
Verastem Oncology(Nasdaq:VSTM)は、米国マサチューセッツ州ニーダムを拠点とする商業段階のオンコロジー企業です。RAS / MAPK経路によって駆動されるがんを対象に、承認済み製品の商業化と新規標的治療薬の開発を進めています。
「がん患者が治療の選択肢を尽くされることのない社会を目指す」というミッションのもと、現在の企業価値は、主に次の2つのフランチャイズで構成されています。
・RAF / MEK・FAK阻害フランチャイズ:AVMAPKI® FAKZYNJA® CO-PACK(avutometinib + defactinib)
・KRAS G12D阻害フランチャイズ:VS-7375(GFH375)
FDA加速承認取得済みの「Avutometinib + Defactinib」
Avutometinibは、MEK阻害に加えて上流RAFからのMEK再活性化も抑えるRAF / MEKクランプです。Defactinibは、MAPK経路阻害後の抵抗性に関与するFAK阻害薬です。
この2剤を組み合わせることで、RAS / RAF / MEK / ERK経路とFAKを同時に抑え、より深く持続的な抗腫瘍効果を狙います。AVMAPKI FAKZYNJA CO-PACKは、KRAS変異の再発低悪性度漿液性卵巣がん(LGSOC)でFDA加速承認を取得し、米国で販売されています。
次の中核資産「VS-7375(GFH375)」
VS-7375は、KRAS G12D変異を標的とする経口のデュアルON / OFF KRAS G12D阻害薬です。KRAS G12Dの活性型と不活性型の両方へ結合し、OFF型またはON型の一方だけを阻害する薬剤よりも、持続的かつ包括的にシグナルを遮断することを目指しています。
米国ではTARGET-D 101 Phase 1/2が進行中で、900mg 1日1回投与が登録志向Phase 2の推奨用量として採用されています。さらに、膵がん、NSCLC、大腸がんを対象とするTARGET-D 201 / 202 / 203へ開発が拡張されています。
Verastemは、GenFleet Therapeuticsとの契約に基づき、中国本土、香港、マカオ、台湾を除く地域でVS-7375の開発・商業化権を保有しています。
2026年7月23日:会社は2026年Q2決算を8月6日に発表すると告知。AVMAPKI FAKZYNJAのQ2売上、現金残高、キャッシュランウェイ、TARGET-D 203の開始状況が直近の確認項目です。
2026年7月22日:TARGET-D 202 Phase 2で最初の患者投与を発表。対象は既治療のKRAS G12D変異進行NSCLC。VS-7375 900mg QD単剤を評価し、無症候性・未治療脳転移を有する患者の専用コホートも設定。
2026年6月23日:TARGET-D 101 Phase 1/2の初期臨床データを発表。150例超が用量漸増・拡大コホートへ登録。900mg QDは目標曝露量へ到達し、PDAC、CRC、NSCLCで単剤または併用の抗腫瘍活性を確認。
2026年6月23日:既治療mPDACの900mg QD単剤群では、ベースラインのCA19-9が高値で評価可能だった14例中13例(93%)でCA19-9が50%以上低下。確認PRや深い腫瘍縮小の症例も示された一方、追跡期間はまだ短く、正式なORR・DOR・PFSは未成熟。
2026年6月23日:VS-7375の安全性は、600mg QD(n=57)および900mg QD(n=25)で、主に低グレードの下痢、悪心、嘔吐などの消化器症状。多くは第1サイクル後に減少し、臨床的に意味のある累積毒性、肝機能異常、骨髄抑制は限定的と報告。
2026年6月23日:VerastemとErascaは、VS-7375とpan-RAS molecular glue ERAS-0015の併用をKRAS G12D変異固形腫瘍で評価する意向を発表。
2026年6月17日:RAMP 205(1L転移性PDAC)のRP2Dコホート29例を更新。中央値追跡9.8か月で、6か月OS率86%、6か月PFS率68%、確認ORR 52%(15/29)、83%で腫瘍縮小を報告。新たな安全性シグナルなし。
2026年6月16日:TARGET-D 201 Phase 2で最初の患者投与。2L mPDACでVS-7375単剤およびcetuximab併用を評価し、1L mPDACではchemotherapy-freeのVS-7375 + cetuximabも探索。
2026年6月3日:VS-7375が、既治療のKRAS G12D変異局所進行・転移性NSCLCでFDA Fast Track指定を取得。PDACに続く2つ目のFast Track指定。
2026年5月7日:Q1 2026決算を発表。AVMAPKI FAKZYNJA CO-PACKのQ1純売上は$18.7M。2026年3月末の現金・現金同等物・投資は$181.7M、会社ガイダンスによるキャッシュランウェイは2027年上期まで。
2026年4月10日:SGO 2026でRAMP 201の2年追跡データを発表。中央値追跡24.9か月でmDOR 31.1か月、KRAS変異群のmPFS 19.6か月、KRAS野生型群のmPFS 12.7か月。新たな安全性シグナルなし。
2026年2月:RAMP 201Jの日本人データを更新。確認ORRは38%(6/16)、KRAS変異群57%(4/7)、KRAS野生型群22%(2/9)。安全性は海外データと整合的。
2025年12月:RAMP 301 Phase 3の追加登録を完了。確認試験として2027年中頃のトップラインを予定。RAMP 203(KRAS G12C NSCLC)は中止し、商業化、VS-7375、RAMP 205へ資源を再配分。
2025年5月8日:AVMAPKI FAKZYNJA CO-PACKが、KRAS変異の再発LGSOCでFDA加速承認を取得し、米国で商業ローンチ。
AVMAPKI® FAKZYNJA® CO-PACK
(Avutometinib + Defactinib)
適応症:KRAS変異の再発低悪性度漿液性卵巣がん(LGSOC)。過去に全身療法を受けた成人患者。
承認状況:FDA 加速承認取得済み(2025年5月8日)。承認根拠はRAMP 201の奏効率および奏効期間。
現状:米国で販売中。Q4 2025純売上$17.5M、FY2025純売上$30.9M、Q1 2026純売上$18.7M。Q2 2026決算は2026年8月6日発表予定。
確認試験:RAMP 301 Phase 3が登録完了。KRAS変異・野生型の双方を含み、トップラインは2027年中頃予定。
追加価値:RAMP 301が成功すれば、加速承認のフル承認化に加え、KRAS野生型を含む適応拡張、欧州・日本への地域展開を支える可能性があります。
FDA加速承認
RAMP 301確認試験
Q1 2026純売上
現金・投資
CA19-9 50%以上低下
Phase 2主要用量 QD
6か月OS率
確認ORR
成熟データ更新
トップライン
対象:KRAS変異の再発LGSOC
治療:Avutometinib + Defactinib
対象:KRAS変異・野生型の再発LGSOC
治療:Avutometinib + Defactinib vs 医師選択の化学療法またはホルモン療法
対象:KRAS G12D変異固形腫瘍(PDAC / CRC / NSCLCなど)
治療:VS-7375単剤、およびcetuximab、標準化学療法、免疫療法との併用
対象:KRAS G12D変異の転移性PDAC
治療:2LでVS-7375 900mg QD単剤 / cetuximab併用。1LでVS-7375 + cetuximabを探索。
対象:既治療のKRAS G12D変異進行NSCLC
治療:VS-7375 900mg QD単剤
対象:KRAS G12D変異の既治療mCRC
治療:VS-7375単剤 / cetuximabまたはpanitumumab併用。1Lでは化学療法併用も計画。
対象:未治療の1L転移性PDAC
治療:Avutometinib + Defactinib + Gemcitabine + nab-Paclitaxel
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制・開発デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| AVMAPKI® FAKZYNJA® CO-PACK (Avutometinib + Defactinib) |
KRAS変異 再発LGSOC | 市販(FDA加速承認) |
2025年5月に承認。 確認試験はRAMP 301 Phase 3。トップラインは2027年中頃。 |
眼毒性、重篤な皮膚毒性、肝毒性、横紋筋融解 / CPK上昇、悪心、疲労、発疹、下痢、浮腫。 | Avutometinib 3.2mg 週2回+Defactinib 200mg BID。3週投与+1週休薬。 | 中:希少卵巣がん |
VSTMの売上基盤。Q1 2026純売上$18.7M。 RAMP 301成功でフル承認、KRAS野生型、海外展開の価値が加わる。 |
| RAMP 301 Avutometinib + Defactinib |
KRAS変異 / 野生型 再発LGSOC | Phase 3・登録完了 |
FDA加速承認の確認試験。BICRによるPFSが主要評価。 2027年中頃トップライン。 |
承認済みレジメンと同様に眼、皮膚、肝、CPK、GI毒性を管理。 | A/D併用 vs 医師選択治療。 | 中:LGSOCの対象拡張 | 加速承認維持だけでなく、KRAS野生型を含むラベル拡張と欧州・日本展開の基盤。 |
| VS-7375 KRAS G12D ON/OFF阻害薬 |
KRAS G12D変異固形腫瘍 | Phase 1/2 + 登録志向Phase 2 |
PDACとNSCLCでFast Track。 TARGET-D 201 / 202 / 203を進行。 |
主に低グレードの下痢、悪心、嘔吐。 現時点で臨床的に意味のある肝毒性・骨髄抑制・累積毒性は限定的。 |
900mg QDをPhase 2主要用量として採用。 単剤、抗EGFR、化学療法、免疫療法との併用。 |
大:複数のKRAS G12D腫瘍 | VSTM最大の成長レイヤー。初期データは有望だが、ORR、DOR、PFSは未成熟。 |
| TARGET-D 201 | KRAS G12D変異 mPDAC | Phase 2 Registration-Directed | 2026年6月FPI。2L単剤・cetuximab併用、1L chemo-free併用を評価。 | GI毒性、肝機能、cetuximab由来の皮膚毒性・低Mg血症。 | VS-7375 900mg QD単剤 / cetuximab併用。 | 大:膵がんの約40%がG12D | 900mgで13/14例のCA19-9が50%以上低下。成熟ORR・DOR・PFSが最大の近中期評価点。 |
| TARGET-D 202 | KRAS G12D変異 2L/3L NSCLC | Phase 2 Registration-Directed | 2026年7月22日FPI。FDA Fast Track。未治療脳転移コホートあり。 | GI毒性、肝機能、肺毒性 / ILD、脳転移患者での神経学的安全性。 | VS-7375 900mg QD単剤。 | 中〜大:NSCLCの約5%がG12D | 母集団が大きく、脳転移で活性が確認されれば差別化価値が高い。 |
| TARGET-D 203 | KRAS G12D変異 mCRC | Phase 2 Registration-Directed |
2L+で単剤 / 抗EGFR併用。1Lでは化学療法併用を計画。 2026年7月29日時点でFPIの正式発表待ち。 |
GI毒性、皮疹、低Mg血症、化学療法併用時の骨髄抑制。 | VS-7375 900mg QD+cetuximab / panitumumabなど。 | 大:CRCの約15%がG12D | CRCではEGFRフィードバックによる耐性が強く、抗EGFR併用が価値の中心。 |
| RAMP 205 A/D + Gem/NabP |
1L転移性PDAC・KRAS変異を限定しない | Phase 1b/2a | RP2Dコホートの6か月データを発表済み。最終OSと次相・提携判断を待つ。 | 化学療法由来の骨髄抑制、末梢神経障害、GI毒性に加え、A/D由来の眼・皮膚・肝・CPK毒性。 | Avutometinib 2.4mg BIW+Defactinib 200mg BID+Gem/NabP。 | 大:1L膵がん全体 | 6か月OS 86%、ORR 52%は有望。ただし単群n=29であり、成熟OSと比較試験が必要。 |
Verastemの企業価値は、承認済み製品の売上だけではなく、LGSOCでのラベル拡張、VS-7375の複数腫瘍展開、1L大型市場への進出、RAMP 205の提携オプションが積み重なる構造です。
| レイヤー | プログラム | 対象 / 市場 | 価値の意味 | 次の判定ポイント |
|---|---|---|---|---|
| ① 商業基盤 | AVMAPKI FAKZYNJA | KRAS変異 再発LGSOC | 現在の売上・商業インフラを形成する基礎レイヤー。Q1 2026純売上は$18.7M。 | Q2以降の売上成長、処方医・患者浸透、粗利益、商業部門の自立性 |
| ② フル承認・ラベル拡張 | RAMP 301 | KRAS変異+野生型 再発LGSOC | 加速承認の維持だけでなく、KRAS野生型を含む対象拡大によりLGSOCフランチャイズ全体を広げる。 | 2027年中頃のPFSトップライン |
| ③ 地域拡張 | RAMP 301 / RAMP 201J | 欧州・日本 | 米国以外の売上レイヤー。欧州Orphan Drug指定と日本人データを規制申請へつなげられるかが焦点。 | EMA・日本当局との申請方針、RAMP 301の地域別データ |
| ④ 最速のKRAS G12D価値 | TARGET-D 101 / 201 | 2L+ mPDAC | VS-7375で最も早く臨床価値を証明しやすい領域。G12D頻度が高く、未充足ニーズも大きい。 | 2026年2Hの成熟ORR・DOR・PFS、900mgの持続性、FDAとの加速承認協議 |
| ⑤ NSCLC拡張 | TARGET-D 202 | 2L/3L NSCLC・脳転移 | PDACよりG12D頻度は低いが母集団が大きい。脳転移活性が示されればクラス内差別化につながる。 | 900mg単剤のORR・DOR、頭蓋内奏効、登録速度 |
| ⑥ CRC併用フランチャイズ | TARGET-D 203 | 2L+ mCRC | 抗EGFR併用によってMAPKフィードバック耐性を抑えるレイヤー。単剤より併用価値が中心。 | FPI、900mg+抗EGFRの安全性・ORR・DOR |
| ⑦ 1L大型市場 | 1L Phase 3計画 | PDAC / CRC / NSCLC | 3つの1L市場へ進めれば、VS-7375は後治療薬から大型フランチャイズへ転換する。長期価値の最大レイヤー。 | 2026年末のFDA協議、2027年上期の各Phase 3 FPI |
| ⑧ KRAS非選択型PDACオプション | RAMP 205 | 1L mPDAC全体 | G12D変異に限定されない膵がん市場への別ルート。社内大型開発より戦略的提携の価値が高い。 | 成熟OS、学会発表、次相設計または提携 |
| ⑨ 併用・プラットフォーム拡張 | VS-7375+ERAS-0015 / 抗EGFR / 化学療法 / 免疫療法 | 複数のG12D固形腫瘍 | 単剤耐性を抑え、より早い治療ラインへ展開するオプション価値。 | 初期併用安全性、薬効上乗せ、開発パートナーとの役割分担 |
経済条件の注意:VS-7375はGenFleet由来のライセンス資産です。Verastemは中国本土・香港・マカオ・台湾を除く地域の権利を持ちますが、契約全体では開発・商業・売上マイルストーンと、売上に対する中~高シングルディジットのロイヤルティ負担があります。したがって、VS-7375のグロス売上がそのままVSTMの経済価値になるわけではありません。
価値の中心:短期はAVMAPKI FAKZYNJAの売上とTARGET-D 101の成熟データ、中期はRAMP 301と3本の登録志向Phase 2、長期はPDAC・CRC・NSCLCの1L Phase 3が企業価値を決定します。
AVMAPKI FAKZYNJA:FDA加速承認・米国ローンチ
KRAS変異の再発LGSOCで販売開始。VSTMは開発企業から商業段階企業へ移行。
RAMP 301追加登録完了 / RAMP 203中止
RAMP 301は確認Phase 3として追跡中。KRAS G12C NSCLCのRAMP 203は中止し、商業化、VS-7375、RAMP 205へ資源を集中。
RAMP 201 2年追跡データ
mDOR 31.1か月。KRAS変異群・野生型群の双方で持続的な臨床効果を確認。
TARGET-D 101初期データ / TARGET-D 201 FPI
900mg QDで目標曝露とPDACを中心とする初期活性を確認。登録志向PDAC試験の患者投与を開始。
RAMP 205 6か月追跡データ
1L mPDACで6か月OS率86%、6か月PFS率68%、確認ORR52%。成熟OSと次相・提携判断へ。
TARGET-D 202 FPI
KRAS G12D変異の既治療NSCLCで900mg QD単剤を開始。未治療脳転移コホートも評価。
Q2 2026決算
AVMAPKI FAKZYNJAの売上成長、現金残高、ランウェイ、TARGET-D 203のFPI状況を確認。
TARGET-D 101成熟データ更新
PDAC、NSCLC、CRCで、900mg QDの正式な奏効率、奏効期間、PFS、患者別追跡、併用データを更新予定。
3本のTARGET-D Phase 2登録完了目標 / FDA協議
TARGET-D 201 / 202 / 203の登録完了を目指す。1L PDAC、1L CRC、1L NSCLCのPhase 3デザインについてFDAと協議予定。
1L TARGET-D Phase 3開始目標
PDAC、CRC、NSCLCの各1L pivotal Phase 3で最初の患者投与を目指す。
RAMP 301 Phase 3トップライン
AVMAPKI FAKZYNJAのフル承認化、KRAS野生型へのラベル拡張、欧州・日本展開を左右する最重要イベント。
AVMAPKI FAKZYNJAのQ2純売上、処方浸透、現金残高、キャッシュランウェイ、LGSOC商業部門が2026年下期に自立採算へ近づいているかを確認。
TARGET-D 101成熟データ。PDACではCA19-9低下が画像上の奏効とDORへつながるか、NSCLCでは900mgの再現性、CRCでは抗EGFR併用の上乗せが焦点。
TARGET-D 203のFPI、TARGET-D 201 / 202 / 203の登録進捗、2026年末までの3試験登録完了目標。
FDAとの協議により、2Lでの加速承認経路と、1L PDAC / CRC / NSCLCのPhase 3デザインが明確になる可能性。
1L mPDACの成熟OS、医学会での詳細発表、次相試験または戦略的提携。単群初期データから比較試験へ進めるかが焦点。
RAMP 301 Phase 3トップライン。加速承認の維持、フル承認、KRAS野生型への適応拡張、欧州・日本展開を同時に左右します。
