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microRNA で注目を集めた Regulus が Novartis に買収される

microRNA で注目を集めた Regulus が Novartis に買収される

Novartis (ノバルティス) が Regulus Therapeutics(NASDAQ: RGLS)を最大17億ドルで買収する契約を2025年4月30日に締結したことを発表しました。

ノバルティスは、Regulus の株主に対し、1株あたり7ドルの現金を支払うことで合意しており、これは Regulus の60日間の出来高加重平均株価に対して274%のプレミアム、直近の終値に対しては108%のプレミアムとなります。​

さらに、farabursen の規制当局による承認というマイルストーンが達成された場合、追加で1株あたり7ドルの支払いが行われる可能性があります。

この買収は、両社の取締役会で全会一致で承認されており、2025年後半の完了を予定しています。​買収完了には、Regulus 株式の過半数の取得および規制当局の承認が必要となります。​買収完了までは、Regulus は独立した企業としての運営を継続します。

この買収の背景には、以下のような利点と戦略的意図があります。

革新的な腎疾患治療薬「farabursen」への期待

Regulus の主力候補薬「farabursen」は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)を対象とした、miR-17を標的とする次世代オリゴヌクレオチド治療薬です。​

ADPKDは世界で最も一般的な遺伝性腎不全の原因であり、現在の治療選択肢は限られています。​farabursen は、嚢胞の成長や腎臓の肥大を抑制し、疾患の進行を遅らせる可能性があるとされています。

Regulus の主力開発品である「farabursen」は、常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の治療を目的としたmiR-17を標的とする次世代オリゴヌクレオチドです。

farabursen は、2025年3月に第1b相多段階用量試験を完了し、尿中ポリシスチン(PC)や身長補正全腎容積(htTKV)といったバイオマーカーにおいて有望な臨床的有効性と安全性を示しました。 ​

microRNA治療の先駆者としての Regulus の技術力

Regulus は、microRNAを標的とした革新的な治療薬の開発に注力しており、Alnylam や Ionis との独占的なライセンス契約を通じて、豊富な知的財産を有しています。​

この技術基盤は、ノバルティスの腎疾患領域における研究開発力と相乗効果を生むと期待されています。 ​

ノバルティスの腎疾患領域への戦略的強化

ノバルティスは、過去40年間にわたり腎疾患治療に注力しており、最近ではIgA腎症やC3腎症に対する新薬を承認取得しています。​farabursen の導入は、同社の腎疾患ポートフォリオをさらに強化し、患者への新たな治療選択肢を提供することになります。 ​

この買収により、ノバルティスは腎疾患領域でのリーダーシップをさらに強化し、ADPKD患者に対する新たな治療法の提供が期待されます。​

バイオファンドのポジションと考察

Regulus はmicroRNA治療で注目を集めており、RA Capital が保有していました。臨床後のデータ発表では、X (旧Twitter) で海外の臨床バイオ投資家コミュニティで散々叩かれ、株価は2025年1月下旬に一時1ドルを割りましたが、その後約3ヶ月で買収が発表され、その時の株価は7.8ドルまで急騰しています。space

買収前の4月上旬にはコーエンの Point72 が新規で買っており、如何に海外のバイオコミュニティも機能していないかが露呈されました。そういったソーシャルネットでのノイズに惑わされずにロングする忍耐力も必要です。