
2026年5月8日:2026年Q1決算・事業アップデートを発表。主力の ASPEN-09-Breast は、HER2陽性転移性乳がん post-ENHERTU 患者を対象に、80例のToplineデータを2027年中頃に予定。従来の2026年Q3中間解析目安から、より明確にmid-2027読出しへ更新された。
2026年5月7日:Evorpacept + zanidatamab のHER2陽性転移性乳がんにおけるCD47バイオマーカー解析を ESMO Breast Cancer 2026 で発表。CD47高発現群では cORR 100%(5/5)、mPFS 22.1か月、mDOR 20.2か月を示し、CD47発現が反応予測バイオマーカーとなる可能性を補強。
2026年5月8日:ALX2004(EGFR ADC) のPhase 1用量漸増試験は引き続き登録中。安全性データの読出し時期は、従来の2026年上期目安から2026年下半期へ更新。
2026年2月:登録済み株式オファリングを完了。普通株 76,979,112株を1株 $1.57、pre-funded warrant 18,574,120株相当を1株相当 $1.569で販売し、gross $150M、net $140.4Mを調達。
2026年Q1:財務基盤の強化により、会社は2028年上半期までの運営資金を確保できる見込みと説明。
2026年4月:Jeff Knight を Chief Development and Operating Officer に任命。EvorpaceptとALX2004の今後の臨床実行体制を強化。
2026年:戦略の中心は、CD47阻害薬を広く使うのではなく、HER2陽性かつCD47高発現の患者を選別するバイオマーカー駆動型開発へ移行。
ALXO が取り組んでいるのは、がん細胞が免疫から逃れるために使う「CD47」という仕組みです。CD47は免疫細胞に対して「自分を攻撃しないでほしい」という信号を送る役割を持ち、がん細胞はこれを利用して免疫による排除を回避します。このため、CD47を阻害すれば免疫ががん細胞を認識し、排除しやすくなるという考え方が以前から注目されてきました。
しかし、この分野は過去に多くの企業が挑戦しながら、血液毒性や有効性の不確実性により開発が難航してきました。CD47は赤血球など正常な血液細胞にも存在しているため、単純に阻害すると貧血などの副作用が出やすく、CD47阻害薬全体への投資家の見方は長く慎重でした。
ALXO の主力候補である Evorpacept は、この課題を回避するために、Fc不活性化設計を採用したCD47ブロッカーです。抗HER2抗体、抗CD38抗体、その他の抗体薬やADCと併用することで、マクロファージによるがん細胞貪食(ADCP)を増強することを狙っています。
ただし、Evorpaceptもすべての患者に一様に効く薬というより、現在はCD47発現が高い患者で反応が強く出る可能性を軸に再評価されています。HER2陽性胃がんのASPEN-06に続き、HER2陽性乳がんの evorpacept + zanidatamab 解析でも、CD47高発現群で明確に良好な反応が示されました。
このため、ALXO の現在の投資ストーリーは、単なる「CD47再挑戦」ではなく、CD47高発現というバイオマーカーを使って、HER2陽性腫瘍の中でも反応しやすい患者を選ぶ戦略に変わっています。特に、ENHERTU(T-DXd)後に進行したHER2陽性転移性乳がんでは治療選択肢が限られており、ここで有効性が示されれば差別化余地があります。
一方で、現在進行中のASPEN-09-Breastは、2027年中頃に80例Toplineを予定しており、短期の大型データはやや先です。2026年の焦点は、ALX2004の安全性データ、ASPEN-09の登録進捗、そしてCD47高発現患者選択の信頼性をさらに高められるかにあります。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:Evorpacept(CD47ブロッカー)— 抗体薬/ADC併用でマクロファージ貪食(ADCP)を増強する設計。Fc不活性化設計とCD47高発現患者選択を差別化ポイントとして強調。
第2エンジン:ALX2004(EGFR標的ADC)— EGFR発現進行固形がんを対象にPhase 1で開発中。用量漸増パートの安全性データは2026年下半期予定。
対象:ENHERTU(T-DXd)治療後に進行したHER2陽性転移性乳がん
作用:CD47–SIRPα遮断(ADCP増強;Fc不活性化設計)+ trastuzumab + 医師選択化学療法
対象:重度前治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん
作用:CD47–SIRPα遮断(ADCP増強)+ HER2二重特異性抗体(zanidatamab)
対象:既治療多発性骨髄腫
作用:CD47–SIRPα遮断(ADCP増強)+ isatuximab(抗CD38)+ dexamethasone
対象:HER2陽性胃/胃食道接合部がん(2L/3L)
作用:CD47–SIRPα遮断(ADCP増強)+ HER2標的治療の併用
対象:EGFR発現進行固形がん(NSCLC、HNSCC、ESCC、CRCなど)
作用:EGFR標的 ADC。既存EGFR ADCの毒性課題を克服することを狙う設計
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Evorpacept(CD47) | HER2+転移性乳がん post-ENHERTU ASPEN-09-Breast |
Phase 2 登録中 |
CD47高発現患者を重視するバイオマーカー駆動型設計。 80例Toplineを2027年中頃に予定し、最大120例まで拡大してCD47高発現例を確保。 |
CD47クラスでは貧血・血液毒性が論点。 EvorpaceptはFc不活性化設計により血液毒性低減を狙う。併用化学療法由来の骨髄抑制・感染症も監視。 |
Evorpacept + trastuzumab + 医師選択化学療法。 ENHERTU後のHER2陽性mBCで、CD47高発現例におけるORR・DOR・PFSを重視。 |
大:HER2+ mBCのpost-T-DXd領域。治療選択肢が限られ、差別化余地あり。 | ALXOの最重要プログラム。 短期データではなく、2027年中頃の80例Toplineが主要カタリスト。CD47高発現患者で明確なORRと持続性が出るかが鍵。 |
| Evorpacept + zanidatamab | HER2+転移性乳がん | Phase 1b/2 探索的バイオマーカー解析 |
CD47発現が反応予測バイオマーカーとなるかを探索。 ESMO Breast Cancer 2026で解析発表。 |
併用に伴う抗HER2関連毒性、輸注反応、血液毒性、肝機能、消化器症状を監視。 | Evorpacept + zanidatamab。 HER2二重特異性抗体にCD47阻害を上乗せし、ADCPを増強する戦略。 |
大:HER2+腫瘍領域。特にENHERTU後の高未充足領域。 | CD47高発現群で cORR 100%(5/5)、mPFS 22.1か月、mDOR 20.2か月。症例数は少ないが、ASPEN-09の患者選択戦略を強く補強。 |
| Evorpacept(CD47) | 多発性骨髄腫 Sarclisa + dex併用 |
Phase 1 用量最適化 |
Sanofi協業のUMBRELLA試験。 dose escalation後、用量最適化パートが進行中。 |
CD38抗体併用に伴う感染症、血液毒性、免疫関連イベント、輸注反応を監視。 | Evorpacept + isatuximab + dexamethasone。 CD38抗体の抗腫瘍免疫をCD47阻害で増強する狙い。 |
中〜大:MMは競争が激しいが市場規模は大きい。 | 現時点ではHER2乳がんほど明確な短期カタリストはない。Sanofi協業の進捗アップデート待ち。 |
| Evorpacept(CD47) | 胃/GEJ HER2+ ASPEN-06 |
Phase 2完了 | HER2陽性胃/GEJがんでPoCを検証。 現在はCD47高発現バイオマーカー戦略の根拠として活用。 |
CD47クラスAESIを踏まえつつ、Fc不活性化設計で血液毒性低減を訴求。 | HER2標的治療との併用文脈。 CD47発現レベルによる反応性の違いを解析。 |
中:胃/GEJは重要市場だが、現在の主戦場は乳がんへ移行。 | 加速承認につながる決定打には至らなかったが、CD47高発現患者選択という現在の戦略を支える先行データ。 |
| ALX2004(EGFR ADC) | EGFR発現進行固形がん NSCLC / HNSCC / ESCC / CRCなど |
Phase 1 用量漸増+拡大 |
First-in-human、open-label、多施設Phase 1。 用量漸増後、適応別拡大へ進む設計。 |
ADCクラスとして骨髄抑制、肝機能、消化器症状、末梢神経障害、ILD/肺毒性、皮膚毒性を監視。 前臨床では皮膚毒性・ILDなしと会社側は説明。 |
単剤投与で用量設定。 第3コホートでは4 mg/kgへ進行。安全性・忍容性を確認後、適応別拡大を検討。 |
大:EGFR発現固形がんは対象が広いが、ADC競争も激しい。 | 第2エンジン候補。 2026年下半期の安全性データが最初の重要チェックポイント。既存EGFR ADCより毒性が低いかが焦点。 |
- 最大の変更点:ASPEN-09-Breastの主要読出しは、従来の2026年Q3中間解析目安から2027年中頃の80例Toplineへ更新。
- CD47バイオマーカー戦略が前進:Evorpacept + zanidatamab解析で、CD47高発現群はcORR 100%、mPFS 22.1か月。症例数は少ないが、患者選択仮説を強く補強。
- ASPEN-09の設計も患者選択重視へ:CD47高発現患者でのORRを重視し、登録規模を最大120例へ拡大。
- ALX2004は後ろ倒し:EGFR ADCの初期安全性データは2026年下半期予定。2026年上期の大型データではない。
- 財務面は大きく改善:2026年2月の$150M gross / $140.4M net調達により、ランウェイは2028年上半期まで延長。
- 投資論点:短期はALX2004安全性、長期はASPEN-09のCD47高発現群データ。Evorpacept単独の広範なCD47薬ではなく、HER2+ / CD47-highに絞った精密化戦略として見るべき。
ALXOは、過去のCD47阻害薬失敗のイメージが重く、株価評価はまだ慎重です。一方で、2026年の大型増資により資金繰りは大きく改善し、少なくともASPEN-09のmid-2027データまで開発を進める余力は確保されました。
主要ファンド目線では、ALXOは「CD47全体の復活」に賭ける銘柄というより、CD47高発現HER2陽性乳がんで、バイオマーカー選択により失敗確率を下げられるかを見るイベント株です。Evorpacept + zanidatamabのCD47高発現群データは非常に強いものの、症例数は5例と小さく、ASPEN-09でより大きな患者集団に再現できるかが最大の論点です。
短期的には2026年下半期のALX2004安全性データが補助的カタリストになりますが、企業価値の中心は依然としてEvorpaceptです。したがって、ALXOの評価はmid-2027のASPEN-09データまで待てる資金力と、CD47高発現患者選択の再現性にかかっています。
登録済み株式オファリング完了
普通株とpre-funded warrantの販売により、gross $150M、net $140.4Mを調達。運営資金の見通しは2028年上半期まで延長。
Evorpacept + zanidatamab:CD47バイオマーカー解析
ESMO Breast Cancer 2026で発表。CD47高発現群ではcORR 100%、mPFS 22.1か月、mDOR 20.2か月を示し、CD47発現が反応予測バイオマーカーとなる可能性を補強。
ALX2004(EGFR ADC)Phase 1安全性データ
EGFR発現進行固形がんを対象とする用量漸増パートの安全性データを予定。皮膚毒性・ILDなど、既存EGFR ADCで問題となりやすい毒性が焦点。
ASPEN-09-Breast 登録進捗
HER2陽性転移性乳がん post-ENHERTU 患者を対象に、CD47高発現患者でのORRを重視して登録を継続。最大120例まで登録拡大。
ASPEN-09-Breast:80例Toplineデータ
ALXOの最重要カタリスト。CD47高発現患者で、Evorpacept + trastuzumab + 化学療法が十分なORR、DOR、PFSを示せるかを確認。
資金ランウェイの目安
2026年2月の資金調達により、現在の計画では2028年上半期までの運営資金を確保できる見込み。
ALX2004(EGFR ADC)Phase 1用量漸増パートの安全性データ。EGFR ADCとして皮膚毒性・ILD・骨髄抑制などが抑えられるかが焦点。
ASPEN-09-Breastの登録進捗、CD47高発現患者比率、試験デザイン・登録スピードの更新。
ASPEN-09-Breast 80例Toplineデータ。CD47高発現HER2+ mBCでORR・DOR・PFSが再現できるかが最大カタリスト。
