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【RAPP】Rapport Therapeutics のカタリストとロードマップ

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「RAP-219(RAP-219-FOS-201)」の薬剤抵抗性焦点性発作患者を対象とした臨床第2a相試験において、主要評価項目を達成し、8週間の投与期間中、臨床発作軽減の客観的な電気図バイオマーカーであるロングエピソード(LE)がベースラインと比較して統計学的に有意に減少したことを2025年9月8日に発表しました。

Ph2a は “有望な有効性シグナル+概ね良好な安全性” を示しました。デザインが単群・オープンラベル(ベースライン対比)なので、決定的な因果証明は Ph3 で行う前提です。

Ph2a=有望なシグナルと安全性の確認、Ph3=因果を確証して承認に直結。今回の結果を受け、「RAP-219」は Ph3 直行の計画が公式に示されました。

買収のポイント

RAPP は、「RAP-219」Ph2a のトプラインデータにより、これで買収本命候補に浮上した段階です。

理由は、客観バイオマーカー(LE)と臨床発作の両方で有意かつ安全性良好という強いPoCを本日示し、会社側もレジストレーショナル(P3)へ進む方針を明言したからです。

ただし単群・オープンラベルの P2a なので、買収の決定打はEOP2合意→ Ph3 設計確定まで待つ買い手が多いはずです。それでも “様子見” が残る理由としては、

試験の性格:単群・オープンラベルP2aで、統制比較による因果の確証はP3で必要。
商業面の確認事項:てんかん市場はジェネリックが厚い。新薬は有効性の上乗せ×安全性/相互作用の優位×併用下での実用性をP3で明確に示す必要。
長期安全性:中枢系薬では長期曝露データが買い手の必須チェック項目。

“買い手像” と見られる関心軸は、

神経領域の商流を持つ買い手:例)UCB(ブリビアク)/Eisai(ペランパネル)/Jazz(Epidiolex)**などASMに経験がある企業。
見るポイント:①P3主要項目(臨床発作)での再現性、②相互作用プロファイル、③CoGs/製造スケール、④処方のしやすさ(QD/BID、滴定の要否等)。

これからの“買収スイッチ”になり得るイベント

1. EOP2 で Ph3 設計合意(主要評価・統計・症例数)が明確化。
2. Ph3 開始発表(サイト・地域・対照、併用背景)で実装可能性が担保。
3. 長期安全性/OLEの初期データで神経系AEsの不安を低減。
4. 競合イベント(他ASMの失敗・安全性懸念)が起きた場合の“窓”。

以上のように Ph2a トップラインでM&Aの確度は一段上がったのは確か。ただ、買収の本線はEOP2合意→P3確定が見えてから、もしくはP3中盤の中間解析や早期成功シグナルが出た時点で強くなる、というのが実務的な読みです。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:RAP-219(TARPγ8選択的 AMPAR NAM)— 局在関連てんかん(FOS)を対象、Phase 2a 実施中。

補足:同一化合物で双極性障害・躁病(Phase 2)糖尿病性末梢神経障害痛=DPNP(Phase 2a 予定)の展開を準備中。

主要臨床成績
Q3 2025
RAP-219(FOS P2a)
トップライン予定

92%
LEと電図発作の一致率
(ベースライン解析)

51回
LE平均頻度 / 28日
(ベースライン)

$260.4M
現金等(2025/6/30)
ランウェイ:〜2026年末

臨床試験パイプライン
Phase 2a
RAP-219(FOS:局在関連てんかん)

対象:薬剤抵抗性の局在関連てんかん(Focal Onset Seizures)

設計:RNS由来の長時間エピソード(LE)を客観バイオマーカーとするPoC。

主要評価:LE≧30%減の割合、LE頻度中央値の変化
副次評価:臨床発作≧50%減の割合 ほか
安全性:Phase 1集計でG1–2中心、重篤事象なし

Phase 2
RAP-219(双極性障害・躁病)

対象:双極性障害の躁病相

進捗:IND受理→組入れ進行中。トップライン:2027年Q1–Q2 予定。

目的:用量反応・有効性と安全性の確認

精神神経領域

Phase 2a(予定)
RAP-219(DPNP:糖尿病性末梢神経障害痛)

対象:疼痛(DPNP)

進捗:2024年Q4 INDでクリニカルホールド。追加情報対応後、2025年内に開始時期を更新予定

設計:疼痛指標と安全性の初期評価(計画)

ホールド対応中

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
RAP-219(TARPγ8選択的 AMPAR NAM) 局在関連てんかん(FOS) Phase 2a 無作為化・二重盲検・プラセボ対照(想定)。主要評価はRNS由来LE(発作関連ロングエピソード) 中枢性:眠気・めまい・ふらつき・言語/認知緩徐、視覚異常、転倒リスク/
精神症状(易怒・気分変調)、自殺関連事象監視(クラス注意)
経口 QD/BIDで漸増。既存ASMsは原則固定の併用前提。
CNS抑制薬との相互作用、運転/高所作業の注意喚起
大:てんかん市場(難治群の高アンメット) Q3 2025トップライン予定。
RNSベースの客観指標でPoCを示せれば登録的P2b/3へ。
RAP-219(躁病) 双極性障害・躁病 Phase 2 無作為化DBPC(単剤/補助療法はプロトコール依存)。主要評価:YMRS変化 中枢性:眠気・めまい・注意/記憶低下、不安/焦燥、転倒/
代謝系/錐体外路は低頻度想定だが観察継続
経口 QD/BIDで漸増。気分安定薬・抗精神病薬との併用最適化/
セロトニン作動薬等の併用は慎重投与
大:精神科領域(既存薬の副作用・奏効限界) 組入れ進行中。2027年Q1–Q2トップライン見込み。
速効性×忍容性で差別化できれば採用余地。
RAP-219(DPNP) 糖尿病性末梢神経障害痛 Phase 2a(予定) IND Clinical Hold対応中。解除後に無作為化DBPCでNRS疼痛スコアを主要評価 中枢性:眠気・めまい、認知/バランス低下、転倒/
自殺関連事象の定期評価(CNS薬クラス注意)
経口 QD/BID。デュロキセチン/プレガバリン等との併用を想定し、
鎮静相加と離脱/切替時の管理に注意
大:慢性疼痛市場 2025年内に開始時期アップデート予定。
鎮痛効果発現の早さ×日中鎮静の最小化が鍵。

ポイント

TARPγ8選択性による標的部位選択性(後脳曝露の最小化)で、従来の広域AMPAR阻害に伴う鎮静・運動失調・認知副作用の低減を志向。
客観指標(LE)×臨床発作の二軸でPoCを設計し、シグナル検出力を高める試験デザイン。
資金余力:現金等 $260.4M(2025/6/30)、ランウェイは〜2026年末を見込む。

これまでの臨床フェーズ
2024年12月8日

AES 2024:Phase 1(SAD/MAD)初期臨床データ

健康成人での安全性・PKを報告。TARPγ8選択的AMPAR阻害の臨床妥当性を後押し。

2025年1月9日

Phase 1 統合データ(PET占有を含む)

ヒトPETで目標占有を達成/上回り、Ph2用レジメンを支持。忍容性は概ね良好。

2025年6月2日

Ph2(FOS-201)登録完了

目標症例の組入れを完了。トップラインは9月予定と案内。

2025年9月8日

Ph2 トップライン(良好)

主要LEと臨床発作で有意改善:発作中央値−77.8%(p=0.01)、発作消失24%(p<0.0001)。忍容性良好。

2025年9月8日

普通株式の公募増資を発表

2億5000万ドルの普通株式の引受公募を開始したと発表した。

2025年9月9日

普通株式の公募増資の価格決定を発表

1株当たり26.00ドルの公募価格で9,615,385株の引受公募増資の価格設定を発表した。

2025年Q4〜

次ステップ:EOP2→長期安全性→P3

2025年Q4にEOP2、年内にOL長期安全性試験開始(初期結果H2 2026)。P3は2026年Q3開始予定。

開発ロードマップ
完了:2025年

RAP-219(FOS)P2a 登録完了

ベースラインでLEと電図発作の一致率92%を確認。

2025年Q3

RAP-219(FOS)トップライン

主要・副次の事前定義解析(LE≧30%減、臨床発作≧50%減 など)を開示予定。

2025年内

DPNP(P2a)開始時期の更新

INDホールド対応後の開始タイミングを告知。

2026年

次段階設計と並行推進

FOS:P2b/登録方針の具体化。躁病:P2 組入れ・追跡を継続。

2027年Q1–Q2

躁病 P2 トップライン

RAP-219の神経精神領域での有効性・忍容性を判定。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q3)
RAP-219(FOS)P2a トップライン(LE/臨床発作の両評価)。

中期(2025年内)
DPNP(P2a)開始時期のアップデート、FOS次段階(P2b/登録)方針の初期示唆。

長期(2026年〜)
FOSの登録デザイン具体化、2027年Q1–Q2 躁病P2 トップライン。