Robert Wright (ロバート・ライト) 氏の著書『なぜ今、仏教なのか ー瞑想・マインドフルネス・悟りの科学ー (原題: Why Buddhism is True: The Science and Philosophy of Meditation and Enlightenment』は、アメリカで2017年に出版された、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーです。

洋書は Amazon で4,085個の評価があり、星4.5とかなり好評な話題の書です。本書は単なる哲学的な解説本ではなく、人間の認知、感情、知覚の根底にあるものを科学的に探求しています。神経科学の最新研究から導き出された著者は、仏教哲学と瞑想が提供する深遠な洞察に実証的な検証を加えています。

私が本書は知ったきっかけは、モーガン・ハウセル氏が本書について触れていたからです。モーガン・ハウセル氏は本書について、次のように触れています。

ロバート・ライトの『なぜ今、仏教なのか』からです。その中で、「人生は苦である」という言葉はブッダの言葉としてよく引用されるが、実はその訳は間違っていて、最後の言葉である「ドゥッカ (Dukkha)」は苦と訳されているのではなく、不満足と訳されているのだと学者たちは論争している。人生とは不満足である。

本書について

アメリカで最も偉大な頭脳の1人が、心理学、哲学、そして多くの瞑想を通して、仏教が道徳的明晰さと永続的な幸福への鍵を握っていることを示す旅。

ロバート・ライトは『モラル・アニマル』の中で、進化が人間の脳をどのように形作ったかを説明した。彼は、自分自身と世界について、心はしばしば私たちを欺くように設計されていると主張した。そして、幸福を持続させるのが難しくなるように設計されている。

しかし、もし私たちの心が不安、鬱、怒り、貪欲のために仕組まれているとわかったら、私たちはどうすればいいのだろうか？ライトはその答えを仏教に見いだす。仏教は、科学者が現在発見していることを何千年も前に解明していたのだ。

仏教は、人間の苦しみは世界をはっきりと見ていない結果であるとし、瞑想を通して世界をよりはっきりと見ることが、私たちをより良く、より幸せな人間にすると提唱している。

ライトは『なぜ仏教は真実なのか』の中で、心理学、哲学、そして多くのサイレント・リトリートを通して読者を旅に導き、瞑想が世俗的な時代におけるスピリチュアルな生活の基盤としてどのように、そしてなぜ役立つのかを示している。

刺激的で野心的でありながら、ウィットに富んで親しみやすい本書は、進化心理学と最先端の脳科学を組み合わせ、仏教哲学の核心にある過激な主張を擁護した初めての書である。

本書は、仏教が真実であること、つまり私たちの妄想から抜け出す道であることだけでなく、個人として、そして種として、究極的には私たちを自分自身から救うことができることを、勇気づけられる誠実さと熾烈な知恵をもって説得する。

冷静で理性的、そして辛口の皮肉屋であるロバート・ライトは、ダルマと「無我」へのガイドとは思えない 人物である。しかし、この驚くべき本の中で、彼は仏教的な生き方と仏教的な心の見方を力強く説いている。

個人的な逸話を、進化論や認知科学からの洞察と結びつけ、非常に明晰かつウィットに富み、古来からあるラディカルな世界観を擁護している。これは真に変革的な著作である。

– ポール・ブルーム (イェール大学心理学教授)

著者ロバート・ライトについて

進化心理学を専門とする科学ジャーナリスト。ニューヨーク・タイムズ紙やタイム誌、ワイアード誌などに寄稿する。テキサスクリスチャン大学で学んだ後、プリンストン大学で社会生物学を学ぶ。1986年に全米雑誌賞(エッセイ・批評部門)を受賞。著書に、ニューヨーク・タイムズ紙の年間ベストブックに選出された『モラル・アニマル』など。ペンシルヴェニア大学で心理学の、プリンストン大学で宗教学の教鞭をとり、現在はユニオン神学校の客員教授を務める。