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CervoMed の株価暴落と延長試験での巻き返しについて

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CervoMed の株価急落と延長試験での巻き返し

CervoMed(ティッカー:CRVO)は、レビー小体型認知症(DLB)を対象とした治療薬「ネフラマピモド(neflamapimod)」の開発を進める臨床段階のバイオテクノロジー企業です。

同社の中核プログラムである Phase 2b 試験「RewinD-LB」は、当初のブラインド試験において主要評価項目を達成できず、薬剤の血中曝露量不足も明らかとなったことで、株価は急落しました。

しかし、その後実施された延長試験においては、薬剤カプセルの改良とともに有意義な臨床効果が示され、同プログラムは再び注目を集めています。本稿では、CervoMed を取り巻く一連の開発動向と、今後の主要なカタリストについて解説します。

【CRVO】脳の変性疾患の治療法の開発に焦点を当てた臨床バイオ企業 CervoMed

直近の動向

フェーズ 結果 市場反応
Phase 2b ブラインド部 主要/副次評価未達、薬物血中濃度不足が明らかに 株価 −77%急落
延長試験 16週 (OPEN) 新カプセル投与でCDR‑SB改善、転倒率減少 期待復活の兆し
延長試験 32週 CDR‑SB進行抑制54–64%、GFAP抑制18% Phase 3期待が高まる

Phase 2b 試験の失敗 → 株価 −77%急落

2024年12月、CervoMed が主力資産である認知症治療薬ネフラマピモドの Phase 2b(RewinD‑LB)試験において、主要評価項目(CDR‑SB)および副次評価項目いずれも統計的に有意差が得られなかったことを発表しました。

これは参加者に投与されたカプセルの血中濃度が十分でなく投与量不足だったことが原因とされ、株価は一日で 約77%下落し、19年ぶりの大暴落となりました。

この時点で Phase 3 試験は一時保留となり、投資家心理は全面的に冷え込みました。

延長試験でのデータ改善 → 良好な結果発表

検証を続けた CervoMed は、同試験の参加者ほぼ全員(152名中149名)を全員ネフラマピモド投与のオープンラベル延長試験(Extension phase)に移行させました。ここで新カプセルによる治療が導入されました。

これにより、16週目時点では、CDR‑SBとCGICで改善が確認され、転倒発生率も低下傾向が見られました

32週目(延長フェーズ)データ

CervoMed は2025年7月末、Phase 2b RewinD‑LB の延長試験32週時点の結果をSSAIC 2025および投資家向けウェブキャストで発表しました。

・主な臨床評価結果(CDR‑SB)
延長フェーズ全体(32週)で、有意な臨床的悪化リスクの54%低下を確認。さらに、アルツハイマー病併存が少ない「ptau181 < 2.2 pg/mL」の被験者ではリスクが64%低下と、強い傾向が明らかに。

これはp値が0.0037~0.0001と極めて高い統計的有意水準を示しました。

・バイオマーカー(GFAP)の改善
神経変性を示すマーカーであるGFAPのプラズマ濃度が全体で −18.4±4.0 pg/mL、ptau181 < 2.2 群では −21.2±4.4 pg/mLと大幅な減少を記録。これはp < 0.0001 で統計的に強い結果です。

・用量反応と安全性
新カプセル使用群は臨床的に重要な悪化率が旧カプセルより40%低い結果(p値有意)。また、プラセボとの比較でも改善傾向が認められました。

副次評価のCGICでも、新カプセル群で旧カプセルおよびプラセボ群よりスコア改善(p=0.035)が確認されています。

転倒発生率の低下も注目で、新カプセル群では全体で7.4% vs 旧カプセル14.5%、ptau低群では4.0% vs 15.4%と抑制され(p=0.025)、安全性も良好でした。

改良されたカプセル

初期の12週ブラインドフェーズでは使用された旧型カプセルは、設計上の想定よりも血中濃度が低く、曝露不足が問題でした。これが主要評価での治験失敗と株価暴落(−77%)の原因となったとされています。

これを受けて CervoMed は新しいバッチのネフラマピモド用カプセルを開発し、溶出特性の改善を実施。新カプセルは設計どおりの目標血中濃度を安定して達成可能となりました(旧カプセルでは経時劣化による溶出不良が原因)。

内部比較(同一被験者の比較:N=13)では、新カプセル使用群の平均トラフ濃度が 5.1ng/mL対旧カプセルの4.0ng/mL(p=0.03)と有意に高く、用量反応関係の明確化に成功しています。

株価と今後の展望:Phase 3 へ

CervoMed は2025年第4四半期にFDAとの協議を予定しており、Phase 3 試験デザインの具体化が進行中です。これまでの PoC(proof-of-concept)成立により、FDA承認への可能性や加速型承認制度の利用も視野に入っています。

この強力な延長試験データにより、Phase 3 移行の準備は再開され、会社は 2026年中頃までに Phase 3 試験開始の計画を示唆しています。

CervoMed はカプセル改善により臨床効果の実証に成功し、DLB(レビー小体型認知症)治療のリーディング候補として再浮上しています。