Zoomy

国内宇宙ベンチャー初の新規上場、ispace に思うこと

国内宇宙ベンチャー初の新規上場、ispace に思うこと

2023年4月12日に東証グロース市場にIPOした、月への物資輸送サービスなど月面開発事業を手掛ける ispace (アイスペース / 9348) が連日買われていると言います。私は主に米国市場の宇宙ビジネス、宇宙関連銘柄をウォッチしていますが、今回の ispace の上場は、日本国内宇宙ベンチャー初の新規上場ということもあり、投資家が関心を寄せているようです。

米国では、2020年以降に宇宙SPACの上場ブームがあり、既に米国市場ではその熱も大分冷めており、FRBの金利引き上げにより、宇宙SPACブームの天井から株価は 10/1 くらいに大幅に下落しています。

宇宙SPAC初の倒産

この宇宙SPACブームから、米国では先日 Virgin Orbit (ヴァージン・オービット / VORB) が倒産を申請するなど、その天国と地獄を見てきた筆者からすると、正に ispace も国内宇宙ベンチャー初の上場ということ、上場後に予定されている HAKUTO の月面着陸ミッションを材料に買われいるようです。

Virgin Orbit、連邦破産法第11条の保護下で売却手続きを継続へ

相場の格言には「理想買い、現実売り」という非常にシビアな言葉がありますが、その代表例ということです。筆者も幾つとなく経験しており、まだ駆け出しの頃は、それが分からず売るタイミングを逃してばかりいました。

Virgin Galactic、テスト飛行が株価の天井

米国市場でも過去に、民間宇宙旅行を目指す Virgin Galactic (ヴァージン・ギャラクティック / SPCE) が、同社初のテスト飛行を行う際に大きなニュースとなり、Virgin Galactic の株式も買われましたが、テスト飛行が成功したタイミングが相場の天井で、以降は現実売りなりました。(確かテスト飛行に成功した後に公募をアナウンスしていたように思います 笑)

宇宙探査のリーディングカンパニー Intuitive Machines がSPAC上場

【LUNR】宇宙探査のリーディングカンパニー Intuitive Machines がナスダックに上場

また、米国市場では ispace よりも一足早く、NASA とも契約している宇宙探査のリーディングカンパニー Intuitive Machines (インテュイティブ・マシーンズ / LUNR) という企業が2023年2月に SPAC 上場しています。同社は2月に「8.55ドル」くらいで De-SPAC し上場、その1週間後くらいには急騰し相場となり一時は「136ドル」の高値を付けています。その後、2023年4月現在は10ドルくらいで推移していますが、いつものパターンです。

Intuitive Machines のこの急騰は、コロナ相場以降に見られる、SNSや Reddit (wallstreetbets) などによる買上げ、オプションを利用した買上げ、バンプのような現象だと思います。Intuitive Machines に関しては、宇宙SPACの中でも、初の宇宙探査銘柄となり、その稀少性 (海の物とも山の物ともつかない的な) から買われており、そういった背景を見抜けないと爆損してしまいます。

宇宙探査のリーディング・カンパニー Intuitive Machines を解説します

当時最も期待されていた Astra がナスダックから上場廃止宣告

1ドルを割った ASTRA は上場廃止となるのか?

更にネタは尽きないのですが、2020年以降の宇宙SPACブームで最も期待値が高かった小型ロケット打上げの Astra (アストラスペース / ASTR) は、2回に渡るロケット打上げに失敗し、ロケットシステムの改良のために1年以上新たなロケットの打上げができずに、投資家の失望売りもあり、株価は 10/1 以下に1ドルを割る事態になっています。

この事例は最も示唆に富んでおり、未来は誰にも分からない、つまりリスクも勘定しておかないといけないということです。実際に Astra が De-SPAC し上場した際に、10ドル前後で5000株買った … 株価は10年後に見る!と言っている人もいました。今ではネタなのか何なのか?は定かではありませんが、もしこの人が未だに5000株持っていれば爆損です。そういう筆者も Astra は10ドル前後で数百株持っていましたが、1ドルを切ったタイミングで損切りしています。

そもそも、この手の企業が黒字化するのはかなり先の話であり、米国のような高金利環境では、現在最も買いにくい銘柄です。と、米国の宇宙関連銘柄を日々観察している著者がぐだぐだと語ってきた訳ですが、ispace の上場に思うことは、あまり夢を見ない方が良い、ということと、株式投資というのは必ずどこかで売らなければいけないということです。

SPAC 株トレードの基本と洞察

ispace に未来を感じるからといって、長期投資だー!と虚勢を張ったところで必ず裏切られるのが株式投資というものです。著者もピュアプレイの宇宙銘柄を長期投資だー!と言って、高い勉強代を払ってきました。最後に長期投資するなら、AutoZone のような企業に長期投資できると、素晴らしいリターンをもたらしてくれます。

好調な自動車修理業界、AutoZone の長期的な株価の上昇の要因とは?