部門バイスプレジデント兼プロダクトスペシャリストのアリソン・リーさんが選んだ本は、2014年に日本でも翻訳され出版された『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』です。

<内容>

全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授でもあり、気鋭の組織心理学者が教えるビジネスの成功の秘訣。「ギバー(人に惜しみなく与える人)」、「テイカー(真っ先に自分の利益を優先させる人)」、「マッチャー(損得のバランスを考える人)」もっとも成功するのは誰だろう。

他人に優しくしていたら、厳しい競争を勝ち抜けない――?それは大きな誤解だ。これからは、他者志向の思いやりの発想とコミュニケーションが、あなたの仕事に大きな成功をもたらす。リーダーシップ、営業、交渉、事業の立ち上げ、昇進まで……ありとあらゆるシーンで、この考え方が役に立つだろう。

一橋大学大学院教授・楠木建(『ストーリーとしての競争戦略』『経営センスの論理』)の監訳と解説で、日本初デビュー!「世の “凡百のビジネス書” とは一線を画す一冊だ!」

『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹 (著)

バイスプレジデント、シニアファイナンシャルライターのアンナ・シマンスキー氏がピックアップしたのが村上春樹さんの『走ることについて語るときに僕の語ること』です。走り系の本では、『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』や2022年日本でも話題となったアンデシュ・ハンセン著の『運動脳』などが有名ですが、村上春樹さんのこの本は、また違うアプローチをしていると思いますので、これは是非読んでみようと思います。

<内容>

走ることについて語りつつ、小説家としてのありよう、創作の秘密、そして「彼自身」を初めて説き明かした画期的なメモワール 1982年秋、専業作家としての生活を開始したとき、彼は心を決めて路上を走り始めた。それ以来25年にわたって世界各地で、フル・マラソンや、100キロマラソンや、トライアスロン・レースを休むことなく走り続けてきた。旅行バッグの中にはいつもランニング・シューズがあった。走ることは彼自身の生き方をどのように変え、彼の書く小説をどのように変えてきたのだろう? 日々路上に流された汗は、何をもたらしてくれのか? 村上春樹が書き下ろす、走る小説家としての、そして小説を書くランナーとしての、必読のメモワール。

『新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突』ダニエル・ヤーギン (著)』

シニア・ヴァイス・プレジデントの Sohko Fujimoto さんがピックアップしたが、日本では2022年に出版されたダニエル・ヤーギン氏による『新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突』です。正に2022年を象徴するような1冊で、投資家でなくても、現在のエネルギーや地政学を学ぶには必読の本です。この本を読まずして2022年は終われない、と言っても過言ではありません。

<内容>

原油価格はなぜ激しく変動するのか?米中関係はどうなるのか?地政学とエネルギー分野の劇的な変化によって、どのような新しい世界地図が形作られようとしているのか?地政学リスクから第一人者が読み解く『ウォール・ストリート・ジャーナル』ベストセラー。エネルギー問題の世界的権威で、ピューリッツァー賞受賞者の著者が、エネルギー革命と気候変動との闘い、ダイナミックに変化し続ける国際政治の地図を読み解く衝撃の書。最新情報が満載!日本人が知らない資源戦争の裏側とは?米国vsロシア・中国の新冷戦、エネルギー転換の未来を描く!

『The Last Thing You Surrender』レナード・ピッツ・ジュニア (著)

マーケティング&クライアントサービス/マネージングディレクターのジョー・ファーガスさんが選出したのが、第二次世界戦争の歴史小説『あなたが最後に降伏するもの』です。

<内容>

燃え盛る世界の中で、正しいことをする勇気をあなたは見つけられますか?ピューリッツァー賞受賞のジャーナリストでベストセラー小説家(フリーマン)のレナード・ピッツ・ジュニアによる新しい歴史的ページターナーは、人種と戦争に関するアメリカの偉大な物語であり、第二次世界大戦が米国にもたらす大きな変化に直面するジムクロー南部の3人の登場人物を描いている。

裕福な白人の海兵隊員は、黒人の軍人の命を犠牲にして真珠湾攻撃を生き延びたが、罪悪感にさいなまれながら太平洋に送られ、日本軍の捕虜となった。幼い頃、両親が残忍なリンチを受けるのを見た黒人は、自分が軽蔑する国のためにナチスと戦うよう徴兵され、黒人だけの第761戦車大隊で新しい種類の愛国心を見いだす。

前線と本国での激しい人種対立を背景に、『The Last Thing You Surrender』は、分裂した国家の個人の強力な道徳的闘争を探求している。人種について誰かの心を変えるには何が必要なのか?国や人々が変化して前進するためには何が必要なのか?

『21 Lessons : 21世紀の人類のための21の思考』ユヴァル・ノア・ハラリ (著)

ヨーロピアン・プリンシパル・グループ、アソシエイトのイソベル・ヘップスワースさんが選んだのは、世界的に話題になったユヴァル・ノア・ハラリ氏の『21 Lessons : 21世紀の人類のための21の思考』です。

<内容>

私たちはどこにいるのか。そして、どう生きるべきか――。『サピエンス全史』『ホモ・デウス』で全世界に衝撃をあたえた新たなる知の巨人による、人類の「現在」を考えるための21の問い。

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