HOME > 臨床バイオ

【PTN】Palatin Technologies カタリストとロードマップ

【記事には広告を含む場合があります】

PTN の評価軸

直近の上昇トレンドは「PL8177 でも PL9643 でもなく、①資金・上場リスク解消+②BIコラボと肥満パイプライン+③その裏にあるPL9643/PL8177の価値」という複合要因だと思っておくのが一番しっくりきます。

PL8177 と PL9643 は “土台としての価値” はかなり効いていますが、目先のチャートを動かした直接のトリガーではない。

ここ数か月〜直近のイベント時系列

3/28:PL8177 UC Phase 2 トップライン
・8週間で臨床寛解 33% vs プラセボ 0%
・臨床レスポンス 78% vs 33% (p<0.005)、症状寛解 56% vs 33%。安全性も良好。
・ただし n=12(9 vs 3)と極小で、「超ポジティブだけどサンプル小さい」という位置づけ。

4/29 & 5/8:PL9643 MELODY-1 Phase 3 追加解析 / ARVO 2025 発表
・13症状エンドポイントのうち 6 つで“完全症状消失(complete symptom resolution)”が有意に多いとレポート。
・「既存 DED 薬では達成されていないレベルの完全症状消失」とかなり強気のトーン。

8月頃:Boehringer Ingelheim と網膜疾患(MCRアゴニスト)のライセンス・コラボ契約
・Q1 FY26 決算で、2025/8 に €2M アップフロント、2025/9 に €5.5M マイルストン 受領と開示。

11/13 公表の Q1 FY26 決算
・BI コラボ収入で売上 8.85Mドル・純利益 4.7Mドルと、赤字バイオから一瞬とはいえ黒字化。
・PL9643 / PL8177 / diabetic nephropathy はいずれも「ポジティブデータ取得済みで、アウトライセンス交渉中」と明記。
・さらに 肥満領域(PL7737, 週1ペプチドMC4R) が IND enabling 中で、2026H1/H2 に Ph1 入り予定と説明。

11/12:$18.2M 公募増資クローズ+NYSE American 再上場
・6.50ドル+J/Kワラント付きの公募をクローズし、株主資本要件をクリア。
・これで OTCQB → NYSE American 復帰。そのタイミングで株価が 30〜60%台の急騰と報道されています。

この「直近の急伸」は明らかに “公募クローズ+NYSE 復帰+BIからの実キャッシュ+肥満ストーリー” に紐づいています。

PTN × Boehringer Ingelheim のディールの中身

■ 対象領域:網膜血管疾患(DR・DME を中心)

この共同開発は、網膜疾患、とくに

・糖尿病網膜症(DR)
・糖尿病黄斑浮腫(DME)

といった 網膜血管障害を伴う疾患領域を主な対象としています。炎症・血管障害・神経変性が複合的に絡む領域で、高い未充足ニーズがあります。

■ モダリティ:MCR アゴニストによる “first-in-class” 機序

Palatin が得意とする MCR(メラノコルチン受容体)アゴニスト をベースにした、初の MCR ターゲット網膜治療薬の創出をめざすプロジェクトです。Boehringer Ingelheim(BI)は、この機序を以下の「網膜疾患の3大ドライバー」に同時作用できる可能性があると説明しています:

・炎症
・血管障害(vascular dysfunction)
・神経変性(neurodegeneration)

既存治療(抗VEGFなど)とは異なる、多面的アプローチが特徴です。

■ スコープ:グローバル研究コラボ+特許の譲渡・独占ライセンス

契約の範囲は広く、研究段階からグローバルで進める体制です。契約書には次のような取り決めが含まれます:

・Palatin が一部特許を BI に譲渡(assignment)
・関連技術を BI に独占ライセンス付与
・両社で共同研究し、成果の知財・実施権を細かく区分

単なるオプション契約ではなく、最初から深めの戦略的提携として構築されています。

■ マネー条件

▲ アップフロント:€2.0M を Palatin が受領済み
契約締結時に €2.0M(約$2.3M) を受領。
初期投資がしっかり入った形式です。

▲ マイルストン最大:€278M(約$327–328M)
研究・開発・承認・商業化の各ステージに応じ、
最大 €278M まで受け取れる構造になっています。

▲ ロイヤルティ:売上に応じた段階制(ティアード)
製品が上市された場合、売上に比例するティアードロイヤルティを Palatin が受領する権利を持ちます。

■ すでにマイルストン達成あり:合計 €7.5M をすでにキャッシュ化

2025年9月22日のリリースで、研究マイルストン達成により €5.5M(約$6.5M)受領が発表されました。これにより、

・€2.0M(アップフロント)
・€5.5M(研究マイルストン)

合計 €7.5M がすでに Palatin にキャッシュイン済み。「契約だけ」の提携ではなく、すでに進捗の実績が出ている点が注目ポイントです。

PTN の肥満パイプライン

PTN の肥満(MC4R)パイプラインのストーリーが、本格的に表舞台に出てきた。

・PL7737(経口MC4R)は 2026H1 IND 予定
・週1ペプチド MC4R も 2026 中に Ph1 入り予定
・LEPR deficiency ODD や tirzepatide との併用ポテンシャルを前面に出しており、

「メラノコルチン肥満銘柄」としてのラベルが付き始めている。

ハイライト

2025年11月12日:潰瘍性大腸炎(UC)向け経口メラノコルチン作動薬PL8177Phase 2トップラインを発表。主要評価項目達成、寛解・内視鏡所見・ステロイド減少で統計学的有意を確認。

2025年10月30日:ブレメリノチド併用の肥満“補助療法”の探索試験で、GLP-1/GIP治療への上乗せ効果(体重・中性脂肪の改善シグナル)を公表。追試の計画を示唆。

2025年5月7日:ドライアイPL9643(点眼、メラノコルチン作動薬)Phase 3(MELODY-1)の症状レスポンダー解析で統計学的有意。追加P3に進む方針を更新。

2024年:HSDD治療薬Vyleesi®の商業権をCosette Pharmaへ譲渡。PTNはマイルストン/ロイヤルティ等の経済的権利を保持。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:PL9643(点眼・メラノコルチン作動薬)— ドライアイ(DED)向けPhase 3継続。

補足:PL8177(経口メラノコルチン作動薬・潰瘍性大腸炎;Phase 2主要項目達成)、ブレメリノチド系の肥満補助療法(GLP-1/GIPとの併用;探索的臨床)。Vyleesi は譲渡済み(経済的権利のみ)。

主要臨床成績
Q4 2025
PL8177:UC Phase 2 トップライン達成(主要評価項目)

Q2 2025
PL9643:P3(MELODY-1)症状レスポンダーで有意(追加P3へ)

Q4 2025
肥満補助:GLP-1/GIPへの上乗せ初期所見(追試計画を示唆)

Q1–Q2 2026
PL8177:P2b/次段階試験の開始目安(計画公表〜登録着手)

臨床試験パイプライン
Phase 3
PL9643(ドライアイ:DED)

対象:ドライアイ疾患

設計:MELODY-1 で症状指標のレスポンダー有意→追加P3実施方針

進捗:P3パッケージ拡充(症状×徴候の最適化設計)
規制:米国先行の承認戦略を想定
次読出し:Q4 2025–Q2 2026:追加P3の開始・登録更新

Phase 2
PL8177(潰瘍性大腸炎:UC)

対象:中等症〜重症 UC

設計:経口 MC アゴニストの 12 週評価(寛解・内視鏡等)

結果:主要評価項目を達成、複数指標で統計学的有意
安全性:概ね良好の忍容性
次読出し:Q1–Q2 2026:P2bデザイン開示→開始・初期組入れ更新

Phase 2(PoC達成)
ブレメリノチド系(BMT-801:肥満“補助療法”)

対象:GLP-1/GIP 等で治療中の肥満症

設計:8週・ランダム化二重盲検P2(ブレメリノチド+チルゼパチド vs 単剤 vs プラセボ)

所見:体重減少の上乗せ+GLP-1/GIP中止後のリバウンド抑制のシグナル
次読出し:Q2–Q4 2026:長期・用量最適化を目的としたランダム化追試の計画開示・開始目安

GLP-1/GIPの種類×用量×投与タイミングの最適化を検証

前臨床(IND-enabling)
PL7737(経口MC4R:肥満)

対象:LEPR欠損肥満を含む遺伝性肥満・視床下部性肥満、および一般肥満

設計:動物モデルでの用量依存的減量・GLP-1/GIP併用試験→SAD/MAD P1へ

進捗:DIOマウスで有意な体重減少+良好な経口バイオアベイラビリティ(約50%)、IND-enabling毒性試験・CMC進行中
安全性/PD:28日非GLPラット試験で毒性所見なし、hERG/Ames陰性(前臨床)
次読出し:2026年Q2:IND受理+Phase 1 SAD/MAD開始・初期PK/安全性アップデート

LEPR欠損でODD取得済み。視床下部性肥満やGLP-1不耐の層を主ターゲットに設計。

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
PL9643(点眼・MCアゴニスト) ドライアイ(DED) Phase 3 追加P3で症状×徴候の主要項目を最適化 点眼局所:眼刺激、霞視 等を監視 点眼単剤。P3完了後に承認申請へ 大:眼科(DED) MELODY-1で症状レスポンダー有意。
追加P3の設計がバリデーション鍵。
PL8177(経口・MCアゴニスト) 潰瘍性大腸炎(UC) Phase 2(達成)→ P2b準備 寛解・内視鏡・ステロイドフリー等の複合評価 消化器系・感染症・肝酵素 等のモニター 経口単剤。将来は5-ASA/生物製剤との併用探索余地 大:炎症性腸疾患 12週で主要項目達成。
P2bの迅速立上げが次の壁。
ブレメリノチド系(補助療法) 肥満(GLP-1/GIP治療中) Phase 2(PoC達成) 8週ランダム化二重盲検P2 → 次段階で長期・用量最適化試験を計画 心血管・代謝指標、悪心/嘔吐 等の併用時AESI GLP-1/GIPへの上乗せ投与(用量・タイミング最適化) 大:肥満 体重/TGで初期シグナル+リバウンド抑制。
再現性と長期安全性が投資家焦点。
PL7737(経口MC4Rアゴニスト) LEPR欠損肥満・視床下部性肥満ほか複数の肥満適応 前臨床(IND-enabling、Phase 1:2026年Q2開始目標) LEPR欠損肥満でODD取得済み。SAD/MADで安全性・PK・初期有効性を評価し、患者コホートへ拡張。 血圧・心血管イベント、精神・行動変化、代謝指標(血糖・脂質)を重点監視 経口単剤。視床下部性肥満やGLP-1不耐・リバウンド患者に加え、将来はGLP-1/GIPとの併用探索余地。 大:一般肥満+希少遺伝性肥満 動物モデルで強い減量効果と高い経口BA。
2026年のFIH(SAD/MAD)がバリュエーション転換点。

ポイント
  • 二本柱の後期化:PL9643(DED)は追加P3へ、PL8177(UC)はP2bへ進む想定で価値の可視化が近い。
  • 肥満は“補助”戦略:GLP-1/GIPの上乗せで差別化。ランダム化・長期追試のデザイン開示がカタリスト。
  • 資本政策:Vyleesi譲渡後は非希薄資金(マイルストン/ロイヤルティ)と臨床進捗のバランスが重要。

ファンドのポジション

主要ファンドのポジションからの考察を加えて

開発ロードマップ
完了:2025年Q2

PL9643 P3(MELODY-1)症状レスポンダー有意

追加P3の方針を確定(症状×徴候の主要項目最適化)。

完了:2025年Q4

PL8177 UC Phase 2 トップライン

主要評価項目を達成。安全性は概ね良好。

2026年Q1–Q2

PL8177 P2b デザイン開示→開始

寛解・粘膜治癒・ステロイドフリー等を複合主要項目として最適化。

2026年

PL9643 追加P3 立上げ・登録進捗

P3パッケージ完成に向けた症状/徴候エンドポイントの整合を推進。

2026年Q2–Q4

肥満補助プログラム:ランダム化・長期追試

上乗せ効果の再現性/持続性(体重・脂質)を検証、併用最適化へ。

注目すべきカタリスト
短期(〜2026年Q1)
PL8177:P2b デザイン開示、PL9643:追加P3計画の詳細、肥満補助:追試プロトコル公表

中期(2026年)
PL8177:P2b 開始・登録進捗、PL9643:追加P3開始・登録状況、肥満補助:追試開始

長期(2026年以降)
PL9643/PL8177 の後期化・承認戦略明確化、肥満補助の拡大型データ