
近況
2025年11月中旬の急落は、リード臨床「KRRO-110」の失望(期待水準未達)によるものです。「KRRO-110(AATD)」で主要タンパクが期待水準に届きませんでした。更に、約34%の人員削減(一時費用見込みも記載)と、CMO退任も開示されています。
12月上旬に売り底となり、時間をかけて再評価が進みファンドの買いも入っています。26年1月中旬現在、9ドル前半まで回復しています。
2026年5月19日:AATD向け GalNAc 皮下 RNA編集プログラムをKRRO-111として正式に開発候補へ追加。前臨床のAATDモデルでSERPINA1 RNA編集 >90%、血漿中の修復機能性AATタンパク約90%を示し、KRRO-110からの再設計が具体化。
2026年5月7日:FY2026 Q1 決算・事業アップデートを発表。リードプログラムはKRRO-121(高アンモニア血症:UCD / HE)で、2026年後半の規制当局提出を予定。
2026年3月:$85M PIPEを実施。主導はVenrock Healthcare Capital Partners。ADAR1、Affinity、Balyasny、Driehaus、Kalehua、Lynx1、Nantahala、NEAなどが参加。1株価格は$11.11、prefunded warrant は$11.109。
2026年Q1末(2026/3/31):現金・現金同等物・有価証券は約$157.1M。PIPE後の資金により、運転資金は2028年後半までを想定。
2025年11月に一時停止されたNovo Nordiskとの cardiometabolic 共同研究は、引き続き12か月の一時停止中。2026年Q1の共同研究収益はゼロ。
承認済み製品:なし(開発中)
主力:KRRO-121 — 高アンモニア血症(UCD / HE)向け GalNAc 皮下 RNA編集。Glutamine Synthetase(GS)を安定化する de novo タンパク変異体を作り、アンモニア除去能の持続を狙う。
AATD:旧 KRRO-110 は、ヒトで機能性M-AAT産生を確認した一方、単回投与で目標水準に届かず後退。現在はKRRO-111として GalNAc 皮下送達へ再設計済み。
その他:2026年後半に第3のGalNAcコンジュゲート・プログラムの開発候補指名を予定。AMPKγ1、TDP-43などの前臨床研究も継続。
対象:尿素サイクル異常症(UCD)および肝性脳症(HE)に伴う高アンモニア血症
作用:GalNAc 皮下 RNA編集でGlutamine Synthetase(GS)RNAを編集し、安定化した de novo GSタンパクを作る。アンモニア除去能の維持・改善を狙う。
対象:α1アンチトリプシン欠乏症(AATD、主にPiZZ)
作用:GalNAc 皮下送達により肝細胞へ到達し、内在性ADARを利用してAAT mRNA上の病的変異をRNA編集。正常型M-AATタンパクの産生を回復させる設計。
対象:AATD(PiZZ患者など)
作用:OPERA® によるRNA編集で「Z→M」方向のタンパク修復を狙った初期プログラム。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| KRRO-121 | 高アンモニア血症:UCD / HE | 前臨床 / FIH準備 | 2026年H2にFIH開始に向けた規制当局提出を予定 | 肝臓標的GalNAc、RNA編集特異性、肝機能、免疫反応、オフターゲット編集、GS安定化による代謝影響 | 皮下投与(GalNAc)。GSタンパク安定化によりアンモニア除去能を改善する設計 | 中〜大:UCDは希少疾患、HEはより大きな患者層 | 現在のリード。UCDだけでなくHEまで広がれば商業機会は大きい。最大論点は前臨床のアンモニア低下がヒトで再現するか |
| KRRO-111 | AATD | 前臨床 / DC指名済み | 前IND準備。2026年5月に開発候補として追加 | 肝臓標的GalNAc、肝毒性、免疫反応、RNA編集特異性、オフターゲット編集、反復投与時の安全性 | 皮下投与(GalNAc)。反復投与でRNA編集と機能性AATタンパク回復を狙う | 中:希少疾患。既存のAAT補充療法市場が比較対象 | KRRO-110失敗後の再挑戦。前臨床では編集率・M-AAT回復・Zタンパク低下が非常に強いが、ヒトPoCはまだ未確認 |
| KRRO-110 | AATD | Phase 1/2a(REWRITE) | 初期探索型。今後の主軸はKRRO-111へ移行 | LNP/送達、肝機能、免疫反応、注入関連反応など | 従来型送達で検証。単回投与では目標水準に届かず | 中 | ヒトでRNA編集による機能性タンパク産生を示した点はプラットフォーム上の意味があるが、商業候補としては後退 |
| 第3のGalNAcコンジュゲート・プログラム | 未開示 / cardiometabolic 等 | 前臨床 | 2026年H2に開発候補指名予定 | 標的・適応に依存 | 皮下投与(GalNAc)想定 | 中〜大:適応次第 | KRRO-121、KRRO-111に続くポートフォリオ拡張。標的開示が次の材料 |
| Novo Nordisk 共同研究 | cardiometabolic | 研究段階 | 2025年11月から12か月一時停止 | 研究段階 | 研究段階 | 大:cardiometabolic | 短期的には逆風。2026年後半〜11月前後に再開、標的差し替え、整理のいずれかが材料になり得る |
- KRROは“臨床段階AATD企業”から“一度前臨床へ戻ったRNA編集企業”へ再構築中:KRRO-110はヒトPoCの一部を示したが、薬効水準に届かず失敗寄りの評価。現在の再評価ポイントはKRRO-121とKRRO-111。
- KRRO-121が現在の主役:UCDだけでなくHEまで狙えるため、適応の広がりは大きい。GS安定化という“de novo protein / synthetic rescue”の考え方がヒトで通用するかが最大論点。
- KRRO-111はAATD再挑戦:前臨床では編集率 >90%、M-AAT約90%、Zタンパク低下という強いデータ。ただし、KRRO-110の前例があるため、市場はヒトデータまで慎重に見る可能性が高い。
- GalNAcへのピボットは合理的:承認済みオリゴ医薬で実績のある肝臓標的送達を使うことで、LNPよりも反復投与・皮下投与・製造/規制パスの見通しを改善しようとしている。
- 財務は改善:2026年3月の$85M PIPEにより、ランウェイは2028年後半まで延長。少なくともKRRO-121とKRRO-111の初期臨床データを狙う資金余力は見えやすくなった。
- Novo提携は保留材料:共同研究の12か月停止はネガティブだが、再開・ターゲット差し替え・正式終了のどれになるかで2026年後半の評価が変わる。
2026年3月、Korroは約$85MのPIPEを発表。主導はVenrock Healthcare Capital Partnersで、ADAR1 Capital Management、Affinity Asset Advisors、Balyasny Asset Management、Driehaus Capital Management、Kalehua Capital、Lynx1 Capital Management、Nantahala Capital、New Enterprise Associatesなどが参加。
条件は、普通株4,501,928株を1株$11.11、prefunded warrant3,148,836本を1本$11.109で販売。調達資金はKRRO-121、KRRO-111を含むRNA編集プログラムの臨床データ取得に充当される予定。
このPIPEにより、2025年11月のKRRO-110失望後に悪化した財務・信頼感は一定程度修復。ただし、投資家の本格的な再評価には、KRRO-121のIND/CTA相当の規制進展と、KRRO-111のヒトPoCが必要。
KRRO-110(AATD)アップデート → GalNAcへピボット
ヒトで機能性M-AAT産生は確認したが、単回投与で目標水準に未達。AATDはGalNAc皮下送達へ再設計。
KRRO-121 Analyst Day
UCD / HEに伴う高アンモニア血症の未充足ニーズと、KRRO-121の科学的根拠を説明。リードプログラムとしての位置づけを明確化。
$85M PIPE
Venrock主導で資金調達。ランウェイを2028年後半まで延長し、KRRO-121とKRRO-111の臨床データ取得を目指す体制へ。
KRRO-111(AATD)を開発候補に追加
GalNAc皮下AATDプログラムとして正式にDC指名。前臨床でSERPINA1 RNA編集 >90%、修復M-AAT約90%を示す。
KRRO-121:FIH開始に向けた規制当局提出
最大の短中期カタリスト。提出が予定通り進むか、試験デザイン、対象患者、初期PD指標が焦点。
第3のGalNAcプログラムのDC指名
KRRO-121、KRRO-111に続くポートフォリオ拡張。標的・適応の開示が市場評価を左右。
KRRO-121 / KRRO-111 の初期ヒトデータ
KRROの再レーティングには、前臨床データがヒトで再現することが必要。KRRO-121ではアンモニア関連PD、KRRO-111ではM-AAT回復とZ-AAT低下が焦点。
キャッシュランウェイ
2026年Q1末時点の会社想定では、現金等により2028年後半まで運転資金を確保。
KRRO-121:FIH開始に向けた規制当局提出。提出完了、試験デザイン、対象患者、初期PD指標の開示が焦点。
第3のGalNAcコンジュゲート・プログラムの開発候補指名。標的と適応が明らかになるかが重要。
Novo Nordisk共同研究の12か月停止後の扱い。再開、標的差し替え、終了のいずれか。
KRRO-121 / KRRO-111 の初期ヒトPoC。前臨床で示した編集・タンパク変化・PD効果がヒトで再現するか。
