
2026年6月8日:ADA Scientific Sessions 2026に先立ち、CNTY-813の新たな前臨床データを発表。ヒト化マウスモデルにおいて、全身性免疫抑制を使用せず、同種免疫圧下でも8カ月超にわたりインスリン分泌と正常血糖を維持した。Phase 1向けのスケール製造工程も確立した。
2026年5月13日:2026年Q1決算で、CNTY-813について2026年Q4のIND提出、2027年下期の初期臨床データという具体的なロードマップを提示。GMPマスターセルバンクの製造を完了し、FDAとの規制協議も進めている。
2026年中:自己免疫疾患向けの次世代CD19 CAR-iTであるCNTY-308について、規制当局の許可を前提に臨床試験を開始する計画を維持。
2026年1月:TCGXが主導し、RA Capital、Deep Track、RTW、Commodore、Venrockなどが参加する総額1億3,500万ドルの私募を実施。これにより資金ランウェイは従来の2027年Q4から2029年Q1まで延長された。
CNTY-101/CARAMEL:自己免疫疾患を対象とするPhase 1/2の医師主導試験は継続中。会社が定量的に開示している最新の初期集団はN=4で、Grade 1 CRSが1例、ICANSなし。2026年中の追加データ更新が予定されている。
承認済み製品:なし(開発中)
最優先プログラム:CNTY-813 — 1型糖尿病を対象とするiPSC由来アイレット細胞置換療法。Allo-Evasion™ 5.0によって同種免疫反応と自己免疫反応の双方から細胞を保護し、慢性的な全身性免疫抑制を必要としない治療を目指す。
自己免疫領域の次世代主力:CNTY-308 — CD19標的のαβ CAR-iT。B細胞介在性自己免疫疾患を対象としてIND-enabling試験を進めており、規制当局の許可を前提に2026年中の臨床開始を予定。
臨床PoCプログラム:CNTY-101 — CD19 CAR-iNK。CARAMEL Phase 1/2医師主導試験で、SLE、IIM、全身性強皮症などを対象に評価中。
開発終了・整理済み:会社主導の自己免疫試験CALiPSO-1は2025年11月に中止。NHLを対象としたELiPSE-1も2025年Q1に中止され、経営資源はT1Dと自己免疫疾患へ再配分された。
免疫抑制なしで血糖制御を維持
IND提出予定
初期臨床データ予定
ランウェイ:2029年Q1
対象:1型糖尿病
技術:iPSC由来アイレット細胞+Allo-Evasion 5.0
対象:B細胞介在性自己免疫疾患
技術:CD19標的αβ CAR-iT+Allo-Evasion 5.0
対象:SLE、ループス腎炎、特発性炎症性筋疾患、びまん皮膚硬化型全身性強皮症
技術:CD19 CAR-iNK+Allo-Evasion
| パイプライン | 対象 | 開発段階 | 次のマイルストン | 主なデータ | 主要リスク | 市場規模イメージ | 投資上の位置づけ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CNTY-813 iPSC由来アイレット細胞 |
1型糖尿病 | IND-enabling | 2026年Q4:IND提出 2027年下期:初期臨床データ |
免疫抑制なしのヒト化マウスで8カ月超の血糖制御。Phase 1向け製造工程を確立。 | ヒトへのトランスレーション、移植部位、必要細胞量、免疫回避の持続性、腫瘍形成リスク、長期CMC管理 | 非常に大きい T1Dの機能的治癒を狙う領域 |
現在の企業価値を決める最優先資産。IND通過と2027年の初期データが最大のバイナリーイベント。 |
| CNTY-308 CD19 CAR-iT |
B細胞介在性自己免疫疾患 | IND-enabling | 2026年中の臨床開始 | 標的依存的増殖、反復殺傷、長期持続性を示す前臨床データ。 | CRS、ICANS、感染症、長期B細胞枯渇、同種細胞の排除、適応症選択、製造再現性 | 大きい 難治性自己免疫疾患 |
CNTY-813に次ぐ重要資産。既製品型CAR-Tが自己免疫で成立するかを検証するプログラム。 |
| CNTY-101 CD19 CAR-iNK |
SLE、LN、IIM、dcSSc | Phase 1/2 CARAMEL医師主導試験 |
2026年中の追加データ | N=4でGrade 1 CRSが1例、ICANSなし。深いB細胞枯渇と一部患者の早期臨床改善。 | 症例数が極めて少ないこと、反復投与とIL-2補充、効果持続性、疾患別の再現性 | 大きい 難治性自己免疫疾患 |
主力資産というより、Allo-EvasionとiPSC細胞療法のヒトPoCを提供する臨床プログラム。 |
企業の中心はCNTY-813へ:以前はCNTY-101の自己免疫データが投資ストーリーの中心だったが、現在はT1D向けCNTY-813が明確な最優先プログラムとなっている。
2026年Q4が最初の重要な通過点:CNTY-813のIND提出とCNTY-308の臨床開始が予定されている。いずれかが遅延した場合、プラットフォーム全体の実行力に対する評価へ影響しやすい。
2027年下期が最大の価値検証:CNTY-813の初期臨床データで、C-peptide、食事刺激後のインスリン分泌、外因性インスリン必要量、低血糖イベントなどに改善が確認できるかが焦点となる。
免疫抑制不要はまだ臨床的に証明されていない:Allo-Evasion 5.0は慢性的な全身性免疫抑制を回避するための設計だが、現時点の根拠は前臨床モデルであり、ヒトでの有効性と持続性は未確認。
CNTY-101は小規模データ:安全性とB細胞枯渇は良好な初期シグナルだが、N=4の段階では疾患修飾効果や持続的寛解を評価するには不十分。2026年の症例追加が重要となる。
資金面は大幅に改善:2026年3月末の現金・現金同等物・市場性有価証券は2億1,700万ドル。会社は現在の計画で2029年Q1までの資金ランウェイを見込む。
希薄化リスク:2026年1月の私募には1株につき0.5株分のワラントが付随している。全て行使された場合、会社には約1億5,300万ドルの追加資金が入る可能性がある一方、発行済み株式数は大きく増加する。
CNTY-813は、Century Therapeuticsが現在最も優先している1型糖尿病向けiPSC由来アイレット細胞置換療法です。
健康なドナー由来のiPSCから、インスリンを産生するβ細胞を含む複数の内分泌細胞で構成されたアイレット細胞クラスターを製造します。これに同社のAllo-Evasion 5.0を組み込み、ドナー細胞に対する同種免疫反応と、T1Dの自己免疫反応の双方から移植細胞を保護する設計です。
2026年6月に公表された前臨床データでは、ヒト化免疫系を持つ糖尿病マウスにおいて、全身性免疫抑制なしで正常血糖とインスリン分泌を8カ月超維持しました。
製造面では、29日間のバイオリアクター型懸濁培養工程を確立。製造物の50%超がβ細胞で構成され、98%超の細胞が非増殖状態であるG1期に存在したと報告されています。凍結保存後も機能を維持しており、既製品としての保管・輸送を想定した設計です。
ただし、前臨床での免疫回避が人間でも長期間維持されるか、必要な細胞量を安全に投与できるか、移植細胞の回収・監視をどのように行うかは未検証です。投資上は、2026年Q4のINDよりも、2027年下期のヒト初期データが本質的な価値判定イベントになります。
2026年3月31日時点の会社Proxy資料に基づく5%超の主要株主は、以前の株主構成から大きく変化しています。
| 投資家 | 実質保有比率 | 位置づけ |
|---|---|---|
| TCG Crossover / TCGX | 9.97% | 2026年1月の私募を主導 |
| RA Capital | 9.97% | 大手バイオ専門ファンド |
| Deep Track Capital | 7.49% | 臨床開発型バイオへの専門投資家 |
| Bayer World Investments | 7.04% | 戦略的・産業系株主 |
| Venrock Healthcare Capital | 7.01% | ライフサイエンスVC/公開株投資家 |
| Commodore Capital | 7.01% | バイオ専門投資家 |
| RTW Investments | 7.01% | ライフサイエンス専門投資家 |
| Versant Ventures | 6.76% | 創業期から関与するライフサイエンスVC |
2025年時点に比べて、TCGX、RA Capital、Deep Track、RTW、Commodore、Venrockなどの専門ファンドによる保有が大幅に強まった構成です。
これはCNTY-813のT1Dプログラムに対する外部評価と資金支援を示す一方、株価上昇局面では私募株式やワラントの行使・売却が株式需給上のオーバーハングになる可能性があります。
ELiPSE-1を中止
NHL向けCNTY-101の開発を終了し、自己免疫疾患と次世代細胞置換療法へ資源を再配分。
CALiPSO-1を中止
会社主導のCNTY-101試験を終了し、医師主導のCARAMEL試験による臨床PoC取得へ集約。
1億3,500万ドルの私募
TCGX、RA Capital、Deep Track、RTW、Commodore、Venrockなどから資金を調達。資金ランウェイを2029年Q1まで延長。
CNTY-813のADA前臨床データ
免疫抑制なしで8カ月超の血糖制御、スケール製造、凍結保存後の機能、安全性データを公表。
CNTY-308:臨床試験開始
規制当局の許可を前提に、自己免疫疾患向けCD19 CAR-iTのFIH試験を開始する計画。
CNTY-101/CARAMEL:追加データ
症例数、疾患別反応、B細胞枯渇、免疫再構成、効果持続性、安全性の更新が焦点。
CNTY-813:IND提出
T1D向けiPSC由来アイレット細胞療法の臨床入りに向けた最初の重要な規制イベント。
CNTY-813:Phase 1開始・初回患者投与
INDのクリアを前提に、移植手技、用量、安全性、免疫管理を確認する初期臨床試験を開始。
CNTY-813:初期臨床データ
安全性に加え、C-peptide、インスリン分泌、外因性インスリン使用量、血糖管理、免疫抑制の必要性が主要な評価ポイント。
CNTY-308:IND/CTAクリア、試験開始、初回患者投与
CNTY-101/CARAMEL:症例追加、追跡延長、疾患別の有効性・安全性更新
CNTY-813:IND提出およびFDAによる臨床試験開始許可
CNTY-813:Phase 1開始、最初の患者への投与
CNTY-813:初期安全性・有効性データ
IPSCは、腫瘍領域の既製品型CAR-NK企業から、1型糖尿病の細胞置換療法と自己免疫疾患向け既製品型細胞療法を開発する企業へ、事業の中心を移しています。
最大のアップサイドは、CNTY-813が人間でも全身性免疫抑制なしにインスリン産生細胞として機能し、その効果を長期間維持できる場合です。成功すれば、T1D細胞療法における非常に大きな商業機会を得られます。
一方で、現在の価値の大部分は前臨床データに基づいています。免疫回避、細胞の長期生着、腫瘍形成リスク、スケール製造、移植手技、規制要件の全てを臨床で検証する必要があります。
したがって、現段階のIPSCは「資金面は改善したが、企業価値の本格的な検証は2027年のCNTY-813臨床データ待ち」という位置づけです。
