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暗号資産業界で第2の大型IPOとなった、Circle の上場を振り返る

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2025年6月5日、Circle (サークル / CRCL) がついに米国市場に上場しました。暗号資産業界で Coinbase に続く第2の大型IPO案件となりました。

Circle の株はIPO時に1株31ドルで販売されましたが、取引開始1時間後には株価が88.50ドルに急騰。一時は103ドルの高値も記録し、初日から約3倍の評価額となる「爆発的スタート」を切りました。

ティッカーシンボルは「CRCL」NASDAQに上場しており、時価総額は200億ドル(約3兆円)。当初は60〜90億ドルの想定だったため、IPOを選択し、Ripple や Coinbase からの買収オファーを断った判断が正しかったことになります。

この成功は、他の暗号企業、たとえば Kraken や Bankless のIPOにも波及効果をもたらす「口火」となる可能性があり、業界内ではステーブルコインの夏という言葉も飛び交っています。

過大評価の面も

一方で、Circle の利益は約1億3,000万ドル程度にすぎず、それに対しての200億ドル評価は割高ともいえます。さらに Coinbase との収益分配(1/3~1/2程度)の仕組みも残っており、収益性の課題も抱えています。

この点で、同じステーブルコイン発行体である Tether(テザー)と比較すると明らか。Tether は発行規模が3倍以上、年間の純利益は50億〜60億ドル規模で、社員数も少なく、まさに「現金製造マシン」です。

Tether が米国で上場することはまずありませんが、もし実現すればその評価額は想像を超えるでしょう。

Circle のIPOは、米国発の暗号資産企業にとって大きなマイルストーン

それでも今回の Circle の上場は、米国発の暗号資産企業にとって大きなマイルストーンであり、伝統的金融市場におけるステーブルコインの受容が進んでいることを象徴する出来事です。

Circle のCEOであるジェレミー・アレールが「Circle がNYSEにCRCLというティッカーで上場したことをとても誇りに思う」と発表しました。12年前、彼らはインターネット上でネイティブに再構築されたグローバルな経済システムを構築するという目標を掲げてスタートしました。

今回の上場は、暗号資産業界にとってまたひとつ大きなマイルストーンとなりました。この Circle のIPOは、今後の規制(GENIUS 法案など)や、議会の動きが株価にどう影響するかを見極める良い機会となるでしょう。

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Circle のIPOが、Coinbase の隠れた資産価値を明らかにするかもしれない

Blockworks Research のデビッド氏によれば、ステーブルコインUSDCを発行する Circle が上場したことで、Coinbase の投資先(ベンチャーポートフォリオ)の価値が見直されるきっかけになるといいます。

特に注目されているのは、トークン化されていない=仮想通貨の形ではない未上場企業の株式など、現在は流動性が低い資産です。これらの資産は、将来的にNYSEやNASDAQなどの市場で上場・換金される可能性があります。

そのため、Coinbase Ventures(Coinbase の投資部門)が持つ「非トークン型の投資ポートフォリオ」は、今後100億ドル規模の価値になる可能性があると彼は見ています。

現在の株式市場では、こうした非流動性資産はほとんど価値を認められておらず、実質的に “ゼロ評価” されているとも指摘しています。