
MASH 領域で先行する Madrigal のFDA承認された「Rezdiffra」の後を追うのが、Inventiva が開発中 (Phase 3(NATiV3)の最中) の経口薬「Lanifibranor」です。
「Lanifibranor」はPPARアゴニストとして「代謝・炎症・線維化」の包括的モジュレーションが強み。臨床データでは肝脂肪やインスリン抵抗性、線維化など多面的な改善が報告されています。
Madrigal の「Rezdiffra」は既にFDAおよび欧州で承認されており市場に投入された唯一の治療薬で圧倒的に優位です。更に同社は、そこに経口型GLP‑1アゴニストを追加して、体重減少+線維化改善の相乗効果を得る戦略が進行中です。
しかし中長期(2028年以降)であれば、ここからはもしもになりますが、「Lanifibranor」が “線維化改善+代謝改善” の両立を強力データで示せれば、差別化されブロックバスター級の競争力を持つ可能性もあります。
しかしその前に、資金繰りの問題もあると思います。
2026年3月30日:2025年通期決算と事業アップデートを公表。lanifibranor(MASH)を最優先で推進する方針を維持し、NATiV3トップラインは2026年Q4見込みとした。
2026年3月30日:2025年末の流動性は合計約€230.9M(現金等€99.3M+短期預金€131.6M)。会社計画ベースで資金繰りは2027年Q1半ばまで、Tranche 3 warrantが全行使された場合は2027年Q3半ばまで延長余地。
2026年3月30日:2025年中に米国公募で約$172.5M調達、加えて2024年のStructured Financingの第2トランシェも受領済み。NATiV3読出し前の財務懸念はかなり後退した一方、デリバティブ評価などで会計上の純損失は大きく見える構造。
2026年4月1日:NEA系の13D/Aで保有比率は4.9%に低下。ただし、開示上は発行済株式数増加に伴う5%割れが理由で、直近60日間の売買はなし。
2025年4月1日:NATiV3の登録完了を発表。main cohort 1,009例、exploratory cohort 410例で、当初目標を上回って終了。陽性なら規制申請の基盤となる見込み。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:Lanifibranor(経口 pan-PPAR 作動薬)— MASH を対象とする最重要アセット。
現状:NATiV3 の登録は完了済みで、現在は72週評価の進行とトップライン読出し待ち。会社は pre-commercial 準備も開始しており、読出し後の申請・上市準備を見据えた体制に移行しつつある。
補足:Odiparcil(MPS VI)は Phase 2a 実績ありだが、現在の経営資源は lanifibranor に集中。
登録完了
登録完了
対象:肝生検で確認された非肝硬変MASH患者。線維化ステージF2またはF3。
作用:PPARα・PPARδ・PPARγをバランス良く活性化する経口pan-PPARアゴニスト。代謝異常、肝炎症、肝細胞バルーニング、線維化を同時に調節することを狙う。
2025年4月に主コホートの登録完了。最後の患者の無作為化まで完了済み。
グローバル、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照のピボタルPhase 3。
1,009例。当初目標の約969例を上回って登録。
lanifibranor 800mg 1日1回、1200mg 1日1回、placeboを1:1:1で割付。
72週間。投与前後の肝生検により組織学的効果を評価。
MASH消失と線維化1ステージ以上改善を同時に達成する複合組織学的エンドポイント。
線維化悪化を伴わないMASH消失、MASH悪化を伴わない線維化1ステージ以上改善。
線維化ステージと2型糖尿病の有無で層別化。サンプルサイズ計算では約90%の検出力を設定。
スクリーニング前から安定用量のGLP-1受容体作動薬を使用している患者を含み、無作為化後の開始も一定条件下で許容。
2026年Q4にトップライン発表予定。
好結果の場合、肝組織学的エンドポイントに基づく米国NDA申請を2027年上期に予定。
承認された場合、会社は2028年の市場投入を想定。
対象:主コホートの肝組織学的登録基準を満たさなかったものの、MASHおよび線維化を有する患者。
目的:非侵襲的検査による治療反応の評価、長期安全性データの蓄積、NDA提出に必要となる安全性データベースの拡充。
410例。当初目標の約350例を上回って登録。
主コホートと並行して実施されるプラセボ対照の探索コホート。
血液バイオマーカー、画像検査、その他のnon-invasive testsによる疾患活動性と線維化の変化。
単独で承認を狙う試験ではなく、NATiV3主コホートの有効性・安全性パッケージを補完。
対象:MASHを原因とする代償性進行慢性肝疾患、または代償性肝硬変患者。
位置づけ:F2/F3患者の肝組織学的改善に加え、実際の肝関連臨床イベントを減少させるか確認するPhase 3アウトカム試験。
NATiV3が良好な結果となることを前提に、2027年の開始を計画。
約800例を想定するイベント駆動型試験。
基礎となる肝疾患の進行、肝代償不全、肝移植、肝関連死亡などの臨床アウトカムを抑制できるか評価。
迅速承認後の臨床的ベネフィット確認と、F2/F3から代償性肝硬変への対象拡大を支える可能性。
イベント発生数と登録速度によるが、会社は約3年間の試験を想定。
対象:肝硬変を伴わない活動性MASH患者 n=247。F1~F3を含み、F2/F3患者が中心。
試験デザイン:24週間、無作為化、二重盲検、プラセボ対照。800mg、1200mg、placeboを1:1:1で割付。
線維化悪化を伴わない炎症・バルーニング改善は、1200mg群55%、placebo群33%で主要評価達成。
線維化悪化を伴わないMASH消失は、1200mg群49%、800mg群39%、placebo群22%。
MASH悪化を伴わない線維化1ステージ以上改善は、1200mg群48%、800mg群34%、placebo群29%。
血糖、インスリン抵抗性、トリグリセリド、HDL-C、炎症・線維化バイオマーカーなど幅広い改善を報告。
このPhase 2bデータを根拠に、FDAからMASHに対するBreakthrough Therapy Designationを取得。
NATiV3は用量、対象患者、組織学的評価項目をNATIVEの成功データに可能な限り合わせて設計。
対象:肝硬変を伴わないMASHと、コントロール不良の2型糖尿病を併存する患者。
作用:lanifibranorによる肝線維化・炎症・代謝改善に、SGLT2阻害薬empagliflozinを組み合わせ、血糖管理と体重面の補完を狙う。
多施設、無作為化、プラセボ対照、24週間のPhase 2 proof-of-concept。
lanifibranor 800mg、lanifibranor 800mg + empagliflozin 10mg、placebo。
lanifibranor単剤群と併用群の双方で、placeboに対するHbA1cの有意な改善を示し主要評価達成。
Week 24にHbA1cが1%以上低下した患者は、単剤群58%、併用群80%、placebo群0%。
単剤群または併用群の患者の50%が、Week 24にHbA1c 6.5%未満を達成。
MRI-PDFFによる肝脂肪は、単剤群で約49%、併用群で約41%低下。
単剤群では平均約3.6%の体重増加がみられた一方、empagliflozin併用群では体重が概ね安定。
糖尿病を併存するMASH患者で、lanifibranorの体重増加を他の代謝薬との併用で管理できる可能性を示した。
対象:日本人参加者を対象とした安全性、忍容性、薬物動態、薬力学評価。
地域:Hepalys Pharmaが日本・韓国における開発および商業化を担当。
2025年2月に日本で最初の参加者へ投与。
32例、4コホート、lanifibranorを1日1回・14日間投与。
会社はPhase 1の結果をpositiveと説明。詳細な数値データは限定的。
NATiV3の結果を確認後、日本のMASH患者を対象とする専用ピボタル試験の開始を計画。
日本・韓国で承認申請に必要となる臨床試験は、原則としてHepalysが実施・資金負担。
米国・欧州だけでなく、日本・韓国市場からマイルストーンと段階的ロイヤルティを受け取る地域展開。
対象:ムコ多糖症を対象として過去にPhase 2aまで開発された経口薬候補。
備考:Inventivaは2025年にodiparcilの全世界権利をBiossilへ売却。現在の自社開発はlanifibranorに集中しており、odiparcilはIVAの直接的な臨床パイプラインではない。
一時金60万ドル、規制・販売マイルストーン最大9,000万ドル、承認後は将来売上に対するhigh single-digit royalty。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Lanifibranor(経口 pan-PPAR) | MASH(F2/F3) | Phase 3(NATiV3) | Breakthrough Therapy / Fast Track 主要1,009例・探索410例 登録完了/2026年Q4 トップライン予定 |
クラス想定:浮腫・体重増加、軽度肝酵素上昇、脂質変動、 軽微な血色素/血小板変化など(プロトコール監視) |
経口1日1回(800mg / 1200mg)。 生活習慣介入継続、将来的な併用戦略にも拡張余地 |
特大:代謝疾患・肥満人口と連動する大市場 | IVA の企業価値はほぼ本剤に集中。 Q4 2026 読出しが最大カタリスト。 |
| Lanifibranor(日本ブリッジ) | MASH(日本人) | Phase 1 | 日欧米ブリッジのための PK/安全性評価 | 上記クラスに準拠(浮腫・肝酵素・脂質) | Hepalys と共同開発。結果次第で日本での pivotal Phase 3 へ | 大:国内未承認ニーズ高 | 日本展開の初期ステップ。現時点で追加読出し時期の明示は限定的。 |
| Odiparcil | MPS VI | Phase 2a(完了) | Orphan / Fast Track | 消化器症状、肝腎指標などをモニタ | 現在は優先順位低め | 希少:高単価ニッチ | 資源配分上、当面の投資判断材料としての重要度は低い。 |
Inventiva の主力は「lanifibranor」です。これは PPARα・PPARδ・PPARγの3つをバランス良く活性化する経口 pan-PPAR アゴニストで、MASHに関係する代謝異常、肝炎症、肝細胞障害、線維化、血管機能を包括的に改善することを狙います。
現在の Inventiva は実質的に「lanifibranor」へ集中しており、中心となるのは非肝硬変 F2/F3 MASH、次の拡張先は MASH による代償性進行慢性肝疾患・肝硬変です。
| 価値レイヤー | 試験 / 提携 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| ① 非肝硬変F2/F3 MASH | NATiV3 Main Cohort | lanifibranor 800mg / 1200mg 1日1回 vs placebo。1,009例、72週間投与 | 最初の承認候補・企業価値の本丸 |
| ② 承認パッケージの補強 | NATiV3 Exploratory Cohort / Extension | 主コホートの組織学的基準を満たさなかったF1~F4患者410例を評価。完了患者は48週間の実薬延長試験へ移行可能 | 非侵襲的検査・長期安全性データを補強。独立した承認適応ではない |
| ③ MASHによる代償性進行慢性肝疾患・肝硬変 | Phase 3 Confirmatory Outcomes Trial | 肝疾患の進行、肝代償不全、肝移植、死亡などの臨床アウトカムを評価するイベント駆動型試験 | 承認後の確認試験+より重症な患者層への適応拡大 |
| ④ MASH+2型糖尿病/代謝薬との併用 | LEGEND | lanifibranor + empagliflozin。血糖改善に加え、lanifibranorでみられる体重増加を抑えられる可能性を確認 | 商業的な差別化・実臨床での併用根拠。ただし追加の登録試験は現在予定していない |
| ⑤ Greater China | CTTQ / Sino Biopharm | CTTQが中国でNATiV3に参加し、Phase 1臨床薬理試験も実施。中国NMPAのBreakthrough Therapy Designation取得済み | 中国市場への地域展開・マイルストーン/ロイヤルティ機会 |
| ⑥ 日本・韓国 | Hepalys Pharma | 日本Phase 1は良好な結果。NATiV3結果取得後、日本・韓国向けの専用ピボタル試験開始を計画 | パートナー負担による地域展開・マイルストーン/ロイヤルティ機会 |
・最初の承認候補は F2/F3 MASH
NATiV3 の主コホートは、肝硬変に至っていない F2/F3 MASH 患者1,009例を対象としています。主要評価項目は、MASH 消失と線維化1ステージ以上改善を同時に達成する複合エンドポイントです。
トップライン結果は2026年Q4、好結果の場合は米国NDA申請を2027年上期、承認された場合の市場投入を2028年に想定しています。
・探索コホートは「第2の適応」ではない
NATiV3 には主コホートとは別に410例の探索コホートがありますが、これは新しい承認適応を狙う独立試験ではありません。
主コホートの組織学的登録基準を満たさなかった患者から、非侵襲的検査による有効性データと追加の安全性データを収集し、NDAの承認パッケージを補強する役割です。
・次の大きな臨床レイヤーは代償性肝硬変
F2/F3 MASH で承認された後の重要な拡張先は、MASH による代償性進行慢性肝疾患・代償性肝硬変です。
Inventiva は、NATiV3 が成功することを前提として、肝代償不全、肝移植、肝関連死亡などを評価する Phase 3 アウトカム試験を2027年に開始する計画です。
この試験には、初回承認後の臨床的ベネフィットを確認する役割と、F2/F3 から代償性肝硬変まで対象患者を広げる役割の両方があります。
・糖尿病併存患者での併用は差別化レイヤー
LEGEND では、lanifibranor 単剤と empagliflozin 併用の双方で血糖管理、肝脂肪、肝障害・線維化関連指標の改善が確認されました。
特に empagliflozin 併用群では、lanifibranor 単剤でみられることがある体重増加が抑えられました。
ただし、Inventiva は lanifibranor と empagliflozin の組み合わせを追加の登録試験で開発する予定はないとしており、現時点では独立した承認候補ではなく、代謝薬と併用できることを示す商業的・臨床的な補強材料です。
・中国、日本、韓国は地域別の価値レイヤー
Greater China では CTTQ、日本・韓国では Hepalys Pharma が開発・商業化を担当します。
これは Inventiva が自社で全世界を商業化する構造ではなく、地域パートナーから開発・承認・販売マイルストーンと将来のロイヤルティを受け取る構造です。
・IVA は「集中型の複数レイヤー」
IVA は、基本的には「lanifibranor」と MASH に集中しています。その中で、F2/F3の初回承認 → 代償性肝硬変への拡張 → 代謝薬との併用適性 → 中国・日本・韓国への地域展開という形で価値が積み上がります。
したがって IVA にも複数の価値レイヤーはありますが、単一薬剤・単一疾患への依存度が高く、NATiV3 の成否に企業価値が強く集中する構造です。
Inventiva は lanifibranor に経営資源を集中する体制を維持しており、NATiV3 の読出し前に
資金面の持久力を大きく改善した。2025年末時点の流動性は約€230.9Mで、
会社計画上は2027年Q1半ばまで、Tranche 3 warrant が全行使なら2027年Q3半ばまでの
ランウェイを確保。2025年には米国公募で約$172.5M、加えてStructured Financing第2トランシェも受領しており、
現在の論点は「資金不足」よりも、NATiV3 が組織学的エンドポイントをどこまで明確に達成できるかに移っている。
NATiV3 登録完了
主要1,009例・探索410例で登録完了。以後は72週評価・データ品質管理フェーズへ。
財務基盤の強化 / pre-commercial 準備
米国公募、Structured Financing、CTTQマイルストンを通じて資金余力を拡充。上市準備費用も先行して計上。
NATiV3 トップライン
IVA 最大のイベント。陽性なら FDA / EMA 申請準備が本格化。
規制申請の可否判断
トップラインの質次第で、申請・商用化・追加資金調達の難易度が大きく変わる局面。
2025年決算後の資金繰り・希薄化・warrant 行使余地の評価見直し
Hepalys 提携下の日本 Phase 1 進展、CTTQ 関連の追加マイルストン進捗
2026年Q4:NATiV3 トップライン。IVA の再評価はほぼここ次第。
