Funst Strat (ファンドストラット) のトム・リーがCNBCの『クロージング・ベル』にゲスト出演し、広範な市場動向、テクノロジー、小型株などに関する見解を共有します。
トム・リーはデータに基づく分析、実践的な戦略、マクロ経済の見解を提供し、投資家がより賢明な判断を下すのを支援します。トップ投資家やウォール街のプロが頼りにするリサーチと市場洞察に直接アクセスできます。
メルトアップ・ラリー(急上昇相場)が来る?
司会者 : ようこそ、戻ってきました。これから「メルトアップ・ラリー(急上昇相場)」が来る――そう語るのが今回のゲスト、Funst Strat の共同創設者でありリサーチ責任者、そしてCNBCのコントリビューターでもあるトム・リー氏です。
トム・リー : 今週のS&Pは好調で、5月も素晴らしいパフォーマンスを見せましたが、投資家は必ずしも強気ではありません。我々がポートフォリオマネージャーたちと Zoom などで話す限り、彼らはまだ慎重です。
関税リスクが懸念され、明確な解決策も見えていないため、強気になれないのです。多くの人々は、「今の株式市場は上がるべきではない」と考えています。
ですが、現在は待機資金も多く、ショートポジションも増加傾向にあり、静かな週にマーケットが上昇していることを考えると、ここから大きなラリーに入るリスク(=可能性)があると私は見ています。
関税はどのように市場に影響を与えるのでしょうか?
トム・リー : 関税はもちろん重要です。しかし、2月以前、つまりトランプ氏が関税について発言する前は、15%の関税が基本シナリオでした。仮に10%に落ち着いたとしても、GDPへの影響は約1%程度です。
これは原油価格が40ドルから80ドルに上昇することと同じ程度の影響で、もはや80ドルの原油が経済を壊すとは誰も言いません。つまり、関税は調整は必要ですが、S&Pを4,000に押し下げるような決定的要因ではないと考えています。
仮に税制改正を巡る対立が激化し、長期化するような状況になった場合、それは大きなリスク要因になるでしょうか?
トム・リー : それは「イベントリスク」と呼ばれるもので、政府閉鎖や自動車工場の停止など、一定期間経済に影響を与える一時的な事象です。ただ、それが構造的な弱気要因になることは少なく、むしろ「押し目買い」のチャンスになってきました。
仮に税制改正案の予算規模が縮小されたら、市場にとってはポジティブでしょうか?
司会者 : 債券市場は好感するかもしれませんね。
トム・リー : そうですね。もし債券が上昇すれば株にも良い影響がありますが、逆に税制が支出増につながり、金利が上昇しても、市場は利益成長に注目するはずです。ですので、どちらに転んでもポジティブな面があります。
JPモルガンのジェイミー・ダイモン氏が「債券市場にはひびが入りつつある」と言っていますが、それは懸念すべきでしょうか?
トム・リー : JPモルガンは米経済の「ダッシュボード」を持っており、消費者信用の動向をリアルタイムで把握しています。
確かに延滞率は上昇しており、自動車ローンの延滞も増えています。ただし、それが信用市場全体へ波及し、信用危機につながるかというと、そうは見ていません。
私たちが注目しているハイイールド債市場では、スプレッド(利回り差)が広がった後の70%を回復しており、むしろ経済が強まっていることを示しています。つまり、債券市場がすぐに危機を迎えるといった懸念には、あまり重きを置いていません。
住宅市場は急速に悪化していますが、それは大きなデフレ圧力になるでしょう。2019年以降のインフレ上昇の75%は住宅と自動車サービスによるものでした。
供給が増え、住宅価格が下がっているのであれば、それは構造的なインフレ低下であり、今後12ヶ月の間にFRBがハト派的になる要因です。これは株式市場にとっては強気材料です。
年末までにFRBは何回利下げしますか?
トム・リー : 利下げを行わない可能性もありますが、それでも問題ありません。株式市場はすでに2026年を見据えており、来年にはFRBが利下げできる状況になると考えています。それが株式市場にとっての強材料となります。
テック株の上昇はまだ続くと思いますか?
トム・リー : はい。MAG7(主要7銘柄)は最初に天井をつけ、最初に底を打った銘柄群です。4月には新安値をつけることもなく、今は再評価されています。MAG7に加えて、金融株、工業株、小型株も後半に向けて注目しています。
昨年も「小型株が後半に50%上昇する」と予想していましたが、なぜそこまで言い続けるのでしょうか?
トム・リー : 小型株はFRBが利上げを停止し、金利が高止まりしている中で打撃を受けました。しかし、FRBがこれ以上金利を引き上げるとは思っていません。確かに予想は外れましたが、小型株にはまだ後半の可能性があると見ています。