2025年6月、暗号資産業界に大きな衝撃が走りました。Justin Sun 率いる TRON(トロン)が、米ナスダック上場企業 SRM Entertainment(ティッカー:SRM)とリバース・マージ(逆合併)し、”TRON Inc.” として米国株市場に上場することが発表されたました。
これにより、SRM 株は発表当日に最大+647%もの急騰を見せました。この記事では、SRM = TRON の投資ストーリーを考えてみたいと思います。
TRON (SRM) は、第二のマイクロストラテジー?
この合併は、かつてビジネスソフト企業だった MicroStrategy(マイクロストラテジー)が、自社資産で大量のビットコインを保有することで「BTCレバレッジETFのような存在」となった構造と酷似しています。
ただし、TRON Inc. はさらに一歩進んでおり、次のような特徴を持ちます。
・TRX(トロン)をバランスシートに保有:SRMの法人資産としてTRXを購入・保有。
・株式・社債を通じてTRXをさらに買い増す:資金調達により追加購入。
・保有TRXはステーキング可能:利回りを生む設計。
・将来的にTRX担保の金融商品(RWA、債券など)を発行予定。
・株主へのTRX配当・トークン割当の可能性も示唆されています。
つまり、TRON Inc. は MicroStrategy のトークン版かつ進化版であり、オンチェーン資産運用会社としての性格を色濃く持ちます。
政治的背景とSECとの関係も見逃せない
2023年には、Justin Sun および TRON を含む複数の関連会社が、未登録証券の販売や市場操作の疑いで米SECから告発されていました。
しかし、2025年に入りトランプ政権が再登場すると、Justin Sun と SEC は裁判の一時停止を申請し、和解の可能性を模索する動きに。
さらに今回の上場は、Trump Jr. や Eric Trump と関係を持つ Dominari Securities によって主導されており、政治的にも強い後押しを受けていることがわかります。
なぜ今 SRM が注目されるのか?
・上場企業として TRX を保有・運用する初の事例
・TRX ステーキングによる利回り+将来的なDeFi商品展開
・国際的なステーブルコイン決済・RWA化の中心に立つ可能性
・株主に対する新しい報酬モデル(トークン配当)
従来の株式投資とも、従来の暗号資産投資とも異なる、まさに TradFi(伝統金融)× DeFi × 国家通貨の交点に位置するのが、SRM=TRON Inc. の最大の特徴です。
まとめ:SRM は新しい金融モデルの象徴か?
SRM 株は、TRON Inc. という新しい形の上場企業を通じて、これまで交わらなかった「株式市場・暗号資産・国家金融インフラ」を結びつけようとしています。
今後、ETF化、RWA発行、トークン配当などが本格化すれば、SRM は従来の投資とは一線を画すポジションを築く可能性があります。投資家としては、短期の値動きだけでなく、この「金融の進化の実験」として中長期の視点で注目すべき銘柄かもしれません。