この記事では、天才バリュー投資家が語る「信用取引」の正しい使い方、テンプルトン郷と若きウォーレン・バフェットに学ぶリスクとリターンのバランスについてご紹介します。
信用取引(レバレッジ)は、一般にリスクの高い手法とされていますが、バリュー投資の文脈では例外的に有効とされるケースが存在します。それが「テンプルトン卿のマクロ戦略」と「若きバフェットの裁定取引(ワークアウト)」です。
テンプルトン卿に学ぶ「マクロ型信用取引」
世界的なバリュー投資家ジョン・テンプルトン卿は、極端に売り込まれた国やセクター全体に分散投資する戦略を用いて成功しました。
このようなマクロ的手法では、個別株のようにゼロになるリスク(全損リスク)が極めて低い一方、リターンも控えめになる傾向があります。
そのため、テンプルトン卿はリターンを引き上げる目的で2倍程度の信用取引を積極的に用いていました。
例:
・戦争や金融危機で暴落した国のETFを広く買い付け
・復興のタイミングで緩やかな回復を期待
→ 個別株ほどの爆発力はないが、安定した上昇が狙える
若きバフェットに学ぶ「裁定取引型信用取引」
ウォーレン・バフェットが若い頃に多用したのが、いわゆるワークアウト(特殊状況下の裁定取引)です。
これは、企業買収や合併、清算などで発生する価格差(アービトラージ)に着目した手法で、数学的にほぼ確定的な利回りを計算できるのが特徴です。
市場全体の上下とはほぼ無関係であるため、こうした場面ではバフェットも積極的に信用取引を使って利回りを最大化していました。
例:
・企業Aが企業Bを1株$10で買収すると発表
・市場ではまだ$9.50でB株が取引されている
→ $0.50の差を狙って大量に買い、買収成立時に利益を確定
普通株(ジェネラル銘柄)では信用は慎重に
一方で、いわゆる「普通株(ジェネラル銘柄)」を買う場面では、市場全体の影響を強く受けやすく、信用取引の使用はより慎重に考える必要があります。
特にここ数年のように、バリュー銘柄が成長株や指数に大きく劣後する相場では、単純なバリュー株投資だけではリターンが取りにくい状況が続いています。
そのため、筆者の場合は裁定取引やマクロ戦略など他の手法を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のバランスを調整しています。
結果として、多少複雑な構成のポートフォリオになりますが、信用取引も「リスク管理の一部」として合理的に活用しています。
結論:信用取引は「再現性と確度」がカギ
信用取引は危険なイメージを持たれがちですが、確率的優位性の高い局面においては、資本効率を高める手段として機能します。
テンプルトンや若きバフェットのように、「損失を被りにくく、再現性が高い」局面でだけ使うのが、バリュー投資家にとっての王道です。