カナダの宇宙技術大手、MDA Space Ltd.(TSX: MDA)は、イスラエル拠点の衛星通信チップ企業である SatixFy Communications Ltd.(NYSE American: SATX)を完全子会社化しました。
合併完了日は、2025年7月2日。買収対価は、1株あたり現金3.00ドル、総額約2.8〜3.0億ドル。これを持って SatixFy は上場廃止となりました。
SATX の背景と合併プロセス
初回合意(4月1日発表)、当初は1株2.10ドル(総額≈1.93億ドル)の全額現金買収が提示されました。
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Go‑shop 期間の実施(~5月16日)として、SatixFy は他社からのオファー(約2.53ドル/株、総額約2.33億ドル相当)を検討しましたが、最終的にMDAの条件が改定され、買収価格は全株3.00ドルへ引き上げられました。
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株主の圧倒的賛成(5月23日)を持って、99%以上の賛成票で合併が承認されました。
統合後の展望・相乗効果
SatixFy が設計・製造する放射線耐性のASIC&デジタルビームフォーミング技術を、MDAの小型衛星プラットフォーム(LEO/MEOなど)に統合し、垂直統合型通信ソリューションの強化を目指します。
MDAの通信衛星体制をより高性能なデジタルモデルへ進化させ、次世代のソフトウェア定義衛星市場での競争力を強めます。買収後は SatixFy の全技術資産と人員が、MDAの「Satellite Systems」事業部門に全面統合されます。
まとめ
MDA Space は SatixFy を全額キャッシュで約3ドル/株、総額約3億ドルで買収し、同日7月2日付で上場廃止・SEC報告義務解除を実行しました。
これにより、MDA は SatixFy の最先端衛星通信チップ技術を取り込んだ垂直統合体制を整備し、衛星の性能強化と市場競争力の向上を狙います。
統合後には、従来のアナログ衛星だけでなく、デジタル衛星プラットフォームにおいてMDAがさらに存在感を増す構図です。
投資家の眼
過去にはこのように、株価が1ドルを割り (SATX は、2022年〜2024年まで1ドル以下で取引されていた) 低迷していた宇宙SPAC銘柄が買収されたり、合併するケースが報告されています。
例えば、Lockheed Martin(ロッキード・マーチン)は、2024年8月に同じく株価が低迷していた宇宙SPACの Terran Orbital を買収しました。