
2025年10月24日:XmAb819(ENPP3×CD3、ccRCC)初期データを学会で発表。P1用量漸増/拡大で69例が投与済み(IV 10コホート+SC 5コホート、中央値4ライン既治療)。詳細安全性・有効性をAACR–NCI–EORTC 2025で提示。
2025年4月29日:XmAb942(高力価・長半減期TL1A抗体)で健常人P1の中間結果が良好。これを受け、潰瘍性大腸炎P2b「XENITH-UC」へ進行決定。
2025年8月6日:最新コーポレート・デッキ更新(オンコロジーと自己免疫の二本柱。T細胞エンゲージャ/二重特異抗体に注力)。
2025年5月:資金面アップデート—2025年末の現金・現金同等物・有価証券は$535–585M見込みとガイダンス。開発継続に十分なランウェイを確保。
2024年:J&J/Janssenがplamotamab権利を返還。一方でCD28二重特異プラットフォームでの共同研究は継続(腫瘍/自己免疫での展開)。
・“TL1A” クラスが一気に本命化している
メルクが Prometheus 由来の「tulisokibart(MK-7240)」を UC/CD の Ph3 まで進め、さらに他免疫疾患へ拡張中。クラスの成功確度が高まっている。
Sanofi/Teva の共同TL1A抗体(duvakitug)が Ph2b で主要評価項目達成と報じられ、クラスの臨床的妥当性が強く裏付けられた。
・Xencor の TL1A(XmAb942)が “差別化ポイント” を持つ
「XmAb942」は高力価+半減期延長(Xtend Fc)+Fcサイレンシングという設計で、q12週投与まで見据えた使い勝手を狙う設計。FIH(SAD/MAD)の中間結果を出し、UC の Ph2b(XENITH-UC)開始設計を公開しています(12週誘導→40週維持、IV→SC、主要評価は12週mMayo寛解、約N=220)。
これは “クラス内での用量曝露最適化” と “投与負担の軽減” で勝ち筋を作る戦略です。
・複数ショット(腫瘍×自己免疫)の近接カタリスト
腫瘍側では「XmAb819(ENPP3×CD3)」の初回臨床データを今週公表(AACR-NCI-EORTC 2025)。RCC向けの “2+1” T細胞エンゲージャーという独自骨格で、オンコのオプション価値が明確化。
自己免疫側では前述の「XmAb942」Ph2b が動き始める段階。TL1A×IL-23 の次世代二重標的(bispecific)も2026年FIH予定とロードマップが示されています。
・資金体力(下値クッション)と非希薄化の手当て
2024年末時点で現金等$706.7Mを掲示(FIHアップデート資料)。23年には Ultomiris/Monjuvi の一部ロイヤルティをOMERSに売却し$215M受領、一方で将来の一部ロイヤルティ/マイルストンは継続する旨が開示されており、開発資金の見通しと “希薄化耐性” が評価されやすい構図。
・“Ph1 が多い→バリュエーション抑圧” ゆえの非対称性
目先は Ph1 主体でディスカウントされがちですが、クラス全体の追い風(他社のP2b/P3成功)×自社の差別化設計(曝露・投与間隔)×腫瘍の初期シグナルという “外部検証+内部カタリスト” の組み合わせ。
承認済み製品:なし(開発中)
主力候補:XmAb819(ENPP3×CD3 T細胞エンゲージャー)— 腎細胞がん(ccRCC)を対象。
補足:XmAb808(B7-H3×CD28 共刺激、pembro併用P1)、XmAb541(CLDN6×CD3 TCE)、XmAb942(抗TL1A;UC/CD想定)が続く。
対象:腎細胞がん(特にccRCC)
作用:2+1型T細胞エンゲージャー(ENPP3標的)
対象:B7-H3高発現固形腫瘍(Keytruda併用)
作用:CD28共刺激付与の二重特異抗体
対象:CLDN6陽性固形がん(卵巣がん 等)
作用:CLDN6標的T細胞エンゲージャー
対象:炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎/クローン病想定)
作用:高効力・長半減期TL1A抗体
| パイプライン | 対象 | 臨床フェーズ | 規制デザイン | 安全性(AESI) | 用法・用量 / 併用戦略 | 市場規模イメージ | ポイント(市場評価) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| XmAb819(ENPP3×CD3) | 腎細胞がん(ccRCC) | Phase 1 | 適応探索型 P1(用量漸増→拡大) | サイトカイン関連・肝酵素・腎関連イベントを重点監視 | 単剤→将来はVEGF/IO等との併用探索余地 | 中〜大:腎がん | Q4 2025初期データで活性/安全性のバランスを評価 |
| XmAb808(B7-H3×CD28) | 固形がん | Phase 1(併用) | pembro併用P1(拡大型の新規開始は見送り) | 免疫活性化に伴う免疫関連事象を監視 | CD3系TCEとの生物学的併用シナジーを検証 | 中:横断的固形腫瘍 | “シグナル2”付与で深い反応を狙う差別化設計 |
| XmAb541(CLDN6×CD3) | CLDN6陽性固形がん(卵巣がん 等) | Phase 1 | FIH P1(用量漸増→拡大) | サイトカイン/肝機能/腫瘍炎症反応を監視 | 単剤→化療/ADC等との併用仮説 | 中:分子選択適応 | 患者選抜(CLDN6発現)で有効性最大化に期待 |
| XmAb942(抗TL1A) | UC/CD | FIH完了 → Phase 2b 準備 | UC P2b(XENITH-UC)開始予定(維持Q12週) | 感染・肝酵素・消化器症状等を監視 | 皮下投与想定。生物学的製剤との位置づけ最適化 | 大:炎症性腸疾患 | 長投与間隔とPD強度でクラス差別化 |
- 技術収益の安定性:Monjuvi®追加承認などでロイヤルティ/マイルストンが拡大、内部開発の資金基盤を補強。
- 3軸集中:TCE(819/541)×CD28共刺激(808)×TL1A(942)にリソース配分を最適化。
- 資金余力:会社ガイダンスで〜2028までのランウェイ見通し。
主要ファンド/戦略保有の動向や売買フローを追記(必要に応じて更新)。
ポートフォリオ再編(vudalimab 終了)
パイプラインをTCE/共刺激/TL1Aの3軸に集約。
XmAb819 初回P1データ
安全性・初期活性・拡大型設計をアップデート。
XmAb942 UC P2b(XENITH-UC)開始
維持Q12週の実用的投与設計を検証。
XmAb942 中間/トップライン時期のガイダンス更新
P3デザインに向けた用量/スケジュール確定。
XmAb819 初回P1データ、XmAb942 UC P2b開始、技術導出によるマイルストン収入の更新
XmAb942 P2b進捗、XmAb808/541 の開発方針アップデート
XmAb942 P3設計確定、腫瘍領域TCE群の拡大型データ
