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全米、全世界株式インデックスが全てではないという話

全米、全世界株式インデックスが全てではないという話

テンプルトン卿、バフェットなどから投資哲学を学んだ尊敬するバリュー投資家さんが、こんなことを話していました。

もし今、仮にインデックスを買うなら、私は TOPIX 一択かな?既に高すぎる米国株や、中国株の入った新興国指数などは、ここから買おうとは思わない。今は殆どの人が、S&P500や世界分散が王道の投資だと思っているでしょう?

グローバル化の時代が終わった訳だから、グローバルに株式を分散させる事の意義は変化したのではないか?

仮に、第二次世界大戦や冷戦前に、世界分散的なポートフォリオを組んだら、どこの市場が足を引っ張っただろうか?日本株やドイツ株は恐らく耐え難いほどの経過を辿ったのではないだろうか。

これは歴史と現状を、常識的な観点から見返す事が重要だろうと思います。

確かに Twitter など、人気とされる巷の投資本を開くと、未だに「GAFAM、ナスダック、ハイテク、半導体」押し、インデックス投資では「全米株式、全世界株式を積み立てていれば間違いない」という論調が良く見聞きします。前者は、投資系インフルエンサーの分かりやすいポーズであり、鵜呑みにすると痛い目に合うと思います。

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私はインデックス投資を行いながら個別株のトレードをしていますが、インデックス投資に関しては、20年〜30年とか超長期での投資をするのであれば、ずっと持っていれば良いのでは?と思っていますが、2020年の金融相場から個別株を始め、2021年11月以降の大きなベア相場を経験し、サイクル、トレンド、パターンを常に意識するようになり、少し考え方が変わってきました。

今の時代のサイクルを鑑みるに、2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、グローバル化の時代は終わりを告げ、世界経済は再びブロック化に動き出しています。そして今、世界を大きく捉えると、米国を代表する民主主義 vs 独裁主義 (中国/ロシア) の構図になっており、この兆候は今後も益々加速することが予想されます。

今回は世界経済、過去に経済がグローバル化からブロック化した時に何が起きたのか?グローバル化の拡大期と縮小期の歴史的なサイクル、そこから見えてくる投資の選択肢は何なのか?について考えてみたいと思います。

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「【2023年】今ある市場の危機に目を凝らす」でも触れているように、更なる地政学的なリスクに備える必要があると思います。あのウォーレン・バフェット氏も、2022年に台湾の世界的半導体ファウンドリー TSMC の株式を41億ドル購入し、コングロマリットで10番目に大きなポジションを取得しました。

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しかしバフェット氏は、TSMCの株式の大半 (86%) を購入からわずか数カ月で手放したと報じられました。手放した理由は、地政学的な緊張を考慮した決定だったと明らかにしています。相場の生き字引たちが、どのように世界を捉えて判断/選択を下しているのか?を良く観察した方が良いと思います。

【レビュー】メガスレット -世界経済を破壊させる10の巨大な脅威-

今ある危機については、経済学者のヌリエル・ルービニ氏の著書『MEGATHREATS (メガスレット) 世界経済を破滅させる10の巨大な脅威』の一読をお勧めします。

過去にグローバル化からブロック化になった時に何が起きたのか?

歴史を紐解くと、過去にグローバル化の時代が明確に終わったわけではないが、世界経済の統合が縮小した時期があります。例えば、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけては、貿易保護主義、ナショナリズム、世界恐慌の時代でした。この時期には、いくつかの要因が世界経済の分断を招きました。

・保護主義

保護主義:多くの国が自国の産業を保護するために関税を引き上げ、貿易障壁を課した。保護主義:多くの国が国内産業を保護するために関税を引き上げ、貿易障壁を設けた。アメリカの1930年のスムート・ホーリー関税法は、世界経済の状況を悪化させた保護主義政策の一例である。

・経済ナショナリズム

各国が自給自足に重点を置き、国際貿易や協力を犠牲にして国内産業を振興した。その結果、世界経済の相互依存が低下した。

・通貨戦争と競争的切り下げ

通貨戦争と競争的切り下げ:国際貿易で優位に立つため、通貨価値を操作する。このため、世界経済はさらに不安定になり、世界恐慌が深刻化した。

・世界恐慌

1929年に始まった景気後退は、世界経済に壊滅的な影響を与えた。高失業率、銀行倒産、国際貿易の縮小を招いた。

この時期、世界経済はより細分化され、各国は互いに独立して活動するようになりました。第二次世界大戦後、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、関税貿易一般協定 (GATT [後に世界貿易機関 WTO に発展] などの国際機関が設立され、状況は変化しました。これらの組織は、国際的な経済協力と貿易の自由化を促進することを目的とし、新たなグローバリゼーションの時代へとつながっていきました。

グローバル化の歴史的な循環

続いて、グローバル化の歴史的な循環について振り返ってみたいと思います。グローバリゼーションは、国際貿易、投資、協力の拡大期と縮小期を繰り返しながら、いくつかの歴史的サイクルを経てきました。以下では、グローバリゼーションの歴史における主要な局面を概観します。

・前近代グローバリゼーション(16世紀以前)

グローバリゼーションの初期は、古代文明による長距離交易に端を発しています。シルクロードやインド洋の貿易ネットワークは、異なる地域間の商品、アイデア、技術の交換を促進した。

・大航海時代(15~17世紀)

ポルトガル、スペイン、オランダなどのヨーロッパ諸国が、アジア、アフリカ、アメリカ大陸への交易路を確立した時代。この時代には、ヨーロッパの文化、商品、思想が広まり、世界的な相互の結びつきが強まりました。

・グローバリゼーションの第一波(19世紀~20世紀初頭)

産業革命と技術の進歩(蒸気船や電信など)により、国際貿易、投資、移住が急増した。また、世界的な金融市場や多国籍企業の出現もこの時期です。

・グローバル化からの後退(20世紀前半~中盤)

第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、グローバルな経済統合は著しく縮小した。保護主義的な貿易政策、経済ナショナリズム、世界恐慌などが、国際貿易と協力の減少につながった。

・グローバリゼーションの第二波(第二次世界大戦後~現在)

第二次世界大戦後、IMF、世界銀行、GATT/WTOなどの国際機関が設立され、国際経済協力と貿易自由化が促進された。さらに、インターネットなどの技術進歩やソビエト連邦の崩壊によって、グローバルな相互接続と経済統合が進み、その流れはさらに加速した。

このようなサイクルの中で、グローバリゼーションは、技術の進歩、政治的決断、経済状況など、さまざまな要因によって影響を受けてきました。グローバリゼーションは著しい成長と相互接続を経験していますが、歴史的なサイクルでは、拡大期と縮小期があることを認識しておくことが重要です。

投資家は、このようなサイクルと、それがグローバル市場や投資戦略に与える潜在的な影響について考慮しておく必要があります。(ニッセイ基礎研究所の記事「ロシアのウクライナ侵略は「グローバル化の終わり」を告げるのか」に掲載されています、グローバル化の歴史的な循環の図表が非常にイメージしやすいので参考にして下さい)

まとめ

もしあなたがパッシブ投資家で超長期のインデックス投資家なら、指数を積立投資していれば良いと思います。そしてもしあなたが、私のように個別株もトレードしていて、相場や歴史のサイクル、トレンド、パターンについて研究しており、「〇〇を買っていれば大丈夫」という民衆の声に何かサインを感じ始めたとしたら、そうじゃない人たちがどのような投資戦略を考えているのか?調べてみるのも良いかもしれません。ある人は、

インデックスならイギリスですね。CAPEレシオでいったら日本より割安だし、知名度の高い世界的企業も多いですから。

など、様々な視点を持っています。私は今の水準から指数を買うのはあまり妙味を感じません。最後につみたてNISA枠で全世界株式を買い増ししたのは2023年3月頃でした。来年から新NISAも始まりますが、今のうちから戦略を練っていきたいと思います。