Zoomy

ウォーレン・バフェット氏、現金活用の好機は5年以内に訪れる

バークシャー・ハサウェイの会長兼最高経営責任者(CEO)であるウォーレン・バフェット氏が、2025年のバークシャー・ハサウェイ年次総会に登場しました。

この総会でバフェット氏は、”現金を活用する機会は、今後5年以内に訪れる可能性が高い” と述べています。更にトランプ関税の問題を指摘し、日本の商社に対して今後10年間はこれらの株を売却しないと述べています。

質問 : バフェット氏のキャッシュポジションについて

バークシャー・ハサウェイ年次総会では、ウォーレン・バフェット氏の過去最高のキャッシュポジション3252億1000万ドルに注目が集まり、次のような質問がなされています。

ニューヨークのアドベイト・プラサドさんからの質問

「現在、バークシャーは3,000億ドル以上を現金と短期投資に保有しており、これは総資産の約27%を占めます。これは過去25年の平均(13%)と比べても歴史的に高い水準です。また、バークシャーは米国債市場全体の約5%を保有することになります。

保険義務に備えた流動性確保以外に、これは市場の高バリュエーションに対するリスク回避策なのでしょうか?あるいは、次期CEOであるグレッグ(アベル氏)に柔軟な経営判断と健全な財務状況を引き継がせるためのリーダーシップ移行の準備でもあるのでしょうか?」

さらにもう一人、マイク・コンウェイさんからの一言も紹介されました。

「今後、“お買い得のチャンス(fat pitch)”が来ると期待していますか?」

バフェット率いるバークシャーが過去に現金比率を高めたのはどんな時期?

過去最高のキャッシュポジションに対するバフェット氏の回答

私はグレッグのために投資を控えて、彼が後で格好よく見えるようにするなんて、そんな立派なことはしません(笑)。むしろ、彼が優位に立ったら少し悔しくなるかもしれません。

現金については、最近でも100億ドルの投資をする寸前までいったことがありますし、良い案件があれば1,000億ドルでも使う用意があります。

投資の世界では、好機は秩序立ってやってくるものではありません。これは常にランダムで予測不能です。私は約80年間、年間200営業日としても16,000日の取引経験があります。でも、その中で常に均等なチャンスが訪れるわけではありません。

チャーリー(故・チャーリー・マンガー)は「我々は一生に5つの大きな取引だけで十分だ」と言っていました。むしろ集中投資こそが成功の鍵だと。

現在、米国債に3,350億ドルを持っていますが、できるなら市場環境が整っていて、それが500億ドルくらいになっている方が望ましいです。ただ、それは望んでも叶うものではありません。

我々は「常にフルインベストメントであるべきだ」とは考えていません。それはむしろ逆効果で、タイミングを見て投資すべきだと信じています。

年間400億ドル程度のキャッシュフローがあるとして、「毎年必ず500億ドル投資しなければならない」と言われたら、それは愚かしいやり方です。

極めて魅力的な投資対象は、ごくたまにしか現れません。でも、それはいつかまた現れます。来週かもしれないし、5年後かもしれない。でも50年後ではありません。だから、現金を持って備えているのです。

確かに、誰も市場や経済が明日どうなるかを知りません。でも人々は話し続ける。それが簡単だからです。しかし、それに価値はない。私はその話題で耳を傾けたいと思える人を見たことがありません。

一方で、私は過去に日本の分厚い企業年鑑をめくって調べることが「宝探し」のように楽しかった。そして時々、本当に素晴らしい機会を見つけられました。

将来また必ずそういった機会が来ます。その時のためにキャッシュを持っているんです。

最後に、年齢と投資機会を比喩的にこう締めくくりました:

10歳の時に翌日に死ぬ可能性は低いですが、115歳になればそれはほぼ確実になる。特に男性ならね。長寿記録はほとんど女性ですから。チャーリーにも性転換して試してみろと言ったくらいです(笑)

トランプ氏の関税政策に強く反対

バフェット氏は、トランプ氏の関税政策については、次のような反対意見を述べています。

貿易が戦争行為となることは疑いようがない。それは悪い結果をもたらした——それが引き出した態度だ。米国は世界と貿易をすべきだ。私たちは得意なことをやり、他国は得意なことをやるべきです。

それが当初のやり方でした。250年前、私たちはタバコと綿花の生産が得意で、それらを貿易で交換していました。

私たちは繁栄した世界を求めていますが、核兵器を保有する8カ国、その中には私が非常に不安定だと呼ぶ国も含まれる中で、一部の国が『ハハハ、私たちは勝った』と言い、他の国が羨むような状況は、良いアイデアではないと思います。

貿易は武器にしてはならない。私の見解では、75億人があなたを好んでいない状況で、3億人が自分たちの成果を自慢しているのは大きな間違いだ。

日本の商社について

バークシャーの日本への投資は彼らの哲学に完全に合致しており、今後10年間はこれらの株を売却しないと述べている。

日本の利上げについて質問されたバフェット氏の後継者グレッグ・アベル氏は、バークシャーは日本の商社を50年、あるいは永遠に保有することを期待していると語った。

会長のウォーレン・バフェットは、伊藤忠、丸紅、三菱、三井、住友の日本五大商社への投資を継続する方針を表明した。