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ドイツの製薬会社 Boehringer Ingelheim のライセンス戦略

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ドイツの製薬会社 Boehringer Ingelheim のライセンス戦略

ドイツの製薬会社 Boehringer Ingelheim (ベーリンガーインゲルハイム) は、臨床段階のバイオ企業からかなり積極的にライセンスしている会社です。

前臨床〜早期の資産や新規モダリティを好む

ただし、よくありそうな「有望なものを何でも後期で買いまくる会社」ではなく、むしろ前臨床〜早期の資産や新規モダリティを、提携ベースで早めに押さえにいくタイプです。

Boehringer Ingelheim のR&D責任者 Paola Casarosa が2026年の年時記者会見で述べているのは、同社の重点分野が T-cell engagers と ADC で、さらに bispecific / trispecific antibodies、in-vivo CAR-T も注視しているということです。

しかも同社は、臨床入り前の資産を好むと述べていて、「今は売り手市場で中後期資産は値段が高い」「自社は必ずしも late-stage を必要としていないので、より創造的に動ける」と説明しています。

つまり、Boehringer Ingelheim はかなりライセンスするが、狙いは主に前臨床の有望案件です。これは逆に、late-stage は高すぎるので、より早い段階で組みにいくという考え方でもあると言えます。

かなりの数のライセンス

2026年の第一四半期だけで、既にかなりのライセンス件数が並んでいます。年初に Variant Bio と心腎・腎疾患の新規標的探索提携、続いて Rectify Pharmaceuticals と腎領域の前臨床提携。

さらに Simcere から前臨床のIBD向け二重特異抗体、Sitryx とは自己免疫・炎症の新規経口薬探索提携を結んでいます。これだけでも、Boehringer Ingelheim がかなりの頻度で外部導入していることはわかります。

一方で、「買収より提携を好むように見える」と言われることについて、Casarosa 本人はそれを絶対方針ではないと否定しています。実際に Boehringer Ingelheim は、T3 Pharmaceuticals を2023年に買収、Amal Therapeutics を2019年に買収しており、必要なら会社ごと取ることもあります。

以上のように Boehringer Ingelheim は、基本は提携・ライセンス中心でも、必要なら買収も行うというスタンスです。資金面でも、Boehringer Ingelheim はかなり攻めやすい立場です。

2025年のR&D支出は64億ユーロ、売上は278億ユーロで、R&D比率は22.9%とかなり高水準です。つまり、外部導入を続ける体力がある会社です。