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日本は資産のある人だけが快適に暮らせる新興国に

日本は資産のある人だけが快適に暮らせる新興国に

今回はいつも個人投資家に学びを与えてくれる日本の優れたバリュー投資家、小塚さんのツイートを元に、日本の長期的な展望についてざっくりと確認しながら、日本に暮らす個人が気づいておかないといけないことについて記事にしてみたいと思います。

日本の今後の展望について知ることで、では日本に暮らす個人はどのような対処が今からできるのか?について考えて頂きたいと思います。まずはポイントとして、以下の点を抑えておきましょう。

  • ・ドル円の長期的な方向は円安
  • ・日本の黄金時代は既に終了している
  • ・外貨を稼ぐ力を見につけよう
  • ・超高齢化社会がもたらす負担増のスパイラルはこれから
  • ・インフレをヘッジせよ!
  • ・インフレ時代の負け組とは?

小塚さんの一連のツイートは非常に示唆に富む内容になっています。残念ながら多くの日本人は、まだこのことに気づいていないかもしれません。この記事を見て、日本の長期的な展望について捉え、あなたが今から取れるベストな選択を開始しましょう。

まずドル円については、2022年10月下旬の1ドル151円からFRBの利上げ局面が終盤に近づくにつれて、今度は円高に振れ、現在128円〜136円をレンジに推移しています。

2023年4月下旬現在、再びドル高に振れていますが、これも一時的で今後のトレンドは一旦円高に振れると思います。しかし長期的な視点では円安傾向待ったなしだと思います。その理由についても以下の記事で触れます。

長期的な視座で、円安傾向であるということは “円” だけ持っていては、2022年に経験したように急激な円安が進行した場合、今よりも貧しくなります。稼ぎがある、給料がまだまだ上がりそうだ!という人は良いかもしれませんが、特に預金しかしていない人、稼ぎが低飛行の人は要注意です。

円安が進行するということは資源のない日本という国の消費者にとって、輸入品の価格が上昇し、生活コストが増えます。また、燃料費や旅行費用なども高騰しますので、給料が上がらないのに、これまでよりも出費が増えるということになります。更に社会保障なども上がっていくことでしょう …


日本の長期展望

なぜ長期的に円安なのか?と言えば、今後の日本の展望を考えた時に、日本社会は構造的な問題として人口減少、超少子高齢化社会を止めることはできず、益々この流れが進行していくからです。つまり経済が成長できない構造にがっちり抑えられているのです。

人口減少は、労働力の供給を減少させ、経済活動を制約します。また、超少子高齢化社会は、社会保障費の増加や消費の減少など、経済に様々な影響を与えます。これらの問題は、日本の経済が成長するための構造的な障害となっています。

【選書】人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小

ちなみに、高齢化、労働人口の減少、インフレの再来、グローバル化の逆流は世界的なトレンドであり、チャールズ・グッドハートとマノジ・プラダンの著書『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』で詳しく述べられています。

少子高齢化の負担増はこれから

1990年代くらいから日本の少子高齢化は株式市場でも意識されています。2023年に入って日本のニュース番組でも人口減少について悲惨な現実を報道するようになりました。しかし少子高齢化の本当の負担が増えるのはこれからであり、これからもっともっと壮絶なことになることが予想されます。

日本って、超高齢化社会って言われてるけど、まあ何とかやっていけるのでは?と、思う方もいるかもしれませんが、壮絶なのはこれからです。日本の高齢化問題というのは、世界がまだ経験したことのない前例のない急速な人口減少です。今後更に日本は高齢者で溢れ、親の介護をしないといけない … という人は増えるでしょう。

伝説の投資家ドラッケンミラー氏は警告する

伝説の投資家ジョージ・ソロスの右腕として知られるスタンレー・ドラッケンミラー氏は、2023年5月1日に行われた USC Marshall 投資研究センターの第37回年次会議で基調講演を行い、将来の世代格差の問題や米国の財政赤字について警鐘を鳴らした。そこで彼は米国の債務上限危機についてコメントしています。

彼の主張は、米国は高い債務残高と政府の支援に頼る急速な高齢化によって財政危機に直面しているというもので、高齢者への支出は現在の税金の40%を占め、25年以内に70%まで上昇すると予測しています。ドラッケンミラー氏は、”何も変わらなければ、明日の年金は今の数分の一になり、医療費の半分以上は国が負担してくれなくなる“、と警告する。

20年後、30年後には、若い労働者が減り、支援を必要とする高齢者が増え…その出発点が、史上最高の国家債務なのです。だから、もしあなたが、現在の高齢者のように快適な老後を過ごせると信じているのなら、もう一度考えてみてください。気候変動と戦うための資源があると信じているのなら、考え直したほうがいい。算数が成り立たないのです。

ドラッケンミラー氏は、増税と福祉支出の削減以外に選択肢はないと考えている。

福祉を削減する必要はない、というのは嘘であり、幻想です。問題は、今削るか、後で削るかのどちらかである。そして、後になればなるほど、もっと悪くなる。

これが米国の現状であり、米国よりも高齢化が急速に進んでいる日本では、この現象が最も顕著に現れるはずだ。

多くの日本人の給与は上がらない?

世界的なインフレが日本経済にも侵食し、2023年1月ユニクロなどの世界的な日本企業では賃上げがなされました。しかしこの傾向が中小企業、派遣社員の人たちにも広がるか?というと、不透明な部分が多いと思います。

これまでは低金利&デフレの恩恵で日本で仕事をして、あまり贅沢をしなければそれなりの生活ができましたが、今後は円の価値も下がり給料は上がらないのに物価が上がり続けるというトレンドが続くと思います。そうすると弱い円を稼ぐよりも外貨を稼げないとなかなか厳しいと思います。

世界経済はグローバル化からブロック化、地政学リスクによるエネルギーの安全保障、少子高齢化など、インフレリスクのアップサイドが大きいです。一部のエリートを除き、外貨を稼ぐ能力を身につけなければ厳しい現実が待ち受けています。

更なる格差の拡大

また、金融緩和策は、資産価格の上昇を引き起こすことがあります。これが、経済格差の拡大につながる可能性があるとの懸念があります。ただし、格差の拡大に対処するためには、政策や制度の改革も重要であり、単純に金融緩和策だけを問題視するのは短絡的であるともいえます。

この構造的な問題に加え、国民が望む (自民党に投票するというのはその意思表示です) わけだからそうなるのはもう避けられないでしょう。こうなってしまうと、個人が愚痴っても仕方ないわけで、ならばこの状況に対して各々がどの振舞うのか?に尽きると思います。

個人は選択しなければいけない

一枚しかない自分の人生というコインをどう賭けるかという事だと思います。外貨を稼げるスキルを身につけるなり、先進国の給与が出るうちに稼ぎ切るなり (恐らくもうやや遅いと思います)、投資のスキルを磨き上げるなり、今持っている手駒から各人が選ぶ工夫が要ります。

実際に日本の低賃金に限界を感じた若者たちは外貨を稼ぎに海外に出ています。この動向については、NHKで特集番組も組まれ「日本人の若者が海外に出稼ぎへ 増加の裏側にある労働問題」話題を集めました。

この記事では、日本ではトラックドライバーなどをして働いていたという25歳の若者が、オーストラリアでは2倍くらい稼げていると言います。今後若者の間でも、日本で黙々と働くのか?海外に出て働くのか?によって、所得にも大きな差が生まれそうです。

まとめると、日本人の誰しもが、ある程度以上の生活を送れていたような最高の黄金時代は、もう既に終わりを迎え過ぎ去ってしまいました。そのことにどれだけの人が気付いているでしょうか …

持たざる者

既にある程度の資金を稼ぎあげた人にとっては、日本という国は世界的に物価も安く治安も良く、とても暮らしやすい国です。OECD の生活の質指数 Better Life Index は、各国の生活の質を11の異なる指標で評価していますが、日本は教育と安全性で特に高いスコアを獲得しています。

資金の他にも、インフレが生じても株や不動産を大量に保有していれば、全てヘッジ可能でしょう。逆に最も悲惨なのは、給与も上がらずにインフレだけが加速する (実質賃金の減少)、多くの一般人です。つまり年金生活者ですね。

これは物価 (インフレ) が上昇している一方で、給与 (名目賃金) が上昇しないか、またはそれ以下で上昇する場合に発生します。これだと購買力が減少し、生活が困難になるため、個々の労働者や家庭にとっては悲惨な状況です。

特に日本に大多数を占める年金受給者は国から決められた年金を受け取っています。市中金利が上昇するような環境では、年金のような固定収入の受給者は不利な立場に置かれます (年金は増えないから)。

年金の現在価値 (将来受け取る予定の年金を現在の価値に換算したもの) を求めると、年金のインカムフローは、割引率がどんどん金利上昇で大きくなると、もらえる年金価値がどんどん小さくなります。市中金利が高くなることで全ての年金受給者の生活が苦しくなるということです。

日本は資産のある人だけが快適に暮らせる新興国に

もう少し政治的にうまくやる道筋はあったと思うけど、パンデミックを経て新総理に日銀新総裁がこんな感じで政権も足元を固めつつあるとなれば、もうこれが既定路線と考えるしかない。東京や一部都市圏、資産家やエリートだけが快適に暮らすことのできる新興国になっていく。

つまり、これまでは多くの日本人がある程度の暮らしを送ることができていましたが、今後はもっと歪に、資産のある人とない人の格差が更に拡大していくものと思います。

これは日本の構造的な少子高齢化問題と、グローバル経済から再びブロック経済に向かっている一連の流れによるものでもあります。これまでは日本で仕事をこなしていれば、贅沢を言わなければそれなりの生活ができていたと思いますが、今後はそれすらも厳しくなるということです。

日本経済は、アジアのタイとか、欧州のギリシャ的な立ち位置

ブロガーのちきりんさんも兼ねてから仰られているように、孫の世代 (今の子供) は英語とか中国語を学んで外貨を稼げるようにならないと国内だけでは先細りです。藤沢数希さんがツイートしているような、

ハイテク産業のエンジニアや医師なんかは、将来的には奥さんと子供を日本に残して先進国に出稼ぎにいって、日本に仕送りする、というある種のフィリピン型経済になっていくかもしれませんね。英語勉強しましょう。

まあ、日本経済は観光立国のタイ辺りをモデルにしてるんでしょうけど、アジアのタイとか、欧州のポルトガル・ギリシャ的な立ち位置ですな。

このようなイメージが近いと思います。

日本のアルゼンチン化

サッカーの強いアルゼンチンは、世界で唯一先進国から脱落した国として知られています。アルゼンチンはかつては世界でも最も裕福な国の一つで、20世紀初頭には世界経済の主要なプレーヤーでした。

しかし、経済の不安定さ、政治の混乱、高インフレ、財政赤字、借金のデフォルト(債務不履行)、失業率の上昇、経済成長の停滞、度重なる経済危機により、アルゼンチンは先進国の地位を失いました。今日、アルゼンチンは新興市場経済国と見なされています。

その経済は依然として困難に直面しており、一部の専門家はアルゼンチンを「失われた豊かさの象徴」と表現しています。日本がアルゼンチンの跡を辿るとは思いませんが、日本の凋落には近いものがあります。

日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日

2002年に出版されたカナダ出身のジャーナリスト、ベンジャミン・フルフォードによる著書『日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日』では、アルゼンチン経済の大崩壊 crashing down は、日本の明日の姿だと言う。

今から20年以上も前の本ではありますが、本書では20年以上も前から欧米のエコノミストも、日本の金融関係者たちも、みなそう思っていると述べています。そして著書もそのひとりだと。

著者は、次々と内外の関係者を取材し、その誰もが日本経済の未来について有効な処方箋を持っていないことを知ったからだ。とくに、前FRB議長 Paul Volcker (ポール・ボルカー) 氏の次のような見方には衝撃を覚えた。

日本が現在置かれている状況は、これまでの経済学 economics の教科書にはないものです。先進国といわれる国でこのような状態に陥った国は、歴史上例がありません。とはいえ、日本が抱えている問題は経済問題ではなく、政治問題なのです。

インフレファイターとして知られる伝説のFRB議長ポール・ボルカー氏も、既に大局観を持って日本を捉えていました。日本がアルゼンチンになるのか?と言えば、アルゼンチンのようにはならないと思いますが、そのような危機感、かつて先進国から新興国に陥ってしまったアルゼンチンという国があり、その後庶民の生活はどのようになってしまったのか?などは知っておくと参考になるでしょう。

インフレをヘッジせよ!

日本の円安は長期的な話です。これは民主主義の弊害として付きまとうインフレ一般のことです。だから株式や不動産などに長期的に投資をすること、これは最悪のインフレが生じた近年のトルコですら、株式はドル建てで見ると一定のインフレヘッジが出来ている訳ですから、重要だと思います。

インフレが高まる状況では、通常、通貨の価値が下落します。これにより、現地通貨での資産価値は増加する可能性がありますが、強い通貨 (例えば当時の米ドル) で見ると、その価値は減少する可能性があります。しかし、株式などのリアルアセットは、一定のインフレヘッジ (インフレの影響を軽減する手段) として機能します。

トルコの例では、近年の高インフレとリラの価値下落にもかかわらず、トルコの株式はドル建てで見ると一定の価値を保っています。言葉が悪いですが、今後は益々貧乏人こそ経済を学び投資リテラシーを身に付ける必要があります。(私もその一人です)

・インフレ時代の敗者

インフレで最も損をするのは、労働者、サラリーマン、従業員、教師、年金生活者、債権者です。最も打撃を受けるのは、定収入を得ている人々で、中産階級と呼ばれています。なぜなら、賃金 (給料) は物価上昇程上がらないからです。

更にインフレ時代の敗者は、貯蓄者、固定金利や家賃で生活している人、年金生活者、年金基金、保険会社、そして金融資産を主に現金で持っている人々です。これらの人は収入が固定されているため、物価上昇期には苦しくなります。

【関連記事】日本も遂にインフレの再来、今こそ堅実な資産運用を身に付けよう

リスクは常に存在する

世界は変わりつつあります。今、私たちが直面している新しい世界は、「民主主義 vs 独裁主義」ロシア、中国、それに加担するインド vs 先進国といった分類になりつつあります。これは世界全体にとって不幸なことです。不幸の度合いから言えば一番不幸の度合いが高いのは台湾、その次が日本かもしれません。地理的に巻き込まれる可能性が高いからです。

このようにリスクは経済的、地政学的な面から様々存在します。更に、今の時代を生きる日本人にとってのリスクとして巨大地震のリスクもあると思っています。私は個別株投資を始めたことで、サイクル、トレンド、パターンに目を向けるようになりました。世界をサイクルで捉えると、歴史、経済、自然、地震などにもサイクルが存在します。

南海トラフ巨大地震で日本はどうなるのか?

サイクルを学ぶということは、過去を学ぶことであり歴史を学ぶことです。サイクルを捉えることができれば、次にどのようなことが起こるのか?というのを予想して、それに備えることが可能です。つまり大局観を得るということですね。

小塚さんもツイートされていますが、一人一人が置かれた環境は違います。つまり持ってる手札も異なるわけですね、その中で自分の使えるカードを上手く使っていくしかないわけです。若い人であれば人的資本を最大限に活用し、多くの手札を揃えることができるかもしれません。そうじゃない人はとにかく学ぶしかないと思います。私は幸いにも、学ぶ姿勢にはハングリーであり、学びを続けています。

「新NISA」の投資戦略を考える

株式投資を始めたい!という人は、とにかく相場で訓練を積んで下さい。その前に本を読んだり、まずはインデックス投資から、丁度2023年には新NISAも始まりますので、全力で新NISAを活用しましょう。そして一人で相場の海に航海に乗り出すのは中々時間がかかってしまうかもしれません。

【米株】じっちゃま流、投資の極意は生きる極意

そこでしっかりとした投資哲学を教えてくれる人の元で投資を学びながら相場を観察しましょう。間違っても変な投資系のインフルエンサーから学びを得るのはやめましょう。ここは第一関門で、誰から学ぶのか?は、あなたの今後の投資リテラシーを左右します。つまりあなたの見る目が試させる訳です。

低金利から高金利の時代へ、株式市場はどうなるのか?

更に投資の話で言えば、港に溢れる投資本、FIRE本の大体は低金利時代に出版されており、本にもよりますがその通りに投資してもパフォーマンスが伴わないかもしれません。現在は低金利から高金利時代にあることを理解しましょう。

日本の観光業の可能性

今後日本で大きな可能性を秘めている業種としては、ツーリズム (観光業) ではないでしょうか。コロナ明け以降、多くの外国人が日本に観光目的で出かけています。その背景には円安のメリット、安くて美味しい食べ物、アニメや文化などのソフトコンテンツ、海外に比べれば安全で自然も多いなど、外国人観光客にとって大きな魅力です。

観光業はコロナで最もダメージを受けた業種ではありますが、観光立国を目指す日本には長期的に見れば今後も可能性のある業種ではないかと思います。最も現実的な職種は、超高齢化に必要な介護など、それらにまつわる職種だと思います。このあたりの業種、職種は食いっぱぐれはないのではないでしょうか。

観光業は既に一大産業として成長しています。ツーリズムの成長率は9%ぐらいで、世界のGDP成長率よりも旅行セクターの成長率の方が著しいです。今後もモノからコト消費へのトレンドは継続していくものと思います。

まとめ

まとめると、日本の経済成長は少子高齢化という構造的な問題でがっちりと押さえ付けられています。今後日本の賃金がエリート以外にも幅広く上がっていくのか?は一つのポイントとなるかもしれません。

特に若い人は外貨を稼ぐスキルや方法を身に付ける必要があります。それが株式投資なのか不動産投資なのか何なのか?は、あなたが選択するしかありません。日本に見切りをつけて、海外に出稼ぎに出る若者も現れています。

誰もある程度豊かに生活できる日本の黄金時代は過ぎ去ってしまいました。今後はこのトレンドに気づかない人、頭が動いていない人 (考えていない) はどんどん置いていかれてしまうでしょう。そのような危機感を持ってサバイブしていくしか道はないように思います。