Scribe Therapeutics(SCTX)は、体内で直接遺伝子を制御・編集する in vivo CRISPR 治療を開発するバイオ企業です。
Jennifer Doudna 氏らが創業に関わり、希少疾患だけでなく、数百万人規模の患者がいる心血管・代謝疾患へのCRISPR応用を目指しています。2026年7月時点ではIPO申請中で、まだ上場前です。
主力は、PCSK9を長期間抑えてLDLコレステロールを下げる「STX-1150」です。DNA配列を恒久的に切断するのではなく、遺伝子の働きをエピジェネティックに抑える点が特徴で、現在Phase 1に入っています。
そのほか、Lp(a)を下げる「STX-1200」、APOC3と中性脂肪を下げる「STX-1400」を前臨床で開発しています。また、LillyやSanofiとも神経疾患、血液疾患、細胞療法分野で提携しています。
簡単に言えば、1回の CRISPR 治療で、コレステロールや心血管リスクを数年間抑えることを目指す企業です。
最大の注目点は、2027年Q1〜Q2に予定される「STX-1150」の初期ヒトデータです。ここで十分なLDL-C低下と高い安全性を示せるかが、SCTX の企業価値を大きく左右します。
2026年7月2日:Scribe TherapeuticsがIPO向けForm S-1を提出し、Nasdaqへ「SCTX」で上場申請。2026年7月7日時点ではIPO価格・発行株数は未確定で、まだ上場取引は開始していない。
2026年Q2:主力候補STX-1150について、オーストラリアTGAからfirst-in-human試験の開始許可を取得し、Phase 1試験を開始。
2026年Q2:STX-1150は、PCSK9遺伝子を切断せずに長期間抑制するELXRエピジェネティック技術を採用。高LDL-CおよびASCVDリスク患者を対象に、単回投与の安全性・忍容性・LDL-C低下を評価する。
2026年Q2:前臨床候補STX-1200とSTX-1400について、CIRMから合計最大US$25.7Mの助成金支援を受ける計画を開示。
2026年Q1:Lilly傘下Prevail Therapeuticsとの神経・神経筋疾患向けin vivo CRISPR提携で、2回目のsuccess milestoneを達成。
2026年Q1:現金・現金同等物・投資有価証券はUS$49.7M。STX-1150の臨床開発とSTX-1200 / STX-1400のIND前開発に伴い、IPOによる追加資金調達が重要。
2027年Q1〜Q2:Scribe最大のカタリストとして、STX-1150 Phase 1初期ヒトデータを予定。安全性、忍容性、PCSK9低下、LDL-C低下の確認が焦点。
承認済み製品:なし(臨床開発中)
主力候補:STX-1150 — PCSK9遺伝子をエピジェネティックに長期間抑制し、LDL-C低下を狙うin vivo CRISPR治療。
補足:Scribe TherapeuticsはIPO準備中の未上場企業。自社パイプラインはPCSK9、LPA、APOC3というヒト遺伝学・既存薬で検証された脂質標的に集中し、Lilly / PrevailおよびSanofiとの提携プログラムも保有する。
対象:LDL-C高値でASCVDリスクが高い成人
作用:ELXRによるPCSK9転写の長期エピジェネティック抑制
対象:高Lp(a)、ASCVD、大動脈弁狭窄リスク
作用:XE nucleaseによるLPA遺伝子ノックアウト
対象:家族性カイロミクロン血症症候群、重症高トリグリセリド血症
作用:XE nucleaseによるAPOC3遺伝子ノックアウト
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| STX-1150 | 高LDL-C、ASCVD高リスク成人 | Phase 1 | オーストラリア・ニュージーランドで非盲検first-in-human試験。単回投与用量漸増 → 用量拡大 | ALT / AST、総ビリルビン、血小板、補体、サイトカイン、投与時反応、長期エピゲノム変化 | ELXR mRNA+PCSK9標的ガイドRNAを肝指向性LNPで単回静脈投与 | 非常に大:高LDL-C / ASCVD予防市場 | 企業価値の中心。 近い焦点:2027年Q1〜Q2初期ヒトデータ |
| STX-1200 | 高Lp(a)、ASCVD、大動脈弁狭窄リスク | 前臨床 / IND-enabling | CIRM支援下でIND前試験を進行。2027年または2028年のPhase 1開始を計画 | LPAと配列相同性が高いPLGへのオフターゲット、肝毒性、免疫反応、長期腫瘍原性 | XE nuclease mRNA+LPA標的ガイドRNAをLNPで単回投与 | 非常に大:高Lp(a)心血管予防市場 | 科学的・商業的アップサイドが大きい。 焦点:臨床入り順とIND時期 |
| STX-1400 | FCS、MCS、SHTG、TG関連疾患 | 前臨床 / IND-enabling | CIRM支援下でIND前試験を進行。2027年または2028年のPhase 1開始を計画 | 肝毒性、オフターゲット、長期APOC3欠損の安全性、LNP関連急性反応 | XE nuclease mRNA+APOC3標的ガイドRNAをLNPで単回投与 | 中〜大:FCSからSHTG・TG関連ASCVDへ拡張 | 希少疾患から開始し大市場へ広げる戦略。 焦点:FCS先行開発の可否 |
| Lilly / Prevail提携 | 神経・神経筋疾患 | 前臨床 / 研究段階 | Lilly / Prevail主導で候補選定・前臨床開発を進行 | CNS・筋組織への送達、安全性、免疫反応、オフターゲット編集 | XE in vivo編集とPrevailの神経系送達技術を組み合わせる | 中〜大:複数神経・神経筋疾患 | 2回目のsuccess milestone達成。 非希薄化資金と肝外送達の外部検証 |
| Sanofi in vivo提携 | 鎌状赤血球症ほか | 前臨床 / 研究段階 | Sanofi主導で候補・標的選定。追加標的オプションあり | 造血組織への送達、オフターゲット、免疫毒性、長期編集安全性 | CasXEを利用したin vivo遺伝子編集 | 中〜大:鎌状赤血球症・血液疾患 | Sanofiによる技術採用がプラットフォーム検証になる |
| Sanofi細胞療法提携 | がん細胞療法 | 研究段階 | Sanofi主導でCRISPR編集細胞療法候補を探索 | 細胞製造、染色体異常、オフターゲット、免疫関連毒性 | ex vivo CRISPR編集細胞療法 | 中〜大:がん細胞療法 | 具体的な候補・標的・臨床入り時期は非開示 |
| DMD研究プログラム | Duchenne型筋ジストロフィー | 前臨床研究 | 正式な臨床候補選定前。研究データを基に開発候補への昇格を検討 | 筋組織送達、免疫反応、オフターゲット、AAV関連安全性 | XEによるexon skipping、変異領域切除、AAV送達を探索 | 中:DMD遺伝子治療市場 | 正式パイプライン外の将来オプション |
- 臨床価値はSTX-1150に集中:現時点で唯一臨床入りしており、2027年Q1〜Q2の初期ヒトデータが会社全体とELXR技術を検証する。
- 標的リスクを抑えた戦略:PCSK9、LPA、APOC3はいずれもヒト遺伝学・既存薬で検証されており、主なリスクはCRISPR技術、送達、安全性に集中する。
- ELXRとXEを使い分け:STX-1150ではDNA配列を変更しないエピジェネティック抑制、STX-1200 / 1400では恒久的な遺伝子ノックアウトを採用。
- 巨大市場を狙う:希少疾患だけでなく、高LDL-C、高Lp(a)、高TGといった大規模な心血管・代謝疾患市場への展開を目指す。
- IPOが重要:2026年Q1末の資金はUS$49.7Mで、3本の自社プログラムを並行開発するには追加調達が必要。IPO条件と調達額が短期的な重要論点。
2026年7月7日時点ではScribe TherapeuticsはIPO準備中の未上場企業であり、公開市場の13D / 13G保有データはありません。IPO時にはcornerstone投資家、バイオ専門ファンド、既存ベンチャー投資家の継続保有率、ロックアップ条件、IPO価格と完全希薄化後時価総額が重要です。
Lilly / Prevail提携で2回目のsuccess milestone
神経・神経筋疾患向けin vivo CRISPRプログラムで開発マイルストーンを達成し、XE技術の外部検証が進展。
STX-1150 TGAクリア
オーストラリアTGAからfirst-in-human Phase 1試験の開始許可を取得。
STX-1150 Phase 1開始
高LDL-C・ASCVD高リスク成人を対象に、単回投与用量漸増試験を開始。
STX-1200 / STX-1400向けCIRM支援
2プログラムのIND-enabling開発に対し、合計最大US$25.7Mの助成金支援を確保。
SCTX IPO・Nasdaq上場の可能性
IPO価格、発行株数、調達額、完全希薄化後時価総額、専門ファンドの参加状況が焦点。
STX-1150用量漸増
初期コホートの安全性レビュー、次用量への移行、PCSK9・LDL-Cの薬力学的反応を確認。
STX-1200 / STX-1400 IND-enabling進展
毒性試験、製造、オフターゲット解析、規制当局との事前協議を進め、臨床入り順を決定。
STX-1150初期ヒトデータ
安全性、忍容性、PCSK9低下、LDL-C低下、用量反応、肝毒性、急性免疫反応を評価。
STX-1200またはSTX-1400 Phase 1開始
高Lp(a)市場を優先するか、FCSから安全性・承認経路を確立するかが戦略上の焦点。
STX-1150用量拡大・推奨用量選定
初期データが支持的であれば、追加患者登録、推奨用量選定、次段階の試験設計へ進む。
残るSTX-1200またはSTX-1400 Phase 1開始
先行しなかった第2の脂質編集候補を臨床入りさせ、複数臨床資産を持つ企業への移行を目指す。
SCTX IPOの価格決定、発行株数、調達額、完全希薄化後時価総額、cornerstone投資家・バイオ専門ファンドの参加状況。
STX-1150 Phase 1用量漸増、安全性レビュー、PCSK9・LDL-Cの初期薬力学シグナル、STX-1200 / STX-1400の臨床入り順決定。
STX-1150初期ヒトデータ、用量拡大・推奨用量選定、STX-1200またはSTX-1400のPhase 1開始、Lilly / Sanofi提携マイルストーン。
