HOME > 臨床バイオ

【ASMB】Assembly Biosciences カタリストとロードマップ

【記事には広告を含む場合があります】

【ASMB】Assembly Biosciences カタリストとロードマップ

承認済み製品 / 現状

承認済み製品:なし(開発中)

主力候補:ABI-5366(長作用・経口のHSVヘリカーゼ–プライマーゼ阻害薬)— 再発性性器ヘルペス(HSV-2)。

補足:ABI-1179(同作用機序の長作用HPI)、ABI-6250(経口NTCP阻害:HDV)、ABI-4334(HBVカプシド組立モジュレーター:CAM)を併走。

主要臨床成績
−94%
HSV-2排出率減(ABI-5366 P1b 中間)

−98%
高ウイルス量排出減(同上)

$75.0M
現金等(2025/06/30)

2025 Q3–Q4
HSVプログラム P1b PoC 読出し

臨床試験パイプライン
Phase 1b
ABI-5366(HSV-2)

対象:再発性性器ヘルペス(HSV-2)

投与:週1回経口×29日(長作用HPI)

主要:ウイルス排出率/病変日数
中間:排出 −94%、高ウイルス量 −98%、病変日率 −94%
次:2025年秋までに追加PoC

Phase 1b(移行中)
ABI-1179(HSV)

対象:再発性性器ヘルペス

投与:週1回経口×29日

進捗:2025/06 P1b 投与開始
読出し:2025年秋までに初回PoC

Phase 1a
ABI-6250(HDV)

対象:健常成人(安全性/PK)

所見:低ナノモル活性、経口QD候補

中間:2025/08 公表
次:P1a完了 → P1b計画発表(2025年後半〜2026年)

ライン拡張候補

Phase 1b
ABI-4334(HBV)

対象:慢性B型肝炎

設計:28日投与で抗ウイルス活性/安全性/PK

トップライン:2025/06 陽性(強い抗ウイルス活性、OD PK)
次:次相試験(期間延長/併用)方針アップデート

パイプライン早見表
パイプライン 対象 臨床フェーズ 規制デザイン 安全性(AESI) 用法・用量 / 併用戦略 市場規模イメージ ポイント(市場評価)
ABI-5366(長作用HPI) 再発性性器ヘルペス(HSV-2) Phase 1b 週1回経口×29日、排出率/病変日数 忍容性良好(中間);頭痛・悪心など軽度中心 週1回単剤。P2で症状抑制+排出抑制の二本立て主要化想定 大:高有病・反復再発領域 長作用・週1回の新規プロファイルが差別化要因
ABI-1179(長作用HPI) 再発性性器ヘルペス Phase 1b(移行中) 週1回経口×29日、PoC評価 HPIクラス同等の軽度AEs管理 週1回単剤。用量最適化で5366との位置づけ整理 同門のバックアップで開発リスク分散
ABI-6250(NTCP阻害) 慢性D型肝炎(HDV) Phase 1a 健康成人の安全性/PK → P1b患者へ 肝関連イベント・胆汁酸動態に留意 経口 QD。将来は標準治療との併用設計へ 中:希少だが高アンメット 経口エントリー阻害は差別化余地大
ABI-4334(CAM) 慢性B型肝炎(HBV) Phase 1b 28日投与、抗ウイルス活性/PK/安全性 肝酵素上昇(ALT)などクラス留意 経口 QD。NA等との併用で持続抑制目指す 大:HBVグローバル市場 OD PKと強い活性を確認、併用設計が鍵

ポイント

HSV領域では長作用・週1回経口という新規性で、ウイルス排出と病変抑制の双方をP1bで実証中。HBVはCAM(ABI-4334)28日間の強い活性とOD PKを確認し、併用戦略へ。HDVは経口NTCP阻害で患者PoCに向けた布石を打つ段階。資金は$75.0M(2025/06/30)2026年半ばまでのランウェイ見通し。

Gilead 戦略的アラインメント投資

・長期の選択権(オプション)を最大化するための “戦略的アラインメント投資”

Gilead と ASMB は 12年の包括提携を締結(2023/10)。この枠組みでは、Gilead は各プログラムの PoC(概念実証)到達後に、最低 $45M/件のオプトイン料で独占権を取得できる条項を持ち、成功確度が上がった段階でのみ本格参画できる “段階的コミット” 設計になっています。

初回は$100M(うち$15.2Mは株式投資)、その後も持株比率を最大29.9%まで引き上げ可能と明示されています。

・自社ウイルス領域の補完:HBV/HDV/HSV を“経口の次世代薬”で強化

Gilead は HBV/HDV を含むウイルス疾患で商用実績を持つ一方、HDV の bulevirtide は米国では未承認であり(欧州等のみ)、経口NTCP阻害(ASMB: ABI-6250)のような “服用容易・拡張性の高い” 候補はポートフォリオ補完として合理的です。

HBV でも 次世代CAM(ASMB: ABI-4334)を押さえることで、既存核酸アナログとの併用最適化や “機能的治癒” アプローチにオプションを拡げられます。HSV は Gilead の空白が大きく、長作用・週1回経口の HPI(ASMB: ABI-5366/1179)で新規市場進出の足場を確保できます。

・2024–25年の “資本注入 + 条項改定” で、成果連動の上振れを狙う

2024/12、Gilead は$20.1Mの追加出資(持分29.9%へ)と$10Mの加速資金を実行。

プレミアム価格での取得で、ASMB の複数P1/1b読出し目前の局面に資金面の後押しを与え、PoC 到達のタイムラインを前倒し・確度向上させる狙いが読み取れます(オプトイン時点・支払いの一部見直しも付随)。

・“持分 29.9%” の意味:ガバナンス影響を確保しつつフル買収は回避
米市場では 30%前後が支配的持分の境界として扱われやすいライン。

29.9% に留めることで、影響力と柔軟性(将来の追加投資やオプトイン決定)を両立し、失敗リスクはASMB側に分散させられます。さらに Gilead由来のヘルペスプログラムをASMBへ移管して共同開発している点も、実務面の一体化を進める布石です。

・データで裏打ちされた “確度の高い種” を早期に囲い込む

2025/6 の ABI-4334(HBV)P1bトップライン陽性、2025/8 の ABI-6250(HDV)P1a中間、2025/7–8の ABI-5366(HSV)P1b中間と、主要3領域で前向きデータが続伸。

Gilead の追加出資(2024/12)は、これらの読出しを見据えた “先回り” であり、成功時の独占化(オプトイン)と収益分配を有利に確保する狙いと整合します。

投資家視点のトリガー

・HSV(ABI-5366/1179)

2025年秋までの P1b PoC 最終/初回読出しの質(病変抑制+排出抑制の両立、忍容性)→ P2主要評価の切り方とレジメン(週1回)確定。ここが良ければ Gilead のオプトイン判断が現実味。

・HBV(ABI-4334)
P1b 陽性を受けた投与期間延長/併用デザインの具体化。NA併用や多剤併用で HBeAg セロコン/機能的治癒指標にどう迫るか。

・HDV(ABI-6250)
P1a 完了→P1b 設計(患者集団・投与期間・併用可否)。経口という製品性が HDV 市場でどれだけ勝ち筋になるか。

開発ロードマップ
2025年Q3–Q4

HSVプログラム PoC 読出し

ABI-5366 追加コホート/統合PoC、ABI-1179 初回PoC。

2025年Q4〜2026年Q1

HBV 次相設計の提示

ABI-4334:投与期間延長やNA併用などの確証的デザイン公表。

2025年後半〜2026年

HDV P1b 設計/開始

ABI-6250:P1a完了→患者PoCの開始と初期活性データ。

2026年

HSV P2 設計公表

頻回再発患者で症状抑制+排出抑制の主要評価を想定。

ポスト-2026

確証試験段階へ

HSV P2開始、HBV併用拡大型、HDV P1b→P2移行の判断。

注目すべきカタリスト
短期(〜2025年Q4)
ABI-5366 統合PoC、ABI-1179 初回PoC、ABI-6250 P1a完了→P1b計画。

中期(2025年Q4〜2026年Q1)
ABI-4334 次相試験(期間延長/併用)デザインの確定。

長期(2026年〜)
HSV P2開始、HDV P1b初期活性、HBV 併用拡大型の実装。