バイオファンドの2025年第2四半期(Q2)の13F報告書を見ていて気になったのが、CTMX です。私も以前ロングしていたのですが、ものすごいハイボラで一度手放していました。
かなり多くのバイオファンドや、バイオにセンスの良いコーエンの Point72 Asset Management も新規ポジをこのタイミングで開始しており注目したいと思います。
「CX-2051」の総合評価
$CTMX – Perceptive – Point72 – Baker -BVF – VIVO – Orbimed – money slide on $CTMX https://t.co/vwJATZG3TQ pic.twitter.com/k5sAzCjBtA
— dough (@semodough) August 22, 2025
強い初期シグナル:ORR 28%、DCR 94% は既承認薬と比べ突出。
mPFS も良好:Bev併用のFTD/TPIに並び、それを単剤で実現。
課題:OS データ未成熟、安全性プロファイルの開示不足(初期Ph1なのでサンプル小)。
もし再現性があるなら「3L+ CRC でのベストインクラス候補」。既存薬のORRが低い領域で、これだけのレスポンスを出す新規メカニズムは価値が高い。しかし、Ph1データは往々にしてポジティブに見えがち。サンプルサイズ拡大で成績が下がるリスクは常にある。
「CX-2051」は初期ながら、現行標準治療を圧倒的に上回る奏効率と病勢制御率を示しており、非常に有望なシグナルです。ただし、まだ 全生存データと安全性の検証が不足しており、今後の拡大試験(Phase 2/3)で「再現性」が確認されることが最大のカタリストになります。
大腸がん(CRC)以外にも “パン・チューマー” で広く狙える?
Been a while since we had a cool ADC in town. Bring it back!
Some serious TAMs there.$CTMX pic.twitter.com/ujbrCG7ev5
— Adam May (@A_May_MD) May 12, 2025
CTMX(の EpCAM 標的ADC「CX-2051」は、大腸がん(CRC)以外にも “パン・チューマー” で広く狙えると主張している図です。円グラフは各がん種で “高発現の EpCAM 陽性患者の割合” を示しています。
見出しの “Beyond CRC” は、CRC 以外のがんでも EpCAM 高発現が多い=適応拡大の余地が大きいです。
がん種別の想定アドレス可能患者(米国)
・NSCLC:135,000人 × 80% ≈ 108,000人
・卵巣がん:45,000人 × 83% ≈ 37,350人
・膵がん(PDAC):32,000人 × 50% ≈ 16,000人
・胃がん:31,000人 × 79% ≈ 24,490人
・子宮体がん:36,000人 × 73% ≈ 26,280人
・TNBC:21,000人 × 83% ≈ 17,430人
合計:約23万人/年(これでも “CRC を除く” 分だけ)。CRC を足せば TAM はさらに大きい。(円グラフの患者数 × 緑の割合 ≒ EpCAM高発現の人数)
EpCAM は多くの固形がんで高頻度に発現しており、CX-2051 は CRC だけでなく複数腫瘍で試せる。TAM がかなり大きいので、臨床で安全性と有効性が確認できれば横展開のスピード感が出る。
これは患者 “数” ベースのトップダウン試算で、実際の “治療対象” は ライン・バイオマーカー閾値・競合治療などで目減りします。EpCAM は正常上皮にも発現するためオンターゲット/オフターマー毒性が課題になりがち。CTMX の強みは “マスク付き” ADC(Probody)で正常組織での活性を抑え、腫瘍局所で外すという設計にあります。
要するに、CX-2051 が臨床で当たれば、CRC以外にも広い横展開が見込めるかもしれません。
(該当なし:全プログラム開発中)
主力パイプライン:CX-2051(EpCAM PROBODY® ADC)、CX-801(PROBODY® IFN-α2b)、CX-904(EGFR×CD3 PROBODY® TCE)
提携先:Amgen、Astellas、Bristol Myers Squibb、Moderna、Regeneron
提携あり
対象:EpCAM高発現固形がん
治療:PROBODY® ADC(用量漸増)
第7コホート進行中
2025年上期 予定
ランウェイQ2 2026まで
対象:転移性メラノーマ
目的:安全性・初期有効性
第1相 進行中
2025年下期 発表予定
対象:EGFR陽性固形腫瘍
治療:二重特異性T細胞誘導薬(Amgen提携)
開発中止(安全性・戦略判断)
資金:$117.6M(Q3 2024)/ランウェイQ2 2026
狙い:臨床カタリストに集中
非中核部門約40%削減
パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント |
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CX-2051(EpCAM 指向 PROBODY® ADC/Topo-1) | 大腸がん(CRC)中心の EpCAM 高発現固形がん | Phase 1a(用量漸増→拡大:7.2 / 8.6 / 10 mg/kg, Q3W) | IND 許可済/P1 継続。 2025/05 初期データ公表、 2025/07 Grade 5 AKI 1例報告も SRC 継続支持。 2026年Q1 データ更新予定 |
Topo-1 ADCクラス:下痢・悪心、骨髄抑制(好中球減少)、疲労、肝酵素↑、腎障害(稀:AKI)、輸注反応 | 単剤 Q3W。拡大型で最適用量検証中。 将来的に抗VEGFやIO等との併用探索余地 |
大:CRC を筆頭に上皮系腫瘍で広範 | EpCAM は古典的ターゲットで全身毒性が課題。 腫瘍局在化(Probody)で治療域をどこまで拡大できるかが鍵。 |
CX-801(IFN-α2b PROBODY® サイトカイン) | 転移性メラノーマ(初期)ほか 固形腫瘍 | Phase 1a(単剤→KEYTRUDA併用コホート) | IND クリア(2024/01)。 2025/05 併用コホート投与開始。 2025年下期:初期トランスレーショナル/バイオマーカー読出し想定 |
インフル様症状(発熱・倦怠・悪寒)、肝酵素↑、甲状腺機能異常、骨髄抑制、自己免疫イベント(IFNクラス)。 Probody化により全身毒性低減を狙う |
静注(IV)想定。 用量漸増で単剤→抗PD-1併用へ段階移行、バイオマーカー同定 |
中:IO 不応腫瘍の補完需要 | IFN の有効性×全身毒性のトレードオフを腫瘍選択活性化で解消し、治療域拡大を狙う。 |
PROBODY® TCE 群(提携:Amgen / Astellas / Regeneron) | 固形腫瘍(例:EGFR など) | 研究〜前臨床(パートナー主導) | 提携下で腫瘍選択的TCEを継続評価。 参考: CX-904 は 2025/03 のポートフォリオ見直しで両社合意のもと開発終了 |
CRS(サイトカイン放出症候群)、発熱、低血圧、ICANS(神経毒性)、 On-target/off-tumor 由来の組織毒性 |
静注。ステップアップ投与・初期サイクル厳格モニタで安全域最適化。 腫瘍選択性により有効用量の引き上げを目指す |
大:固形腫瘍のTCEは未充足領域 | 有効性と安全域(CRS/神経毒性)の最適化が焦点。 腫瘍選択性の実証が主要なバリュードライバー。 |
CX-2051:Phase 1a 初期データ
EpCAM PROBODY® ADC の初期臨床データを発表予定。
CX-801:初期バイオマーカーデータ
遺伝子発現・バイオマーカーを含む初期結果を公表予定。
CX-2051:用量拡大・Phase 2準備
拡大コホートの進行と次相デザインの構築。
資金ランウェイ到達
既存資金の持続性終了。以降の資金調達が焦点。
CX-2051 初期臨床データ公開(株価感応度大)。
CX-801 初期データ、CX-904戦略見直し効果。
CX-2051 Phase 2移行、追加提携や資金戦略。