
Palisade Bio (PALI) は、自己免疫疾患、炎症性疾患、線維化疾患を抱える患者に向けた新規治療薬の開発と進展に取り組む臨床段階のバイオ医薬品企業です。同社は、革新的な治療薬に対してターゲットを絞ったアプローチを用いることで、治療のあり方を大きく変革できると考えています。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:
PALI-2108(経口 PDE4 阻害プロドラッグ|回腸末端・大腸で選択的に活性化)—
潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD / FSCD)を対象に開発。
最新ステータス:
2026年6月、PALI-2108 は FDA から UC Phase 2 IND クリアを取得。
グローバル Phase 2 ASCENTRA-UC を2026年下期に開始予定。
補足:LB1148(消化管術後領域)は2023年の米国Phase 2未達を受けて開発中止。
現在は PALI-2108 を軸とする IBD 領域へ完全ピボット。
対象:中等症〜重症の潰瘍性大腸炎(UC)
作用:回腸末端・大腸で選択的に活性化する経口 PDE4 阻害プロドラッグ。腸管局所で PDE4/cAMP 経路を調節し、炎症・線維化関連シグナルの抑制を狙う。
2026年6月に FDA IND クリア。グローバル Phase 2 ASCENTRA-UC 開始へ。
多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量探索 Phase 2。
約204例。北米・欧州で実施予定。
PALI-2108 15mg / 30mg 1日1回投与 vs placebo。
Week 12 の modified Mayo Score による臨床的寛解。
臨床反応、内視鏡改善、histologic-endoscopic mucosal improvement(HEMI)。
12週導入後、適格患者は36週維持期へ移行し、Week 48まで持続性を評価。
2026年下期予定。
2027年下期予定。
対象:線維狭窄型クローン病(FSCD)から、より広い中等症〜重症クローン病(CD)へ拡張。
作用:腸管局所活性化 PDE4 阻害により、炎症と線維化の両方に関与する経路の抑制を狙う。
2026年3月に FSCD Phase 1b トップライン発表済み。
2週間投与で重篤な有害事象なし。臨床的に重要なラボ、バイタル、EKG異常なし。PDE4クラスで懸念される嘔気・下痢・頭痛なども認められず。
SES-CD 平均47.5%低下。内視鏡反応40%、内視鏡的寛解40%。
糞便カルプロテクチン(FCP)平均約59%低下。回腸組織 cAMP 平均41%上昇。
2026年下期に ASCENTRA-CD IND 提出予定。
会社ガイダンスでは CD Phase 2 開始は 2027年Q1目標。
CD Phase 2 の主要有効性読出しは 2028年初めを想定。
対象:中等症〜重症の潰瘍性大腸炎患者 n=5
作用:大腸局所での PDE4/cAMP 経路活性化、炎症・線維化関連遺伝子プログラムの抑制。
7日投与で 5/5(100%)が臨床反応。
2/5(40%)が臨床寛解。
組織学的改善、糞便カルプロテクチン、hsCRP、リンパ球数低下を報告。
TNF-α、JAK-STAT、NF-κB、MAPK、TGF-β などの炎症・線維化関連経路を大腸組織で抑制。
健康成人とUCを含む初期データで良好な忍容性。腸管局所活性化により全身PDE4毒性の低減を狙う。
対象:術後癒着/術後腸機能回復
備考:2023年の米国Phase 2で主要評価未達。現在はPALI-2108を中心とするIBDパイプラインへ経営資源を集中。
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PALI-2108(PDE4 局所活性化プロドラッグ) | 潰瘍性大腸炎(UC) | Phase 2:FDA INDクリア済み |
ASCENTRA-UC。多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量探索。 約204例、15mg/30mg 1日1回 vs placebo。 主要評価は Week 12 の modified Mayo による臨床的寛解。 |
PDE4クラスの嘔気・下痢・頭痛、CNS/GI毒性に留意。 ただし局所活性化設計により全身曝露と忍容性課題の低減を狙う。 |
経口1日1回。12週導入後、適格患者は36週維持期へ移行し、Week 48まで持続性を評価。 | 大:UC市場。会社資料ではUC 1.95百万人、7.7Bドル市場と記載。 |
2026年6月のFDA INDクリアが大きな転換点。 H2 2026登録開始、H2 2027主要データが最大カタリスト。 |
| PALI-2108(PDE4 局所活性化プロドラッグ) | クローン病(CD)/ 線維狭窄型クローン病(FSCD) | Phase 1b 完了 → ASCENTRA-CD IND準備 |
FSCD Phase 1bで初期ヒトデータ取得済み。 2026年下期に ASCENTRA-CD IND提出予定。 |
FSCD Phase 1bでSAEなし。PDE4クラス関連AE(嘔気、下痢、頭痛など)も認められず。 | 経口1日1回。炎症と線維化の両方を狙い、より広い中等症〜重症CDへの拡張を計画。 | 大:CD市場。会社資料ではCD 1.63百万人、8Bドル市場と記載。 |
FSCDでSES-CD 47.5%低下、内視鏡反応40%、内視鏡的寛解40%。 ただしn=5の短期試験であり、Phase 2で再現性が必要。 |
| PALI-2108(UC Phase 1b 参考) | 中等症〜重症UC | Phase 1b 完了 |
n=5、7日投与のオープンラベル探索試験。 臨床、組織、バイオマーカー、RNA-seqを評価。 |
重大な安全性懸念なし。 大腸局所活性化により、PDE4クラス毒性の低減を狙う。 |
経口1日1回。Phase 2では15mg/30mgを検証。 | 中〜大:UCの経口薬ニーズ。 |
100%臨床反応、40%寛解は見栄えが良いが、n=5かつ短期。 Phase 2でプラセボ対照下の再現性が勝負。 |
| LB1148(参考) | 術後癒着 / 腸機能回復 | —(開発中止) | — | — | — | — | PALI-2108へ経営資源を集中。 |
PALI-2108は、PDE4阻害という既に薬理学的には実績のある標的を、
回腸末端・大腸で選択的に活性化されるプロドラッグとして再設計した経口薬。
狙いは、PDE4阻害の抗炎症作用を腸管局所で最大化しつつ、従来のPDE4阻害薬で問題となりやすい
嘔気、下痢、頭痛、中枢・全身毒性を抑えること。
何が変わった?
- UCは「Phase 1b/2a準備」から、FDA INDクリア済みのグローバルPhase 2へ前進。
- Phase 2試験名は ASCENTRA-UC。
- 登録開始は 2026年下期、主要結果は 2027年下期予定。
- FSCDのPhase 1bはすでに完了し、2026年3月に陽性トップラインを発表済み。
- CDはFSCD単独ではなく、より広い中等症〜重症クローン病へ拡張する方向。
- ASCENTRA-CDのIND提出は 2026年下期予定。
UC Phase 2「ASCENTRA-UC」の中身
- 対象:中等症〜重症UC。
- 地域:北米・欧州。
- 症例数:約204例。
- デザイン:無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量探索。
- 用量:15mg、30mg、placebo。
- 主要評価:Week 12の modified Mayo Score による臨床的寛解。
- 副次評価:臨床反応、内視鏡改善、HEMI。
- 維持期:12週導入後、36週維持期でWeek 48まで持続性を確認。
2026年6月のINDクリアによって「プラセボ対照Phase 2で本格検証する銘柄」へステージが上がった。
ただし、UC Phase 1bはn=5・7日投与の短期データであり、H2 2027のPhase 2主要結果が真の分岐点。
FSCD / CD の読み方
FSCD Phase 1bでは、2週間という短期投与ながら、SES-CDの47.5%低下、
内視鏡反応40%、内視鏡的寛解40%、FCP約59%低下が報告された。
これは炎症だけでなく線維化関連経路への関与を示唆するデータとして見られる。
ただし、患者数は5例であり、オープンラベルの短期探索試験である点には注意が必要。
会社はこの結果をもとに、FSCDに限定せず、より広い中等症〜重症クローン病でPhase 2を進める方針。
これは市場規模と規制パスを広げる意味ではポジティブだが、対象が広がることで効果の再現性が問われる。
まとめ
- ポジティブ:FDA INDクリア、ASCENTRA-UC開始可能、FSCD Phase 1b陽性、十分な資金。
- リスク:初期データは小規模・短期。Phase 2でプラセボ対照下の有効性再現が必要。
- 最大カタリスト:H2 2027のASCENTRA-UC主要有効性結果。
- 次の注目:H2 2026のUC登録開始、ASCENTRA-CD IND提出、CD Phase 2設計の詳細。
PALI は、「PALI-2108」という1本の経口PDE4プロドラッグを、UC → Crohn’s disease / FSCD → broader IBDへ広げられるかを見る銘柄です。
| レイヤー | 適応 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|---|
| ① UC | 潰瘍性大腸炎 | Phase 2 ASCENTRA-UC | 最初の本格的な価値検証 |
| ② Crohn’s disease | クローン病 | ASCENTRA-CD予定 | 2つ目のIBDレイヤー |
| ③ FSCD | 線維狭窄型クローン病 | Phase 1bで初期シグナル | 差別化レイヤー |
| ④ IBD platform | IBD全般 | 回腸/結腸で局所活性化するPDE4プロドラッグ | 成功時の横展開余地 |
| ⑤ Fibrotic biology | 線維化・炎症 | 炎症経路と線維化経路の両方を調節 | 成功すれば独自性が出る |
「PALI-2108」という1つの薬に複数のIBDレイヤーを乗せるタイプです。
・本丸はUC
最重要は UC / 潰瘍性大腸炎 です。
・2つ目は Crohn’s disease / FSCD
PALIの面白さは、UCだけでなく Crohn’s disease、特にfibrostenotic Crohn’s disease / FSCD にも展開している点です。
-
最大の更新:
PALI-2108のUC INDがFDAにクリアされ、Phase 2 ASCENTRA-UCを開始可能に。 -
UCは本格Phase 2へ:
約204例、15mg/30mg vs placebo、Week 12臨床的寛解が主要評価。 -
FSCDは陽性トップライン済み:
2週間投与でSES-CD 47.5%低下、内視鏡反応40%、内視鏡的寛解40%、FCP約59%低下。 -
CDは対象拡張:
FSCDだけでなく、中等症〜重症クローン病全体へ広げる方向。
ASCENTRA-CD INDは2026年下期予定。 -
安全性設計:
腸管局所活性化により、従来PDE4阻害薬の忍容性課題を回避する狙い。 -
資本面:
2025年10月の大型公募により、2026年3月末で現金・現金同等物は約1.326億ドル。
UC H2 2027、CD early 2028の読出しまで資金が届く見通し。
2025年10月、Palisade Bioは約1.38億ドルの大型公募を完了。
公募は B Group Capital と Columbia Threadneedle Investments が主導し、
Adage Capital Partners LP、ADAR1 Capital Management、Boxer Capital Management、Coastlands Capital、
Deep Track Capital、Janus Henderson Investors、Octagon Capital、Perceptive Advisors、
RA Capital Management、Squadron Capital Management、ヘルスケア専用大型投信が参加。
調達資金は主に PALI-2108 のUC Phase 2開発に充当される。
参加投資家の顔ぶれを見ると、単なる延命資金というより、
PALI-2108のPhase 2検証に向けた専門投資家主導の資金調達と見るのが自然。
PALI-2108(UC)Phase 1b データ
7日投与で臨床反応5/5、臨床寛解2/5。
改変Mayo、組織、炎症バイオマーカー、RNA-seqで局所作用を示唆。
約1.38億ドルの大型公募を完了
B Group Capital、Columbia Threadneedle、RA Capital、Perceptive、Deep Trackなどが参加。
PALI-2108のPhase 2開発資金を確保。
ECCO 2026でUCのトランスレーショナルデータを発表
大腸組織でTNF-α、JAK-STAT、NF-κB、MAPK、TGF-βなどの炎症・線維化関連経路の抑制を報告。
PALI-2108(FSCD)Phase 1b トップライン
2週間投与でSAEなし。SES-CD 47.5%低下、内視鏡反応40%、内視鏡的寛解40%、FCP約59%低下。
クローン病Phase 2への拡張を支持。
DDW 2026 / 追加Phase 1a/bデータ
大腸組織でのPDE4/cAMP経路調節、IC90を上回る持続曝露、1日1回投与を支持するPK/PDを報告。
UC Phase 2 IND クリア
FDAがPALI-2108のINDをクリア。
グローバル Phase 2 ASCENTRA-UCを開始可能に。
ASCENTRA-UC 登録開始予定
約204例、15mg/30mg 1日1回 vs placebo。
Week 12の臨床的寛解を主要評価。
ASCENTRA-CD IND 提出予定
クローン病を対象とするPhase 2 IND。
FSCDでの初期シグナルをもとに、より広いCD集団へ展開。
CD Phase 2 開始目標
会社ガイダンスでは、CD Phase 2開始は2027年Q1を想定。
試験デザイン、対象患者、線維化評価の扱いが焦点。
ASCENTRA-UC 主要有効性結果
PALIにとって最重要カタリスト。
Phase 1bの小規模シグナルが、プラセボ対照Phase 2で再現するかを確認。
CD Phase 2 主要有効性結果想定
クローン病でのPhase 2読出し。
PALI-2108がUCだけでなく、より広いIBDフランチャイズになれるかを判断する材料。
ASCENTRA-UCの登録開始、ASCENTRA-CD IND提出、Phase 2試験デザイン詳細の開示。
CD Phase 2開始目標。FSCDから広いCDへ拡張する試験設計が焦点。
ASCENTRA-UC 主要有効性結果。PALI最大の価値判定イベント。
CD Phase 2主要有効性結果想定。UC単独銘柄からIBDフランチャイズへ広がるかを確認。
