uniQure は旧 Amsterdam Molecular Therapeutics (AMT) が2012年に再資本化と社名変更を経てできた遺伝子治療会社です(リストラクチャリング+リブランディング)。
その後、事業拡大のための買収(例:2021年に Corlieve Therapeutics を買収→AMT-260〔MTLE〕に)も行いました。
主力の「AMT-130」は uniQure の自社創製(in-house)プログラムです。AAV5ベクターに独自設計の miHTT(ハンチンチンmRNAを標的とするマイクロRNA)を搭載したものです。
承認済み製品 / 現状
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:AMT-130(AAV5-miHTT)— ハンチントン病(HD)を対象。
補足:HEMGENIX®(血友病B遺伝子治療)は CSL Behring にライセンス済み(uniQure はマイル/ロイヤルティ受領者)。AMT-260(MTLEてんかん)、AMT-191(ファブリー病)、AMT-162(SOD1変異ALS)が続く。
主要臨床成績
Q3 2025
AMT-130 P1/2「3年」トップライン(cUHDRS等)
Q4 2025
AMT-130 Pre-BLA/PPQ完了 目安
Q1 2026
AMT-130 BLA 提出(優先審査申請)
Q1–Q2 2026
AMT-162(ALS)初期データ/AMT-260 追加更新
Q4 2027
運転資金の目処(ランウェイ:~2027年後半)
臨床試験パイプライン
Phase 1/2
AMT-130(ハンチントン病)
対象:早期HD(米欧の外科的投与コホート・長期追跡)
作用:AAV5 による miHTT 発現(mHTT 低下)
進捗:3年TLをQ3 2025に予定。FDA BTD取得済み
安全性/PD:外科投与プロファイルに整合、バイオマーカー解析継続
次読出し:Q4 2025 Pre-BLA/PPQ完了 → Q1 2026 BLA
Phase 1/2
AMT-260(難治性内側側頭葉てんかん, MTLE)
対象:成人MTLE(米国 多施設)
作用:抑制性神経伝達増強を狙うAAV遺伝子治療
進捗:初回症例で発作頻度 −92%(~5か月)報告、登録継続
安全性:重篤な治療関連事象なし(探索)
次読出し:症例積み上げに伴う暫定更新(2025–2026)
Phase 1/2a
AMT-191(ファブリー病)
対象:クラシック型を含むファブリー病
作用:AAVベクターによる酵素補充代替
進捗:初期安全性・探索有効性を学会で発表(2025/9)
次読出し:追跡データの追加開示(2025–2026)
長期追跡で用量調整・酵素/基質指標を評価
Phase 1/2
AMT-162(SOD1変異 ALS)
対象:SOD1変異ALS(EPISOD1試験)
作用:AAV遺伝子治療(SOD1病態修飾を狙う)
進捗:登録進行中
初回データ:Q1–Q2 2026 目安
パイプライン早見表
パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
AMT-130(AAV5-miHTT) | ハンチントン病(HD) | Phase 1/2 | Breakthrough Therapy(FDA) | 外科投与関連(頭痛/炎症/出血等)を重点監視 | 片側/両側線条体投与。長期追跡で用量最適化 | 中:希少疾患だが高価格レンジの可能性 | 3年TL→Q1 2026 BLA。初の遺伝子治療HD標的へ |
AMT-260 | 難治性内側側頭葉てんかん(MTLE) | Phase 1/2 | 探索的PoC(RDBPC設計は今後) | 中枢介入に伴う神経学的AESI | 局所投与。抗てんかん薬との併用最適化余地 | 中:高未充足の神経領域 | 初回症例で発作−92%の所見。症例積上げが鍵 |
AMT-191 | ファブリー病 | Phase 1/2a | 希少疾患レジストリ活用・長期追跡 | 免疫反応、肝酵素、心腎指標を監視 | 単回投与を基本。既存ERTとの切替/併用検討余地 | 中:希少遺伝性代謝疾患 | 初期安全性を提示済み。酵素/基質の持続性が論点 |
AMT-162 | SOD1変異 ALS | Phase 1/2 | 希少・迅速化支援の可能性(未公表) | 神経学的AESI、呼吸イベントを監視 | 単回投与。標準治療との併用設計を検討 | 中:超高未充足領域 | Q1–Q2 2026 初期データでPoC可否を判定 |
ポイント
- 中枢志向のAAVプラットフォーム:HD/MTLE/ALS にフォーカスし、AAV5×外科/局所投与で差別化。
- 事業再編:製造拠点を売却し Genezen に外部化、固定費圧縮で開発へ集中。
- 財務余力:Q2’25 時点のキャッシュ等で 2027年後半 まで運営資金の見通し。
開発ロードマップ
完了予定:Q3 2025
AMT-130 P1/2「3年」トップライン
cUHDRS 等の外部対照比較を含む主解析を公表。
予定:Q4 2025
AMT-130 Pre-BLA/PPQ 完了
当局協議と商用製造準備を整備(高用量/新コホートも着手)。
予定:Q1 2026
AMT-130 BLA 提出
優先審査を申請。審査時計に入る想定。
予定:Q1–Q2 2026
AMT-162 初期データ/AMT-260 追加更新
ALS/MTLE の早期有効性・安全性シグナルを確認。
注目すべきカタリスト
短期(〜Q4 2025)
AMT-130 3年TL、Pre-BLA/PPQ完了、AMT-260 症例積上げ
AMT-130 3年TL、Pre-BLA/PPQ完了、AMT-260 症例積上げ
中期(Q1–Q2 2026)
AMT-130 BLA 提出、AMT-162 初期データ、AMT-191 追跡データ
AMT-130 BLA 提出、AMT-162 初期データ、AMT-191 追跡データ
長期(2026年〜)
AMT-130 審査進捗、ALS/MTLE のPoC確立→後期設計
AMT-130 審査進捗、ALS/MTLE のPoC確立→後期設計