
7社はいずれもIPO登録書類を提出していますが、「IPO予定」=価格・上場日が確定した状態ではありません。
2026年7月20日時点では、NUOX と TARX は価格レンジまで公表済みですが、BLSM、ATTO、BRVE、VOGX、LTGO は主に初回提出段階で、最終的な募集額・株数・価格は今後の修正届出で決まります。
| 区分 | 対象企業 | 2026年7月20日時点の状況 |
|---|---|---|
| IPO登録書類を提出済み | NUOX、TARX、BLSM、ATTO、BRVE、VOGX、LTGO | 7社すべてがIPO登録書類を提出しているが、価格や上場日が確定した状態ではない |
| 価格レンジ公表済み | NUOX、TARX | 想定する公開価格のレンジまで公表済み |
| 主に初回提出段階 | BLSM、ATTO、BRVE、VOGX、LTGO | 最終的な募集額、募集株数、公開価格は、今後提出される修正届出書で決定される見込み |
臨床段階、資金量、ファンドの厚みを総合すると、現時点ではLTGO、BRVE、BLSM、ATTOの4社が機関投資家向けの本格的なバイオIPO案件です。一方、NUOX、TARX、VOGXは募集規模や引受体制が小さく、よりハイリスクな小型IPOに近い構造です。
NuvOx Therapeutics (NUOX)
NuvOx は、組織の低酸素状態を改善する「NanO2」を開発しています。
NanO2 は dodecafluoropentane を使った静注型の酸素治療薬で、肺から血液、血液から低酸素組織への酸素移動を改善することを狙っています。単一の疾患標的薬というより、低酸素が病態を悪化させる複数疾患に展開するプラットフォーム型です。
パイプライン
| プログラム | 適応 | 臨床段階 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| NanO2 | 膠芽腫(GBM) | Phase 2b | 放射線療法の効果を高める放射線増感剤として開発 |
| NanO2 | 急性虚血性脳卒中 | Phase 2b | 血栓回収療法などの再灌流療法に追加する治療として開発 |
| NanO2 | 急性呼吸窮迫症候群(ARDS) | Phase 1/2 | 呼吸不全および組織低酸素の改善を目的に開発 |
| NanO2 | 鎌状赤血球症 | 早期開発 | 低酸素状態および血管閉塞性イベントへの応用を検討 |
膠芽腫では、標準的な化学放射線療法にNanO2またはプラセボを追加する約87例の無作為化 Phase 2b を進めています。
脳卒中では Phase 1b/2a を完了し、英国の医師主導 Phase 2b などが進行しています。2026年7月15日には、急性虚血性脳卒中で FDA Fast Track 指定を取得しました。
IPO 条件
2.9百万株
価格レンジ:1株$6~8
調達予定:約$20M
想定完全希薄化時価総額:約$98M
NYSE American
主幹事:ThinkEquity
今回の7社の中ではかなり小さいIPOです。
バイオファンド・役員
NuvOx は、RA Capital、OrbiMed、Deep Track のような大型専門ファンド主導ではありません。
2023年には約700万ドルの転換社債を、New World Angels、NOLA Angel Network、MEDA/TCA/Pasadena Angel Network など複数のエンジェル投資家グループから調達しました。
これらのグループから取締役会オブザーバーも迎えています。また、NIH、NINDS、NCIなどの非希薄化助成金を活用しています。
取締役会は創業者の Evan Unger、CEO の Rong Wang、個人投資家の Jonathan Schilling などが中心で、専門バイオファンドによる臨床開発・取締役関与は限定的です。
評価
面白いのは、脳卒中、GBM、ARDS という大型領域に一つの酸素治療技術を横展開できる点です。ただし、
・作用機序が従来型の標的薬と大きく異なる
・複数適応に資金が分散している
・IPO規模が小さい
・専門ファンドのデューデリジェンスが相対的に薄い
・Phase 2b 成功後には追加の大型増資が必要
というリスクがあります。科学的アップサイドは大きいものの、資本構成と臨床開発体制は7社の中で弱い部類です。
BlossomHill Therapeutics (BLSM)
BlossomHill は、がんの薬剤耐性を克服するマクロサイクル型低分子薬を開発しています。
創業者兼CEOの J. Jean Cui は、crizotinib、lorlatinib、repotrectinib などの設計に関与した医薬化学者です。以前のTurning Point Therapeutics は2022年に Bristol Myers Squibb に約41億ドルで買収されており、BlossomHill はその延長線上にある「次世代耐性克服型オンコロジー企業」です。
パイプライン
BH-30643
BH-30643 は、EGFR 変異非小細胞肺がん向けの経口・脳移行性・変異選択的な OMNI-EGFR 阻害薬です。一般的なEGFR変異だけでなく、
・C797S
・T790M
・非典型EGFR変異
・複合変異
・既存EGFR阻害薬治療後の耐性変異
を広くカバーすることを狙っています。野生型EGFRへの作用を抑え、皮疹や下痢などの副作用を減らす設計です。
現在は Phase 1/2 SOLARA 試験中で、2026年Q4に FDA との End-of-Phase 1 会議を予定し、C797S 患者での迅速承認経路を協議する方針です。
BH-30236
RNAスプライシングを調整する経口CLK阻害薬です。
・再発・難治性AML
・高リスクMDS
・単剤およびvenetoclax併用
・Phase 1/1b
で開発され、次の安全性・有効性更新は2027年上半期を予定しています。
BH-501284
非共有結合型pan-KRAS阻害薬で、幅広いKRAS変異固形がんを狙います。現在はIND準備段階で、2027年Q1のIND提出が計画されています。
バイオファンド
BlossomHill のファンド構成は非常に強いです。
| ラウンド | 金額 | 主な投資家 |
|---|---|---|
| Series A | 7,100万ドル | Cormorant Asset Management、Hercules BioVentures、OrbiMed、Vivo Capital |
| Series B | 1億ドル | Colt Ventures、Cormorant Asset Management、OrbiMed、Vivo Capital、Hercules BioVentures |
| Series B延長 | 8,400万ドル | Janus Henderson Investors、Brahma Capital、BioTrack Capital、Cormorant Asset Management、OrbiMed、Plaisance Capital、Vivo Capital |
| 累計 | 2億5,700万ドル | 大型オンコロジー投資家による強力なシンジケート |
2025年12月の8400万ドル調達では、Janus Henderson、Brahma Capital、BioTrack が新規参加し、Cormorant、OrbiMed、Vivo が追加投資しています。
取締役へのファンド関与
過去の資金調達に伴い、
・Bihua Chen:Cormorant
・Carl Gordon:OrbiMed
・Timothy Stubbs:Vivo Capital
・Sundeep Agrawal:Colt Ventures
など、オンコロジー投資経験の豊富な投資家が取締役に参加しています。これは単なる上場前クロスオーバー投資ではなく、創業・臨床戦略・資本配分にファンドが継続的に関与してきたタイプです。
評価
7社の中でも、BLSM は特に、
・創業者の創薬実績
・オンコロジー専門ファンド
・複数の価値レイヤー
・近い臨床・規制カタリスト
が揃っています。一方、BH-30643 は競争の激しいEGFR領域であり、初期奏効だけでなく、
・奏効期間
・中枢神経転移への有効性
・C797Sでの再現性
・既存・開発中EGFR薬との差別化
が重要です。ファンドの質では最上位ですが、評価の中心は2026年Q4のFDA協議と Phase 1/2 データです。
Attovia Therapeutics (ATTO)
Attovia は、VHH/nanobody を組み合わせた ATTOBODY プラットフォームを使い、1分子で複数の炎症経路を阻害する生物製剤を開発しています。
ATTOBODY は Alamar Biosciences から導入した技術で、
・biparatopic抗体
・二重特異性抗体
・三重特異性抗体
・条件付きAND-gate抗体
などを作れることが特徴です。
パイプライン
| プログラム | 標的 | 適応 | 臨床段階・予定 |
|---|---|---|---|
| ATTO-1310 | IL-31 | 慢性そう痒症、高そう痒性アトピー性皮膚炎(AD) | Phase 1 |
| ATTO-2306 | IL-13+IL-31 | アトピー性皮膚炎など | 2027年上半期にPhase 1開始予定 |
| ATTO-1091 | TL1A+IL-23+α4β7 | 炎症性腸疾患(IBD) | 2027年上半期にPhase 1開始予定 |
ATTO-1310
ATTO-1310 は「かゆみサイトカイン」と呼ばれるIL-31を標的にします。2026年Q1に健康成人および慢性そう痒症・高そう痒AD患者への Phase 1 投与を完了しました。初期データでは、
・速く深いそう痒改善
・高そう痒ADで皮膚病変改善
・低い免疫原性
・3か月に1回投与を支持するPK
が示されたと会社は説明しています。
ATTO-2306
IL-13 と IL-31 を同時に阻害し、
・皮膚病変:IL-13
・かゆみ:IL-31
の両方を一つの薬で強く抑える設計です。AbbVie が買収した APGE の zumilokibart がIL-13単独であるのに対し、ATTO-2306 はIL-13+IL-31の二層阻害を狙っています。
ATTO-1091
IBD で検証済みの三つの経路、
・TL1A
・IL-23
・α4β7
を一つの分子で阻害する三重特異性薬です。成功すれば非常に大きい一方、まだIND準備段階です。
バイオファンドと取締役
Attovia は設立以来、約$255.8Mを調達しています。
・Frazier Life Sciences
・Goldman Sachs Alternatives
・venBio
・Deep Track Capital
・Cormorant
・EcoR1
・Vida Ventures
・Sanofi Ventures
・Illumina Ventures
・Marshall Wace
など、非常に強いシンジケートです。2025年の9000万ドル Series C は Deep Track が主導しました。さらに、ファンド担当者が直接取締役に入っています。
| 取締役 | 所属 |
|---|---|
| Rebecca Luse | Deep Track Capital |
| James Topper | Frazier Life Sciences |
| Aaron Royston | venBio |
| Colin Walsh | Goldman Sachs Life Sciences |
Series C では Deep Track が2500万ドル、Frazier が約1230万ドル、venBio が約850万ドル、Goldman 系が約610万ドルを投資しています。
評価
ファンドが資金提供だけでなく、取締役会を通じて開発・資本戦略に深く関与している会社です。
ただし、臨床的にはまだ Phase 1 中心です。ATTO-1310 の初期データは興味深いものの、無作為化試験ではありません。ATTO-2306 と ATTO-1091 はまだ患者でのPoC前です。
・ファンド・プラットフォーム価値:非常に高い
・現在の臨床デリスク度:まだ低い
・M&A可能性:中長期的に高い
・バイナリーリスク:2027年にかけて上昇
というIPOです。
Braveheart Bio (BRVE)
Braveheart Bio は、肥大型心筋症/HCMに特化した会社です。主力の BHB-1893 は、経口の次世代心筋ミオシン阻害薬で、
・閉塞性HCM/oHCM
・非閉塞性HCM/nHCM
を対象に開発されています。この資産は中国の Hengrui Pharma から、中華圏を除く世界の権利を取得したものです。中国で得られた Phase 2 データを基に、グローバル開発を進めます。
ロードマップ
したがって今回の7社では、LTGO、TARX と並ぶ Phase 3 直前の後期臨床案件です。
バイオファンド
Braveheart は2025年11月に、$185Mの Series A で設立されました。
・a16z Bio + Health
・Forbion
・OrbiMed
・Enavate Sciences/Patient Square Capital
・Frazier Life Sciences
が参加しています。取締役会には、投資家・業界経験者が多数入っています。
・Christopher Viehbacher:取締役会長
・Vineeta Agarwala:a16z Bio + Health
・Jasper Bos:Forbion
・Erez Chimovits:OrbiMed
・Tim Lohoff
・David Malek
・David Lubner
などです。
注意すべき点
この会社は資本面では非常に強い一方、価値の大部分が BHB-1893 に集中しています。
また、
・主な初期臨床データが中国で取得された
・米国・欧州患者で再現できるか
・グローバル Phase 3 用量が適切か
・心エコー監視や用量調整負担を減らせるか
・既存の心筋ミオシン阻害薬との差別化
が重要です。ファンド構成と Phase 3 準備度は最上位ですが、中国導入資産をグローバル登録試験へ変換する案件として見るべきです。
Tarsier Pharma (TARX)
Tarsier は、失明につながる炎症性眼疾患向けに、免疫調節薬 dazdotuftide を開発しています。
プログラム
| プログラム | 製剤 | 適応 | 臨床段階 |
|---|---|---|---|
| TRS01 | 点眼薬 | 非感染性前部ぶどう膜炎、ぶどう膜炎性緑内障 | Phase 3 |
| TRS02 | 徐放性硝子体内注射 | 中間部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、汎ぶどう膜炎 | 前臨床/IND申請準備 |
TRS01 は、ステロイドを使わずに炎症を抑えることを狙っています。眼圧上昇や緑内障を抱える患者では、ステロイドを避けられることに商業的な意味があります。
第一の Phase 3 は主要評価項目未達
最初の Phase 3 TRS4VISION 試験では、4週時点の前房細胞スコア0達成率で、活性対照のステロイドに対する主要評価項目を達成できませんでした。
一方、
・炎症関連の副次評価項目ではステロイドに近い作用
・ステロイドに伴う眼圧上昇を避ける可能性
・ぶどう膜炎性緑内障でのベネフィット・リスク
が示唆されました。その後FDAは、第二の Phase 3 Tarsier-04 についてSPAに合意しました。新試験では、ステロイドに対する安全性上の優位性を主要評価に置き、有効性を重要な副次評価項目とする設計です。
ロードマップ
| 時期 | 予定 |
|---|---|
| 2026年Q3 | Tarsier-04 Phase 3試験を開始予定 |
| 2027年 | Tarsier-04のトップラインデータを発表予定 |
| 2027年 | TRS02のINDを提出予定 |
| 2027年 | TRS02のPhase 1/2試験を開始予定 |
IPO条件
・5百万株
・価格レンジ:$8~10
・調達予定:約$45M
・想定完全希薄化時価総額:約$294M
・NYSE American
・主幹事:Konik Capital Partners/T.R. Winston
ファンド構成
Tarsier は大型の Series A~C を経た米国バイオIPOとは異なり、近年はSAFEを中心に比較的小口の資金を調達しています。
2024年に約220万ドル、2025年に約210万ドルのSAFEを発行し、一部にはIPO価格からの割引やワラントが付いています。大型専門ファンドの名前は主要株主として目立ちません。
取締役会にはCEOの Daphne Haim-Langford のほか、Sun Pharma 関係者の Atul Raut、Susan Benton、Sascha Bucher、上場時の取締役候補 Richard Eiswirth などが入っていますが、RA Capital や OrbiMed 型の強いファンド派遣構造ではありません。
評価
TARX は「Phase 3企業」ではありますが、第一の Phase 3 成功企業ではなく、第一試験未達後にエンドポイントを組み替えて再挑戦する会社です。
したがって臨床段階だけを見て BRVE や LTGO と同列に扱うべきではありません。今回の7社では、最も明確な規制・試験設計リスクを抱える案件です。
Vogenx (VOGX)
mizagliflozin は、腸管内で作用する選択的SGLT1阻害薬です。食事後の、
・ブドウ糖吸収
・インスリン分泌
・GIP分泌
を抑えることで、肥満手術後低血糖/PBHを治療します。全身吸収を抑えた薬剤で、腎臓中心のSGLT2阻害薬とは異なる位置づけです。
パイプライン
| プログラム | 適応 | 段階・予定 |
|---|---|---|
| mizagliflozin | 食後低血糖症(PBH) | Phase 2b EMERGE試験の開始準備 |
| mizagliflozin | 胃不全麻痺 | 2027年にPhase 2試験を開始予定 |
| mizagliflozin | GIP依存性クッシング症候群 | 2027年にIND申請を計画 |
| VGX-2857 | 減量後の体重維持など | 前臨床 |
mizagliflozin は Kissei Pharmaceutical から、日本、韓国、台湾を除く世界の権利を導入した薬です。これまで500例以上に投与されています。
Phase 2 データ
二つ目の PBH Phase 2 はわずか15例でしたが、高用量群では、
・低血糖患者の血糖最低値がプラセボ比で約18mg/dL改善
・食後血糖ピークが約58mg/dL低下
・重度低血糖イベントが減少
・CGM上の低血糖イベントが減少
という結果でした。次のEMERGEは、米国多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の Phase 2b です。会社は2026年中のスクリーニング開始を目指しています。
資金・ファンド
Vogenx は2022年に$11Mの Series A を実施しましたが、会社発表では投資家名を開示していません。2026年1月には最大500万ドルの債務調達を届け出ています。
公開情報から確認できる範囲では、著名な専門バイオファンドが主要株主または取締役として深く関与している構造ではありません。経営陣・取締役には James Green、William Wilkison、Steven Delmar らがいますが、ファンド派遣取締役は明確ではありません。
IPOの主幹事も JonesTrading 単独で、募集条件はまだ未定です。Renaissance Capital は約2500万ドル規模と推定しています。
評価
PBH には承認薬がなく、作用機序は合理的です。ただし、
・Phase 2 が15例と小さい
・Phase 2b の再現性が未確認
・症状・CGM・低血糖イベントのどれを承認エンドポイントにするか
・対象患者の診断・選別
・Kissei へのライセンス負担
・少人数企業の開発能力
がリスクです。臨床PoCは NUOX より分かりやすいものの、ファンド・資本面では弱い案件です。
Latigo Biotherapeutics (LTGO)
Latigo は、オピオイドではない鎮痛薬を開発しています。主力の LTG-001 は、末梢の痛覚神経に発現するNav1.8ナトリウムチャネルを選択的に阻害する経口薬です。
依存性や呼吸抑制を伴わずに、中等度~重度の急性痛を治療することを目指します。
Phase 2 結果と Phase 3 計画
343例の腹部形成術後痛 Phase 2 で、主要評価項目の SPID48 をプラセボに対して達成しました。次の計画は、
| 時期 | 試験 |
|---|---|
| 2026年下半期 | 外反母趾手術後疼痛を対象とするPhase 3試験を開始予定 |
| 2026年下半期 | オープンラベル長期安全性Phase 3試験を開始予定 |
| 2027年下半期 | Phase 3試験のトップラインデータを発表予定 |
| 2027年下半期 | LTG-321 Phase 2試験のトップラインデータを発表予定 |
です。
LTG-321
慢性筋骨格痛向けのNav1.8阻害薬で、最初に変形性関節症を対象としたPhase 2 PoCを進めています。
LTG-418
次世代Nav1.8阻害薬で、前臨床段階です。
バイオファンド
Latigo は今回の7社で、最も厚い投資家シンジケートの一つです。
Series A:$135M
・Westlake Village BioPartnersがインキュベート・主導し、
・5AM Ventures
・Foresite Capital
・Corner Ventures
などが参加しました。
Series B:$150M
・Blue Owl Capital が主導し、
・Deep Track Capital
・Access Biotechnology
・Qatar Investment Authority
・Cormorant
・Sanofi Ventures
・Rock Springs
・UPMC Enterprises
・Kern Capital
・Westlake Village BioPartners
・Foresite
・5AM Ventures
・Alexandria Venture Investments
が参加しました。
取締役構成
| 取締役 | 背景 |
|---|---|
| Kevin Raidy | Blue Owl Capital |
| Beth Seidenberg | Westlake Village BioPartners |
| Jim Tananbaum | Foresite Capital |
| Deborah Palestrant | 5AM Ventures |
| Timothy Walbert | バイオ企業の経営および商業化経験 |
| Sara Bonstein | Insmed CFO |
| Todd Smith | 商業化および製品上市の経験 |
Blue Owl の Kevin Raidy は Series B に伴って取締役に入りました。2026年には Insmed CFO の Sara Bonstein と、商業化経験を持つ Todd Smith を追加しており、Phase 3 から上場、将来の上市までを意識した取締役会になっています。
IPO
最大$100Mの仮登録
Nasdaq:LTGO
Goldman Sachs、Jefferies、Leerink、Guggenheim が共同主幹事
最終条件は未定
評価
今回の7社では、臨床デリスク度、ファンド構成、取締役、主幹事の組み合わせが最も整った案件だと思います。ただし、痛み試験には、
・プラセボ反応
・救済鎮痛薬の扱い
・手術モデル間の再現性
・有効性と副作用のバランス
・同じNav1.8クラスとの競争
があります。Phase 2 が良くても、外反母趾 Phase 3 で再現できるとは限りません。それでも、試験デザイン・資金・運営経験の面では、7社の中で最も「Phase 3 を適切に実施できる体制」に近い会社です。
ファンド・取締役の質による順位
1位:LTGO
Westlake、5AM、Foresiteによるインキュベーションに、Blue Owl、Deep Track、Cormorant、Sanofi Venturesなどが加わっています。Phase 3、IPO、商業化に合わせて取締役も補強されています。
2位:BRVE
a16z、Forbion、OrbiMed、Patient Square、FrazierがSeries Aから参加。設立時点から大型製薬会社へ売却可能な後期臨床企業として組成された印象です。
3位:ATTO
Deep Track、Frazier、venBio、Goldmanが取締役会に直接参加しています。臨床段階は若いものの、ファンド関与は非常に深いです。
4位:BLSM
Cormorant、OrbiMed、Vivo、Janus、BioTrackなど、特にオンコロジーに強い投資家が揃っています。創業者実績も強みです。
相対的に弱い
5位:VOGX
作用機序とPhase 2結果は興味深いものの、専門ファンドの関与が不透明です。
6位:NUOX
エンジェル、助成金、転換社債中心です。科学的には広い可能性がありますが、機関投資家によるデリスク度は低めです。
7位:TARX
Phase 3段階ではありますが、第一試験未達後の再挑戦であり、大型専門ファンドの支援も目立ちません。
投資視点での分類
| 視点 | 有力企業 |
|---|---|
| 最も完成度の高いIPO | LTGO |
| 最も後期のM&A型案件 | BRVE |
| オンコロジー創薬実績 | BLSM |
| プラットフォームと複数アセット | ATTO |
| 小型IPOの臨床PoC型 | VOGX |
| 高アップサイド・高技術リスク | NUOX |
| 最も大きいPhase 3再挑戦リスク | TARX |
私の現時点の注目順位は、LTGO ≈ BRVE > BLSM ≈ ATTO > VOGX > NUOX > TARXです。
ただし、最終的な投資魅力はIPO時価総額と既存優先株主の取得価格で大きく変わります。特に LTGO、BRVE、ATTO、BLSM は、強いファンド構成がすでに評価額に織り込まれ、高いIPO価格になれば必ずしも割安とは限りません。

