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バイオ企業も暗号資産トレジャリー戦略に本格参入

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バイオ企業も暗号資産トレジャリー戦略に本格参入

Sonnet BioTherapeutics が8.88億ドルのHYPEトークン保有で暗号資産トレジャリー戦略に本格参入し、バイオ企業もクリプトの波に。

2025年7月14日、米NASDAQ上場の臨床段階バイオ企業 Sonnet BioTherapeutics(ソネット・バイオセラピューティクス / SONN)が、驚きのビジネス戦略転換を発表した。

カナダ拠点の新興暗号通貨プロジェクト「HYPE」との逆合併(RTO)を通じて、約8.88億ドル相当の暗号資産(HYPEトークン)を企業資産として保有するという「トレジャリー・リザーブ戦略(Cryptocurrency Treasury Reserve Strategy)」を採用しました。

Sonnet BioTherapeutics とは?

Sonnet BioTherapeutics は、癌領域に特化したバイオテクノロジー企業であり、単機能または二機能性の生物学的薬剤を革新する独自のプラットフォームを有しています。

FHAB(Fully Human Albumin Binding)として知られるこの技術は、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合し、標的組織へ輸送するために「ヒッチハイク」する完全ヒト型一本鎖抗体フラグメント(scFv)を利用しています。

ソネットの FHAB は、免疫調節生物学的製剤の安全性と有効性を最適化するための治療域を改善し、腫瘍組織とリンパ組織を特異的に標的とするように設計されています。FHABは、サイトカイン、ペプチド、抗体、ワクチンなど、さまざまな高分子治療薬の効能を増強するためのモジュラー型プラグアンドプレイ構造の基盤となっています。

暗号資産=新たな企業資産の形へ

これまで主にがん免疫療法を手がけていたソネット社が、突如として「米上場企業史上最大の暗号資産保有企業」へと姿を変えることは、バイオ・ヘルスケア業界にとっても暗号資産業界にとっても歴史的な動きと言える。

この動きは、ビットコインを大量購入して企業価値を上げた MicroStrategy(マイクロストラテジー)の先例を彷彿とさせるが、HYPEトークンというERC-20系の新興トークンを中心に据える点で独自性が際立つ。

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合併の詳細:RTO で HYPE を一気に保有

Sonnet は「Project HyperScale Inc.」(HYPEの発行体)とRTO(Reverse Takeover) という形で合併。合併後の新社名は「HYPE Inc.」となり、ティッカーシンボルも「HYPE」に変更される予定。

合併完了時点で1,260万 HYPEトークン(約5.8億ドル相当)を保有。さらに最大で 3,300万 HYPEトークン(最大8.88億ドル) に拡大する可能性がある。

トークン保有だけで終わらない戦略的ビジョン

保有するHYPEトークンはロックアップ期間後に段階的に活用可能。今後はトークンを通じての資産運用、ガバナンス参加、インセンティブ設計など、多面的な戦略を描いている模様。

Sonnet の従来のバイオ事業は、完全子会社として継続予定である。

なぜ今、バイオ企業が暗号資産に賭けるのか?

バイオ業界は長年、資金調達難・キャッシュバーンの大きさという構造的課題を抱えてきた。そんな中での本件は、単なる資産保有ではなく以下の点に注目したい。

・資金調達の新たな形としてのトークン保有
・株主価値の最大化(トークン価値の上昇=企業資産価値の上昇)
・Web3とバイオの融合による新ビジネスの創出

といった、デジタル金融との戦略的融合を示す動きだと考えられる。このような動きは今年トレンドになっているが、バイオ企業でこのような大胆な賭けに出たのは、Sonnet BioTherapeutics が初ではないだろうか?

Sonnet の今回の決断は、「バイオ企業×クリプト×トレジャリーマネジメント」という新しいカテゴリを開くものであり、業界に大きなインパクトをもたらす可能性がある。