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米国市場が独り勝ちの場合、新興国・フロンティアはどうなるのか?

2023年12月12日のFOMCで、パウエル議長のサプライズ的なハト派な発言が為替が遂に大きく動き、遂に新興国、フロンティアマーケットのターンか!と期待していたのですが、インドやアルゼンチンを除く、新興国、フロンティアはじわじわと下落を続けています。

ビリオネアの債券投資家、ジェフリー・ガンドラック氏は、米国経済は2024年第2四半期までに景気後退に陥る能性があることに言及しており、米経済のハードランディングに備える必要があると述べています。

【2024年】投資戦略、新興国・グローバルサウスへの分散投資

司会者がガンドラック氏に次のような質問をし、ガンドラック氏は次のように答えている。

Q. マグニフィセント・セブンとして知られる世界最大の7銘柄に財産を集中させている投資家たちにメッセージをお願いします。彼らは絶対的な火遊びをしているのでしょうか?

A. もちろんだ。今度の不況では、明らかに最悪のパフォーマンスを示す銘柄があるでしょう。景気後退の先頭に立つものは、必ず下降の先頭 (マグニフィセント・セブン) に立つ。

だから、私ならそのような銘柄からは手を引く。市場加重バスケットではなく、均等加重バスケットにする。というのも、米国の銀行システムは、時折喧伝されるものの、銀行が大損しているからだ。

アメリカのある大銀行は、名前は伏せるが、1兆ドル規模の投資ポートフォリオを持っていて、3%を蹴っているが、FRBでの借入コストは5と3/8を超えている。だから、借金ベースのものには手を出さない方がいい。

私なら、金融とは対照的に製造業を選ぶだろう。均等ウエイト型と市場ウエイト型では、均等ウエイト型がいいと思う。これまであまり良いアイデアではなかったが、ドルコスト平均法で米国以外の株式に分散投資し始める時期だろう。

特に、ドルインデックスが下がり始めたら、エマージング市場について考え始めるだろう。

(このインタビューは11月上旬に行われたもので、その後に大きく金利が下落しているので若干のタイムラグがあることに注意)

しかし、現在米国市場は広瀬氏も述べているように、AIブームを背景としたホワイトカラーの労働力改善に作用し、過去のドットコムバブル同様にソフトランディングする可能性もあることに言及しています。

今回のAIブームによる「パックスアメリカーナ」、つまり米国の独り勝ちのシナリオが現実化すれば、投資資金は米国市場に集中し、新興国やエマージング・マーケットへの流入は遅れるかもしれません。広瀬氏はこの点について、冷静な見解を示しています。

つまり、米国市場がソフトランディングを迎えるのか、それともハードランディングになるのか、意見は分かれています。このため、結論を急がずに市場の動向を注視する必要があると考えられます。

以下では、2023年12月15日に広瀬氏が楽天セミナーで行った、新興国やフロンティア市場に関する発言の一部をピックアップしてご紹介します。

ドットコムバブル時代の為替はどうだったか?

1995年のドル/円の安値80円から始まり、ドットコムバブルが終わる頃の1999年にかけて、ドルは1ドル140円まで上昇しました。この時期、世界は様々な通貨危機に見舞われました。具体的には、1997年にタイのバーツ危機が発生し、これがインドネシアのルピーにも飛び火しました。さらに、1998年にはロシアのルーブル危機が起こりました。

だからパックスアメリカーナの時代、アメリカ一人勝ちの時代にはそれ以外の国には過酷な時代だった。日本だと拓殖銀行が倒産したり、山一證券が倒産したり1997年とか1998年。今回それの再来になるのであれば、AIをテコにした労働生産性の改善ということから、そういうシナリオが起こるのであれば、アメリカ以外の国は厳しい状況に置かれるかもしれないので、気をつける必要がある。

つまり、ここから市場が米国独り勝ちになった場合、新興国・フロンティアには資金が回ってこない、ここから更に下がったり、何か問題が起こる可能性もあるのではないか?米国以外の国に投資するのは、まだ待った方が良いということになる。

新興国・フロンティア市場に資金が流れるのは?

当時新興国株がブームになったのは、ドットコムバブルが弾けた後だった。エンロン事件とかワールドコムの倒産があったあとで、もうアメリカ株は買えない、新しいアイディア出さなきゃいけないという時に、物色の矛先が変わった。

AIブームでテクノロジーのセクターが王道となるのであれば、出番としては、FMとかは後回しになると考えた方が良い。過去新興国がブームになったのは、苦肉の策として、買えるものがないので消去法で新興国株ブームになった。今回がそれに当てはまるのか?じっくり考えてみる必要がある。

今回ドル円が動いたのに、インドやアルゼンチンを除く新興国やフロンティア市場が動いていないのを見ると、過去の例であるドットコムバブルの時の新興国株はどうだったのか?というのが一つの手掛かりとなる。

結論

まとめると、AIブームを背景にした米国経済がソフトランディングの場合、過去のドットコムバブル同様に投資資金は米国に集まり、新興国・フロンティアの番は回って来ない。しかし、ハードランディングや市場が崩れるようなことがあれば、その時はいよいよ新興国・フロンティアマーケットが見直されるのかもしれません。

個人投資家がどうしても、誰だれが言ったから … など、先々を決めつけて投資判断してしまいがちですが、今は先々を決めつけず、市場の動向を追いながら、準備への投資を進めた方が良いのだと思います。