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バイオテクノロジー株の投資手法

記憶に新しいのは、2020年のワクチン株の大相場があったと思います。コロナのパンデミックに始まり、トランプ大統領によるワープスピード計画でワクチン開発の火蓋が切って落とされました。その後のビオンテック、モデルナの大相場は後にも先にも語り継がれるでしょう。

今回はバイオテクノロジー株の投資手法について考えてみたいと思います。まずバイオ株投資の基本として、2022年のようなFRBが金利を引き上げているような、高金利の環境では、バイオ株も叩き売られます。ハイテク株同様に2020年の金融相場から考えると、天井圏からかなり暴落しています。

しかしバイオ企業のなかには、2020年の金融相場の天井で付けた株価を超えてくるバイオ企業も出てきています。それはどのような企業なのでしょうか?

バイオ株トレードの3つの手法

バイオ株のトレード手法としては、以下のような3つの場面が考えられます。

  • ・景気後退局面でディフェンシブ株として投資する
  • ・FDA承認された新薬を持っており、売上げのある会社に投資する
  • ・臨床段階のバイオ企業に投資する

まずは景気後退 (リセッション) 局面でディフェンシブ株として機能するということです。防御の意味も込めてバイオ株が買われるということです。

もう一つは、FDA (アメリカ食品医薬品局) に承認された新しい薬を持っており、売り上げ高もあるような成長しているバイオ企業の株をトレードする方法です。

最後は、逆にまだ FDA 承認されていない臨床段階にあるバイオ企業の株をトレードしていく手法について、それぞれ詳しくご紹介します。

景気後退局面でディフェンシブ株として投資する

相場のサイクルで考えた場合、バイオ株に妙味があるのは、景気が天井を迎え相場が弱気相場に景気後退になる頃にディフェンシブ株として好まれる傾向があります。景気後退しても病気の治療などに必要な薬やサービスを減らすことはない (必要不可欠) ため、景気後退の影響を受けないセクターとされています。

FDA承認された新薬を持っており、売上げのある会社に投資する

FDA から承認された新薬を持っており、尚且つ売上げのある会社の場合は、そのバイオ企業の業績を頼りにトレードしていきましょう。

ボストンに拠点を置く Vertex Pharmac (バーテックス・ファーマシューティカルズ / VRTX) という「囊胞性線維症」の治療薬を主力商品とする企業がありますが、安定した収益に加え、新薬の開発が順調に進んでいるということから、2020年の金融相場で付けた天井をこの企業は2022年のベア相場で超えてきました。

このような企業はかなり稀な存在だと思いますが、新薬を持っていてちゃんとした売り上げがあるバイオ企業の場合は、成長が評価され、2022年のベア相場であっても新値を付けてきます。

臨床段階のバイオ企業に投資する

臨床段階にあるバイオ企業をトレードする場合は、2020年のワクチン銘柄を思い出してほしいのですが、第一臨床、第二臨床、第三臨床のように臨床をクリアーし、段階を経て晴れて FDA から承認されたり緊急承認され株価が跳ね上がったのを思い出して下さい。

個人投資家は、バイオテクノロジー企業の各新薬候補がどのフェーズにあるのか?に、細心の注意を払う必要があります。臨床試験の後期のフェーズにあるバイオ企業の製品は成功する可能性が高く、投資のリスクは低くなる傾向にあります。

バイオンテック、モデルナなどのワクチンの時も、第一相試験 (フェーズ1)、第二相試験 (フェーズ2) とクリアするごとに株価が跳ね上がりました。このように、臨床段階にあるバイオ企業をトレードするには、臨床フェーズや臨床結果を手掛かりにトレードしていきますので、新薬の臨床試験がいつ行われるのか?いつ頃結果が出てくるのか?をしっかりと把握する必要があります。

【ACLX】癌のバイオテクノロジー企業 Arcellx (アーセルクス) とは?

上記のチャートは、Arcellx (アーセルクス) という臨床段階にあるバイオ企業のものですが、2022年2月にIPOされ、その後ロシアによるウクライナ侵略、インフレ、FRBによるアグレッシブルな利上げと相場のネガティブな要素を全て受けて、IPO後に早くも株価は20ドルから6ドルと 3/1 以下になっています。

しかし、同年6月にフェーズ1 (第1相臨床試験) の試験結果が効果があったとされるニュースが流れると株価は急騰し、底値6ドルを付けてから1ヶ月もしないうちに高値の26.91ドルを付けています。その後はFRBによる利上げにより金利が上がったことから売られましたが、12月に Gilead (ギリアド) との提携を発表すると Arcellx の株は買われました。

私もこのタイミングを逃さす僅かですが買いに入りました。理由は臨床段階のバイオ株をトレードする場合は、臨床結果も大事ですが金利も大事です。2022年12月の段階でFRBは利上げ幅を縮小することを検討しており、これ以上金利は上がらないため、このような臨床段階のバイオ株を買うには良いタイミングだと思い買いに入りました。

以上のように、新薬誕生までのプロセス、治験の3つのステップ「第一臨床」、「第二臨床」、「第三臨床」を頼りにトレードしていくこともでるのです。

勿論、臨床結果が悪かったり、FDA承認が得られなかった場合には株価は下落 (或いは暴落) するはずですので、勿論リスクはあります。またバイオ株トレードの基本でも述べている通り、金利上昇局面、高金利環境では、どの株も売られやすいため、この手法も通用しないケースがあります (2022年のベア相場が正にそのような状況だったと思います)

以上のことから、臨床段階にあるバイオ企業をトレードする場合は低金利環境で、臨床結果やフェーズを頼りにトレードしていくことが可能です。

2022年12月19日には、Madrigal Pharmaceuticals (マドリガル・ファーマシューティカルズ) が NASH および肝線維症の治療薬 Resmetirom の主要な第3相臨床試験である MAESTRO-NASH の肯定的なトップライン結果を発表し、株価は200%以上跳ね上がりました。

新薬開発までのステップとフェーズについて

臨床段階にあるバイオ企業をトレードする、という項目にも関連しますが、新薬開発までのステップとフェーズについて理解しておきましょう。基本的に新薬開発までには、一般的に3つのフェーズで臨床試験が実施されます。

1. フェーズ1 (第一臨床)

候補薬剤の安全な投与量を求め、その薬剤が人にどのような影響を与えるかを調べる小規模な試験です。血液や尿中に存在する「くすりの候補」の量を測定し、体内への吸収の速さや体外への排泄にかかる時間などを調べます。

身体に現れた変化が「医薬品候補」の副作用かどうかを判断するために、プラセボ (有効成分を含まず、外観や味などで「医薬品候補」と区別がつかないもの) を同時に使用して比較することもある。

2. フェーズ2 (第二臨床)

薬の安全性と短期的な副作用に焦点を当て、薬剤の最適な投与量を決定するために、約100人以上の患者を含む大規模な試験が実施されます。有効性と使用法を調べるために、通常、数回分の薬剤を使用して比較し、プラセボも加えて検討します。

3. フェーズ3 (第三臨床)

数百人から数千人の患者を対象とした、更に大規模な試験を実施し、実験薬が標的疾患に対していかに効果的かつ安全に作用するかを実証する試験になります。

主な確認方法は、現在使用されている標準的な「薬」がある場合はその薬との比較、標準的な「薬」がない場合はプラセボとの比較である。これとは別に、長期間使用した場合の有効性や安全性を調べることもあります。

FDA承認の申請

そして最後に、医薬品を販売するためには規制当局の認可を得る必要があるため、自社で作成した臨床試験データを用いて、FDA (アメリカ食品医薬品局) に薬事承認を求めて申請を行います。FDA から承認されると晴れて医薬品の販売が可能になります。

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