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Rocket Lab (ロケット・ラボ) 2022年第2四半期決算振返り

2022年8月11日に2022年の第2四半期決算を発表した Rocket Lab (ロケットラボ) の決算を振り返ってみましょう。

前四半期比36%増、前年同期比392%増の5550万ドルの過去最高売上高を達成。第3四半期の売上高は6,000万ドルから6,300万ドルの範囲と予想を発表しました。

2022年第2四半期、当社のチームは、絶え間ない実行の実績を維持し、これまでの通年で他のどの小型打上げ輸送業者よりも多い、3回の打上げを成功させることができました。

Rocket Lab の創設者兼CEOである Peter Beck は、次のように述べています。

Electron は、第2四半期にさまざまな商業衛星群運用会社とNASAのために衛星を軌道に送り、第2四半期終了後には国家偵察局のために連続して打ち上げを行い、業界で最も信頼できる小型ロケットとしての地位を維持している。

我々は、打上げと宇宙船技術の限界を押し広げ続けており、この戦略によって、NASAの月探査ミッションCAPSTONEを成功させることができました。この非常に複雑な2段階のミッションは、エレクトロンでの完璧な打ち上げと、自社で設計・製造したルナ・フォトン宇宙船による弾道的月遷移軌道への展開の成功を含み、火星と金星への将来の深宇宙ミッションへの道を開くものでした。

第2四半期の収益の66%を占める宇宙システム事業で、幅広い勢いが続いていることは心強いことです。宇宙システムは引き続き重要な成長分野であり、ロングビーチにある衛星群製造施設の建設は実質的に完了しました。

この生産施設は、Varda Space Industries、Eta Space、カリフォルニア大学バークレー校など、さまざまな顧客からの受注残の宇宙船の製造をサポートするほか、今年の第1四半期にMDAがロケットラボに発注した1億4300万ドルの下請けの一部として、グローバルスター向けの500kg宇宙船バス17基を製造します。

■第2四半期決算
売上高: $55.5m
調整後EBITDA 8.5百万ドルの損失
キャッシュ: 542.5百万ドル

■第3四半期ガイダンス
売上高:6000万ドル~6300万ドル(打上げ輸送サービス2300万ドル、宇宙システム3700万ドル~4000万ドル)。
調整後EBITDA 800万ドル~1200万ドルの損失

■第2四半期の収益内訳
スペースシステム:3,640万ドル
打上げ:1,910万ドル
バックログ合計:5億3140万ドル

2022年第2四半期のビジネスハイライト

– 第2四半期に3つの Electron ミッションを成功させ、これまでの通年で米国のどの小型ロケットプロバイダーよりも多く打ち上げを行った。NASAの月探査機 CAPSTONE や、BlackSky、Unseenlabs、E-Space、Swarm の商業衛星4社の衛星を打ち上げるミッションがあり、このうち3社はエレクトロンのリピート顧客であった。

– NASAの月探査ミッション「CAPSTONE」の打ち上げに成功。この非常に複雑な2段階のミッションは、エレクトロンによる完璧な打上げと、Rocket Lab が設計・製造したルナ・フォトン宇宙船による弾道的月遷移軌道への展開に成功した。このミッションは、火星や金星への深宇宙ミッションへの道を開くものであり、打ち上げや宇宙システムの能力を印象付けるものでした。

– 2022年後半から2024年にかけて、3つのエレクトロンミッションで15基の衛星を打ち上げる契約をホークアイ360と締結しました。3つのミッションのうち最初のミッションは、2022年12月にバージニア州の Launch Complex 2 から Rocket Lab の初号機として打ち上げられる予定です。

– エレクトロンブースターのヘリコプターによる初の空中捕獲に成功し、ロケットの再利用性プログラムを推進。

– 地球大気の最外層である外気圏の変化を調査する最初のミッションであるNASAのGLIDE宇宙船の太陽電池パネルの製造に選定される。

– バージニア州にニュートロンロケット製造棟を着工

– MAX Flight Software は、航空宇宙産業のプライムコントラクター、米国空軍、米国国防総省、NASA、民間宇宙船の開発・運用に使用されている、市販の主要なソフトウェアプラットフォームで、50ミッションを突破しました。

2022年6月30日以降、ロケット・ラボは以下のような活動も行っています。

– 国家偵察局(National Reconnaissance Office)のために、3週間余りで2つの連続したミッションを成功させ、国家安全保障コミュニティのためのレスポンシブな打ち上げを実証しました。

– 迅速な打上げと宇宙船の打ち上げを可能にする「レスポンシブ・スペース・プログラム」を導入。

– 米国宇宙軍の新型ミサイル警戒衛星への太陽光発電の供給を決定。

Q2の決算後に株価は一旦利確売りが出るものの、市場の地合いも買い優勢となり決算発表後の週は大きく買われる展開となりました。2022年6月下旬につけた底値3.53ドルから1ヶ月半で株価は2倍の7.23ドルとなっています。

確かに Rocket Lab は、宇宙SPACの中でも最も実績がある銘柄でしたが年初から始まるベアマーケットでは過小評価されていました。しかしQ2に全ての打上げに成功し、NASAや国家偵察局との重要なミッションを遣り遂げたことが更なる信頼につながりました。

グローバル・オービタル宇宙ロケット打ち上げ2022年Q2データを読み解く

BryceTech が第二四半期に発表した「グローバル・オービタル宇宙ロケット打ち上げ」の資料でも、NewSpace 企業としては Rocket Lab が健闘していることが伺えます。

宇宙システム事業が好調!

Rocket Lab の創設者兼CEOの Peter Beck 氏も述べているように、ロケットの打上げよりも宇宙システム事業 (スペースシステム) が非常に好調であることがQ1決算から引き続き顕著です。

7investing のCEO Simon Erickson 氏も Rocket Lab のスペース・システムに注目しており、7月の段階で以下のような考えを提示しています。

Rocket Lab についての私のスペースの考えを簡単にまとめました。

– 宇宙経済を民主化する。小規模な企業でも打ち上げや運用を行うことができるようになった。
– SpaceX のライドシェアとは異なるスイムレーン。どちらも勝者になれる。
– Space Systems の貢献が大きくなっている。

Astralytical のファウンダー Laura Seward Forczyk さんは、投資家が打ち上げだけに注目していることを指摘しています。

ロケットラボは打ち上げよりも宇宙システムで儲けている。打ち上げは宇宙産業全体のごく一部。

このツイートに対して起業家の Aravind 氏は、「宇宙市場区分の推定規模」について以下のデータを提示し、宇宙産業のある分野がメディアに取り上げられる量は、全体の収益シェアに反比例していることを指摘しています。

図) 今日の宇宙市場区分の推定規模

図表1:今日の宇宙関連経済の大部分はデータ駆動型である。

・商業衛星を利用したサービス (データ) $150B+

・人工衛星の製造 ~$40B

・宇宙旅行 <$1B

今日の商業宇宙経済全体は3,500億ドル超

まとめ

7investing のCEOも注目していた通り、スペースシステム分野の成長が著しく実績の面でも大きく躍進しました。また決算前にウォール・ストリート・ジャーナルに以下のような見出しの記事が取り上げられました。

ロケットラボは既に「科学」SPAC銘柄とは一線画す。地政学的な緊張により、この市場は、広範囲な防衛力強化の一環として、驚異的なスピードで拡大する可能性。 – Wall Street Journal

この流れで8月はまだ買われるようなことが続くかもしれません。しかし8月後半は夏枯れ、9月10月は中間選挙を控え鬼門月ですので、焦って買うよりは観察を続け押し目や、再びの下落局面を待っても良いかもしれません。