今回は米国の天然ガスについて、元クレディ・スイスのアナリストでコモディティに詳しい、Scott Willis (スコット・ウィリス) 氏のTwitter スレッド「米国産LNGは天然ガス市場を救済するのか？」をご紹介します。

その前に、ロシアによるウクライナ侵攻によってエネルギーの地政学も変わってきましたので、米国LNGの立ち位置についてご説明します。ウクライナ侵攻に伴うロシアへの制裁措置により、世界の天然ガス不足が深刻化し、米国のLNG輸出の需要が高まっています。しかし、足元米国LNG需要はダブついています。

その原因には、輸出施設であるフリーポートLNGが昨年6月にテキサス州のプラントの爆発事故を起こして以降休止していること、今年はEUの暖冬などの影響から米国でLNGの在庫がダブついたことでLNG価格は低下しています。

image by 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構

上記の天然ガス・LNG価格を見ると分かるように、ロシアによるウクライナ侵攻の時よりも低下していることが分かります。しかし、2023年1月後半にフリーポートLNGの操業再開されることで、米国は今年は最大のLNG輸出国となる見通しです。

EUは暖冬に助けられるかたちで今年の冬を越すことができましたが、戦争は未だに続いており、中期的な供給逼迫が懸念されていいます。天然ガスの需要は今後も伸び続ける傾向にあると、国際エネルギー機関 (IEA) は指摘しています。IEA は、2040年までに天然ガス需要が22％増加し、石油需要の16％増を上回ると見ている。

その後、*Walter Bloomberg の3月3日のツイートでは、「フリーポートからの天然ガスの輸出が日々増加中」であることが伝えられています。

U.S. NATURAL GAS FLOWS TO LNG EXPORT PLANT HIT DAILY RECORD HIGH AS FREEPORT LNG EXPORT PLANT IN TEXAS PULLS IN MORE FEEDGAS – REFINITIV DATA

— *Walter Bloomberg (@DeItaone) March 3, 2023

米国テキサス州のフリーポートLNG輸出プラントが原料ガスを引き込み、LNG輸出プラントへの米国天然ガス流入量が連日過去最高を記録 – refinitiv data

上記を踏まえた上で、Scott Willis 氏の Twitter スレッドを見てみましょう。

米国産LNGは天然ガス市場を救済するのか？

Will US LNG bail out the natural gas market?

I spent a week diving deep and I have some news…🧵

— Scott Willis (@ScottW_Grizzle) February 10, 2023

LNG (液化天然ガス) は確かに、ガス需要と価格を全く新しいレベルに引き上げるように見える。このスレッドでは、すべての変動要素、私の大きな結論、そして勝利のために配置されていると思ういくつかの銘柄を紹介します。

1. LNG 需要

世界最大級のLNGプラットフォームを有している Cheniere Energy (シェニエール・エナジー) などによると、2026年までに需要は120百万トン/年増加するとされています。建設中のLNGをベースにすると、北米はその40％、つまり 50mtpa、6.6bcf/d のガスを取り込むことになる。

2. 天然ガス発電所の需要

米国の発電所需要は、少なくとも今後4年間は横ばいとなる。EIA によると、今後29-32GWの発電所が新設され、同GWの古い発電所が廃止される予定。

しかし、石炭発電所の閉鎖はどうなるのだろうか？ガスにとっては残念なことだが、太陽光発電＋風力発電＋バッテリーで石炭発電所の閉鎖を完全に埋め合わせることができそうだ。年間9GWの石炭発電所が閉鎖されるが、自然エネルギーは同じ9GWの新規容量で推移する。

メキシコの需要

メキシコのガスの70％は米国のパイプラインから供給されており、需要は急速に伸びている。しかし、カナダは米国への輸出を増加させ続けている。

Net/Net では、カナダとメキシコは相殺されると考えていますが、メキシコの需要は、トレンドを見ると、私の予想より高くなる可能性があります。

4. ロシア

ロシアは、かつて欧州に 13bcf/d のガスを出荷していた。欧州は着実にロシアのガスを代替しており、2022年の欧州向けカーゴのうち米国のLNGが40％であったことから、米国が40％、すなわち欧州のビジネスの 5.1bcf/d を獲得すると仮定する。米国のガス価格が下がれば、もっと高くなる可能性もあるが…。

これらを合計すると、米国のガス需要は少なくとも今後4年間は年間29億cf/dの伸びとなり、過去の3倍の伸びとなる。現在の2.5ドル/mcfの米国産LNGは、カタールを除けば世界で最も安いのです。

どのような米国LNG銘柄が最適か？

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では、どのような銘柄がこの成長を支えるのに最適なのだろうか？私のお気に入りは、テキサス州のLNG施設にパイプラインを持つ、マーセラスとパーミアンの生産者です。

・EQT Corporation (EQTコーポレーション / ティッカー:EQT)
炭化水素探査とパイプライン輸送に従事するアメリカのエネルギー会社

・Comstock Resources (コムストックリソース / ティッカー:CRK)
ルイジアナ州北部およびテキサス州東部のヘインズビル・シェールの開発に注力する独立系大手天然ガス生産会社

・Southwestern Energy (サウスウエスタン・エナジー / ティッカー:SWN)
デラウェア州で組織され、テキサス州スプリングに本社を置く天然ガス探査および生産会社

・Range Resources (レンジ・リソーシズ / ティッカー:RRC)
テキサス州フォートワースに本社を置く天然ガス探査および生産会社

・Antero Resources (アンテロ・リソーシズ / ティッカー:AR)
米国における天然ガス、天然ガス液（NGL）、石油資源の開発、生産、探鉱、取得に従事しています。

小型株だと、

・SilverBow Resources (シルバーボウ・リソーシズ / ティッカー:SBOW)
テキサス州ヒューストンに本社を置く、石油および天然ガスの探査と生産を行う独立系の大手企業

パイプラインにアクセスできる低コストのCDNドリラーも有効です。

・ARC Resources (ティッカー:ARX)
カナダで原油、天然ガス、コンデンセート、天然ガス液体を探鉱、開発、生産している。

・Tourmaline Oil Corp (ティッカー:TOU)
カナダ西部堆積盆地における石油・天然ガス鉱区の取得、探鉱、開発、生産を行っています。

更に詳しく知りたい方は、Scott Willis 氏のサブスタック「Grizzle Research and Quant」をご覧下さい。

If you want to follow my latest thoughts on gas and other commities, I post regularly here: https://t.co/cRfuRqZbQK

— Scott Willis (@ScottW_Grizzle) February 10, 2023

2023年、天然ガス価格の見通し

米国エネルギー情報局 (EIA) によると、2023年の天然ガススポット価格の平均値は5.0米ドルを僅かに下回ると予測しています。一方、ウッドマッケンジーは、2023年の欧州のLNG価格は100万BTU当たり25ドルを上回るとみている。

また、複数の市場関係者によると、2023年以降もLNG相場が高値圏で推移する見通しがあります。例えば、ロシア産ガス供給が正常化する見込みが薄いため、LNG相場が高止まりする可能性がああります。

また、欧州向けの天然ガス供給が滞ったことで価格高騰したことからも分かるように、地政学的リスクや天候条件なども価格変動に影響を与え得る要因です。総じて言えることは、2023年の天然ガス価格はロシア/ウクライナ戦争が長引くのか？2022年のように暖冬傾向なのか？によって変動しそうです。

押し目買いのおしめちゃん
私は2023年2月現在、割安に思える Comstock Resources (コムストックリソース / ティッカー:CRK) を保有しています。

今後もアメリカが天然ガスの主要な輸出国であり続ける

アメリカの天然ガス会社 Williams のCEOである Alan Armstrong 氏は、第1四半期が天然ガス史上最悪の四半期であり、4月も5％下落していると語った。しかし、天気が温暖化し、生産者が成長計画を削減し始めたことで、天然ガス価格の短期的な回復の可能性があると見ている。

また、昨年の遅延により、市場が Haynesville で生産を開始しなければならなかったことが原因で、昨年、天然ガスの在庫が不足していたことを指摘した。彼はまた、石油価格と天然ガス価格の関係についても言及し、今後もアメリカが天然ガスの主要な輸出国であり続けると述べた。

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