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【BIOA】BioAge Labs のカタリストとロードマップ

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【BIOA】BioAge Labs のカタリストとロードマップ

BioAge Labs は、ヒトの加齢・長寿データから疾患に関与する生物学的経路を特定し、心血管・代謝・網膜疾患などを対象とする治療候補品を開発する臨床段階のバイオ医薬品企業です。

現在の主力候補は、経口投与可能で脳内移行性を有する低分子NLRP3阻害薬「BGE-102」です。

従来、BGE-102は肥満治療候補として紹介されることが多くありましたが、現在のリード開発領域は心血管炎症リスクの低減です。肥満患者を対象に含むものの、体重減少そのものではなく、hsCRP、IL-6、フィブリノゲンなどの炎症・心血管リスクマーカーを低下させる経口治療として開発されています。

BGE-102はPhase 1 SAD/MAD試験を完了し、肥満かつ炎症反応が高い参加者において、60mgおよび120mgの1日1回投与でhsCRPを中央値86%低下させました。2026年6月にはPhase 2「QUELL-CV」が開始され、2026年下半期にトップラインデータが予定されています。

BioAgeはBGE-102を糖尿病黄斑浮腫、DMEにも展開する計画であり、将来的には他の網膜疾患や中枢神経系疾患へ適応を広げる可能性もあります。

一方、肥満における体重減少や体組成改善の価値は、長時間作用型注射剤および経口低分子のAPJアゴニストへ移されています。

主力失敗からNLRP3中心企業への転換

BioAgeは、旧主力候補azелaprag/BGE-105の肥満向けPhase 2「STRIDES」を、投与群で肝酵素上昇が確認されたため2024年12月に中止しました。azелapragの開発は2025年1月に終了しており、同資産は現在のパイプライン価値には基本的に含まれません。

その後、BioAgeはBGE-102を新たな主力に据え、肥満薬企業から、NLRP3を標的とする心血管炎症・網膜疾患企業へ事業の中心を移しました。

2026年4月に公表されたPhase 1データでは、BGE-102が強力な炎症マーカー低下作用と良好な初期安全性を示しました。2026年6月には心血管リスクを対象とするPhase 2「QUELL-CV」が開始されています。

ただし、QUELL-CVの主要評価項目はhsCRPの変化率であり、心筋梗塞、脳卒中、心血管死などのMACEを直接評価するアウトカム試験ではありません。したがって、Phase 2が成功しても、心血管イベントを実際に減少させることを証明する大規模な後期試験が必要になる可能性があります。

ハイライト

2026年4月:BGE-102のPhase 1最終データを公表。60mgと120mgの両用量でhsCRPを中央値86%低下。

安全性:Phase 1では重篤な有害事象、治療中止、有意なバイタル・ECG・検査値異常は報告されず。

2026年6月16日:心血管リスクを対象とするPhase 2「QUELL-CV」で初回投与。

2026年下半期:QUELL-CVトップライン予定。2026年における最大の企業固有カタリスト。

DME:糖尿病黄斑浮腫Phase 1b/2aは2026年半ばの開始計画。データは2027年半ば予定。

APJ:長時間作用型注射剤または経口低分子について、最初のINDを2026年末までに提出する計画。

資金:2026年3月末時点の現金・現金同等物・市場性有価証券は約3億8,490万ドル。会社予想のランウェイは2029年まで。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし

主力候補:BGE-102 — 経口・脳移行性の低分子NLRP3阻害薬。現在のリード適応は、炎症反応が高い患者における心血管リスク。

第2適応:糖尿病黄斑浮腫、DME。経口薬として眼内炎症を抑制し、抗VEGF治療への追加投与または単剤投与を検討。

肥満パイプライン:長時間作用型注射剤および経口低分子のAPJアゴニスト。体重減少だけでなく、筋肉量・体組成の維持を狙う。

開発終了:azелaprag/BGE-105。肥満Phase 2で肝酵素上昇が確認され、2025年1月に開発終了。

主要臨床成績・指標
86%
60mg・120mgでのhsCRP中央値低下率
87〜93%
hsCRPが2mg/L未満へ正常化した割合
160例
QUELL-CV予定登録数
2026年H2
QUELL-CVトップライン予定
$384.9M
2026年Q1末の現金等
〜2029年
会社予想の資金ランウェイ

臨床試験パイプライン
Phase 2・進行中
BGE-102/QUELL-CV

対象:肥満、hsCRP高値、追加の心血管リスク因子を有する成人

目的:心血管炎症リスクの低減とPhase 3推奨用量の選択

投与:30mg、60mg、90mgまたはプラセボを1日1回、12週間

予定登録:
約160例、各群約40例
主要評価項目:
hsCRPのベースラインからの変化率
副次・探索項目:
hsCRP正常化率、炎症、代謝、画像バイオマーカー
初回投与:
2026年6月16日発表
トップライン:
2026年下半期予定

Phase 1b/2a・開始計画
BGE-102/糖尿病黄斑浮腫

対象:糖尿病黄斑浮腫、DME

目的:経口投与による眼内NLRP3阻害と眼内炎症抑制の概念実証

位置づけ:抗VEGF治療への追加投与および単剤投与

予定登録:
約90例
投与期間:
約8週間
主要評価項目:
眼内IL-6の変化率
試験開始:
2026年半ばの会社計画
データ:
2027年半ば予定

初回投与開始の公式発表を確認する段階
Preclinical
APJアゴニスト群

対象:肥満、体組成、筋代謝

モダリティ:長時間作用型注射剤および経口低分子

狙い:GLP-1治療に追加し、体重減少の増強と筋肉量・機能の維持を目指す

注射剤:
JiKang Therapeutics由来のAPJアゴニスト・ナノボディ
活性:
天然apelin比で約10倍以上のアゴニスト活性
経口候補:
独自の高力価低分子APJアゴニスト群
次の段階:
最初のINDを2026年末までに提出予定

Discovery / Preclinical
次世代NLRP3・探索プラットフォーム

内容:BGE-102に続くNLRP3阻害薬および代謝老化関連ターゲット

提携:NovartisおよびLilly ExploR&Dとの創薬研究

価値:
BGE-102依存度を下げるバックアップ・長期オプション
現状:
候補名・臨床入り時期は未公表

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 試験・規制デザイン 主要評価項目 投与・併用戦略 価値の大きさ 主な評価ポイント・リスク
BGE-102/QUELL-CV 心血管リスク、全身性炎症 Phase 2・進行中 約160例、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、用量設定試験。
30mg、60mg、90mgを12週間投与。
hsCRPの変化率。
MACEを直接評価する試験ではない。
1日1回経口投与。
標準的な心血管治療への追加薬を想定。
非常に大きい BIOAの中核価値。用量反応、安全性、炎症マーカーの持続性が焦点。
ただし、バイオマーカー改善から心血管イベント低下への転換は未証明。
BGE-102/DME 糖尿病黄斑浮腫 Phase 1b/2a開始計画 約90例、約8週間。眼内での薬理学的ターゲットエンゲージメントを確認。 眼内IL-6の変化率。
視力や網膜厚は将来の臨床価値確認項目。
経口投与。
抗VEGFへの追加投与および単剤を評価。
大きい 注射中心の網膜疾患市場に経口薬という差別化。
ただし、眼内IL-6低下が視力・網膜構造改善につながるかは未証明。
APJアゴニスト群 肥満、体組成、筋肉量維持 前臨床 注射型ナノボディと経口低分子を並行開発。
最初のINDを2026年末までに提出する計画。
臨床入り後は体重、脂肪量、除脂肪量、筋機能、安全性が重要。 GLP-1受容体作動薬との併用が中心。
将来的には単剤の可能性も検討。
中〜大 肥満市場のアップサイドを担うが、現時点では前臨床価値。
azелapragの肝安全性問題とは別候補であることの証明が必要。
次世代NLRP3阻害薬 心血管、網膜、CNSなど 探索・前臨床 BGE-102のバックアップおよび疾患別プロファイルの最適化。 未公表 候補ごとに経口・組織移行性を最適化 小〜中 BGE-102成功時に価値が高まるプラットフォームオプション。
現段階では具体的な開発候補が未公表。
azелaprag/BGE-105 肥満、筋萎縮 開発終了 肥満Phase 2 STRIDESを2024年12月に中止。
2025年1月に開発終了。
該当なし 旧経口APJアゴニスト 原則ゼロ 過去の筋量維持データは新規APJ候補の生物学的根拠として残るが、
azелaprag自体に継続的な資産価値は見込みにくい。

パイプラインの価値レイヤー
価値レイヤー 構成資産 現在の価値 価値が上昇する条件 主なリスク
① 中核価値 BGE-102/QUELL-CV BIOAの企業価値の中心。Phase 1の強いhsCRP低下と初期安全性によって、
すでに一定の臨床価値が形成されている。
30mg・60mg・90mgで明確な用量反応を示し、
hsCRP正常化、IL-6、フィブリノゲン、画像・代謝指標でも整合した効果を確認。
hsCRP低下がMACE低下に結び付かない可能性。
長期投与時の感染症、肝機能、免疫抑制、安全性。
② 適応拡張価値 BGE-102/DME・網膜疾患 同一化合物を別領域へ展開できる「pipeline in a pill」価値。
心血管領域と異なる独立した価値創出経路。
経口投与で眼内IL-6を低下させ、網膜厚、血管漏出、
視力などに改善傾向を示すこと。
血中の炎症抑制が眼内組織へ十分届かない可能性。
抗VEGF薬に対する追加価値を示せない可能性。
③ 肥満アップサイド 注射型・経口APJアゴニスト 巨大な肥満市場への再参入オプション。
現時点では前臨床ディスカウントが大きい。
IND提出、Phase 1入り、GLP-1併用で追加体重減少と
除脂肪量・筋機能維持を確認。
azелapragの安全性問題によるAPJクラスへの警戒。
GLP-1、アミリン、多重作動薬との競争激化。
④ プラットフォーム価値 次世代NLRP3、Novartis・Lilly提携 長寿データから新規標的を発見するBioAge独自の創薬基盤。
現在は企業価値への寄与が限定的。
新たな臨床候補の選定、IND提出、提携マイルストーン、
大手製薬会社によるオプション行使。
標的発見が臨床的に有効な薬剤へ転換できない可能性。
提携先の優先順位変更。
⑤ 資金・実行価値 約3億8,490万ドルの現金等 QUELL-CV、DME、APJを並行して進められる強いバランスシート。
近い時期の資金調達リスクは比較的低い。
2026〜2027年の複数のPoCを追加増資なしで通過し、
良好な条件で提携または後期開発資金を確保。
心血管アウトカム試験は大規模かつ高コストになる可能性が高く、
Phase 3では提携または追加調達が必要になる可能性。
⑥ 過去資産 azелaprag 現在の直接的価値は原則としてゼロ。
APJ生物学と筋代謝に関する学習データのみが残る。
新規APJ候補が異なる化学構造と安全性を示し、
過去データを開発根拠として再利用できること。
旧候補の肝安全性問題が新規APJプログラムの評価にも影響する可能性。

2026年7月末に浮上した重要な外部リスク

Novo NordiskのZEUS Phase 3失敗

2026年7月31日、Novo Nordiskは、抗IL-6抗体ziltivekimabを評価した
大規模Phase 3「ZEUS」が主要評価項目を達成しなかったと発表しました。

ZEUSは、ASCVD、慢性腎臓病、全身性炎症を有する約6,300例を対象に、
心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中からなる3-point MACEを評価した試験です。
ziltivekimabは期待された生物学的作用を示しましたが、MACEの低下にはつながりませんでした。

ziltivekimabはIL-6を直接阻害する抗体であり、上流のNLRP3を阻害するBGE-102とは
作用機序が異なります。また、QUELL-CVとZEUSでは患者背景や試験規模も異なるため、
ZEUSの失敗がBGE-102の失敗を直接意味するものではありません。

ただし、投資上は非常に重要なread-throughです。QUELL-CVが強いhsCRP低下を示しても、
それだけでは心血管イベント低下を証明できません。今後は、単なるhsCRP低下率だけでなく、
複数バイオマーカーの整合性、安全性、対象患者の選択、さらに後期アウトカム試験の実現可能性が
以前より厳しく評価される可能性があります。

ポイント

BioAge Labsは、azелapragの失敗後、BGE-102を中心とするNLRP3阻害企業へ転換しました。
BGE-102はPhase 1で強いhsCRP、IL-6、フィブリノゲン低下を示し、
初期安全性についても大きな問題は確認されていません。

現在の最重要プログラムは、体重減少を評価する肥満試験ではなく、
心血管炎症リスクを対象とするPhase 2「QUELL-CV」です。
2026年下半期のトップラインが、BIOAの企業価値を大きく左右する最大のカタリストとなります。

ただし、QUELL-CVはhsCRPを主要評価項目とする用量設定・PoC試験であり、
MACEを直接評価する試験ではありません。Novo NordiskのZEUS失敗を受け、
良好な炎症バイオマーカーが実際の心血管イベント改善へ転換できるかというリスクが、
BIOAにとってより重要になっています。

DMEはBGE-102の第2の価値レイヤーであり、経口薬として眼内炎症を抑制できれば、
抗VEGF注射中心の市場で差別化できる可能性があります。

APJアゴニストは肥満市場の大きなアップサイドを持ちますが、現時点では前臨床段階です。
2026年末までのIND提出と、その後のPhase 1安全性データが最初の本格的な価値形成イベントになります。

2026年3月末時点で約3億8,490万ドルを保有し、
会社は2029年までのランウェイを見込んでいます。
そのため、QUELL-CV、DME、APJの初期PoCを進める資金余力は比較的強い一方、
大規模な心血管Phase 3では提携または追加資金調達が必要になる可能性があります。

開発ロードマップ
完了:2026年4月

BGE-102 Phase 1最終データ

60mg・120mgの1日1回投与でhsCRPを中央値86%低下。
IL-6とフィブリノゲンも低下し、初期安全性は良好。

完了:2026年6月

QUELL-CV Phase 2開始

約160例を対象に30mg、60mg、90mgとプラセボを比較。
Phase 3推奨用量の決定を目的とする。

2026年半ば

DME Phase 1b/2a開始計画

約90例を対象に、眼内IL-6を主要評価項目として経口BGE-102の
眼内ターゲットエンゲージメントを評価。

2026年下半期

QUELL-CVトップライン

BIOA最大の短期カタリスト。hsCRPの用量反応、正常化率、
IL-6、フィブリノゲン、代謝・画像バイオマーカー、安全性を確認。

2026年末まで

最初のAPJプログラムIND提出

長時間作用型ナノボディまたは経口低分子候補を臨床開発へ移行する計画。

2027年

BGE-102後期開発準備

QUELL-CVの結果が良好な場合、CMC、規制対応、試験設計を進め、
Phase 3開始を目指す。大規模アウトカム試験となる場合は提携戦略も焦点。

2027年半ば

DME Phase 1b/2aデータ

眼内IL-6、網膜構造、視力、抗VEGF追加効果などから、
網膜疾患プラットフォームとしての価値を判断。

注目すべきカタリスト
最重要:2026年下半期
QUELL-CV Phase 2トップライン。30mg、60mg、90mgの用量反応、
hsCRP正常化率、IL-6、フィブリノゲン、安全性を評価。

短期:2026年半ば〜下半期
DME Phase 1b/2aの試験登録・初回投与発表。

短期:2026年末まで
APJアゴニスト候補の選定および最初のIND提出。

中期:2027年
QUELL-CV成功時のPhase 3試験デザイン、FDA協議、提携または資金調達戦略。

中期:2027年半ば
DME Phase 1b/2aデータ。眼内ターゲットエンゲージメントと抗VEGF追加価値を確認。

長期
地理的萎縮、その他の網膜疾患、中枢神経疾患へのBGE-102適応拡張、
次世代NLRP3候補の臨床入り。

投資上の確認項目
確認項目 重要な理由
QUELL-CVの用量反応 30mg、60mg、90mgで明確な用量関係がなければ、Phase 3用量選択が難しくなる。
hsCRP以外の整合性 ZEUS失敗後は、hsCRPだけでなくIL-6、フィブリノゲン、画像、代謝指標の一貫性が重要。
長期安全性 NLRP3・炎症経路を長期抑制するため、感染症、肝機能、血球、免疫系の監視が必要。
Phase 3のエンドポイント バイオマーカー試験で進められるのか、MACEアウトカム試験が必要かで費用と期間が大きく変わる。
DME試験の実際の開始 予定から遅れる場合、2027年半ばのデータ時期にも影響する。
APJ候補のモダリティ 注射型と経口型のどちらを最初に臨床入りさせるかで競争力と開発速度が変わる。
大手製薬会社との提携 心血管アウトカムPhase 3は高コストであり、提携は資金面・試験運営面の重要なデリスク要因。
現金消費 複数臨床試験とCMC投資によりR&D費が増加しており、2029年ランウェイの維持を確認する必要がある。