
株価を動かす可能性のあるデータ読出し
① 2026年Q1–Q2:budoprutug(抗CD19)の初期ヒト所見
初期コホート所見(用量反応、血小板反応・自己抗体/疾患活動性の変化、B細胞枯渇の深さ/持続)。曝露–反応の一貫性が見えれば評価が動きやすい。
② 2026年半ば:CLYM116(抗APRIL)初期バイオマーカー
Phase 1開始→初期PD/半減期・投与間隔の手応え(会社の目線もここ)。抗APRIL 既存薬との差別化(IgA低下の深さ×持続)が見えれば上方向。
が本命です。2025年内は試験起動・IND提出など “運営系カタリスト” 中心で、数字インパクトは限定的になりがちです。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:budoprutug(抗CD19 mAb)— 自己抗体疾患(ITP / SLE / pMN)を対象。
補足:CLYM116(抗APRIL mAb, 半減期延長設計)— IgA腎症(IgAN)ほかへの展開を計画。
対象:成人 ITP(特発性血小板減少性紫斑病)
作用:抗CD19 mAb(高親和・エフェクター強化)
対象:全身性エリテマトーデス(成人)
作用:抗CD19 mAb
対象:一次性膜性腎症(抗PLA2R陽性 など)
作用:抗CD19 mAb
対象:IgA腎症(他にANCA-AAV, BP, SLE腎炎 等を視野)
作用:抗APRIL mAb(半減期延長設計)
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| budoprutug(抗CD19) | ITP(成人) | Phase 1b/2a | 適応探索型 P1b/2a(用量漸増→拡大) | 感染症(特に重症/反復)、低ガンマグロブリン血症、輸液反応 など | 単剤中心。標準治療不応例への選択肢として位置づけ | 中:希少だが未充足高 | 迅速な血小板反応と持続性が鍵。 初期所見:Q1–Q2 2026 |
| budoprutug(抗CD19) | SLE(成人) | Phase 1b | 探索型 P1b(活動性サブタイプで評価) | 感染リスク、免疫グロブリン低下に伴うリスク | 単剤→将来は標準治療(CS/免疫抑制薬/BTK阻害 等)と併用検討 | 大:自己免疫の主要適応 | 自己抗体/疾患活動性指標の改善と安全性バランスを検証 |
| budoprutug(抗CD19) | pMN(一次性膜性腎症) | Phase 2(起動準備) | PoC P2(抗PLA2R→蛋白尿→寛解率の階層評価) | 感染、低IgG/低補体に伴う合併症 | 単剤基盤。寛解導入と再燃抑制の両面を探索 | 中:腎希少、迅速承認の余地 | FPI:Q3–Q4 2025 目安。早期反応がバリュードライバー |
| CLYM116(抗APRIL) | IgA腎症(IgAN) | 前臨床 → Phase 1準備 | IND/CTA(Q4 2025 申請予定) | 感染、低IgA/低IgGに関連するリスク(クラス留意) | 低頻度皮下投与を想定。長期抑制と安全性で差別化 | 大:腎領域で高需要 | 先行APRIL/BLyS系との差別化(投与間隔/持続抑制)が評価軸 |
- 臨床の二枚看板:抗CD19(budoprutug)で自己抗体病を横断、抗APRIL(CLYM116)でIgANを狙う。
- 実行面:2025年は pMN のP2起動と CLYM116 の IND 到達が山場。2026年前半に両軸の初期ヒト所見。
- 財務余力:現金等 $187.4M、ランウェイ〜2027年ガイダンス(Q2’25)。
1. “B細胞除去” という勝ち筋のあるMoAを、CD19でより深く/速く効かせる。
2. IgAN ではAPRIL阻害の競争は激しいが、「CLYM116」は “sweeper設計” で差別化できる。
旧 Eliem Therapeutics が 2024年10月に Climb Bio に社名変更(ティッカーも CLYM)。パイプラインは実質2本「budoprutug(抗CD19 mAb)」と「CLYM116(抗APRIL mAb」。直近開示では2025/9/30時点で現金等 $175.8M、運転資金は 2027年までというガイダンス。
主力「budoprutug(抗CD19)」深いB細胞除去で、自己抗体ドライブの疾患を取りに行く
なぜCD19が “次世代” と言われるのか?CD20(例:リツキシマブ)よりもB細胞系列のより広いレンジ(形質芽細胞=plasmablastsを含む)を狙いやすく、病因自己抗体の低下→臨床効果に直結しうる、という設計思想です。
いま見えている “価値の芽”
・pMN(原発性膜性腎症)の過去Phase 1b長期追跡で、最大3年の蛋白尿コントロール(最大4回投与の4人、うち3人は追加免疫抑制なし)という“絵になる”シグナルが出ています(ただし小規模)。
開発状況(初期3適応+製剤)
・pMN:Phase 2(PrisMN):抗PLA2R陽性・RAAS最適化でも蛋白尿が残る患者、約45例、3用量レジメン(Day1/15/169/183投与が記載)。
・ITP:Phase 1b/2a(安全性/PK/PD+予備有効性)。
・SLE:Phase 1b(SAD中心の設計)。
・SC製剤:健常人Phase 1(IVとSCの比較を含む)。
投資目線のチェック項目
・pMNで“病因ドライブ(抗PLA2R/蛋白尿)”がどれだけ速く・深く・持続して動くか
・CD19ゆえの“深さ”と引き換えに出やすい 感染・低γグロブリン血症・持続的免疫抑制のバランス
・SCで“現場実装”できるか(投与頻度・投与量・注射容量、継続のしやすさ)
2本目「CLYM116(抗APRIL)」IgANの巨大市場は魅力だが、競争も最大
「CLYM116」の “売り” は、pH依存の bind-and-release+APRIL のリソソーム分解促進+抗体リサイクルで、深く・長くAPRILを抑えてIgAを下げ、投与間隔も伸ばすという設計です。
・非ヒト霊長類で sibeprenlimab(第一世代抗APRIL)より半減期が長く、IgA低下が深いとするヘッドトゥヘッドを出しています(ここが“差別化の根拠”)。
・会社計画では Phase 1開始→2026年中盤にバイオマーカー/投与間隔の初期データが最初の勝負所。
投資目線のチェック項目
・“sweeper設計” がヒトで再現されるか(APRIL/IgA/他免疫グロブリンの動き、感染シグナル)
・IgANは競争が激しいので、初期から「投与間隔」「深さ」「安全性」で勝ち筋が見えるかが重要
筋は良いが、価値の確定はこれから?
「budoprutug」は “自己抗体ドライブ領域” を正面から取りに行っており、pMNの長期追跡は小さくても強い示唆。「CLYM116」は、IgANのAPRIL競争で「投与間隔×深さ」で勝ちに行く設計意図が明確。
しかし、どちらも価値を決めるのはこれからのヒトデータ(特に「CLYM116」は前臨床→ヒトの壁が大きい)。「budoprutug」は “深いB細胞除去” が魅力な反面、安全性/免疫抑制の許容レンジが株価の天井を決めやすい。
budoprutug(ITP/SLE)FPI
成人 ITP / SLE で臨床投与開始。安全性・初期有効性の探索へ。
budoprutug(pMN)P2 起動(FPI予定)
抗PLA2R抗体→蛋白尿→寛解のシーケンスでPoC を検証。9/29にCLYM116ウェブキャスト。
CLYM116 IND/CTA 提出
IgANでの臨床入り準備。前臨床の追加データも更新予定。
CLYM116 Ph1 開始 / budoprutug 初期所見
CLYM116は安全性/PKを確認。budoprutugはITP/SLEの初期有効性・曝露反応を共有予定。
CLYM116(抗APRIL)初期バイオマーカー
CLYM116(IgAN):Phase 1開始→初期PD/半減期・投与間隔の手応え(会社の目線もここ)。
pMN の FPI、CLYM116 の IND/CTA 提出、IgAN設計のウェブキャスト更新
CLYM116 Ph1 初期データ、budoprutug(ITP/SLE)初期コホート所見
budoprutug pMN の中間所見→拡大型設計、CLYM116 の患者移行/投与間隔最適化
