この記事では2025年、トランプ2.0 (トランプ大統領の再選) になり、トランプ関税による世界経済の変調、トランプ政権下で進むドル安、円高、金利上昇、米国市場からの資金流出、というマクロ経済の動向などをしっかりと押さえ、グレアム、テンプルトン、バフェットなどを師と仰ぐ天才バリュー投資家が、次にお金を置いておく場所を、グローバルな資金フローと金利差、為替、信頼性を織り交ぜた非常に高度な市場分析を考察する記事です。
まず天才バリュー投資家は、長らく続くドル高、AIバブルなどの背景を読み取り、みながAIバブルに勤しんでいる間に、日本の J-REIT にレバをかけて投資しています。
これまでと、これから
これまで REIT(不動産投資信託)は、しばしば米国債との金利比較の中で評価され、売買されてきました。しかし、天才バリュー投資家によれば、2025年4月を境にその前提条件に変化が生じた可能性があるといいます。本記事では、その背景と今後の J-REIT 市場の展望について考察します。
米国債金利上昇の新たな背景
現在の米国債金利の上昇は、単なる金融政策の変動だけでなく、「ドルや米国資産からの資金逃避」という側面が指摘されています。このため、金利が上昇したからといって、単純に米国債への投資が魅力的な選択肢となるとは限らない状況が生まれています。
日本の J-REIT が持つ独自の魅力
一方で、日本の REIT には独自の強みがあります。まず、円建て資産であるという点です。
仮に今後円安が進行したとしても、専門家は「米国が1ドル120円以上のドル円為替を容認している前提であれば、過度な円安に対しては協調介入といった手段も選択可能であり、下支えが期待できる」と分析します。
これにより、J-REIT は海外投資家から見ると、為替差益によるキャピタルゲインも期待できる状況にあります。具体的には、4%を超える配当利回り(インカムゲイン)に加え、今後数年間で為替による約14%のキャピタルゲインが見込めるとの試算もあります。
小規模市場ゆえの資金シフト効果
日本の REIT 市場は、約15兆円規模とされています。これは東京証券取引所全体の時価総額(約950兆円)と比較すると非常に小さい市場です。
しかし、この「零細市場」であるという点が、逆にメリットとなる可能性も秘めています。ほんのわずかな資金がREIT市場に流入するだけでも、価格に大きな影響を与える可能性があるためです。
これまで続いてきた「価格が下がるから売る」という負の連鎖も、こうした市場環境の変化によって断ち切られるのではないかと期待されています。
安全性と資金の行方
日本の REIT は米国債よりも安全性が低いと言えるのでしょうか?これについては、市場が最終的にどう評価するかにかかっていると考えられます。
金利が高いだけであれば、極端な例としてアルゼンチンやトルコといった国の国債も存在しますが、多くの投資家は積極的に手を出そうとはしません。
これは、金利の高さが、その国の政治や財政といった信頼性の度合いによって、ある時点からリスクへと転換するためです。かつて米国がその高い信頼性を背景に、ドル高と低金利で資金調達(ファイナンス)できた時代は終わりを告げたのかもしれません。
そうなると、投資家は売却した資金をどこへ振り向けるかという問題に直面します。その受け皿は株式でも他の国債でも良いでしょう。実際に現在、欧州株や日本の内需関連株など、幅広い資産に資金が流入しています。
その一部は、その性質上、日本の REIT 市場にも向かう可能性があると考えられます。また、現在、米国のあらゆる資産から資金が流出しているように見受けられ、米国の REIT からも資金が抜けている兆候があります。
こうしたグローバルな資金シフトが、日本のREIT市場にとって数年間続く追い風となるならば、非常に興味深い展開となるでしょう。
まとめ
米国債との単純な金利比較だけでは見えてこなかった J-REIT 市場の新たな可能性。為替要因、市場規模の特性、そしてグローバルな資金シフトの波が、日本の REIT 市場に新たな局面をもたらすかもしれません。今後の市場動向から目が離せません。