
RA Capital は Legacy Obsidian 時代からの投資家です。しかもかなり早い段階から入っています。そして RA が IOVA ではなく OBX 側を強く支援しているのは、TIL 投資を考えるうえでかなり示唆的です。
RA 自身のポートフォリオページでは、Obsidian への初回投資は2021年の Series B と明記されています。
Obsidian の Series B は2021年9月、総額$115Mで、TCGX が主導し、RA Capital は新規投資家として参加しました。つまり RA は OBX がまだ完全な非上場企業で、「OBX-115」を臨床入りさせる前の段階から投資しています。
その後も一度きりではありません。2024年4月の $160.5M Series C でも RA は既存投資家として追加参加しています。この資金はまさに「OBX-115」の melanoma / NSCLC 臨床開発と manufacturing scale-up に使われました。
さらに2026年の逆合併時にも、RA は $350M PIPE へ再び参加しています。つまり、
| 時期 | RA CapitalとObsidian |
|---|---|
| 2021 Series B | 初回投資。新規投資家として参加 |
| 2024 Series C | 追加投資 |
| 2026 reverse merger PIPE | 再び追加投資 |
| 2026/8/3 上場後 | 5,957,103株 / 9.64% |
という流れです。
そのため、OBX は RA にとって、「上場後に見つけた銘柄」ではなく、2021年から約5年間追い続けてきた private investment です。
これはかなり重要です。
しかも2021年というタイミングが面白い
2021年 Series B の資金用途は、当時の lead engineered TIL program、すなわち現在の「OBX-115」を臨床入りさせ、最初の clinical data まで進めることでした。
つまり RA は、人間で「OBX-115」が効くことを確認してから買ったのではありません。
むしろ、「IL-15 を TIL 自身に載せれば、従来 TIL の IL-2・toxicity・persistence 問題を改善できる」という technology / biology の段階から賭けていたことになります。
その後、
2021 Series B
↓
clinical entry
↓
2024 Series C
↓
melanomaでclinical efficacy確認
↓
NSCLC展開
↓
2026 reverse merger
↓
さらにPIPE参加
です。これは RA の確信が途中で低下していないことを示すかなり綺麗な投資履歴です。
そして「IOVA ではなく OBX」は確かにポイントです
ここはただし少し慎重に言う必要があります。
「RA が IOVA を全く評価していない」ことまでは、この事実だけでは言えません。
一方で、RA の現在公開されている portfolio には Obsidian は明確に掲載されており、「Initial Investment 2021 / Series B」とされています。
そして投資思想として見ると、OBX を選ぶ理由は非常に分かりやすいです。IOVA はすでに、TIL そのものが効くという biology を証明しました。
RA が OBX で賭けているのは、そこから一段先の、「TIL は効く。しかし現在の TIL product architecture は最適ではない」という仮説だと考えると非常に整合的です。
違いはこうです。
| 投資仮説 | IOVA | OBX |
|---|---|---|
| TIL biology | すでに証明 | IOVA等がvalidation |
| 製品 | lifileucel | amsoki-cel |
| TIL | native / non-engineered | engineered |
| cytokine support | systemic IL-2 | membrane-bound IL-15 |
| IL-2 toxicity | あり | 回避を狙う |
| lymphodepletion | heavy | low-dose化 |
| outpatient | 難しい | 可能性あり |
| biopsy | surgical resection中心 | core needle biopsyを狙う |
| 投資テーマ | TIL commercialization | TIL 2.0へのupgrade |
RA の投資をこう読むと面白いです。
「TIL が効くか?」には賭けていない。
そこはすでにかなり de-risk されています。RAが賭けているのは、「TIL をもっと患者・医師・病院が使いやすい product にエンジニアリングできるか?」の方です。
これは RA Capital が好みやすい投資構造でもあります。
biology そのものをゼロから賭けるのではなく、
validated biology
+
明確な既存productの弱点
+
engineeringによる改善
+
大きなcommercial expansion
という構造です。
さらに2026年のPIPE参加がかなり重要
もし RA が2021年に投資しただけなら、「昔の private position をそのまま持っている」とも読めます。
しかし今回は違います。2024 Series C でも追加し、さらに2026年の$350M PIPE にも current Obsidian investor として参加しています。
つまり RA は、
preclinical / early-stage の 2021
↓
clinical-stage の 2024
↓
registration-enabling へ進む2026
と、情報量が増えるたびに資金を入れています。これはかなりポイントです。しかも2026年8月時点では RA は 5.96M株、約9.64%で最大株主クラスです。
まとめ : RA × OBX をこう分類する
OBX は真逆です。
Company / technology formation 期から RA が追い、臨床 validation が進むたびに追加し、private-to-public まで付いてきた “long-duration conviction” 型。
さらに TIL というカテゴリーの中でも、
IOVA = first-generation commercial validation
→ OBX = next-generation engineering opportunity
という位置に RA が張っている。
以上のように、RA の投資履歴まで含めて考えると、OBX の一番面白いところは単なる「67% ORR」ではなく、RA が2021年から「TIL 2.0」という product architecture に賭け続け、Series B → Series C → reverse-merger PIPE と3段階で資金を入れていることだと思います。
この意味では、RA Capital の OBX はかなり “本命型” の投資履歴に見えます。
ただし、これが IOVA より臨床的・商業的に優れることを保証するものではなく、最終的には registration cohort で efficacy durability と「IL-2 なし・low-dose LD・outpatient」という実運用上の優位性が本当に再現されるかが勝負です。

