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2023年バイオテクノロジー企業のM&A (買収) 一覧

2023年買収されたバイオ企業の詳細

2023年買収されたバイオテクロジー企業の詳細、買収元会社、買収金額、パイプラインについてご紹介します。米大手ヘッジファンドのコーエンは、2023年のバイオセクターのパフォーマンスを振り返り、バイオテクノロジー株は10月の猛烈な下げの後、11月に反発したが、専門家のセンチメントの回復は遅れていると指摘する。

一方で今年の秋以降、大ブームをもたらした GLP-1 関連銘柄への熱意は持続していると言います。残念なことに、この関心は時価総額の小さいバイオ医薬品には及ばず、成長見込みが特に魅力的と思われる一部の大型バイオ医薬品を支えているに過ぎないと。

また2024年に目を向けると、多くの専門家は、バイオテクノロジーを苦しめている問題は、高金利と不透明な経済環境の結果であり、そのため雲行きが怪しくなると懸念しているとしつつも、バイオ医薬品セクターは実際、基礎的な進歩を遂げている。

実際、FDAは、1993年に統計を開始して以来、3年を除くすべての年よりも多い、2023年の52番目のNME (New Molecular Entity = 新しい分子構造を持つ薬物) を承認した。イノベーションは健在で、パイプラインは充実している。バイオ医薬品のビジネスモデルがL-T価値を創出する能力を低下させるような根本的な変化はないと語っている。

以上のように、2023年はAIブームの陰に隠れてしまった感もあるが、一大ブームを巻き起こしている GLP-1 薬市場への期待や、バイオセクターの買収なども活発に行われています。

バイオテクノロジー業界における統合は興味深い傾向にあります。これは、大企業による中小企業の買収、対等合併、あるいは戦略的提携など。統合の背景には、大企業がパイプラインを埋める必要性、革新的技術へのアクセス、中小企業に対する財務的圧力など、さまざまな要因があります。

2023年のバイオ企業のM&A

発表日 対象企業 買収企業 取引価格 ($M) 開発段階
2023年1月3日 Kura Oncology Roche 2,100 Phase 2
2023年1月7日 TeneoBio Gilead Sciences 1,100 Phase 2
2023年1月13日 Cyrus Therapeutics Johnson & Johnson 1,200 Phase 2
2023年1月20日 Evelo Biosciences Bristol Myers Squibb 1,600 Phase 2
2023年1月26日 Solstice Neurosciences Eli Lilly 2,200 Phase 3
2023年2月10日 Innovent Biologics Pfizer 23,000 Phase 3
2023年2月14日 Tonix Pharmaceuticals Astellas 1,200 Phase 2
2023年2月22日 TateBio Shire 2,300 Phase 2
2023年3月13日 Seagen Pfizer 43,000 Marketed
2023年3月13日 Provention Bio Sanofi 2,900 Marketed
2023年4月16日 Prometheus Biosciences Merck & Co. 10,800 Phase 2/3
2023年4月18日 Bellus Health GSK 2,000 Phase 2
2023年4月25日 Spectrum Pharmaceuticals Assertio Holdings 248 Marketed
2023年4月30日 Iveric Bio Astellas 5,900 Filed
2023年5月10日 CTI Biopharma Sobi 1,700 Marketed
2023年5月22日 VectivBio Ironwood Pharmaceuticals 1,150 Phase 3
2023年6月6日 Paratek Pharmaceuticals Novo Holdings, Gurnet Point 123 Marketed
2023年6月12日 Chinook Therapeutics Novartis 3,200 Phase 3
2023年6月20日 Dice Therapeutics Eli Lilly 2,400 Phase 2
2023年6月26日 Qpex Biopharma Shionogi 100 Phase 1
2023年7月28日 Reata Pharmaceuticals Biogen 7,300 市販済
2023年8月9日 Decibel Therapeutics Regeneron 109 Phase 1/2
2023年8月14日 Zynerba Pharmaceuticals Harmony Biosciences 60 臨床第3相
2023年8月31日 Mindset Pharma Otsuka Pharmaceutical 59 臨床第2相
2023年9月26日 Intercept Pharmaceuticals Alfasigma 794 市販済
2023年10月3日 Point Biopharma Eli Lilly 1,400 臨床第3相
2023年10月5日 Mitokinin AbbVie 110 前臨床
2023年10月5日 Orchard Therapeutics Kyowa Kirin 387 市販済
2023年10月8日 Mirati Therapeutics Bristol Myers Squibb 4,800 市販済
2023年10月23日 Telavant Roche 7,100 臨床第3相
2023年11月13日 Forge Biologics Ajinomoto 554 臨床第1/2相
2023年11月15日 Propella Therapeutics Astellas Pharma 175 臨床第1相
2023年11月30日 ImmunoGen AbbVie 10,100 市販済
2023年12月3日 Carmot Therapeutics Roche 2,700 臨床第2相
2023年12月6日 Cerevel Therapeutics AbbVie 8,700 臨床第3相

2023年のバイオ医薬品業界のM&A取引は、活発に行われました。特に、Phase 3の開発段階にある製品を対象とした取引が多く見られました。これは、バイオ医薬品業界において、製品の上市に近づいた企業が買収の対象となりやすいことを示しています。

また、M&A取引の買収企業には、大手製薬企業が多く含まれています。これは、大手製薬企業がバイオ医薬品業界への参入や、既存のポートフォリオの強化を目的として、M&Aを積極的に活用していることを示しています。

2023年、製薬企業のM&Aハイライト

・ニューロサイエンスの成長
アッヴィ(ABBV)は、セレベル・セラピューティクス(CERE)を87億ドルで買収し、神経科学のポートフォリオを強化した。これは、製薬業界における神経学的治療の重要性の高まりを強調するものである。

・血圧の争奪戦が激化
アストラゼネカ(AZN)は、株価下落の機会を捉えてシンコール・ファーマ(CINC)を18億ドルで買収し、その過程で有望な血圧治療薬を獲得した。これにより、すでに加熱している高血圧市場にさらなる競争がもたらされる。

・脱毛症治療が主役に
サン・ファーマ(SUN)がコンサート・ファーマシューティカルズ(CNCE)を5億7,600万ドルで買収。この買収は、脱毛症のようなアンメット・メディカル・ニーズへの注目が高まっていることを浮き彫りにしている。

・IBDのブロックバスター競争開始
メルク(MRK)は、110億ドルを投じてリータ・ファーマシューティカルズ(RDRX)を買収し、ブロックバスターとなる炎症性腸疾患(IBD)市場における覇権争いの口火を切る。

・ゲファピキサントの競合激化
グラクソ・スミスクライン(GSK)は、20億ドルを投じてベラス・ヘルス(BLS)を買収し、ゲファピキサントのライバル争いに参入した。これにより、慢性咳嗽治療薬の競争はさらに激化する。

・眼疾患への注力が強まる
アステラス製薬はIveric Bio (ICLK)を59億ドルで買収し、眼疾患治療薬に関するFDAの重要な決定を前に、一連の大型買収を続けている。

・腎臓病への意欲
ノバルティス(NVM)は、KDNYの32億ドルの買収により腎臓病パイプラインを強化し、この重要かつ十分な治療を受けていない治療領域への注目が高まっていることを示す。

・IL-17経路がまたもや信任される
イーライリリー(LLY)は、ディセルナ・ファーマシューティカルズ(DICE)を24億ドルで買収し、IL-17経路へのコミットメントを倍増させ、自己免疫疾患の治療ポートフォリオを拡大する。

・放射性医薬品が牽引役となる
リリーはプレシジョン・セラピューティクス(PNT)を14億ドルで買収し、提供する医薬品の多様化を進め、急成長する放射性医薬品市場での足掛かりを得る。

・オンコロジーの専門性が拡大
ベーリンガーインゲルハイムは、5億ドルを投じてベクティビオ・ホールディングAGを買収し、がん治療薬の専門性を強化。

全体として、2023年の医薬品M&Aの展望は、大手企業によるダイナミックで戦略的なアプローチを反映している。神経科学、血圧治療、脱毛症のようなニッチ市場が大きな注目を集めている一方で、IBDや腫瘍学のような既存のプレーヤーは激しい競争を続けている。さらに、放射性医薬品やIL-17経路薬剤のような革新的な技術が牽引役となり、製薬業界の将来を形成している。

Myovant (マイオバント・サイエンシズ / MYOV)

Myovant Sciences (マイオバント・サイエンシズ / MYOV) は、Sumitovant Biopharma によって買収されました。この買収は2023年3月10日に完了し、元々2022年10月23日に発表されました。Sumitovant は、Myovant がすでに保有していないすべての未発行株式を現金取引で取得し、総取引額は約17億ドルです。

Sumitovant のCEOである Myrtle Potter は、この買収により女性の健康と前立腺がんにおける未解決のニーズに対処するために、Myovant と協力していくことを楽しみにしていると述べています。

また、Sumitomo Pharma のCEOである Hiroshi Nomura は、Sumitovant と Myovant の能力と強みを組み合わせることで、革新的な治療法を患者に早期に提供し、ORGOVYX® と MYFEMBREE® の潜在的な機会を加速することができると述べています。

Myovant のパイプライン

Myovant が買収される主な理由の一つは、その強力な製品パイプラインと既に市場に出ている主力商品です。特に、以下の製品が注目されています。

・ORGOVYX (relugolix)
これは、前立腺がん治療用の経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬です。ORGOVYX は、テストステロンのレベルを迅速かつ持続的に低下させることで、前立腺がんの成長を抑制します。この薬は、特に進行性の前立腺がんの患者に対して有効です。

・MYFEMBREE (relugolix組み合わせ療法)
これは、子宮筋腫による重度の月経出血の治療に使用される経口薬です。MYFEMBREE は、月経出血を減少させ、子宮筋腫に関連する症状を改善することが示されています。

Myovant の買収は、製品の成長を促進し、両社の強力なパイプラインの開発を加速することを目的としています。Myovantは、2016年の設立以来、米国とヨーロッパでその製品の5つの規制承認を獲得し、ホルモン感受性がんと女性の健康において、目的に応じた科学、力強い医薬品、変革的なアドボカシーを通じてケアを再定義することを目指しています。

MYOB 買収詳細

・買収元 : Sumitovant Biopharma
・分野 : がん治療
・パイプライン : 「ORGOVYX」前立腺がん治療用の経口ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬
・パイプライン : 「MYFEMBREE」子宮筋腫による重度の月経出血の治療に使用される経口薬
・買収金額 : 約17億ドル

Provention Bio (プロベンション・バイオ / PRVB)

Provention Bio (プロベンション・バイオ / PRVB) は、Sanofi によって買収されました。この買収は2023年3月13日に発表され、買収金額は約29億ドルです。Provention Bio の株式は1株あたり25ドルで現金取引されました。

Provention Bio の買収により、Sanofi はそのポートフォリオに革新的で初めてのクラスに属する1型糖尿病(T1D)治療薬「TZIELD (teplizumab-mzwv)」を加えました。TZIELD は、米国で承認された最初で唯一の治療法であり、成人および8歳以上の小児患者におけるステージ3の1型糖尿病の発症を遅らせることができます。

ステージ3の1型糖尿病は、重大な健康リスクを伴い、進行すると患者は生涯にわたってインスリン注射が必要になります。この買収は、Sanofi の免疫介在疾患および高い未満足ニーズのある分野における疾患修飾療法における成長と、糖尿病における同社の専門知識との交差点において戦略的な適合性を持ちます。

Sanofi は、糖尿病におけるその能力を活用して、TZIELD の潜在的な可能性を世界的に、そして米国において最大限に引き出すことを目指しています。Provention Bio は、免疫介在疾患における初期開発段階のパイプライン資産も持っています。

この買収は、既存の共同プロモーション契約に基づいて、必要とする患者に TZIELD を提供しています。Sanofi は、Provention Bio の革新的な治療法をできるだけ早くより多くの患者に届けるために、免疫学における同社のグローバルな専門知識を活用することを目指しています。

PRVB 買収詳細

・買収元 : Sanofi
・分野 : 1型糖尿病
・パイプライン : 1型糖尿病(T1D)治療薬「TZIELD (teplizumab-mzwv)」
・買収金額 : 約29億ドル、株式は1株あたり25ドルで現金取引

Seagen (シージェン / SGEN)

Seagen (シージェン / SGEN) は、2023年に Pfizer によって買収されました。この買収は、株式1株あたり229ドルで現金取引され、総取引額は明示されていませんが、Seagen の株主はこの提案を圧倒的多数で承認しました。買収は、特定の通常の終了条件と規制承認の受領を前提として、2023年末または2024年初頭に完了する予定です。

Seagen は、革新的ながん治療薬を発見、開発、商業化するグローバルなバイオテクノロジー企業です。同社は、シアトル地域に本社を置き、カリフォルニア、カナダ、スイス、欧州連合に拠点を持っています。Seagen の主要製品には、ADCETRIS® (brentuximab vedotin)、PADCEV® (enfortumab vedotin-ejfv)、TIVDAK® (tisotumab vedotin-tftv)、TUKYSA® (tucatinib) があります。

この買収は、Pfizer ががん治療における自社の能力を強化し、Seagen の革新的な治療法を世界中の患者に提供するための戦略的なステップとして位置づけられています。Seagen のCEOである David Epstein は、この買収が Seagen にとって重要なマイルストーンであり、Pfizer との統合により、より多くのがん患者に変革的な治療薬を提供する能力が加速されると述べています。

SGEN 買収詳細

・買収元 : Pfizer
・分野 : がん治療薬
・パイプライン : 革新的ながん治療薬
・買収金額 : 株式1株あたり229ドルで現金取引

Horizon Therapeutics (ホライゾン・ファーマ / HZNP)

Horizon Therapeutics (HZNP) は、Amgen (アムジェン) によって買収されました。この買収は、2023年10月6日に完了し、総取引額は27.8億ドルです。Horizon Therapeutics は、免疫介在疾患および希少疾患の治療に焦点を当てたバイオテクノロジー企業であり、この買収は Amgen にとって重要な戦略的ステップとなります。

Horizon Therapeutics のパイプラインには、免疫介在疾患および希少疾患の治療薬が含まれています。同社は、これらの治療領域において革新的な治療法を開発し、市場に導入してきました。

この買収により、Amgen は Horizon Therapeutics の革新的な治療法を取り入れ、自社の製品ポートフォリオを拡大し、免疫介在疾患および希少疾患の治療分野における地位を強化することが期待されています。また、Horizon Therapeutics の製品と研究開発能力は、Amgen の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

HZNP 買収詳細

・買収元: Amgen
・分野: 希少疾患
・パイプライン: 免疫介在疾患および希少疾患治療薬
・買収金額: 約27.8億ドル

Iveric Bio (イベリック・バイオ / ISEE)

Iveric Bio (イベリック・バイオ / ISEE) は、アステラス製薬によって買収されました。この買収は、2023年4月29日に発表され、総取引額は約59億ドルです。Iveric Bio の株式は1株あたり40ドルで現金取引されました。

Iveric Bio は、眼科領域における新規治療薬の発見と開発に注力しています。特に、Avacincaptad Pegol (ACP) という製品が注目されています。ACPは、加齢黄斑変性(AMD)に伴う地理的萎縮(GA)の治療薬として開発されており、FDAによる新薬申請が受理され、優先審査の対象となっています。ACPは、補体C5阻害剤であり、AMDに伴うGAの進行を遅らせる可能性があります。

この買収により、アステラス製薬は Iveric Bio の眼科領域における専門知識と革新的な治療薬を取り入れ、自社の製品ポートフォリオを拡大し、眼科領域における地位を強化することが期待されています。また、Iveric Bio の製品と研究開発能力は、アステラス製薬の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

ISEE 買収詳細

・買収元: アステラス製薬
・分野: 眼科領域
・パイプライン: 眼科領域の新規治療薬、特に「Avacincaptad Pegol (ACP)」
・買収金額: 約59億ドル、1株あたり40ドル

BELLUS Health (べルス・ヘルス / BLU)

BELLUS Health (べルス・ヘルス / BLU) は、GSK (グラクソ・スミスクライン / LSE/NYSE: GSK) によって買収されました。この買収は、2023年6月28日に完了し、総取引額は約20億ドル (£1.6 billion/C$2.6 billion) です。BELLUS Health の株式は1株あたり14.75ドルで現金取引されました。

BELLUS Health は、難治性慢性咳(RCC)の患者の生活を改善することを目指しているバイオ医薬品企業です。この買収には、特にcamlipixantという製品が含まれています。camlipixant は、成人患者のRCCの第一選択治療薬として現在第III相開発中の、高度に選択的なP2X3拮抗薬です。

この買収により、GSKはBELLUS Health の専門知識と革新的な治療薬を取り入れ、呼吸器系疾患における自社の製品ポートフォリオを拡大し、地位を強化することが期待されています。また、BELLUS Health の製品と研究開発能力は、GSK の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

BLU 買収詳細

・買収元: GSK plc
・分野: RCC (難治性慢性咳)
・パイプライン: 難治性慢性咳の治療薬「camlipixant」
・買収金額: 約20億ドル (£1.6 billion/C$2.6 billion)、1株あたり14.75ドル

CTI BioPharma (シーティーアイ・バイオファーマ / CTIC)

CTI BioPharma (シーティーアイ・バイオファーマ / CTIC) は、Swedish Orphan Biovitrum AB (publ) (Sobi®) (スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラム / SOBI) によって買収されました。この買収は、2023年5月10日に発表されました。Sobi は、CTI BioPharma を1株あたり9.10ドルで現金取引することで合意し、総取引額は約17億ドルに相当します。

CTI BioPharmaは、血液関連のがんと希少疾患に焦点を当てたバイオ医薬品企業です。この買収には、特にVONJO® (pacritinib) という製品が含まれています。VONJO®は、JAK2、IRAK1、ACRV1を阻害する新規の経口キナーゼ阻害剤で、JAK1を避ける特性を持っています。VONJO® は、2022年2月にFDAから加齢黄斑変性(AMD)に伴う地理的萎縮(GA)の治療薬として加速承認を取得しました。

この買収により、Sobi は CTI BioPharma の専門知識と革新的な治療薬を取り入れ、自社の製品ポートフォリオを拡大し、血液学および希少疾患治療分野における地位を強化することが期待されています。また、CTI BioPharma の製品と研究開発能力は、Sobi の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

CTIC 買収詳細

・買収元: Swedish Orphan Biovitrum AB (Sobi®)
・分野: がん治療薬
・パイプライン: 血液関連のがんと希少疾患治療薬、特に「VONJO® (pacritinib)」
・買収金額: 約17億ドル、1株あたり9.10ドル

F-star Therapeutics (スプリング・バンク・ファーマシューティカルズ / FSTX)

F-star Therapeutics (スプリング・バンク・ファーマシューティカルズ / FSTX) は、invoX Pharma によって買収されました。この買収は、2023年3月8日に完了しました。

F-star Therapeutics は、がん治療に焦点を当てたバイオ医薬品企業です。同社のパイプラインには、革新的ながん免疫療法が含まれており、特に、免疫チェックポイント阻害剤や多機能抗体などの新規治療薬の開発に注力しています。

この買収により、invoX Pharma は F-star Therapeutics の革新的ながん治療薬を取り入れ、自社の製品ポートフォリオを拡大し、がん治療分野における地位を強化することが期待されています。また、F-star Therapeutics の製品と研究開発能力は、invoX Pharma の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

FSTX 買収詳細

・買収元: invoX Pharma
・分野: がん治療
・パイプライン: がん免疫療法、免疫チェックポイント阻害剤、多機能抗体
・買収金額:

ImmunoGen (イミュノジェン / IMGN)

ImmunoGen (イミュノジェン / IMGN) 買収までの流れ

ImmunoGen (イミュノジェン / IMGN) は、AbbVie (アヴィ / ABBV) によって買収されました。この買収は、2023年11月30日に発表され、総取引額は約101億ドルです。ImmunoGen の株式は1株あたり31.26ドルで現金取引されました。

ImmunoGen は、特に固形腫瘍の治療に焦点を当てたバイオ医薬品企業です。この買収には、特に ELAHERE® (mirvetuximab soravtansine-gynx) という製品が含まれています。ELAHERE® は、プラチナ耐性卵巣がんの治療薬としてFDAによる加速承認を受けた、初のクラスに属する抗体薬物複合体(ADC)です。この製品は、卵巣がん市場における早期治療ラインやより大きな患者セグメントへの拡大の機会を提供します。

この買収により、AbbVie は ImmunoGen の革新的な治療薬を取り入れ、自社の製品ポートフォリオを拡大し、固形腫瘍治療分野における地位を強化することが期待されています。また、ImmunoGen の製品と研究開発能力は、AbbVie の既存の製品ラインナップと相乗効果を生み出すことが予想されます。

IMGN 買収詳細

・買収元: AbbVie
・分野: ADC (抗体薬物複合体)
・パイプライン: 固形腫瘍治療薬、特に「ELAHERE® (mirvetuximab soravtansine-gynx)」
・買収金額: 約101億ドル、1株あたり31.26ドル

Zynerba (ジナーバ・ファーマシューティカルズ / ZYNE)

希少な神経精神障害のための医薬品を開発する Zynerba (ジナーバ・ファーマシューティカルズ / ZYNE) は、2023年10月11日に Harmony Biosciences (ハーモニー・バイオサイエンシズ) によって買収されました。この買収により、Harmony は睡眠/覚醒療法を超えた多様なポートフォリオを構築し、希少な神経精神障害の分野での高い未充足医療ニーズに対応することを目指しています。

Zynerba の主要なパイプラインは「Zygel™」を持っています。Zygel は、合成カンナビジオールを含む医薬品で、非ユーフォリックなカンナビノイドとして開発されています。FDAとEMAからFXS治療のための孤児薬指定を受けており、FXSの行動症状治療のためのFDAのファストトラック指定も受けています。

FXS および22q11.2削除症候群は、いずれも重要な治療オプションが不足している希少疾患です。この買収は、これらの疾患に対する新しい治療法の開発と商業化に向けた重要なステップを表しています。

この買収は、Harmony Biosciences が神経科学の分野でのリーダーシップを強化し、希少な神経精神障害の治療における革新的な治療オプションを提供するための戦略的な動きとして位置づけられています。

ZYNE 買収詳細

・買収元: Harmony Biosciences
・分野: 脆弱X症候群(FXS)
・パイプライン: 「Zygel™」Fragile X 症候群(FXS)のための第3相試験中であり、22q11.2削除症候群の第2相試験を完了しています。
・買収金額: 全株式を現金で1.1059ドル/株、合計約6000万ドルで買収しました。さらに、臨床、規制、販売のマイルストーンに基づいて最大1億4000万ドル、株当たり約2.5444ドルの追加支払いが可能な非流通型の条件付き価値権(CVR)を提供しました。

Carmot Therapeutics (カーモット・セラピューティクス)

Roche (ロシュ / SWX: ROG / RHHBY) による Carmot Therapeutics (カーモット・セラピューティクス) の買収合意が2024年12月4日発表されました。ロシュは、肥満症と糖尿病でクラス最高のポテンシャルを持つ3つの臨床段階の資産を含む Carmot Therapeutics を買収する最終的な合併契約を締結。

買収される要因となったパイプラインは、次の3つのパイプラインです。

CT-388: フェーズ2準備段階の、GLP-1/GIP受容体アゴニストで、2型糖尿病患者および非糖尿病患者の肥満治療に使用されます。週に一度の皮下注射で、単独または組み合わせ療法としての潜在的な利用があります。
CT-996: フェーズ1段階の、経口GLP-1受容体アゴニストで、2型糖尿病患者および非糖尿病患者の肥満治療に使用されます。
CT-868: フェーズ2段階の、GLP-1/GIP受容体アゴニストで、1型糖尿病患者の肥満治療に使用されます。

ロシュは Carmot の株主に対して、取引完了時に27億米ドルの現金を支払います。さらに、特定のマイルストーンの達成に応じて最大4億米ドルの追加支払いが行われる予定です。

この買収により、ロシュは肥満および糖尿病治療の分野で Carmot の革新的なパイプラインを取得し、自社の製品ポートフォリオを強化します。Carmot のパイプラインには、肥満および糖尿病治療における新しい治療オプションの開発に向けた有望な候補が含まれています。

Carmot 買収詳細

・買収元: ロシュ
・分野: GLP-1
・パイプライン: CT-388(フェーズ2準備段階のGLP-1/GIP受容体アゴニスト)、CT-996(フェーズ1段階の経口GLP-1受容体アゴニスト)、CT-868(フェーズ2段階のGLP-1/GIP受容体アゴニスト)
・買収金額: 27億米ドルの現金(取引完了時)、最大4億米ドルの追加支払い(マイルストーン達成に応じて)

Cerevel Therapeutics (セレベル・セラピューティクス)

Cerevel Therapeutics (セレベル・セラピューティクス / CERE) は、脳神経系の疾患を治療することに専念しているバイオ企業です。彼らは、神経回路の深い専門知識と特定の受容体サブタイプの選択性に重点を置いたアプローチを組み合わせて、これらの疾患に取り組んでいます。

Cerevel Therapeutics は、いくつかの臨床段階の治療法と前臨床化合物を持つ多様化したパイプラインを有しており、これらは神経系疾患の範囲、特に統合失調症、アルツハイマー病精神病、てんかん、パニック障害、パーキンソン病などの治療に可能性を持っています。

パイプライン

Emraclidine: M4選択的正のアロステリック調節因子(PAM)であり、統合失調症とアルツハイマー病精神病に対する治療として開発されています。2022年6月に統合失調症におけるフェーズ2プログラムが開始され、2つのフェーズ2試験(EMPOWER-1とEMPOWER-2)が行われています。

この試験のデータは2024年上半期に期待されています。さらに、アルツハイマー病精神病の第2の潜在的な適応症である開発をサポートするために、2022年第4四半期に高齢の健康なボランティアを対象としたフェーズ1多重上昇投与試験が開始されました。

Darigabat: α2/3/5選択的GABA_A受容体PAMで、てんかんとパニック障害の治療として現在開発中です。焦点を当てたてんかんにおけるフェーズ2の実証試験(REALIZE試験)が行われており、2023年半ばにデータが期待されています。また、2023年第2四半期にパニック障害のフェーズ2実証試験を開始する予定です。

Tavapadon: D1/D5部分作動薬で、パーキンソン病の治療のためのフェーズ3にあります。パーキンソン病の単独療法(初期段階)および補助療法(後期段階)の3つのフェーズ3試験(TEMPO-1、-2、および-3)が進行中です。

CVL-871: D1/D5部分作動薬で、認知症関連無気力の治療のために開発されています。現在、認知症関連無気力に対するフェーズ2a探索試験が行われています。

CERE 買収詳細 (計画中)

・買収元:ABBV (アヴィ)
・分野: 脳神経系の疾患
・パイプライン:
・買収金額: 87億ドル、1株当たり$45前後で買収することで合意間近

Icosavax (アイコサバックス)

Icosavax (ICVX) は、生命を脅かす呼吸器疾患に焦点を当てた、革新的なVLP(ウイルス様粒子)プラットフォーム技術を活用してワクチンを開発するバイオ医薬品会社です。

Icosavax の主要プログラムは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)とヒトメタニューモウイルス(hMPV)を標的とする組み合わせワクチン候補です。そのパイプラインには、インフルエンザやSARS-CoV-2など、将来の組み合わせワクチンや汎呼吸器ワクチンの潜在的な成分としての候補も含まれています。

Icosavax は、2023年12月12日に AstraZeneca によって、1株あたり15ドルの現金で買収されることが発表されました。さらに、特定の規制および純売上高のマイルストーンが達成された場合には、1株あたり最大5ドルの非売買可能な条件付き価値権利(CVR)を受け取る権利があります。

この取引の前払い現金部分は約8億3800万ドルの企業価値を表し、Icosavax の2023年12月11日の終値に対して43%のプレミアムを含んでいます。前払いと最大の条件付き価値支払いを合わせると、約11億ドルの企業価値となり、終値に対して91%のプレミアムを含んでいます。

AstraZeneca のワクチンおよび免疫療法部門のエグゼクティブ・バイスプレジデントである Iskra Reic は、このウイルス様粒子ワクチン技術が重篤な感染症の予防を変革する可能性があると述べています。

Icosavax のフェーズIII準備が整った主要資産の追加により、AstraZeneca は差別化された先進的な調査ワクチンを持つことになり、呼吸器ウイルスに対する組み合わせワクチンのさらなる開発のプラットフォームを持つことになります。これは、感染症における高い未満足のニーズに対処する治療法のポートフォリオを提供するという AstraZeneca の戦略と一致しています。

ICVX 買収詳細

・買収元 : AstraZeneca
・分野 : 汎呼吸器ワクチン
・パイプライン:
・買収金額: 約8億3800万ドル、1株当たり$15ドルで買収

2023年バイオ企業買収の総括

2023年に買収されたバイオ企業の中で、Sumitovant Biopharma、Sanofi、Pfizer、Amgen、アステラス製薬、GSK、Swedish Orphan Biovitrum AB などが買収元として挙げられています。

買収された企業のパイプラインには、前立腺がん治療薬、1型糖尿病治療薬、革新的ながん治療薬、眼科領域の新規治療薬、難治性慢性咳の治療薬などが含まれています。これらの製品は、それぞれの企業の強みを示し、買収の魅力を高めています。

評価と市場の動向

・評価額 (EV)
買収された企業の評価額は、それぞれの企業の市場での地位や将来の成長ポテンシャルを反映しています。

・ニーズと市場
買収された企業の製品は、特定の治療領域における重要なニーズを満たしており、市場での需要が高いことが示されています。

・ポテンシャル
買収された企業のパイプラインは、新しい治療法の開発における大きな可能性を持ち、買収元企業にとって重要な成長の機会を提供しています。

この記事は、2023年におけるバイオテクノロジー業界の動向と、特定の治療領域における革新的な治療法の開発がどのように市場の買収活動に影響を与えているかを示しています。

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