2023年10月28日以降、海外の投資家の間で現在 (2023年) の市場環境は1987年ブラックマンデーの暴落時に類似しているといった見方が注目されています。
この議論を巻き起こしたのが、1987年ブラックマンデーの株価暴落時にスタンレー・ドラッケンミラー氏が残した「強気から弱気に転じたタイミング」についての洞察です。
史上最も成功したヘッジファンド・マネジャーの一人であるスタンレー・ドラッケンミラーは、1987年の株価暴落を含め、主要な市場イベント時の思考プロセスについて貴重な洞察を提供しています。
1987年の株価暴落時に、ドラッケンミラー氏が強気スタンスから弱気スタンスに転換した要因を次のように語っている。
強気から弱気に転じたタイミングは何だったのですか?
Druckenmiller on 1987 collapse pic.twitter.com/Uf92Wmctox
— Don Johnson (@DonMiami3) October 28, 2023
いくつかの要因が重なった。バリュエーションが極端に行き過ぎていた: 配当利回りは2.6%まで低下し、株価純資産倍率は史上最高水準にあった。また、FRBは一定期間引き締めを続けていた。つまり、市場の強さは主に高資本銘柄に集中し、幅広い銘柄は大きく出遅れていた。この要因によって、ラリーは吹っ飛んだように見えた。
ドラッケンミラー氏は、市場のバリュエーションが極端に引き伸ばされており、更に配当利回りが2.6%まで低下し、株価純資産倍率が史上最高値に達していることを指摘した。
これらは割高市場の典型的な兆候であり、企業の基礎的な収益や資産に比べて価格が不釣り合いに上昇している。
・金融政策
FRBは一定期間、金融引き締めを続けてきた。これは通常、インフレを抑制するために金利を引き上げるもので、過熱した経済を冷やす効果がある。また、金利の上昇は株式に比べて債券の魅力を高め、株式市場からの投資フローのシフトにつながる可能性がある。
・テクニカル分析
ドラッケンミラー氏のテクニカル分析によると、市場の強さは広範なものではなかった。市場の強さは主に高資本銘柄に集中しており、その他の銘柄は大きく出遅れている。これはラリーが幅広い銘柄に支えられていないことを示す赤信号であり、ラリーの持続性を低下させる。
割高感、金融引き締め、銘柄幅の不足が重なり、ドラッケンミラーはこの上昇相場を「ブローオフ(吹き飛ばし)」と見ている。ブローオフ・ラリーとは、株価の急激で持続不可能な上昇を特徴とし、多くの場合、ファンダメンタルズよりもむしろ投機的な取引によって引き起こされる。
海外投資家の反応
$SPY YOU HAVE BEEN WARNEDhttps://t.co/QjsdoEGcem
Growing parallels between 2023 and 1987 (the year of the Black Monday crash) are raising concerns about a potential collapse in stock prices and treasury yields.
Last week, Jerome Powell delivered a stark warning on financial… https://t.co/oSCUAIDlV1
— Ahan Vashi (@TQInvestor) October 28, 2023
2023年と1987年(ブラックマンデーの暴落の年)の類似性が高まり、株価と国債利回りの暴落の可能性に対する懸念が高まっている。
先週、ジェローム・パウエルは、マクロ経済と地政学的なテールリスクが高まる中、長期国債利回りの急上昇により金融環境が厳しくなっていると厳しい警告を発した。
不変の貨幣法則によれば、S&P500(SPY)は現在の水準から25~50%以上下落する可能性がある。
ここ数カ月と似ている?歴史はまた繰り返す。
2023年はまさに1987年のようだと言える。
1987 conditions where market collapsed almost a mirror on todays state in the market.
I don’t think certain market leaders are right or wrong, but some have a better intuition for certain conditions than others. Druckenmiller is prescient on crashes. https://t.co/H0QAi9D21F
— Rouleur Capital (@RouleurCapital) October 29, 2023
市場が崩壊した1987年の状況は、今日の市場の状況を映す鏡のようだ。特定のマーケット・リーダーが正しいとは思わないし、間違っているとも思わない。ドラッケンミラーは暴落に関して先見の明がある。
10月29日現在、投資家は株式に対して非常に慎重な姿勢を保っており、一部で強気派 (筆者も買いに入っているものの) が散見されるものの、市場全体では様子見中 (みんなが買いに入ってから入りたい) と弱気派が優勢のような気がしています。
最悪の経済結果は資産バブルの後に起こる傾向がある
2023年5月のカンファレンスでスタンレー・ドラッケンミラー氏が述べていたのは、「最悪の経済結果は資産バブルの後に起こる傾向がある」ということです。
ドラッケンミラー氏は、エドワード・チャンセラー2022年の著書『The Price of Time』を取り上げ、最悪の経済結果は資産バブルの後に起こる傾向があることを指摘しています。
1つ目は、最悪の経済結果は、あまりにも簡単に作られた資産バブルの後に続く傾向があること、
2つ目は、私の仕事における大きな格言は、FRBと戦ってはいけないということです。
私は今、これまで見たことも、研究したこともないような、最大かつ最も広範な資産バブルを目の当たりにしているところです。このバブルは10年、11年と続き、そしてグランドフィナーレを迎えました。
ドラッケンミラー氏は、この5月のカンファレンスで、旅行、レストラン、そういったものはかなり堅調です。しかし、その他の分野では、トラック運送業は、私の会社では6~8ヶ月先の経済予測をする際の指針となっていますが、非常に弱い状況です。
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と述べており、2023年10月29日現在、大型トラックの販売台数を確認してみると、23年6月に一旦反発するも8月を境に再び下落に転じています。サイクルで考えると、一旦天井を打った可能性があり、転換点を迎えている可能性もあるかもしれません。