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Momentus の先駆的な推進システム、宇宙での初期テストに成功

Momentus (モメンタス) の先駆的な推進システム、宇宙での初期テストに成功。水を推進剤とする太陽光発電システム。

輸送やその他の宇宙インフラサービスを提供する米国の民間宇宙企業、Momentus (モーメンタス / NASDAQ:MNTS) は2023年3月31日、太陽光発電に依存し蒸留水を推進剤とするパイオニアのマイクロ波電熱スラスター (MET) の軌道上での初期テストシーケンスを成功させたことを発表しました。

MET は、Vigoride 軌道上サービス船 (OSV) の主要な推進手段で、非常に高温のガスをロケットノズルから噴出させることで推力を発生させるものです。化学反応で推力を生み出す従来の化学ロケットエンジンとは異なり、MET は太陽光発電でプラズマを作り、水推進剤を加熱するマイクロ波エネルギー源を駆動して推力を生み出すように設計されています。Momentus は、この独自の推進技術をサポートする2つの特許を取得しています。METの地上試験のビデオはこちらでご覧いただけます。

Momentus の最高経営責任者 John Rood は、次のように述べています。

MET の技術は、当社の輸送サービスの中核をなすもので、顧客にカスタムメイドで正確な軌道上の配送を提供することを可能にするものです。今後数週間、METのテストを強化し、宇宙での性能向上を目指します。Momentus のチームは、ここまで来るのに信じられないほど懸命に働いてきました。市場のニーズに応え、従来の化学推進システムや電気推進システムよりも優位性のある持続可能な推進システムの進化を目指し、その集中力は継続されるでしょう。

軌道上で行われた最近のMET試験には、Vigoride-5 宇宙船に力を与えるスラスタの複数回の試験発射が含まれています。これらの力は、宇宙船の軌道速度を変化させ、軌道を調整し、高度や軌道傾斜などのパラメータを変化させることができます。この能力により、Momentus は顧客のペイロードをカスタムメイドの軌道に送り込むことができるようになります。Momentus は、現在のVigoride-5 ミッションにおいて、宇宙船の高度と軌道傾斜角の変更を実証する予定です。

続けて John Rood は以下のように述べています。

MET のコンセプトは1980年代から学術的に研究されており、私たちはそれを商業化することに多大な機会を見出しました。多くの宇宙船はアルゴンやキセノンを使用していますが、これらはロシアやウクライナから調達することが多いのです。

推進剤に水を使うことで、特定の種類の宇宙船を海外の業者に頼る必要がなくなります。この点については、アメリカ国防総省からも好意的な意見が多く寄せられています。

さらに長期的には、水が宇宙でより豊富な資源として知られるようになり、未来の乗り物の推進剤を太陽系の他の資源から引き出せるようになれば、MET は魅力的な選択肢になります。水は月や太陽系の他の場所で発見されています。長期的なミッションを考えると、水を推進剤として使用することは他の利点もあります。

Vigoride OSV の姿勢制御と反応制御システムも推進剤として水を使用し、最近テストされ、完全に試運転されました。Momentus は、水を利用した推進システムにより、費用対効果が高く、効率的で安全、かつ環境に優しい推進力を提供し、宇宙空間での輸送やインフラサービスの需要に応えることを目指しています。