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【VSTM】Verastem のカタリストとロードマップ

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【VSTM】Verastem のカタリストとロードマップ

Verastem Oncology(Nasdaq:VSTM)は、米国マサチューセッツ州ニーダム拠点の開発ステージのバイオ医薬品企業です。がん治療薬の研究開発および商業化に注力しています。

がん患者が治療の選択肢を尽くされることのない社会を目指す」というミッションのもと、RAS経路(KRAS / NRAS / HRASなど)主導のがんに対して革新的な治療を提供することを志向しています。

FDA加速承認取得した「Avutometinib + Defactinib」

Avutometinib は、RAF/MEKクランプ機構によるRAS経路遮断薬。Defactinib は、FAK阻害薬。RAS経路の補償活性を阻止し、増殖を抑制。組み合わせ戦略の中心にある開発薬です。

新たなシグナル伝達のカスケードを包括的に阻害するアプローチに特徴があり、Avutometinib × Defactinib などの組み合わせにより “より深く持続性ある反応を引き出す” 戦略を追求しています。

「VS-7375(別名 GFH375)」

VS-7375(別名 GFH375)は、KRAS G12D変異を標的とする経口型の デュアル ON/OFF KRAS G12D阻害剤です。米国では現在、Phase 1/2a 試験が進行中です。

米国 FDA による IND(治験届)は 2025年4月に承認され、同年6月に第一症例の投与が開始されました。試験名は VS‑7375‑101。advanced KRAS G12D 変異固形腫瘍を対象に、安全性・忍容性・PK(薬物動態)および初期の有効性を評価するマルチセンターの試験です。

中国では Phase 1/2 試験が既に進行中で、2024年には最初の症例投与がされており、ASCO 2025で初期の安全性・有効性データが発表されました。

2025年7月に FDA より Fast Track 指定が付与されました。これは米国において KRAS G12D 変異を持つ膵臓がん(PDAC)患者など、重篤な未充足医療ニーズを対象に迅速な開発・審査が期待されます。

承認済み製品

Avutometinib + Defactinib

適応症:KRAS変異再発性低悪性度漿液性卵巣がん(LGSOC)

承認状況:FDA加速承認取得済み

PDUFA日:2025年6月30日

市販展開中
優先審査

主要臨床成績
44%
KRAS変異患者ORR
(RAMP 201)

22
ヶ月 mPFS
(KRAS変異患者)

58%
ORR (FRAME試験
KRAS変異LGSOC)

68.8%
VS-7375 ORR
(KRAS G12D)

臨床試験パイプライン
Phase 2
RAMP 201

対象:再発LGSOC

治療:Avutometinib + Defactinib

全体ORR:
31%
KRAS変異ORR:
44%
mPFS:
22ヶ月

Phase 1
FRAME

対象:各種固形腫瘍

治療:Avutometinib + Defactinib

KRAS変異LGSOC ORR:
58%
mPFS:
30.8ヶ月
論文掲載:
Nature Medicine

Phase 1/2a
VS-7375

対象:KRAS G12D変異がん

治療:VS-7375単独

パンがんORR:
68.8%
NSCLC ORR:
57.7%
疾患制御率:
93.8%

Fast Track指定

Phase 2-3
RAMP 301/203/205

対象:NSCLC、膵がんなど

治療:Avutometinib + Defactinib

進行中

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント
AVMAPKI™ FAKZYNJA™ CO-PACK
(Avutometinib + Defactinib)
KRAS変異再発低分化性卵巣がん(LGSOC) 市販(FDA承認済) 承認済/Fast TrackOrphan優先審査・NCCN Category 2A 皮疹・痒み・末梢浮腫、下痢・悪心肝酵素上昇CK上昇/筋症状眼毒性(網膜色素上皮剥離/視覚異常)、まれなLVEF低下/QTc延長 ラベル準拠の経口レジメン:avutometinib(間欠投与)+defactinib(BID連日)。有害事象で休薬/減量。実臨床で用量最適化を徹底 中:LGSOCは希少市場(年間約$50–70M) 初期6週間で$2.1M、NCCN 2A推奨。
独占的標準治療として市場浸透中。
VS-7375 (GFH375)
KRAS G12D 経口 ON/OFF 阻害薬
KRAS G12D 変異固形腫瘍(肺・膵 など) Phase 1/2a(中国→米国開始予定) Fast Track。中国でP1/2実施中、米国はINDクリア・開試準備。用量漸増→拡大(単剤±併用) 下痢・悪心・疲労、発疹AST/ALT上昇、まれなILD/肺炎。併用時は免疫性肝炎/大腸炎などの増悪に注意 経口 QD/BIDpembrolizumab等との併用アームを探索。既存G12C/G12D治療歴からのスイッチ/リチャレンジ戦略を検討 大:KRAS G12D 関連腫瘍市場(潜在数十億ドル) KRASのON/OFF両状態に対応する次世代設計。
早期段階ながら新規性とKRAS標的としての注目度が高い。
RAMP 205:
Avutometinib + Defactinib + Chemo
転移性膵臓がん(一次治療) Phase 1/2 PanCAN Therapeutic Accelerator支援。用量漸増→拡大型(登録的P3を設計中) 骨髄抑制(好中球/血小板減少)、末梢神経障害、下痢・悪心、肝酵素上昇、皮疹、眼毒性。発熱性好中球減少/感染の予防管理 化学療法(例:GA(ゲムシタビン+nab-PTX))にavutometinib+defactinibを上乗せ。支持療法・減量アルゴリズムで安全域を確保 大:膵がん市場は未充足が極めて大 Phase 1初期データで ORR 83%(10/12)
強力な奏効率を背景にフェーズ3設計を進行。

「AVMAPKI FAKZYNJA」の臨床フェーズの歩み
2015–2018年

Phase 1(単剤試験)

Avutometinib(RAF/MEK阻害薬):固形がんを対象とした第1相試験で安全性・忍容性・PKを確認。
Defactinib(FAK阻害薬):悪性中皮腫などを対象に単剤試験。忍容性は良好、副作用は主に消化器症状と疲労感。

2019年

Phase 1b(併用初期試験)

Avutometinib + Defactinib の併用安全性を小規模患者で検証。
忍容性は良好で、LGSOC で腫瘍縮小の初期シグナルを確認。

2020年

Phase 2 開始 ― RAMP-201(LGSOC)

・対象:再発/難治性 LGSOC(低悪性度漿液性卵巣がん)
・主要評価項目:ORR
・副次評価項目:PFS、DoR、安全性
・国際多施設シングルアーム試験

2021–2022年

Phase 2 中間解析 ― RAMP-201

・ORR 45%、DCR 90%以上
・安全性良好、副作用は主にGrade 1–2(消化器・皮疹)

2023年6月

Phase 2 アップデート(ASCO 2023)

・ORR 45%、中央値DoR 約23か月
・FDAと合意:シングルアーム第2相結果をもとに承認申請可

2023年11月

FDA Breakthrough Therapy Designation

BTD(画期的治療薬指定)を取得。

2024年2月

NDA 提出

RAMP-201(Phase 2)の結果を基に NDA を提出。

2024年9月

NDA 受理 & Priority Review

優先審査に指定、PDUFA日を2025年6月30日に設定。

2025年5月

FDA 承認

AVMAPKI FAKZYNJA™ CO-PACK(avutometinib + defactinib) が FDA 承認。
・効能:再発/難治性 LGSOC
・商業展開:即時ローンチ、6週で売上 $2.1M 達成。

開発ロードマップ
2025年5月(承認後6週以内)

AVMAPKI FAKZYNJA™ CO-PACK(avutometinib + defactinib)FDA承認 & ローンチ

FDA承認取得、米国市場での販売開始、初期6週で純売上 \$2.1M を実現。専門薬局への即時配備、流通ネットワーク構築完了。

2025年中盤(Q3)

VS-7375(KRAS G12D 阻害剤)臨床推進

米国での第1相/2a試験で最初の患者投与開始。Fast Track Designation を取得。

2025年前半~後半

RAMP-205 試験:転移性膵がん(一次治療)

最適用量(RP2D)で確認された総奏効率 ORR 83%(12/10)。第2相用量選定完了、症例拡大コホートへ移行。

2025年後半

RAMP-301 試験:LGSOC(低悪性度漿液性卵巣がん)第III相

IDMC によるサンプルサイズ再推定結果報告予定。グローバル展開と規制対応開始。

2025年下半期〜2026年

VS-7375:追加コホート & 組み合わせ試験開始

VS-7375 モノ療法および cetuximab 組み合わせコホートの投与開始予定。

2026年以降

国際拡大・次フェーズへ

Avmapki 販売強化(国内外)、各国承認戦略、さらなる適応症拡大や追加 NDA/BLA 検討。

注目すべきカタリスト
短期カタリスト(2025年前半)
AVMAPKI FAKZYNJA™ CO-PACK のFDA承認およびローンチでの初期売上確立(\$2.1M)、流通体制整備。

中期カタリスト(2025年後半)
VS-7375 の臨床進展(患者投与開始)、RAMP-205 試験での有望なORRデータ拡大、RAMP-301 試験のサンプル推定結果。

長期カタリスト(2026年〜)
販売加速、国際展開、VS-7375 組み合わせ試験、次フェーズ移行・新適応への規制申請。