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【JBIO】Jade Biosciences カタリストとロードマップ

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前身 Aerovate Therapeutics と Jade Biosciences が合併

JBIO のチャートを見ると、2024年6月に暴落しているように見えます。これは前身企業 Aerovate Therapeutics(AVTE)が2024年6月17日、当時 AVTE の主力薬「AV-101(吸入イマチニブ)」が PAH(肺動脈性高血圧)で実施したIMPAHCT試験(P2b)で主要評価項目未達(PVR改善なし、6分間歩行距離など副次項目も改善示さず)→ 株価は一日で90%超急落。

会社はP3と長期延長試験の中止を決定。その後、人員削減(約78%)など大規模リストラクチャリングへ。2024年10月31日には、AVTE と Jade Biosciences の合併契約を発表。2025年4月28日に合併クローズし、4月29日から社名・ティッカーを「Jade Biosciences(JBIO)」に変更しているという背景があります。

Ph1 の初期臨床なのに複数ファンドが買っている理由

Ph1 の初期臨床「JADE101(抗APRIL, IgAN)」に強気の理由はどこにあるのでしょうか?

・経路バリデーション済みのクラス
IgAN の APRIL/BAFF 軸は既に外部で有望シグナルが積み上がっており(他社の抗APRIL、APRIL/BAFF二重阻害など)、メカ妥当性が読みやすい。→ 早期でも「ゼロ→イチ」の賭けではなく、“クラス内でのベストインクラス争い” という賭けに近い。

・規制パスの見通し
IgANは蛋白尿低下→AAという踏み跡があり(TARPEYO, FILSPARI など)、APRIL単抗でもBLA提出の例が出ている。=Ph2のランダム化試験で主要差が出ればAAに届く絵が描きやすい。

・設計の差別化ポイントが明確
「JADE101」は高親和性×皮下×長投与間隔を狙う設計。IgAN は慢性疾患でアドヒアランスが効く領域なので、“少ない回数で深い占有” は市場での武器になりやすい。

・データの “橋渡し” が早い
Ph1 でも血中 APRIL・IgA 関連バイオマーカーは短期で動くため、患者 PoC(蛋白尿やGd-IgA1、尿中指標)へ橋渡ししやすい。→ つまり “早期に手応えを可視化しやすい設計” が、機関のエントリーを後押し。

・資金面の後ろ盾で “完走” が見える
直近の資金調達でランウェイが中期まで延びたため、初期シグナル→患者PoCまで資金切れを心配せずに走れる。→ “途中で希薄化が続く” 懸念が後退=機関の入りやすさが上がる。

・バリュエーション再設定の余地
合併で “前史の失敗資産” が整理され、自己免疫の新生ポートフォリオに刷新。Ph1→PoCで一段上のレンジにリレーティング余地がある—これが機関のリスクリワード仮説。

以上のように、「長間隔で深い占有」×「早期に見えるPD/バイオマーカー」×「十分なランウェイ」という3点が、Ph1 でも買える理由かもしれません。

ここからはPDの綺麗さ・安全性・初期PoCの三拍子がそろうかが勝負。そこが揃えば、今の強気資金が本格リレーティングを牽引しやすくなるはずです。

“Ph2→AA” の現実味があるから、機関は Ph1 でも座席を取りに来ている。その前提はPDと安全性、そしてAAを見据えたPh2設計で初めて実体化します。ここが揃えば、今の買い増しは “先回りの正解” になりやすいです。

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:JADE101(抗APRIL モノクローナル抗体)— IgA腎症(IgAN)を対象。2025年Q3にPhase 1(健常人)で初回投与を実施、Q1–Q2 2026に中間(バイオマーカー中心)データ予定。

補足:JADE201(抗BAFF-R・半減期延長・アフコシル化 mAb、Q1–Q2 2026にFirst-in-Human予定)、JADE-003(非開示mAb、Q1–Q2 2027 FIH予定)。

主要臨床成績
Q3 2025
JADE101 Ph1 初回投与(健常人)

Q1–Q2 2026
JADE101 Ph1 中間解析(バイオマーカー)

Q1–Q2 2026
JADE201 FIH(関節リウマチ)開始予定

〜Q1–Q2 2028
運転資金の目処($135M PIPE 後の会社目安)

臨床試験パイプライン
Phase 1(進行中)
JADE101(抗APRIL / IgAN)

対象:IgA腎症(初期は健常人SAD/MADでPK/PD・安全性→患者用量選択へ)

作用:APRIL 阻害(高親和性、皮下投与で長間隔化を設計)

進捗:2025年Q3に初回投与、登録進行中
PD目標:APRIL/IgA バイオマーカー低下で至適用量・間隔を決定
次読出し:Q1–Q2 2026 中間データ

IND準備 → FIH予定
JADE201(抗BAFF-R / 全身性自己免疫)

対象:関節リウマチを皮切りに、B細胞駆動の全身性自己免疫疾患

作用:BAFF-R遮断+ADCC強化(アフコシル化)×半減期延長による持続占有

進捗:前臨床で受容体占有・B細胞枯渇をNHPで確認
設計:皮下・低頻度投与を志向
開始予定:Q1–Q2 2026 FIH(RA)

創薬段階 → FIH計画
JADE-003(非開示mAb)

対象:未公表(自己免疫領域)

作用:未公表(mAb)

進捗:創薬→前臨床に向けて構築中
FIH予定:Q1–Q2 2027

適応選定と初期PoC設計を並行

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
JADE101(抗APRIL) IgA腎症(IgAN) Phase 1(健常人SAD/MAD) 患者パートへ移行予定(バイオマーカー駆動の用量探索) 注射部位反応、感染症リスク、免疫複合体形成などに留意 皮下投与、8週超間隔を志向(長間隔設計) 中:IgANは希少だが疾患修飾薬への需要は強い クラス内で高親和性×長間隔を訴求。
中間読出し:Q1–Q2 2026
JADE201(抗BAFF-R, アフコシル化/半減期延長) RAほか B細胞駆動の全身性自己免疫 IND準備(FIH:Q1–Q2 2026 初期は適応探索型(RAから開始見込み) 感染症、低ガンマグロブリン血症、血液イベント等を監視 皮下・低頻度投与(受容体占有の持続化を狙う) 大:自己免疫の主要セグメント 既存B細胞枯渇薬に対し投与頻度と深さで差別化狙い
JADE-003(非開示mAb) 未公表(自己免疫) 創薬 → 前臨床 → FIH:Q1–Q2 2027 初期PoC設計を検討 mAbクラス一般の免疫関連事象 皮下想定 中〜大:適応次第で拡張余地 3本目でポートフォリオ分散

ポイント
  • クラス内差別化:APRIL/BAFF-RというB細胞軸で、高親和性×半減期延長×アフコシル化などのエンジニアリングにより、低頻度皮下投与深い占有を両立して差別化を狙う。
  • 臨床の近接性:JADE101は既にPh1進行中、JADE201もQ1–Q2 2026にFIH予定で、2026年前半に2剤が臨床読出し
  • 財務余力:$135MのPIPE〜2028年Q1–Q2までの資金見通しを会社が示唆。複数プログラムの並走が可能。

ファンドのポジション

主要ヘルスケア投資家(RA Capital、Avidity、Venrock など)が PIPE に参加。今後の臨床加速と比較試験設計への資本面の後押しが期待される。

開発ロードマップ
完了:2025年Q3

JADE101 Phase 1 初回投与(健常人)

PK/PD・安全性評価開始。中間解析に向け登録継続。

2025年Q4

$135M PIPE クローズ

発行済等価株式 約6,740万株相当へ(プレファ・プレファンド含む)。資金 runway を延伸。

2026年Q1–Q2

JADE101 Phase 1 中間(バイオマーカー)データ

APRIL/IgA 指標に基づく患者用量・投与間隔の確定 → 患者試験設計へ。

2026年Q1–Q2

JADE201 FIH(RA)開始

受容体占有とB細胞動態、投与頻度最適化の初期PoCを探索。

2027年Q1–Q2〜

JADE-003 FIH

3本目のプログラムで領域拡張とリスク分散。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q4)
PIPE資金の着金・運用方針、学会登壇(腎/免疫領域)

中期(2026年Q1–Q2)
JADE101 Ph1 中間データ(バイオマーカー)/JADE201 FIH開始・初期安全性

長期(2026年後半〜)
JADE101 患者試験入り(IgAN PoC)/JADE201 適応拡大方針アップデート